今日は、その危険と都市伝説的通説についての記事です。
「○○ヨガ」という名前のついたものが増えていますが、ヨガの本質を持たず名前だけが独り歩きしてしまっているものもあって、なんとなく居心地の悪い感じがしています。
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私の住んでいる町では、通りにヨガスタジオを見かけない日はありません。そして、その全てのヨガスタジオは加熱スタジオで、つまりは摂氏32~47度の部屋でクラスが行われています。正直、私は長い間ホットヨガの虜でした。それは、ヨガ、エクササイズに関わらず、身体の外部の極度の熱の中で運動をするときに熱が身体に与える影響について深く知るまでだったのです。
今、ホットヨガは、大流行りだ。常温のスタジオを探す方が難しいくらいで、標準的なビクラムからビンヤサまでに至るすべてが加熱した環境で行われています。ヨガ・ティーチャーとして加熱・常温どちらも教えてきましたが、私が何を教えてきたのかを知ることになったのです。ここにある事実が、極度の熱があなたにとって良いことか悪いことなのかをあなた自身が選ぶ時に役立つことを願っています。
外部の熱と身体の熱
ホットヨガには、約38度くらいまで部屋の温度を上げる外的な熱源があります。しかし、運動をすれば身体の内部に熱が作られるということを言及することが大切で、そしてそう、ヨガは穏やかな運動であるとみなすことができるでしょう。ホットヨガは、静的なポーズの持続(と少しの流れ)を行い、すなわちポーズの種類によって身体の一部を伸展し他の部分を収縮することで安定させます。つまり、静止するために筋肉をアイソメトリック(筋肉の長さを変えずに力を加える方法)に収縮しているのです。
体内の熱はどのように作られるのでしょう?筋肉組織の細胞内で、いくつかの科学反応がおこります。こうした細胞はエネルギーを放ち、それが熱という形になります。筋肉収縮中のこの化学反応が大きくなれば、体内の熱も大きくなります。熱の身体に対する影響の話をするのにこれが重要なポイントになります。
ホットヨガは、熱プラス熱の反応を大きく引き起こし、熱疲労や熱射病につながることもあります。体内の熱が上がれば、皮膚の血管拡張が起こり体温を正常範囲内に保つため汗を出して冷やし始めます。ですから、身体を冷やそうと汗をかくと血流が増えますが、室温が38度を超えていると身体を冷やすことは事実上できないので、体温の混乱が起こりえます。
どのようにおかしくなるのか
身体は様々な方法で身体を冷やそうとしますが、主に伝導、対流、蒸発を行います。伝導とは2つの隣り合った物質の間で熱を交換すること、対流は水や空気と身体の間で熱を交換すること、そして蒸発は水が液体から気体に変換することでその過程には熱が使われます。加熱された部屋にいるときに蒸し暑くなるのは、それぞれの身体が体内温度があがることで汗をかき身体の熱を逃がそうとするからです。
では、ホットヨガの部屋で暑くなっても出られなくて気分が悪くなり始めると何が起こるのでしょう?おそらく、熱疲労になりかかっています。身体の負のフィードバックシステムを通して、体温の恒常性を保っています。このシステムは、熱疲労の間働き続けますが、この部屋の状態では体温が正常レベル以上に上がるのを止めることはできません。そしてたくさん汗をかくことで脱水し、血圧が下がり、心拍数が上がります。脱力し、めまい、吐き気まで感じるかもしれません。
このような状態では涼しい場所に移動するべきなのですが、多くのホットヨガスタジオで経験しましたが、大抵のインストラクターはそういう人を見下すか部屋にとどまるよう促すことが多いのです。もしこういった症状になれば身体の恒常性を保つために涼しい部屋に行くべきです。そうしなければ、熱射病になり多くの場合は入院することになります。
汗とともに毒をだしているという嘘
ヨガインストラクターが、毒素を出すから汗をかくのはいいことだと言っていますか?なるほど、この発言は100%正しいとは言えません。汗の成分のほとんどは水で、他には塩、カリウム、アンモニア、尿素などの化学物質が含まれています。解毒が実際に行われるのは、腎臓、肝臓、そして大腸です。90分のホットヨガクラスで死にそうなくらい汗をかいても毒素は排出されません。ただ、脱水して水の分の重量が減るだけです。がっかりさせるつもりはありませんが、それが身体のしくみの事実なのです。身体の毒を出したいのなら、医師に相談するか、薬局で肝臓や腎臓、大腸を浄化する天然成分の薬品を購入した方がよいでしょう。
柔軟性の嘘
筋肉の柔軟性と関節の柔軟性は異なります。腱や靭帯にはあまり血流がなく、特に靭帯にはほとんどありません。そのおかげで靭帯が関節を安定させているのです。加熱された部屋にいると、血流が増えて実際よりも柔軟になったように感じます。英雄のポーズ(いわゆる「お姉さんすわり」)のような強いポーズは、常温のスタジオでは膝関節に制限がかかってやりにくかもしれません。一方で、熱い部屋では制限が感じられず安全な範囲を超えてしまうのです。靭帯はストレッチしますがそんなには伸びません。関節に負担のかかるポーズで靭帯を強く伸ばし続けると靭帯が切れる危険が高まります。もしくは、靭帯が関節を支持できないところまで伸ばしてしまう危険もあります。靭帯を伸ばしすぎると関節が不安定になることを理解しなければなりません。
ヨガがリハビリによいと誰もが思っていますが、ヨガは単に穏やかな運動のひとつで怪我をすることもあることを理解してください。中には運動学や解剖学、生理学の十分な訓練を受けていないヨガインストラクターもいるので、特に全くのヨガ初心者にはホットヨガが悲惨な結果につながりうると、私は個人的に考えています。全てのヨガインストラクターがそうだと言ってるわけではありません。熱い部屋で生徒が安全に行えるよう、そして生徒が熱疲労の兆候を見せればすぐに対応する素晴らしいインストラクターもたくさんいます。しかし残念ながら、すべてのインストラクターがそうだというわけではないのです。
運動するみなさん、どうか安全に行ってください。ひどく熱ければ部屋を出ましょう。やりすぎないでください。そしてどうか、自分に合ったヨガスタジオやインストラクターを見つけて下さい。
(出典)http://breakingmuscle.com/yoga/hot-yoga-the-dangers-and-myths-you-need-to-know