2021年6月29日火曜日

偏頭痛のためのヨガ;知るべきこと 
Yoga for migraine: What to know

今回は
Medical News Today に掲載された記事です。
偏頭痛について書かれていますが、主に上半身をリラックスさせる方法ですので、肩こりや首こりなどにも効果的です。

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偏頭痛は、重度の頭痛を引き起こし、時には、吐き気、嘔吐をともなったり、光や音に敏感になったりします。一般的に、こうした症状を治療するには薬を使用します。しかし、ヨガのような他の方法が、偏頭痛の重症度や頻度を下げる効果的場合もあります。

ヨガは、低血圧や心拍数の低下を緩和し、偏頭痛の症状などのストレスから体を回復させてくれます。

偏頭痛に悩む人は多く、18才以上のアメリカ人の15.3%に上ります。偏頭痛で体力の消耗を感じる人も多く、専門家は、偏頭痛が、世界での身体障害の主な原因の一つであると考えています。偏頭痛は、成人の早期に始まることが多く、週に何度も経験する人もいれば、時折起こるだけの人もいます。

この記事では、偏頭痛のためのヨガを裏付けるエビデンスを考察し、どのヨガポーズが最も効果的か、偏頭痛への見解、そして症状を避けるための一般的な助言について探ります。




ヨガは偏頭痛に効果があるのか?


ヨガは、偏頭痛の重症度や頻度を下げるのに役立ちます。

ヨガは、古代インドに始まった心と体の癒しです。今日、世界の人々が実践しています。ヨガでは、ポーズ、瞑想、そして呼吸法を行います。複数の研究で、ヨガがストレス、不安、抑うつを緩和するということがわかっています。

ストレスは、偏頭痛の一般的で重要なトリガーです。首や頭、肩などストレスを溜め込み固くなった場所を緩めることで、ヨガは偏頭痛が起こるのを防ぎ、症状を緩和させる助けとなります。

ヨガが、偏頭痛やそれに関連する身体障害に対処するのに役立つ補完的な実践法であると、研究が示唆しています。ですが、偏頭痛を持っている人は、激しいクラスやビクラムヨガなど熱さを伴うクラス、そして首にストレスのかかるポーズは避けるべきです。



研究とエビデンス


一般的に標準的医療とともに行うヨガが、偏頭痛の症状を緩和することを、近年の研究が支持しています。

2021年の61人を対象にした研究では、標準的な医療と組み合わせたヨガセラピーが、QOL(生活の質)をより高め偏頭痛を緩和することが可能と結論づけました。

2020年の過去の研究もこの結論と意見が一致しています。161人の被験者の中で、セラピーとしてのヨガを追加したグループは、医療のみのグループよりも良い結果がみられ、ヨガが費用効率よく偏頭痛治療に役立つ安全な方法であるとわかりました。

2018年に発表された小規模の研究では、ヨガとともにインドに起源をもつ全体医療アーユルヴェーダが用いられ、偏頭痛の症状や痛みの強さが緩和され、QOLが向上しました。

それ以前の、被験者60人の2014年の研究では、ヨガの介入により、頭痛の頻度と痛みの強さに著しい向上が見られたと結論づけられました。また、副交感神経と交感神経間の相互作用に注目し、ヨガセラピーが心臓の自律神経バランスを向上させることがわかりました。




どのポーズがよいのか


偏頭痛へのヨガの効果をみた研究により、以下のポーズが頭痛の頻度と強度を緩和するのに役立つことが知られています。


シュクシュマ・ヴィヤーヤマ


このタイプのヨガは、首や顔、頭を緩めてリラックスさせるエクササイズを含んでいます。以下を試してみましょう。

  • 人差し指、中指、薬指を顎のラインから顎先へと動かして、頬をマッサージする。口は開けたままでもよい。集中して優しくこりをほぐす。
  • 8ー10回、口を開け閉めする。口を開けて顎を左右に8ー10回動かす。
  • 首を回す。息を吸い込んで、頭を後ろへ。息を吐き出して、顎先を胸につける。これを5ー6回繰り返す。
  • 頭を時計回りに回し、それから反時計回りに。息を吸いながら頭を上げ、吐きながら元の位置まで戻る。時計回りに5ー6回繰り返し、それから反時計回りにも繰り返す。


パダ・サンチャラナーサナ、または自転車こぎ


  1. まず、両脚を閉じて伸ばし、仰向きで横たわる。両腕は、手のひらを上にして横に置く。頭、首、背骨を並べておく。
  2. 右脚を持ち上げて膝を曲げ、胸にひきこむ。腿を胸につける。
  3. その位置で、右脚を真っ直ぐ最後まで伸ばし、そして前方に下ろす。脚を上げる時には息を吸い込む。
  4. もう一度、膝を曲げて胸に戻し、自転車こぎの動きを完成させる。胸の方へ膝をひきこむ時に息を吐く。
  5. 自転車こぎを行うときは、右の踵を床につけないようにする。
  6. 自転車こぎを前方向へ10回行い、そして後方向へ10回繰り返す。
  7. この動きを左脚で繰り返す。



手を伸ばした呼吸

  1. まず、両足を閉じて真っ直ぐに立ち、両手は体の脇にリラックスさせておく。
  2. 両手を胸の前にして、指を組み、手のひらを胸に置く。
  3. 肩をリラックスする。
  4. 指を組んだまま、両腕を体の前に真っ直ぐ伸ばす。腕は肩の高さにしておく。息を吸い込む。
  5. 同時に、手のひらが外に向くように手を返す。
  6. 腕を緊張させずに伸ばす。
  7. 息を吐きながら、反対に動かして、手のひらを胸に戻す。
  8. 肩をリラックスする。
  9. 5回繰り返す。
  10. 繰り返し、腕を額の上の方向へ伸ばす。5回繰り返す。
  11. 同じ動きを繰り返し、今度は、両腕を天井の方向に真っ直ぐ伸ばす。5回繰り返す。


シャシャンカサナ、またはうさぎのポーズ

  1. まず、床に座る。
  2. 前方に両脚を伸ばし、背骨を真っ直ぐにしておく。
  3. 右膝を曲げる。右足の上に右の臀部が乗るまで後ろにそっと動かす。
  4. 左の脚でも同様にする。
  5. 姿勢を楽にして、両掌を腿の上に休ませる。
  6. 息を吸って、両手を上げてまっすぐ伸ばす。
  7. 息を吐いて、前屈する。両腕は前に伸ばし、両手のひらを地面に付く。
  8. 鼻や顎先を地面につけようとする。
  9. 両腕を前に伸ばし続ける。
  10. 5ー10回繰り返す。


