私自身もインドで体験しましたが、帰国後、何も言っていないのに「肌の調子がいいね」「幸せそうな顔をしてる」と言われたこともありました。コロナが落ち着いたら、また行きたいと思っています。
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昨年、私の体が敵になってしまった。鏡を見ると(すっかり見ないようにしている)、知らない人がこっちを見ていて、そして老けていているだけでなく怯えたように見えた。私の世代の女性たち(どこにでもいるベビーブーマー)は、いま、更年期である。すいすいと何事もなく過ごす人もいるが、私はだめだった。専門家は、更年期は自然なことだと指摘し、ホルモン変化の向こう側には知恵と自由への感謝、そしておそらく更年期後の魅力といったものまでもあると予言する。しかし、鏡に映った女性にとっては、そうでないように思えた。
52歳の終わり頃に現れたものに、私は全く準備できていなかった。ぐっすり眠れず、明確に考えられず、リラックスすることもいい人でいることもできなくなった。ホットフラッシュや気分の揺れ動きだけでなく、震えて呼吸できなくほどの不安に悩まされた。最も辛かったのは、毎月どんどんと悪化する筋肉や関節の痛みだった。医師はその症状を軽く見てHRT(ホルモン補充療法)を除外したのは、乳がんの危険が高いためだった。でも、何かする必要があった。
助けて!
あらゆるホリスティック療法や代替療法を読み始めた私が行き着いたのは、世界で最も古い自然療法のひとつ、アーユルヴェーダだった。
現代の西洋医学が病気に焦点を当てている一方で、アーユルヴェーダは健康と予防に焦点を置いている。そのアプローチや姿勢、感情、行動(食事も含む)は、健康な心身にも弱った心身にも深い効果がある。
最初のトリートメントは、ウドヴァルタナ。主にヒヨコ豆と温めたゴマ油で作られたペーストで全身をマッサージする。ペーストはとても温かく、ナッツのような香りがして、ざらざらししているが心地いい。次は、シロダーラというトリートメントで、約20分間、細く出した暖かいオイルを額の上に流し続ける。これは、特に額の中央(内なる知恵が宿ると言われる第三の目の場所)に当たったときに、とても強い効果があった。頭皮に落ちてくるオイルはまるでとても柔らかい指のよう。最初はとても温かかったオイルも、トリートメントの終わりには冷めてくる。これがどうしてこんなに心地よいのか説明するのは難しいけれど、思い浮かんだのはこんなイメージ。心の中のゴミ全て、紐で引かれて頭の中に巻きついていた心配ごとや否定的な感情など全てが、少しずつ、ゆっくりと、解かれていくような。
体の内側にある知性と生理機能の繋がりを維持することが健康の源だ。この複雑怪奇なもの(心、体、なんであれ、目の前で私をどんどん落ち込ませ老けさせていくように思えるもの)について聞き学び始めようと決心した。けれど、すぐにわかったのは、自分自身を癒す素晴らしい力を手にしていることに同意したところで、特に、どんどん膨らむベルトの下で悪い生活習慣を何年間も過ごしてきた者には誰かの助けが必要だということだった。そうして、アイオワ州フェアフィールドにある、どちらかといえば豪華なスパという感じのウェルネスセンター The Raj を見つけた。そこで私は、ジョン・ホプキンスで学んだアーユルヴェーダ婦人科の専門家であり、 「A Woman’s Best Medicine for Menopause(女性更年期のための最良の医療)」の著者であるナンシー・ロンドルフ医師の診断を受けた。
アーユルヴェーダの視点では、健康の主な障害は、ドーシャの悪化や過剰だ。ドーシャとは、ヴァータ、ピッタ、カパと呼ばれる心身を司る3つの基本的で強力な自然の力だ。ドーシャは、私たちの体質、人格、外観、健康を決める自然の知性のあり方だと考えられている。それぞれのドーシャにはいくつかの機能がある。ヴァータは「気」と「エーテル(空)」の要素を持ち、血流、消化、呼吸、神経など体内の全ての動きをコントロールしている。ピッタは「火」と「水」の要素を持ち、代謝を司る。カパは「地」と「水」を持ち、組織や骨格などの構造を司る。
