2021年5月4日火曜日

ハムストリングスについて10の俗説を暴く Vol.2 
10 Hamstring Myths Debunked

前回からの続きです。

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6.「ハムストリングスをストレッチする時に四頭筋を使っていれば安全」


受動的よりは能動的にストレッチをした方が良い一方で、四頭筋(腿前面の筋肉群で、ハムストリングスと逆に膝の伸展や股関節屈曲に使われる)を働かせることで守られるものはほんの少しだけ。たとえ四頭筋が収縮していても、骨はきちんと並んでいないかもしれません。この場合、方向が一致していないという問題には対処しないままで、制限や怪我の原因となる可能性もあります。特定の筋肉を使うことに集中するよりも、まずは骨格のアライメントに集中したほうが、筋肉は楽に動けるでしょう!前屈で脚と足の骨の方向を揃えることで、例えば、誰もが望んでいる内側広筋(体の中心側で最も深い四頭筋で、膝のすぐ上から内腿へに向かっている)の収縮が得られます。これは他の四頭筋よりも働かせることが難しい場所ですが、健康的な膝のアライメントにこの筋肉が役立ちます。



7.「杖のポーズのようなポーズで腿裏が硬くて背骨が伸ばせない時は、ブランケットの上に座るしかない」


ブランケットは確かに背骨を伸ばすのに役立ちます。けれど、両手を後ろへ歩かせて胴体を後傾させながら、伝統的なポーズ通りの脚に保ったままにしておくとよりうまくいくかもしれません。この方法では、両脚の下に床があるので膝の向きを調整しやすくなります。膝は、浮かせている(ブランケットの上に座っている時のように)よりも床についているほうが膝からのフィードバックをより受け取れるからです。

ダンダーサナから、腰を優しく反らせられるように後方へ手を歩かせて後ろにもたれかかってみましょう。両手だけでなく踵や大腿骨も床へ押しながら、腕と脚で体重を支え、股関節を屈曲させながら腰を優しく曲げ、鎖骨に沿って胸を開きます。直立した伝統的なポーズで行うように、後方にある架空の定規の方向に向かって頭と尾骨を動かし、そしてお互いを離します。上半身が後方に倒れているので「定規」も同じように倒れていて、頭と尾骨は斜めになります。この状態で、腰椎の曲線を保ち脚全体の健康的な動きを強める練習ができます。壁を蹴っているように両足を調整し(あるいは壁を実際に蹴るといいでしょう!)、つま先と膝関節を真っ直ぐ上に向けましょう。徐々に、一呼吸ずつ、体重を両手から両脚に移動し、背骨を地面と直角に近づけていきましょう。






8.「膝を曲げて前屈すればハムストリングスや腰が守られる」


膝を曲げることは必ずしも安全ではありません。特に膝や足の方向が揃っていなかったり、両足の荷重のバランスが悪い場合はそうです。立位の前屈を安全に行うためには、膝を曲げても曲げなくてもいいですが、背骨をニュートラルの状態まで伸ばす時は、必ず体重を踵や足指の付け根に均等にかけ、膝と足の人差し指と中指の間に向けるようにしてください。


 

9.「目標は、背骨を平ら(ニュートラル)にして前屈を深めること」


必ずしもそうではありません。目標は、きちんと調整した両脚の上で背骨を伸ばすことです。ほとんどの人は、90ー120度程度の股関節屈曲(背骨と大腿骨の間の角度)では背骨を丸める必要があります。例えば、脚を伸ばしたまま立位の前屈に移る時、背骨が地面と平行をすぎるとすぐに背骨は丸まります。(非常に可動域のあるヨギはその点を過ぎてもニュートラルな背骨を保てるかもしれませんが、それは単に股関節の球窩の可動域が非常に広いということを示しているだけで、背骨が長いとか脚がきちんと調整されていることを保証するものではありません)。

前屈で背骨が丸まったり曲がっていても、その曲線が背骨全体に均等に配分されていてコアに支えられているならば構いません。コアを安定させる筋肉群を最もうまく働かせるには、90ー120度までは背骨をニュートラルに保ち、その後はきちんと両脚の骨の向きを揃えて背骨を伸ばすようにゆっくりと前屈しましょう。前屈を深めていって、もし安定させているアライメントが崩れたら、一度戻ってもう一度根付かせて伸ばします。



10.「前屈が簡単に深く行えるなら、毎回できるだけ遠くへ限界まで深めるべきだ」


多くの場合、柔軟性よりも安定や形に集中したヨギの方が多くを得ます。限界までのストレッチを緩めて、安定や呼吸の控えめな練習をするのです。非常に柔軟なヨギなら、足の荷重のかけ方を洗練させ、膝を足の中央線に向け、背骨を伸ばすことでコアを強化し結合組織に利かせることができます。そこでは、彼らにとっては「中くらい」の柔軟性(ストレッチをやや感じる程度の深さ)だと感じるでしょう。

もしもっと感じたければ、体を出入りする呼吸の感覚に注目したり、足の地についた感覚をや膝の向き、背骨の長さを保りながら、吸気の広がりと呼気の優しい収縮に身を任せましょう。



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