ヨガ・ニードラでシャヴァサナ、あるいはDRT(深いリラックスのテクニック)


ヨガ・ニードラとは、深いリラクゼーションに導く瞑想で、クラスで聞くか、オンラインの録音を聞くこともできる。リラクゼーションに役立つ。

  1. まず仰向けで横たわり、両脚をリラックスさせて伸ばし、両腕は左右にリラックスさせる。
  2. 一度にひとつに集中し、徐々に、個々のの筋肉をリラックスさせていく。




展望


現在のところ、医師には偏頭痛の完全な治療法がないが、症状を緩和する方法はある。様々な治療法や薬を試し、効果のあるものや組み合わせを探すといいでしょう。

薬局で販売している薬では偏頭痛が治らないという場合は、処方薬について医師に相談しましょう。

ヨガの規則的な実践が、偏頭痛の重症度や頻度を下げることができるのは、以下のような標準的な治療と組み合わせた時です。

  • イブプロフェンなどの鎮痛剤。偏頭痛の症状の兆候が最初に現れた時に服用する。
  • 脳のあたりの血管を収縮させるトリプタンなど、偏頭痛用の鎮痛剤。これら血管が広がることが偏頭痛に関係する可能性がある。
  • めまいや嘔吐のための制吐剤。
  • 鍼治療。5ー8週間に渡る10セッションが、偏頭痛に効果があると研究が示唆。
  • 皮膚と頭へ磁気パルスを送る小さな電子機器を使用するTMS(径頭蓋磁気刺激)。


偏頭痛を対処する必要があるときは、偏頭痛クリニックなどで専門家と相談し、診断と治療を受けるといいでしょう。




偏頭痛予防のヒント


偏頭痛のトリガーとなるのは、特定の食べ物や、脱水、睡眠不足などです。自分のトリガーを知り、前回の偏頭痛の原因が何なのかを忘れないよう日記をつけましょう。

偏頭痛に対処するために抗発作薬のトピラマートなど特定の薬を処方されることもあります。また、高血圧薬のプロプラノールや抗うつ剤アミトリプチリンなどが、偏頭痛予防のため処方されることもあります。

また、筋肉を麻痺させる神経毒素であるA型ボツリヌス(ボトックス)や鍼などの選択肢もあります。




要約


偏頭痛を完全に治療する方法はありません。しかし、トリガーを避けたり、症状を改善するのに役立つ治療法を用いて偏頭痛を防ぐことは可能です。それには、市販薬、処方薬、鍼治療、ボトックス、専門家による治療、そしてTMSなどがあります。

ヨガもまた、他の医学的治療の補完セラピーとして用いると、偏頭痛の頻度や痛みのレベルを下げる効果がある可能性が研究でわかっています。

リラクゼーションを促す優しいポーズが最も効果的で、首や頭、肩まわりをストレッチし優しくリラックスさせるポーズが良いでしょう。

偏頭痛の対処法に困ったら、医療の専門家に相談しましょう。







(出典)https://www.medicalnewstoday.com/articles/yoga-for-migraine
*研究結果などのデータは出典元を参照ください。


2021年6月23日水曜日

瞑想はストレスを軽減する(全くの初心者のための6つのヒント)Vol.2 
How Meditation Reduces Stress (Plus 6 Tips for Absolute Beginners)



 では、日々の生活に瞑想を取り入れるのに役立ついくつかのコツをお伝えしましょう。


1. 初めは簡単に:3分間座りましょう


まずは、3分間静かに座って、なにが起こるかを見てみましょう。携帯(サイレントモードに)の瞑想アプリを使うか、タイマーをセットします。この3分間、目を閉じて静かに座る以上のことを自分に課さないで、心の中で呼吸をたどりましょう。それで何が起ころうとも気にしません。最初の一歩は、ただ瞑想をする時間を取り、静かになろうとする習慣を始めることです。毎日続ければ、反応しにくくなったり落ち着きを得たり、目に見える効果を経験するかもしれません。やがて、3分以上必要だと感じるようになれば、時間を長くしていきましょう。



2. 時間を決めて、毎日その時間に瞑想しましょう


瞑想のための時間と場所を決めると良いでしょう。違った時間を試して、どれが自分に合っているかみてみるのもいいかもしれません。遅い時間よりも朝の方が、心は穏やかかもしれません。可能な時間を選びましょう。瞑想用のクッションやキャンドルなど、専用の場所を作るといいかもしれませんが、必要というわけではありません。床に座ることが不快に感じるなら、壁にもたれて座るか、椅子に座ることをお勧めします。



3. 注意を留めるものを選びましょう。


集中する点を選ばないと、心はあらゆる方向へと連れ去られていってしまいます。呼吸をたどってもいいですし、吸い込む息か吐き出す息どちらかに集中しても良いでしょう。集中を保つためのもうひとつの方法は、吸う息や吐く息の長さを数えることです。呼吸に集中するのが難しければ、そもそもなぜ瞑想をしているのかに関係したフレーズを試してみましょう。例えば、息を吸いながら「静かに」吐きながら「落ち着く」と、心の中で言うのもいいでしょう。



4. 瞑想がどうあるべきか、あるべきでないかという考えを捨てましょう。結果を手放します。


揺るぎない「正しい」瞑想法も「間違った」瞑想法もありませんし、最高の結果をもたらす魔法のような時間の長さもありません。瞑想の練習をコントロールしようとしないでいましょう。正しくできているかという不安や、座る時間を延ばさなければならないというプレッシャーや、「うまく」できないという考えは手放しましょう。その代わりに、落ち着いてオープンな心で取り組みます。ただ時間をとって座れればよしと、認識しましょう。


5. 考えが浮かんだら考えたとラベル付けして手放しましょう


人間というのは、常に駆け巡る意識の流れが心の中に持っています。瞑想の素晴らしいところは、心のささやきをとめる精神的な休息だというところです。瞑想をする人は全て、心が彷徨う中で集中していく瞬間を体験します。その鍵となるのは、必然的に起こる思考を追い続けてうさぎの穴に落ちてしまわないことです。考え事にとらわれていると気づいたら、それを考え事だとラベルをつけて、自分の拠り所となる呼吸や焦点へと戻りましょう。



