2021年6月11日金曜日

ダウンドッグを練習する3つの方法 
Three Ways to Practice Downward Facing Dog



下向きの犬のポーズ(アド・ムカ・シュヴァナサナ、ダウンドッグ)は基本的で何度も出てくるポーズですが、その理由のひとつは太陽礼拝でのこのポーズの位置、そしてもうひとつはその利点のためです。


下向きの犬のポーズは、背骨をニュートラルな形で伸展した時にサポートしてくれる深いコアマッスル(腹斜筋、脊椎伸展筋、股関節屈筋)を強化し、両手両足の両方に荷重をかけ、脚(大腿四頭筋)と腕、肩(三頭筋、前鋸筋、棘下筋、小円筋、三角筋)を強化する機会となります。また、肩そして肋骨の脇と背中側を広げ、両脚の後ろ(臀筋、ハムストリングス、ふくらはぎ)を伸ばします。これは対称的なポーズで、上半身と下半身のバランスを促進するととももに、体の左右のバランスも整えます。下向きの犬のポーズを行うと、外の世界を離れ内側へ向くことになるので落ち着きやすくなり、また、腕で支える逆転ポーズとして集中力と活力をも与えてくれます。


私たちの多くは下向きの犬のポーズを何度も繰り返して練習するので、間違ったアライメントの繰り返しから起こり得る手首や肘、肩の怪我を防ぐため、アライメントを正しくすることが重要です。けれど、何度も行うため、ヨガクラスの中で難しいポーズよりも注意があまり向けないでいることの多いポーズでもあります。下記の段階的な方法で、下向きの犬のポーズの三つの面を探っていきましょう。背骨、足・膝、そして手・腕・肩です。異なる3つの方法でポーズに入ることで、それぞれの部分に集中することができ、安全にやりがいのあるポーズを作り上げることができます。


以下の方法は、安全にポーズを作り上げたいと思う初心者に適切なものですが、経験のあるヨギにとってもポーズの気づきを広げることができるでしょう。下向きの犬のポーズが「簡単」だと感じるようになっているなら、下記の方法でポーズに入ることが長くホールドするのと同様にポーズの強度を強くすることに役立つかもしれません。





ルート 1: プランクから入るダウンドッグ


プランクからダウンドッグに入ると、最もよく伸びたポーズを発見できるでしょう。特に「短い」ダウンドッグをしている時には、背骨を伸展(軸方向の伸展)させることができます。この背骨の形の重要な部分は、ダウンドッグでは無くなっていることが多いのですが、腰椎の曲線です。この内側へのカーブは、背骨の健康のためだけではなく、多数の筋肉や臓器にとっても不可欠で、正しく機能するためには背骨がニュートラルに伸展していることで得られる広がりが必要です。




1. マットの前の方に両手をついて四つ這いになり、手首を肩の真下に置き、手首のシワをマットの前端に平行にします。


2. 背中に沿って、ほうきのように長い棒をイメージします。ニュートラルで伸びた背骨にするため、尾骨の背中側と頭の背中側を優しくその棒に押し付け、尾骨の端と頭頂の距離を離します。肩甲骨と肋骨の背中側も棒の方向へと動かしますが、腰は棒から離しお腹にむかって少しカーブさせます。これが腰椎曲線で、ダウンドッグの間も(そしてできるだけいつの時もずっと)維持しましょう。


3. もしお腹が床の方へ落ち込んでいたら、吐くたびに下腹部を背骨側に引き込んで、呼吸とともにコアマッスルで腰椎をサポートしましょう。


4. 両肩を手首の上に置いたまま、長い背骨を保って片足を一歩下げ、そしてもう一方を下げてプランクポーズになります。後頭部と尾骨の間を話しながら想像している棒に押し続け、背骨の形を再確認しましょう。


5. 両手両脚を固定しながら、少し膝を曲げて腰を引き上げ、耳が両腕の横にくるまで頭を下ろします。ハムストリングスが硬い場合、膝を曲げることにより、腰椎のカーブを維持しつつ尾骨を後方へ引き上げることが容易になります。(注意:腰を引き上げてから、足指の付け根でしっかり掴むため少しづつ足を前に歩かせても構いませんが、踵をマットにつけるために前に大きく歩いたり両手を後ろに動かしたくなる衝動に堪えましょう。踵を全部下ろす必要はありません。実際、多くの人は、踵を床に下ろすと腰椎のカーブが無くなります。)


6. 尾骨と後頭部を想像の棒に押し付け続けてニュートラルに伸びた背骨を確認しましょう。今、背骨は斜めになっているので、尾骨は斜め後方上方へ伸び、頭頂は前方下方へと伸びます。


7. 腰椎の柔らかなカーブが保てる範囲で、できる限り脚を伸ばします。




ルート 2: 半分の前屈から入るダウンドッグ


半分の前屈(アルダ・ウッターナサナ)から手を前に歩かせてダウンドッグに入る方法では、両足に荷重を効果的にかけながら両脚のアライメントを洗練することができます。この動きは足と脚を強化するだけでなく、ダウンドッグでの手首の痛みや肩のストレスを緩和するのに役立つでしょう。脚や足の働きが大きくなると、手や手首、肩の働きは少なくなります。



1. マットの後方で立ち、股関節から曲げ、両手を脛におくか指先を肩の下の床に置いて、アルダ・ウッターナサナに入ります。(胸を前に伸ばし、ルート1のようにニュートラルに伸ばした形の背骨にします。)このポーズでは膝を伸ばして行われることが常ですが、伸ばした時に腰が丸くまるなら膝を曲げましょう。