私たちの中にある三つのドーシャの機能のレベルはいつも変化しているが、通常は1つか2つが優勢であり過剰になったり悪化しやすい。このバランスの崩れたオジュタイが多くの心身の症状の原因となる。消化プロセスの効率を下げ、結果として栄養素の吸収が悪くなり、老廃物の排泄も悪くなるからである。その結果、毒素であるアーマが作られ蓄積し、ネバネバした有毒の余りものが徐々に体内の細胞や経路に溜まっていく。顕微鏡サイズから消化管に至るまでのこうした経路は、浄化し伝達するためのものだ。アーマはさまざまな理由でこうした経路に蓄積するが、大抵の場合、偏った食生活、ストレス、環境汚染の砲撃などが原因だ。50歳になる頃には、毒素の蓄積が健康を脅かし始める。私は、ヴァータ−ピッタ(どちらも同じくらい優勢)と診断され、どちらも悪化していた。
更年期のためのパンチャカルマ
アーユルヴェーダの治療法は個々人に合わせたものだが、大抵の場合、特別な食事法、ハーブのサプリメント、瞑想、ハタヨガ、デトックス(若返り法とも言われる)からなっている。The Raj は、体の毒素を浄化しバランスを取り戻す最も効果的な方法である「パンチャカルマ」と呼ばれる若返りプログラムを提供するアメリカでも数少ない場所の一つだ。
The Raj に行く前にまず私がしなければならなかったのは、電話の症状と習慣を説明すること、そして推奨された食事法を約1ヶ月間実践することだった。思っていたより野菜や果物、全粒の穀類、水の量を増やす必要があり、それぞれのドーシャに「鎮静」効果のある特定の食べ物やスパイスが含まれていた。全てのカフェインやアルコール、肉、そして加工食品やジャンクフードを(一時的にでも)断つようにという指導に、驚きもしなかったけれど嬉しいと言うわけでもなく、それでもとりあえずやってみることにした。カフェラテやワイン、ハンバーガー、ピザ、チーズ味のスナックを食べたいという衝動はずっと消えなかったけれど、体調はよくなって体重も少し減った。それでも、しっかりとは眠れず、アイオワ州フェアフィールドで私の痛む体を車の中から引っ張り出す頃にはすっかりボロボロになっていた。
The Raj は100エーカー(40万m2)の草地と森林の中にあるエレガントで完璧な施設だ。到着してすぐに驚いたのは、ロビーやライブラリー、庭など全てがとても静かだったこと。本館には18室あるが、トリートメントが3日間から数週間続くので、滞在客数はいつも変化する。常に、男性客女性客のどちらもいて、多くがカップルや家族で訪れる。驚くことに、通常は、1人の客に2人のスタッフがつく。
初日の午前中、ロンスドルフ医師に会うと、彼女は長時間話しながら私を詳しく観察していた。そして、私の脈を取った。アーユルヴェーダではこれが主要な診察のツールで、複雑難解な脈計測で3つのドーシャのレベルなどを確認する。先生はすぐに、私が授かったとても強い体質についてコメントした後、体の組織のなかの過剰なヴァータが、不眠や不安の原因であり、過剰なピッタがホットフラッシュ、胸焼け、いらいらを引き起こしていると説明した。これらの問題に集中するとともに、体からだに蓄積されたアーマにも焦点をあてる必要があった。
毒素を解きほぐし、全ての経路を開き、組織から流し出すように考案されたマッサージ治療が毎日処方された。その間、温かい(決して冷たくない)水をたっぷりと飲み、厳しい食事制限をストレス軽減法に従うよう言われたが、目的はどちらもアーマを取り除くため。
最初のトリートメントでは、強くて優しい2人の女性マッサージセラピストの、文字通り手中にいた。手順を説明した後、2人は黙って、私を中央にして鏡のように完璧にシンクロしながら施術してくれた。この複雑な両サイドのマッサージはまるで三人のダンスのようで、ある意味、私の体に焦点を当てた音楽と楽器のようだった。トリートメントは2時間から2時間半続いたが、時間の長さなど、もうどうでも良く感じた。目を閉じて、浮かんで、解き放つ。