6. さまざまなテクニックを試してみましょう


座って呼吸を追うことが自分に合っていないようなら、異なるアプローチを試しましょう。ガイド付きの瞑想アプリを使うと、瞑想する時間を選べたり、ガイドとともに実践することができます(インサイト・タイマー、ヘッドスペース、カームなどが人気です)。または(上記のように)、集中し続けるためにフレーズ(マントラ)を繰り返してもいいでしょう。心がとても慌ただしい時には、心の中で「私は安らいでいる」と繰り返しましょう。目を閉じるのが難しければ、ロウソクを使った瞑想など、一点に視線を集中させてみます。香りのついていないロウソクに火をつけて、目の高さで1mほど離して置きましょう。ロウソクの周りの輝きに優しい眼差しをむけて、そこに集中を保ちます。






ストレスや感情を上手に管理できれば、私たちは最もうまく活動できます。自制を高めれば、困難な状況下でもチャンスを特定し、モチベーションを維持し、そして困難な時にも前進し続けることができます。瞑想の実践が、どのようにストレス反応や考える能力に影響を与える脳内の構造的、そして機能的な変化をもたらすかを、瞑想の研究は明らかにしようとしているようです。瞑想を通して、心をクリアにし、今ここに居続ける能力を身につけることができます。それによって、よりよい決断をして、目標を達成する明瞭な感覚を得ことにつながるでしょう。心のバランスが取れれば、その他の行動は、その後からついてくるのです。

2021年6月22日火曜日

瞑想はストレスを軽減する(全くの初心者のための6つのヒント)Vol.1 
How Meditation Reduces Stress (Plus 6 Tips for Absolute Beginners)


この1年ほど、コロナのストレス軽減にも役立てていただけるかと、オンラインで瞑想(+陰ヨガ)のクラスを行っています。最近は瞑想アプリの翻訳に携わっていることもあり、ますます瞑想の奥深さと素晴らしさを実感しています。こんな時代だからこそ、瞑想(というと堅く考えてしまいがちですが・・)の良さを多くの人に体験していだたきたいなと思っています。
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Yoga Medicine® の指導者であるダイアン・マラスピーナが、リサーチに裏付けられた瞑想の効果を説明、そして瞑想を始めるための簡単な方法を提案をしています。



もし、ストレスに適応できていない、集中力や創造力に欠けている、やり通す力がないと思ったら、それは、瞑想を始めるべき時なのかもしれません。


ストレスが体にもたらす身体的な影響に気づいている人は多いですが、ストレスはまた、認知の柔軟性や自己調整を弱め、精神的にも影響することもあると知ったら驚かれるかもしれません。ストレスが多い時には、前頭前野(決断や集中、自己調整の領域)と扁桃体(闘争逃走反応を司る脳領域)という脳の2つの領域が活性化します。そして、どちらもストレスの有害な影響の影響を受けやすいところです。


前葉前野が扁桃体を調整するレベルは、認知的にも感情的にもストレスをどのように受け止め反応するかで決まります。前頭前野が主導権を握っている時には、トップダウン(上から下へ)のプロセスが行われ、感情的に反応したり闘争逃走モードに入る前に、意識的な反応を行うことができます。


反対に、前頭前野よりも扁桃体が活性する時、多くの場合、不適応反応へ、ボトムアップ(下から上へ)のプロセスへとつながります。状況を評価せずに怒りなどの感情で反応するのです。ほんの少しのストレスでも、前頭前野や扁桃体の機能を弱めることがわかってきています。興味深いことに、ストレスによって悪い影響を受けたこれら脳の構造を守ために瞑想を使うと良いという注目すべきエビデンスがいくつか存在します。(詳細は出典元を参照ください)




脳へのストレスの影響


ストレスは、前頭前野への神経ホルモンを激増させます。扁桃体もまた活性化して、脅威を認知して警告を鳴らします。次は、前頭前野が扁桃体へと、その警告が正しいかを確かめるために信号を送ります。この相互作用が、その一瞬一瞬の感情を調整するのに役立っているのです。


ストレスの多い時に放出された神経ホルモンは、前頭前野のトップダウン機能を弱め、扁桃体の感情的反応を強めます。構造的に、扁桃体も前頭前野も変化します。細胞レベルでは、周りのニューロンからの電気化学刺激を受ける神経細胞の枝である樹状突起が、前頭前野では萎縮し、扁桃体では拡張します。これが、考える脳で反応するニューロンが減り、感情の脳でより多くのニューロンが反応します。そうして、感情は認知を無視し、ボトムアップ・プロセスを引き起こし、感情の調整が異常となります。そして、こうした良好に調整されていない感情反応が、より多くのストレスとなり機能を弱めるのです。




自己調整、そしてどのように瞑想が役立つのか


感情の異常調整は、ストレスや不安、抑うつ障害など、多くの心理的問題の根拠となります。反対に、自己調整は、状況で必要とする感情や思考、行動を監視する能力です。それには、高い感情反応のバランスを取る能力、フラストレーションと向き合った時の予想を変える能力、そして感情にかかわらず目標に向かっていく能力が含まれます。自己調整のスキルが磨かれると、より適した方法でストレスに反応しやすくなります。さらに、思考や感情が適切に調整されていると、ストレスに直面しても闘争逃走反応が活性しにくくなります。ストレスはまだそこにありますが、それをどのようにプロセスし、決断し、行動するのかを選択するのは、自己調整の能力に影響されます。認知コントロールや感情調整のメンタル・トレーニングという形で、瞑想は、適した自己調整を養うことができ、そして、マインドフルにストレスに反応する能力を磨くことができます。


瞑想の練習では、リラックスした姿勢を維持しながら、呼吸や言葉やフレーズ、または状態(共感など)ひとつのことに心を集中させ続ける能力を身につけていきます。神経科学の研究は、瞑想が、前頭前野と扁桃体のどちらにおいても神経可塑性を変化させ、感情の調整を良い方向へと影響しうることを示唆しています。瞑想は、前頭前野の灰白質や皮質厚の増加、そして扁桃体の脳細胞数の減少と関連があるとされています。


こうした構造的な変化は、前頭前野の認知機能を強め、また、扁桃体によって作られるストレスや感情への反応性を弱める可能性があります。瞑想の実践を重ねるごとに、認知柔軟性を高め感情反応性を下げることで自己調整が高まり、ストレスに対する健全な反応が促されるようになります。


習慣的な瞑想の実践を構築することに関しては、気楽にできるということが鍵となります。瞑想を毎日のやることリストのひとつにすれば、実践の前や最中にストレスを感じてしまうこともあるため、続けることが難しくなってしまいます。瞑想の効果は累積するものだということを念頭に置いておきましょう。つまり、その効果は、時間をかけて安定した実践を通して得られるものなので、ライフスタイルの一部とするような方法で瞑想に向かうことが重要です。では、日々の生活に瞑想を取り入れるのに役立ついくつかのコツをお伝えしましょう。

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次回に続きます。





2021年6月21日月曜日

ヨガの国際デー:ヨガとは何なのか、なぜ祝うのか? 
International Day of Yoga: What is Yoga and why do we celebrate it?