2. 両足が股関節幅で平行か、足の外端がマットの外端と平行になっているかをチェックします。


3. 膝の裏を和らげたまま(過伸展しないで)、両膝の中心線が足の人差し指と中指の間を通っているかをチェックします。


4. 足先を軽くしたまま、足指の付け根の外側と内側、そしてかかとの外側と内側の間に均等に体重をかけます。


5. 両足の前30cmくらいの床に手先がつくよう両膝を曲げ、膝は足指の中央線と一直線になるようにしておきます。


6. 膝を曲げたまま、腿の一番上にロープが後ろに引っ張っているかのようにイメージしながら、両手をマットの前の方向へ少しづつ歩かせます。そうすれば、尾骨を上に向けて腰を反らしたままにすることができ、前に行くにつれて持ち上がる踵を通して足指の付け根に体重をかけ続けることができます。すぐに止まらないように気をつけましょう!両手は、ルート1で行ったように背骨がしっかり伸びるところまで前に歩かせましょう。


7. ダウンドッグで膝を曲げたまま、脚のアライメントと足のかかる荷重をチェックします。足の中指は前を向き、膝はその中指の方向に向かい、そして足指の付け根は均等に体重がかかるようにしましょう。踵は床に着く必要はありませんが、床に押し付けるかのように踵全体を下ろします。つま先を手首の方向へ伸ばすとより良いでしょう。


8. こうして脚と足を働かせながら、腰のカーブを維持しながらできるところまで脚をを伸ばします。




ルート 3: 伸びた子犬のポーズから入るダウンドッグ


伸展した仔犬のポーズ(ウッタナ・シショーサナ)から下がってダウンドッグに入る方法は、正しいアライメントと両手への荷重のかけ方を改善することで、腕と肩に大きな負荷をかけることができます。
 

注意して欲しいのは、この移行を試すことは肩の怪我を防げる可能性がある一方で、怪我をしたばかりの肩には強度が強すぎることです。その場合は、ステップ1だけにして、医師や療法士に相談しましょう。


1. マットの後方で四つ這いになります。両手を肩の下に置き、手首のシワがマットの前端と並行になるようにしましょう。(手の指を広く広げるよう言う先生もいますが、それによって手のひらが引っ張れたように感じるなら、指を全部くっつけたり、親指を人差し指にくっつけてみて感覚を確かめましょう。この手の位置は、手のひらを広げるのに役立ち、特に手根間を通る正中神経に必要なスペースとなる手のひらの付け根あたりを広げます。)


長いニュートラルの背骨を維持しながら、体重を両手に落ち着かせ、指の付け根の関節、指先、手のひらの根本の外側と内側、その全てで押し下げます。肩の付け根を関節のソケットに深く入れ込んでみましょう。その場所が最も、筋肉で支持される場所です。肩甲骨の間にやや谷ができるまで胸を床に下げ、それから肩甲骨の下端どうしを引き寄せます。


2. 股関節を膝の上に置き、背骨をニュートラルのまま伸展させておき、上半身がダウンドッグのように長く斜めのラインになるまで、両手をマットの前方へとそっと歩かせます。上腕が耳の横にくるように頭を下げましょう。必要なら、ステップ1で見つけた自分に合った形に指を再調整しましょう。肘を少し曲げて、肘の内側が人差し指と親指の間の方向に向くまでっ上腕を外旋します。そうすることで、荷重がより手の外側にかかります。


3. この外旋をできるだけ維持しながら、人差し指の根本、指全ての関節、指先を地面にしっかりと根づかせて、それから、腕を伸ばします。(荷重を指先に傾けると、手首のストレスを緩和するのに役立ちます。)


4. 両手を床の方向へ押して上腕と脇の下を持ち上げ、胸をやや足先方向に動かし、額が床に触れないように気をつけながら、両肩をソケット深く引き込みます。耳は上腕の横に、そしてニュートラルで長く伸ばした背骨のアライメントを維持しましょう。


5. 次に、両手で前へ床を押し、肩甲骨が手の方へ動くようにしてみます。伸展した仔犬のポーズやダウンドッグのように、両腕が肩より高い位置にあるときは、常に、肩甲骨が一緒に引き上がるままにしておきます。この上方への回転が、肩の健康的な機能のために重要なだけでなく、反対に、このポーズで両肩甲骨を耳から離して股関節の方へ動かそうとすると、肋骨の前の下方が床の方へ飛び出るか、肘が外方向に曲がることに気づきましょう。


6. 手や腕、肩の構成を変えず、伸ばした背骨を崩さず、できるだけゆっくりとつま先を立て、膝を曲げたまま、腰を引き上げていきます。


7. 膝を曲げたダウンドッグで、両手がまだしっかりと根付いているか、肘の内側が人差し指と親指の間向いて最適な状態になっているか、肩の上端がソケットに深く入っているか、肩甲骨がまだ手の方向へ動き続けているかを確かめましょう。


8. では、背骨がニュートラルで伸びた状態を維持し続けるところまで、両脚を伸ばしましょう。








3つのどの入り方も、ポーズを通して続く独特な筋肉の動きを作り出すことに気づきましょう。それぞれ、ダウンドッグでの独特の体験をもたらしてくれます。吐く息の強さで支えられるニュートラルに伸びた背骨。荷重をしっかり支えながら、正しい位置にある強い両脚と両足。ソケットに深く入り外旋した肩、前に向かう肩甲骨と下方向へしっかりと根付いた両手。完璧な世界では、どんなダウンドッグをするときも、この全ての動きを組み合わせられるでしょう。


細かく注意して練習をすれば、ダウンドッグは、前屈、アームバランス、逆転など、広範囲にわたるポーズへの素晴らしい準備となります。しかし、たったひとつのポーズからこれほど多くの価値を得られるのですから、しっかりと行うダウンドッグはそれだけで完全な練習だと思えるのかもしれません。

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