冬になると便秘になりがちですか?水分不足、食べ過ぎ、お茶やコーヒーの摂り過ぎなどは全て、便秘の原因となり、冬の体調を悪化させる可能性があります。どうすれば冬の便秘を防ぐことができるでしょう?腸の健康のためのアーユルヴェーダ療法を見ていきましょう。
ビルラ・アーユルヴェーダでアーユルヴェーダ・コンサルタントをしているアヌ・シュリーダー医師によれば「お通じが1日置きでも、全く正常だという人もいます(とは言っても、アーユルヴェーダでは毎日になるような方法を勧めてはいますが)。また、1日でもお通じがなければそれは全くの便秘である人もいます。アーユルヴェーダにおけるほとんどの事柄と同様に、何が健康で正常であるかというどのような万人にあてはめる定義よりも、個々人の状況(と環境)の方がより重要なのです」
便秘とは?
便通が困難、あるいはしばらくの間全く動きがないことを便秘と言います。しかし、以下の1項目以上の症状がある場合、便秘であることも多くあります。
- 排便の際の圧迫感
- 排便ができない
- 腸の動きが不十分だと感じる
- 閉塞感を感じる
- 便そのものが小さく、固く、乾燥している(必ずしも便秘とは限らない)
便秘の原因とは?
便秘は、食物繊維、薬、健康状態など、さまざまな原因によって起こります。
アーユルヴェーダでは、体内で働くエネルギーのタイプを3つのドーシャに分けています。人はそれぞれ3つすべてのドーシャを持っていますが、そのうちのひとつが優勢になっているのが普通です。個人の体質、特徴、体力などは全てその人のが持つ優勢なドーシャの現れです。
3つのドーシャの概要は以下です。
3つのドーシャの概要は以下です。
- ヴァータ:「風」「空」のエネルギー、動きに関連
- ピッタ:「火」「水」のエネルギー、代謝に関連
- カパ:「土」「水」のエネルギー、体格に関連
3つのドーシャが組み合わされて、体の機能をコントロールしています。病気や機能不全などはこれらのバランスが崩れたことによって起こります。
アーユルヴェーダでは、便秘はその中心が腸にあるヴァータの乱れによって起こるとされています。
アーユルヴェーダの視点からみた便秘
アーユルヴェーダによれば、便秘は、ヴァータの冷たく乾いた性質が腸を混乱させ通常の働きを阻害することが原因とされています。増え過ぎたヴァータを鎮める方法は、水分や熱、油分を体に与えることです。そのガイドラインや治療法に従うことは、腸の規則的な動きを取り戻すためには大変効果的です。特に、ヴァータの冷たく乾いた性質を抑えることができるからです。
お白湯やハーブティーを多く飲む
毎日、少なくとも240ccの水やハーブティーを飲みましょう。最も良いのは、ヴァータの冷たさを中和する温かいあるいは熱い水分です。また、そうした水分のほとんどは食事の前後に摂ることが大切で、食事の20分以上前の摂取が理想的です。
ギーを入れた牛乳や水につけた亜麻仁を摂る
就寝前に、ティースプーン1、2杯のギーを入れて沸かした牛乳をカップ一杯、あるいはテーブルスプーン一杯の亜麻仁(フラックスシード)をカップ一杯の水に入れて2、3分沸かしたものを飲んでみましょう。どちらも冷めてから少しずつ飲みます。就寝前のこの飲み物と1日の最後の食事との間は、少なくとも1時間(できるなら2時間)空けましょう。
便秘のためのアーユルヴェーダのお薬について
気分が悪くなったり、ライフスタイルを変えてみても全く効果がなかったりする時は、便秘のためのアーユルヴェーダ治療を試そうとすることもあるでしょう。アーユルヴェーダで使われるハーブの調合薬は、腸の動きを刺激して消化器系のバランスを取り戻すために使います。こうした治療は、自然に腸の動きを促すためにその根本にある問題に働きかけます。以下は、便秘のためにアーユルヴェーダのお薬の例です。
●アバヤリシュタム
ハリタキを主成分の消化シロップです。ハリタキは、便秘の最もよく効くハーブの一つです。腸の動きを落ち着かせ消化管をきれいにするのに役立ちます。また、腹部膨満感、腹痛を緩和、消化を助けます。アバヤリシュタムには、やや利尿、下剤の効果があります。腸管のデトックスのためにも使用します。
アバヤリシュタムの効果:
- 便秘の緩和に使用される伝統的なアーユルヴェーダのお薬です
- 免疫促進、肝臓保護
- 便秘の緩和、痔の痛み、肛門の痒みやチクチクした痛みの緩和
使用法:
最小有効量を1日に1、2回、できれば食事のすぐ後に12ー24ml摂取します。アーユルヴェーダ医師の助言に従って、同量の水で希釈しても良いでしょう。●ヒングワディ・グリカ
拒食症、消化不良、食欲不振、腹部不快感、膨満感、消化不良、下痢、睾丸瘤、てんかん、喘息、咳、セリアック病、吸収不良症候群などは、アーユルヴェーダの胃のお薬ヒングワディ・グリカで治療が可能です。ヒングワディ・グリカの効果:
- アーユルヴェーダ療法で胃腸病に最もよく使われるもののひとつがヒングワディ・グリカです。
- 拒食、消化不良、食欲不振、胃腸の不快感、膨満感、胃酸逆流、胸焼け、下痢、便秘など全てに効果があります。
使用法:
アーユルヴェーダ医師の処方に従って、就寝前に1、2錠を水で飲みます。
●アヴィパティ・クールナム
排泄・消化器官に効果があります。ピッタドーシャに働きかけ、消化管の酸の分泌を通常に戻します。アヴィパティ・クールナムの効果:
- ピッタのバランスの崩れからくる様々な病気からの回復を促します。
- 便秘を治療し、健康的な消化、適切な排泄を促します。
- 医師の処方に従ってのみ摂取できます。
便秘にならないよう、食物繊維の多いもの(豆類、野菜、果物、全粒シリアルやふすまなど)を食事に取り入れましょう。加工食品や肉、乳製品など繊維の少ないものの摂取を制限します。規則的な運動をして、できるだけ活動的でいましょう。ストレスのない生活をしてみましょう。そう、ストレスが多すぎると、腸の動きを妨げて便秘になる可能性があります。