夏至の今日は、国連の国際ヨガの日です。
ヨガの日って何?

以下は、国連のサイトから引用しました。

ちなみに今年は、ニューヨークの国連からSNSなどで配信があるようです。
日本時間は、夜の9時30分から11時までです。
(https://media.un.org/en/webtv/)
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ヨガは、古代の肉体的、精神的、霊的な実践法で、その起源はインドにあります。「ヨガ」という言葉は、「つなぐ」「結ぶ」などの意味をもつサンスクリット語から由来しており、身体と意識の結合を象徴しています。


今日では、世界中でさまざまな形で実践されており、その人気はますます高まり続けています。


その世界的な人気を受け、2014年12月11日、国連は決議69/131により、6月21日を国際ヨガの日と定めました。


ヨガの国際デーの目的は、ヨガの実践による多くの効能について、世界中の意識を高めることです。


ヨガの国際デーの決議草案はインドによって提出され、175の加盟国から承認されました。最初の提案を行ったのはナレンドラ・モディ印首相で、69回総会の開会挨拶にてこう述べました。「ヨガは、我々の古代からの伝統からの計り知れない価値のあるギフトです。ヨガは、心身、思考や行動の結合を包括しており、そのホリスティックなアプローチは、私たちの健康や幸福にとって有益です。ヨガは単なるエクササイズではなく、自分自身、世界、自然との調和の意識を発見するための方法なのです」

 
決議では、「より健康に良い選択を行いそして望ましい健康を促進する生活様式の型に従っている個人や人々の重要性」と言及しています。これに関し、WHOもまた、加盟国に各国市民の運動不足を解消させるよう促してきています。運動不足は、世界での死因の上位10位に入り、循環器病や癌、糖尿病など否伝染性疾病の主なリスク要因です。


しかし、ヨガは単なる運動ではありません。最も有名なヨガ実践者の一人である故B.K.S.アイアンガーの言葉にはこうあります。「ヨガは、日々の生活でバランスの取れた姿勢を維持するすべを育み、人の行動する能力スキルを与えます」








(出典) https://www.un.org/en/observances/yoga-day

2021年6月17日木曜日

喜びに満ちた心を作る9つの実践 
Nine Practices to Create a Joyful Mind

今回の記事では、アーユルヴェーダのディナチャリヤ(日課)についてです。
騙されたと思って、一度試してみて、その変化を体験するのもいいかもしれません。
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ヨガ哲学では、意識について語られます。意識を上げて、より今の瞬間に存在できるような実践法を伝えてくれるヨガの文献が参考にされます。これは確かによい考えのように聞こえますし、実は、そんなに難しいことでもありません。ただ、時間と努力、そして静かでいる力を必要としますが、どれも費用もかからず簡単に手に入れられるものばかりです。では、なぜ、誰もが、意識を上げてくれる喜びの列車に乗って至福を感じられるわけではないのでしょうか?

  

全ての事がらを、私たちの心は受け入れる必要があります。ヨガやアーユルヴェーダの文献が伝えているのは、私たちの本質はサットヴァ、つまり明確さとバランスであり、私たちの心は本質的に喜びだということです。これは難しい概念かもしれません。結局のところ、心の本質が喜びだとは感じられない可能性があるのです!
 


生物学的モデルによれば、私たちの脳の最大の仕事は、有機的組織(つまりあなた自身)を生かし続けることです。生き残るための行動は、しばしば喜びとはとうてい感じられないものもあります。時には、幸福への欲望と生きるづける必要が調和していないと感じることもあります。こうして、喜びの必要性を犠牲にして、生きることに大切なエネルギーと注意を注ぎ始めることになります。



このふたつの課題は、分ける必要はありません。ヨガの練習を通して、適応力や回復力を築いて、生存するために必要なものを養いながら、本質的な喜びの気づきを作り上げることができます。例えば、深いリラクゼーションを練習している時はまた、神経系(回復)をサポートしエネルギーを保存しているわけですが、これは疲れずに変化していく(適応)のに役立ちます。アーユルヴェーダの実践では、毎日の日課(ディナチャリヤ)が、自身をサポートしてくれる同じことをして毎日を始めることを伝えています。感謝とともに起き、舌をスクレーピングし、レモンを入れた白湯を飲み、複式呼吸の練習をし、そして体にオイルを塗布して入浴します。この日課が、サポートを安定させてくれるものとなり、次に何が起きるのかが分かっているため、決断の疲労が少なくなり、適応力と回復力を養うのに役立つのです。これによって、毎朝、築いていくものの上にしっかりとした土台を作り、ストレスを軽減し、より多くの喜びとともに毎日を過ごせるようになります。



この練習の目的は、この瞬間の自分がどうであるかだけが重要だという、限られた偽りの概念から離れることです。15年前の自分の写真を見てください。同じ人物でしょうか?同じようですが、実際はそうではありません。


ヨガやアーユルヴェーダ、西洋心理学など、どんな学派を見ても、基本的な教義は同じです。あなたの心と体は繋がっていて、どちらも変化し無限の可能性に満ちている、と。あなたの意識に何を与えてきたか、過去の体験からどのように教訓を得てこられたかが、人生の瞬間瞬間の認識を変える鍵となります。こうした不確定要素とともに働きかけ始めれば、心を味方につけることができるでしょう。



簡単な理論でしょう?どのようにしてこうした考えを日々の生活に取り入れることができるかについての全ての助言は、ヨガスートラやチャラカ・サムヒタ(アーユルヴェーダの先駆的書物)、attachment theory (執着の理論:ジョン・ボウルビーとメアリー・エインスワースの、人間関係を示したモデル)、そして現代の心理学から得ることができます。



それは、すべて「心を味方につけておく」こと、自分自身のプロセスを見るためのスペースを得ることです。この距離が、私たちの思考や行動パターンを作り上げた経験を評価するための、より広い視野を与えてくれ、そして最終的に、より深い理解と意識へと導いてくれます。



より適応力を持ち、よりマインドフルでゆったりとした毎日を過ごすために、私のいうところの「小さな拠り所」である日課で、自身を調整する必要があります。朝の日課を作ることで、「モーニングタイム」と呼ばれる「目覚めのカオス(混沌)」のから決断に疲労することなく、安定性とくつろぎを持つ方向へと進めるようになるでしょう。これらの簡単に取り入れられるものの中から、あなたに合ったものを、ひとつ、ふたつ、あるいは3つほど朝の日課に取り入れみてましょう。さあ、始めましょう!