最初のトリートメントは、ウドヴァルタナ。主にヒヨコ豆と温めたゴマ油で作られたペーストで全身をマッサージする。ペーストはとても温かく、ナッツのような香りがして、ざらざらししているが心地いい。次は、シロダーラというトリートメントで、約20分間、細く出した暖かいオイルを額の上に流し続ける。これは、特に額の中央(内なる知恵が宿ると言われる第三の目の場所)に当たったときに、とても強い効果があった。頭皮に落ちてくるオイルはまるでとても柔らかい指のよう。最初はとても温かかったオイルも、トリートメントの終わりには冷めてくる。これがどうしてこんなに心地よいのか説明するのは難しいけれど、思い浮かんだのはこんなイメージ。心の中のゴミ全て、紐で引かれて頭の中に巻きついていた心配ごとや否定的な感情など全てが、少しずつ、ゆっくりと、解かれていくような。
私が気に入ったトリートメントのもうひとつは、ピンダで、米とハーブを混ぜた熱いミルクを使ったマッサージ。この時は、手を使って直接ではなく、ボーラス(基本的に液体の詰まった牛の乳房のような物体:訳註:タイでよくあるハーブボール)を使って液体を擦り込むようなマッサージのテクニックだった。また、全身を上へ下へ、何度も何度も。左右のボーラスの柔らかさが甘いミルクの匂いと共に、私をすっかり元気にしてくれた(また、母親に優しくされたような独特の感覚)。
どんどん緊張が解かれていくようだった。けれど、忠告さレテいたように、その体験は24時間の狡猾というわけではなく、起伏があった。取り除こうとすると、蹴ったり叫んだりする毒素もあるようだ。幸福感がほとんどだけれど、頭痛や疲労感、憂鬱にもなる。私の根っからの性分として、滞在中ずっとあっちこっちに気が揺れていたけれど、時間が経ち日が経つにつれゆっくりと気分がほとんどの時間に良くなってきた。肌は赤ちゃんのように柔らかく、体は軽く、心はどんどん澄み切っていった。まだぐっすりは眠れなかったけれど、症状が消える前に強くなるのはよくあることだとスタッフが安心させてくれた。
トリートメントの間には、ヨガクラスに参加したり、黄色や青い野花いっぱいの庭を散策したり、美味しいベジタリアンの食事を食べたり、他の滞在者と一緒にレクチャーに参加したり、瞑想したりした。毎朝、油べとべとの髪にメイクなしのひどい様相で起き、下界でどう見られるかなど考えずに古びた気持ちのいいスウェットに着替えた。自分の体、健康、変化できるという希望にすっかり没頭した。そして、ある時、自分の将来についてどれほど辛く悲観的になっていたかに気づいた。トリートメントを始める前は、52歳でこんなにひどいのに老化に耐えられるのだろうかと思っていた。旅の中間地点に到着するというのではなく終わりに近づき最終段階に入っているかのように感じていた。また、単に脂肪やシワを嫌って鏡を避けること以上に、自分の体への信頼や敬意をなくしていたのだと気づいた。マッサージによって、全ての感覚、筋肉、鍵、内臓、骨をはっきりと感じ、私自身を、全体としての私自身を見て感謝することを促すように、体が生き生きとし始めた。
うちに帰る
The Raj から発つ時には、実世界にもっと沿った食事法(もっと柔軟で多少の楽しみもOK)と指導で身を固めていた。けれど、パンチャカルマのあと1ヶ月は特に、注意するように言われた。プロセスはまだ続いていて、体が何を許すのか、何が必要かを知らせるからだ。すぐに全てを変えようとしないようにアドバイスされ、ただ「変わりたいという欲望に耳を傾け」なさいと言われた。朝のカフェラテで頭が軽くなったが、ディナーの分厚いステーキは吐き気がし、ワインを多く飲めばズキズキした。体も心も大きな声ではっきりと話しているのがわかった。
アーユルヴェーダのサプリももらってきた。アシュワガンダ、インディアン・グースベリー、ハマスゲ、カノコソウの根などのハーブの組み合わせだ。浄化を続けるために、フェンネルやクミン、コリアンダーシード、生姜、リコリスなどで作ったハーブティーの処方ももらった。
帰宅して1週間で、毎晩7-9時間眠れるようになった。ホットフラッシュや不安発作は無くなり、気分も落ち着いた。期待していなかったが、呼吸器のアレルギーまで消えた。痛みはいくらか和らいだが、まだ対処は必要だ。ハタヨガが特に効くが、時間はかかりそうだ。今では、鏡を見れば、そこには私に微笑み返す人がいる。彼女と私は、今までよりもっと敬意を払い手入れをするのに値する体を共有している。
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