健康的な心のパターンを作るためのシンプルな(時には難しい)9の実践



  1. 夜明けとともに起きる

  2. 浄化と栄養を与える日課を作る(ディナチャリヤ)

  3. 毎朝、老廃物をしっかりと排出するために必要な時間を取る。急ぐとプロセスを妨げます!

  4. 栄養のあるオイルで調理した栄養のある食事を、1日3回食べる

  5. 深いリラクゼーションや瞑想を行う、自然の中を静かに散歩する

  6. ほぼ毎晩同じ時間に就寝する(できれば午後10-11時の間)

  7. 毎日、軽く汗をかくくらい体を動かす

  8. 自分よりも偉大な何かに感謝する。毎日に、人々に、そしてあなたの最も大切なものに。

  9. 心にある欲望、内なる情熱に気づき、その衝動を探求する!


これらの実践は、私の心を味方につけておける頼りになる実践です。こうした毎日の行動で精神的な印象(サムスカラ)を築くと、より多くのプラナ(生命力)、テージャス(識別力)、そしてオージャス(深い活力)を、日々の生活のもたらすことができます。脳に新しい神経の通り道やパターンが作られ始め、それがゆっくりと着実に、心の明確さとバランス、そして最終的には喜びへと繋がっていくのです。







(出典)https://yogainternational.com/article/view/nine-practices-to-create-a-joyful-mind

2021年6月11日金曜日

ダウンドッグを練習する3つの方法 
Three Ways to Practice Downward Facing Dog



下向きの犬のポーズ(アド・ムカ・シュヴァナサナ、ダウンドッグ)は基本的で何度も出てくるポーズですが、その理由のひとつは太陽礼拝でのこのポーズの位置、そしてもうひとつはその利点のためです。


下向きの犬のポーズは、背骨をニュートラルな形で伸展した時にサポートしてくれる深いコアマッスル(腹斜筋、脊椎伸展筋、股関節屈筋)を強化し、両手両足の両方に荷重をかけ、脚(大腿四頭筋)と腕、肩(三頭筋、前鋸筋、棘下筋、小円筋、三角筋)を強化する機会となります。また、肩そして肋骨の脇と背中側を広げ、両脚の後ろ(臀筋、ハムストリングス、ふくらはぎ)を伸ばします。これは対称的なポーズで、上半身と下半身のバランスを促進するととももに、体の左右のバランスも整えます。下向きの犬のポーズを行うと、外の世界を離れ内側へ向くことになるので落ち着きやすくなり、また、腕で支える逆転ポーズとして集中力と活力をも与えてくれます。


私たちの多くは下向きの犬のポーズを何度も繰り返して練習するので、間違ったアライメントの繰り返しから起こり得る手首や肘、肩の怪我を防ぐため、アライメントを正しくすることが重要です。けれど、何度も行うため、ヨガクラスの中で難しいポーズよりも注意があまり向けないでいることの多いポーズでもあります。下記の段階的な方法で、下向きの犬のポーズの三つの面を探っていきましょう。背骨、足・膝、そして手・腕・肩です。異なる3つの方法でポーズに入ることで、それぞれの部分に集中することができ、安全にやりがいのあるポーズを作り上げることができます。


以下の方法は、安全にポーズを作り上げたいと思う初心者に適切なものですが、経験のあるヨギにとってもポーズの気づきを広げることができるでしょう。下向きの犬のポーズが「簡単」だと感じるようになっているなら、下記の方法でポーズに入ることが長くホールドするのと同様にポーズの強度を強くすることに役立つかもしれません。





ルート 1: プランクから入るダウンドッグ


プランクからダウンドッグに入ると、最もよく伸びたポーズを発見できるでしょう。特に「短い」ダウンドッグをしている時には、背骨を伸展(軸方向の伸展)させることができます。この背骨の形の重要な部分は、ダウンドッグでは無くなっていることが多いのですが、腰椎の曲線です。この内側へのカーブは、背骨の健康のためだけではなく、多数の筋肉や臓器にとっても不可欠で、正しく機能するためには背骨がニュートラルに伸展していることで得られる広がりが必要です。




1. マットの前の方に両手をついて四つ這いになり、手首を肩の真下に置き、手首のシワをマットの前端に平行にします。


2. 背中に沿って、ほうきのように長い棒をイメージします。ニュートラルで伸びた背骨にするため、尾骨の背中側と頭の背中側を優しくその棒に押し付け、尾骨の端と頭頂の距離を離します。肩甲骨と肋骨の背中側も棒の方向へと動かしますが、腰は棒から離しお腹にむかって少しカーブさせます。これが腰椎曲線で、ダウンドッグの間も(そしてできるだけいつの時もずっと)維持しましょう。


3. もしお腹が床の方へ落ち込んでいたら、吐くたびに下腹部を背骨側に引き込んで、呼吸とともにコアマッスルで腰椎をサポートしましょう。


4. 両肩を手首の上に置いたまま、長い背骨を保って片足を一歩下げ、そしてもう一方を下げてプランクポーズになります。後頭部と尾骨の間を話しながら想像している棒に押し続け、背骨の形を再確認しましょう。


5. 両手両脚を固定しながら、少し膝を曲げて腰を引き上げ、耳が両腕の横にくるまで頭を下ろします。ハムストリングスが硬い場合、膝を曲げることにより、腰椎のカーブを維持しつつ尾骨を後方へ引き上げることが容易になります。(注意:腰を引き上げてから、足指の付け根でしっかり掴むため少しづつ足を前に歩かせても構いませんが、踵をマットにつけるために前に大きく歩いたり両手を後ろに動かしたくなる衝動に堪えましょう。踵を全部下ろす必要はありません。実際、多くの人は、踵を床に下ろすと腰椎のカーブが無くなります。)


6. 尾骨と後頭部を想像の棒に押し付け続けてニュートラルに伸びた背骨を確認しましょう。今、背骨は斜めになっているので、尾骨は斜め後方上方へ伸び、頭頂は前方下方へと伸びます。


7. 腰椎の柔らかなカーブが保てる範囲で、できる限り脚を伸ばします。




ルート 2: 半分の前屈から入るダウンドッグ


半分の前屈(アルダ・ウッターナサナ)から手を前に歩かせてダウンドッグに入る方法では、両足に荷重を効果的にかけながら両脚のアライメントを洗練することができます。この動きは足と脚を強化するだけでなく、ダウンドッグでの手首の痛みや肩のストレスを緩和するのに役立つでしょう。脚や足の働きが大きくなると、手や手首、肩の働きは少なくなります。



1. マットの後方で立ち、股関節から曲げ、両手を脛におくか指先を肩の下の床に置いて、アルダ・ウッターナサナに入ります。(胸を前に伸ばし、ルート1のようにニュートラルに伸ばした形の背骨にします。)このポーズでは膝を伸ばして行われることが常ですが、伸ばした時に腰が丸くまるなら膝を曲げましょう。


2. 両足が股関節幅で平行か、足の外端がマットの外端と平行になっているかをチェックします。


3. 膝の裏を和らげたまま(過伸展しないで)、両膝の中心線が足の人差し指と中指の間を通っているかをチェックします。


4. 足先を軽くしたまま、足指の付け根の外側と内側、そしてかかとの外側と内側の間に均等に体重をかけます。


5. 両足の前30cmくらいの床に手先がつくよう両膝を曲げ、膝は足指の中央線と一直線になるようにしておきます。


6. 膝を曲げたまま、腿の一番上にロープが後ろに引っ張っているかのようにイメージしながら、両手をマットの前の方向へ少しづつ歩かせます。そうすれば、尾骨を上に向けて腰を反らしたままにすることができ、前に行くにつれて持ち上がる踵を通して足指の付け根に体重をかけ続けることができます。すぐに止まらないように気をつけましょう!両手は、ルート1で行ったように背骨がしっかり伸びるところまで前に歩かせましょう。


7. ダウンドッグで膝を曲げたまま、脚のアライメントと足のかかる荷重をチェックします。足の中指は前を向き、膝はその中指の方向に向かい、そして足指の付け根は均等に体重がかかるようにしましょう。踵は床に着く必要はありませんが、床に押し付けるかのように踵全体を下ろします。つま先を手首の方向へ伸ばすとより良いでしょう。


8. こうして脚と足を働かせながら、腰のカーブを維持しながらできるところまで脚をを伸ばします。




ルート 3: 伸びた子犬のポーズから入るダウンドッグ


伸展した仔犬のポーズ(ウッタナ・シショーサナ)から下がってダウンドッグに入る方法は、正しいアライメントと両手への荷重のかけ方を改善することで、腕と肩に大きな負荷をかけることができます。
 

注意して欲しいのは、この移行を試すことは肩の怪我を防げる可能性がある一方で、怪我をしたばかりの肩には強度が強すぎることです。その場合は、ステップ1だけにして、医師や療法士に相談しましょう。


1. マットの後方で四つ這いになります。両手を肩の下に置き、手首のシワがマットの前端と並行になるようにしましょう。(手の指を広く広げるよう言う先生もいますが、それによって手のひらが引っ張れたように感じるなら、指を全部くっつけたり、親指を人差し指にくっつけてみて感覚を確かめましょう。この手の位置は、手のひらを広げるのに役立ち、特に手根間を通る正中神経に必要なスペースとなる手のひらの付け根あたりを広げます。)


長いニュートラルの背骨を維持しながら、体重を両手に落ち着かせ、指の付け根の関節、指先、手のひらの根本の外側と内側、その全てで押し下げます。肩の付け根を関節のソケットに深く入れ込んでみましょう。その場所が最も、筋肉で支持される場所です。肩甲骨の間にやや谷ができるまで胸を床に下げ、それから肩甲骨の下端どうしを引き寄せます。


2. 股関節を膝の上に置き、背骨をニュートラルのまま伸展させておき、上半身がダウンドッグのように長く斜めのラインになるまで、両手をマットの前方へとそっと歩かせます。上腕が耳の横にくるように頭を下げましょう。必要なら、ステップ1で見つけた自分に合った形に指を再調整しましょう。肘を少し曲げて、肘の内側が人差し指と親指の間の方向に向くまでっ上腕を外旋します。そうすることで、荷重がより手の外側にかかります。


3. この外旋をできるだけ維持しながら、人差し指の根本、指全ての関節、指先を地面にしっかりと根づかせて、それから、腕を伸ばします。(荷重を指先に傾けると、手首のストレスを緩和するのに役立ちます。)


4. 両手を床の方向へ押して上腕と脇の下を持ち上げ、胸をやや足先方向に動かし、額が床に触れないように気をつけながら、両肩をソケット深く引き込みます。耳は上腕の横に、そしてニュートラルで長く伸ばした背骨のアライメントを維持しましょう。


5. 次に、両手で前へ床を押し、肩甲骨が手の方へ動くようにしてみます。伸展した仔犬のポーズやダウンドッグのように、両腕が肩より高い位置にあるときは、常に、肩甲骨が一緒に引き上がるままにしておきます。この上方への回転が、肩の健康的な機能のために重要なだけでなく、反対に、このポーズで両肩甲骨を耳から離して股関節の方へ動かそうとすると、肋骨の前の下方が床の方へ飛び出るか、肘が外方向に曲がることに気づきましょう。


6. 手や腕、肩の構成を変えず、伸ばした背骨を崩さず、できるだけゆっくりとつま先を立て、膝を曲げたまま、腰を引き上げていきます。


7. 膝を曲げたダウンドッグで、両手がまだしっかりと根付いているか、肘の内側が人差し指と親指の間向いて最適な状態になっているか、肩の上端がソケットに深く入っているか、肩甲骨がまだ手の方向へ動き続けているかを確かめましょう。


8. では、背骨がニュートラルで伸びた状態を維持し続けるところまで、両脚を伸ばしましょう。








3つのどの入り方も、ポーズを通して続く独特な筋肉の動きを作り出すことに気づきましょう。それぞれ、ダウンドッグでの独特の体験をもたらしてくれます。吐く息の強さで支えられるニュートラルに伸びた背骨。荷重をしっかり支えながら、正しい位置にある強い両脚と両足。ソケットに深く入り外旋した肩、前に向かう肩甲骨と下方向へしっかりと根付いた両手。完璧な世界では、どんなダウンドッグをするときも、この全ての動きを組み合わせられるでしょう。


細かく注意して練習をすれば、ダウンドッグは、前屈、アームバランス、逆転など、広範囲にわたるポーズへの素晴らしい準備となります。しかし、たったひとつのポーズからこれほど多くの価値を得られるのですから、しっかりと行うダウンドッグはそれだけで完全な練習だと思えるのかもしれません。

2021年6月7日月曜日

更年期に対処するアーユルヴェーダ的アプローチ
An Ayurvedic Approach for Managing Menopause

この記事では、更年期症状に悩む筆者がホリスティック療法としてのアーユルヴェーダに出会い、パンチャカルマという心身を整えるデトックス法を試した体験記です。 
私自身もインドで体験しましたが、帰国後、何も言っていないのに「肌の調子がいいね」「幸せそうな顔をしてる」と言われたこともありました。コロナが落ち着いたら、また行きたいと思っています。
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昨年、私の体が敵になってしまった。鏡を見ると(すっかり見ないようにしている)、知らない人がこっちを見ていて、そして老けていているだけでなく怯えたように見えた。私の世代の女性たち(どこにでもいるベビーブーマー)は、いま、更年期である。すいすいと何事もなく過ごす人もいるが、私はだめだった。専門家は、更年期は自然なことだと指摘し、ホルモン変化の向こう側には知恵と自由への感謝、そしておそらく更年期後の魅力といったものまでもあると予言する。しかし、鏡に映った女性にとっては、そうでないように思えた。


52歳の終わり頃に現れたものに、私は全く準備できていなかった。ぐっすり眠れず、明確に考えられず、リラックスすることもいい人でいることもできなくなった。ホットフラッシュや気分の揺れ動きだけでなく、震えて呼吸できなくほどの不安に悩まされた。最も辛かったのは、毎月どんどんと悪化する筋肉や関節の痛みだった。医師はその症状を軽く見てHRT(ホルモン補充療法)を除外したのは、乳がんの危険が高いためだった。でも、何かする必要があった。



助けて!


あらゆるホリスティック療法や代替療法を読み始めた私が行き着いたのは、世界で最も古い自然療法のひとつ、アーユルヴェーダだった。
現代の西洋医学が病気に焦点を当てている一方で、アーユルヴェーダは健康と予防に焦点を置いている。そのアプローチや姿勢、感情、行動(食事も含む)は、健康な心身にも弱った心身にも深い効果がある。
 

体の内側にある知性と生理機能の繋がりを維持することが健康の源だ。この複雑怪奇なもの(心、体、なんであれ、目の前で私をどんどん落ち込ませ老けさせていくように思えるもの)について聞き学び始めようと決心した。けれど、すぐにわかったのは、自分自身を癒す素晴らしい力を手にしていることに同意したところで、特に、どんどん膨らむベルトの下で悪い生活習慣を何年間も過ごしてきた者には誰かの助けが必要だということだった。そうして、アイオワ州フェアフィールドにある、どちらかといえば豪華なスパという感じのウェルネスセンター The Raj を見つけた。そこで私は、ジョン・ホプキンスで学んだアーユルヴェーダ婦人科の専門家であり、 「A Woman’s Best Medicine for Menopause(女性更年期のための最良の医療)」の著者であるナンシー・ロンドルフ医師の診断を受けた。


アーユルヴェーダの視点では、健康の主な障害は、ドーシャの悪化や過剰だ。ドーシャとは、ヴァータ、ピッタ、カパと呼ばれる心身を司る3つの基本的で強力な自然の力だ。ドーシャは、私たちの体質、人格、外観、健康を決める自然の知性のあり方だと考えられている。それぞれのドーシャにはいくつかの機能がある。ヴァータは「気」と「エーテル(空)」の要素を持ち、血流、消化、呼吸、神経など体内の全ての動きをコントロールしている。ピッタは「火」と「水」の要素を持ち、代謝を司る。カパは「地」と「水」を持ち、組織や骨格などの構造を司る。


私たちの中にある三つのドーシャの機能のレベルはいつも変化しているが、通常は1つか2つが優勢であり過剰になったり悪化しやすい。このバランスの崩れたオジュタイが多くの心身の症状の原因となる。消化プロセスの効率を下げ、結果として栄養素の吸収が悪くなり、老廃物の排泄も悪くなるからである。その結果、毒素であるアーマが作られ蓄積し、ネバネバした有毒の余りものが徐々に体内の細胞や経路に溜まっていく。顕微鏡サイズから消化管に至るまでのこうした経路は、浄化し伝達するためのものだ。アーマはさまざまな理由でこうした経路に蓄積するが、大抵の場合、偏った食生活、ストレス、環境汚染の砲撃などが原因だ。50歳になる頃には、毒素の蓄積が健康を脅かし始める。私は、ヴァータ−ピッタ(どちらも同じくらい優勢)と診断され、どちらも悪化していた。



更年期のためのパンチャカルマ


アーユルヴェーダの治療法は個々人に合わせたものだが、大抵の場合、特別な食事法、ハーブのサプリメント、瞑想、ハタヨガ、デトックス(若返り法とも言われる)からなっている。The Raj は、体の毒素を浄化しバランスを取り戻す最も効果的な方法である「パンチャカルマ」と呼ばれる若返りプログラムを提供するアメリカでも数少ない場所の一つだ。



The Raj に行く前にまず私がしなければならなかったのは、電話の症状と習慣を説明すること、そして推奨された食事法を約1ヶ月間実践することだった。思っていたより野菜や果物、全粒の穀類、水の量を増やす必要があり、それぞれのドーシャに「鎮静」効果のある特定の食べ物やスパイスが含まれていた。全てのカフェインやアルコール、肉、そして加工食品やジャンクフードを(一時的にでも)断つようにという指導に、驚きもしなかったけれど嬉しいと言うわけでもなく、それでもとりあえずやってみることにした。カフェラテやワイン、ハンバーガー、ピザ、チーズ味のスナックを食べたいという衝動はずっと消えなかったけれど、体調はよくなって体重も少し減った。それでも、しっかりとは眠れず、アイオワ州フェアフィールドで私の痛む体を車の中から引っ張り出す頃にはすっかりボロボロになっていた。



The Raj は100エーカー(40万m2)の草地と森林の中にあるエレガントで完璧な施設だ。到着してすぐに驚いたのは、ロビーやライブラリー、庭など全てがとても静かだったこと。本館には18室あるが、トリートメントが3日間から数週間続くので、滞在客数はいつも変化する。常に、男性客女性客のどちらもいて、多くがカップルや家族で訪れる。驚くことに、通常は、1人の客に2人のスタッフがつく。


初日の午前中、ロンスドルフ医師に会うと、彼女は長時間話しながら私を詳しく観察していた。そして、私の脈を取った。アーユルヴェーダではこれが主要な診察のツールで、複雑難解な脈計測で3つのドーシャのレベルなどを確認する。先生はすぐに、私が授かったとても強い体質についてコメントした後、体の組織のなかの過剰なヴァータが、不眠や不安の原因であり、過剰なピッタがホットフラッシュ、胸焼け、いらいらを引き起こしていると説明した。これらの問題に集中するとともに、体からだに蓄積されたアーマにも焦点をあてる必要があった。


毒素を解きほぐし、全ての経路を開き、組織から流し出すように考案されたマッサージ治療が毎日処方された。その間、温かい(決して冷たくない)水をたっぷりと飲み、厳しい食事制限をストレス軽減法に従うよう言われたが、目的はどちらもアーマを取り除くため。


最初のトリートメントでは、強くて優しい2人の女性マッサージセラピストの、文字通り手中にいた。手順を説明した後、2人は黙って、私を中央にして鏡のように完璧にシンクロしながら施術してくれた。この複雑な両サイドのマッサージはまるで三人のダンスのようで、ある意味、私の体に焦点を当てた音楽と楽器のようだった。トリートメントは2時間から2時間半続いたが、時間の長さなど、もうどうでも良く感じた。目を閉じて、浮かんで、解き放つ。


最初のトリートメントは、ウドヴァルタナ。主にヒヨコ豆と温めたゴマ油で作られたペーストで全身をマッサージする。ペーストはとても温かく、ナッツのような香りがして、ざらざらししているが心地いい。次は、シロダーラというトリートメントで、約20分間、細く出した暖かいオイルを額の上に流し続ける。これは、特に額の中央(内なる知恵が宿ると言われる第三の目の場所)に当たったときに、とても強い効果があった。頭皮に落ちてくるオイルはまるでとても柔らかい指のよう。最初はとても温かかったオイルも、トリートメントの終わりには冷めてくる。これがどうしてこんなに心地よいのか説明するのは難しいけれど、思い浮かんだのはこんなイメージ。心の中のゴミ全て、紐で引かれて頭の中に巻きついていた心配ごとや否定的な感情など全てが、少しずつ、ゆっくりと、解かれていくような。


私が気に入ったトリートメントのもうひとつは、ピンダで、米とハーブを混ぜた熱いミルクを使ったマッサージ。この時は、手を使って直接ではなく、ボーラス(基本的に液体の詰まった牛の乳房のような物体:訳註:タイでよくあるハーブボール)を使って液体を擦り込むようなマッサージのテクニックだった。また、全身を上へ下へ、何度も何度も。左右のボーラスの柔らかさが甘いミルクの匂いと共に、私をすっかり元気にしてくれた(また、母親に優しくされたような独特の感覚)。


どんどん緊張が解かれていくようだった。けれど、忠告さレテいたように、その体験は24時間の狡猾というわけではなく、起伏があった。取り除こうとすると、蹴ったり叫んだりする毒素もあるようだ。幸福感がほとんどだけれど、頭痛や疲労感、憂鬱にもなる。私の根っからの性分として、滞在中ずっとあっちこっちに気が揺れていたけれど、時間が経ち日が経つにつれゆっくりと気分がほとんどの時間に良くなってきた。肌は赤ちゃんのように柔らかく、体は軽く、心はどんどん澄み切っていった。まだぐっすりは眠れなかったけれど、症状が消える前に強くなるのはよくあることだとスタッフが安心させてくれた。


トリートメントの間には、ヨガクラスに参加したり、黄色や青い野花いっぱいの庭を散策したり、美味しいベジタリアンの食事を食べたり、他の滞在者と一緒にレクチャーに参加したり、瞑想したりした。毎朝、油べとべとの髪にメイクなしのひどい様相で起き、下界でどう見られるかなど考えずに古びた気持ちのいいスウェットに着替えた。自分の体、健康、変化できるという希望にすっかり没頭した。そして、ある時、自分の将来についてどれほど辛く悲観的になっていたかに気づいた。トリートメントを始める前は、52歳でこんなにひどいのに老化に耐えられるのだろうかと思っていた。旅の中間地点に到着するというのではなく終わりに近づき最終段階に入っているかのように感じていた。また、単に脂肪やシワを嫌って鏡を避けること以上に、自分の体への信頼や敬意をなくしていたのだと気づいた。マッサージによって、全ての感覚、筋肉、鍵、内臓、骨をはっきりと感じ、私自身を、全体としての私自身を見て感謝することを促すように、体が生き生きとし始めた。





うちに帰る


The Raj から発つ時には、実世界にもっと沿った食事法(もっと柔軟で多少の楽しみもOK)と指導で身を固めていた。けれど、パンチャカルマのあと1ヶ月は特に、注意するように言われた。プロセスはまだ続いていて、体が何を許すのか、何が必要かを知らせるからだ。すぐに全てを変えようとしないようにアドバイスされ、ただ「変わりたいという欲望に耳を傾け」なさいと言われた。朝のカフェラテで頭が軽くなったが、ディナーの分厚いステーキは吐き気がし、ワインを多く飲めばズキズキした。体も心も大きな声ではっきりと話しているのがわかった。


アーユルヴェーダのサプリももらってきた。アシュワガンダ、インディアン・グースベリー、ハマスゲ、カノコソウの根などのハーブの組み合わせだ。浄化を続けるために、フェンネルやクミン、コリアンダーシード、生姜、リコリスなどで作ったハーブティーの処方ももらった。


帰宅して1週間で、毎晩7-9時間眠れるようになった。ホットフラッシュや不安発作は無くなり、気分も落ち着いた。期待していなかったが、呼吸器のアレルギーまで消えた。痛みはいくらか和らいだが、まだ対処は必要だ。ハタヨガが特に効くが、時間はかかりそうだ。今では、鏡を見れば、そこには私に微笑み返す人がいる。彼女と私は、今までよりもっと敬意を払い手入れをするのに値する体を共有している。