2025年6月10日火曜日

A Joint-Focused Yoga Sequence for Arthritis  Vol.2
関節に焦点を当てた関節炎のためのヨガ・シーケンス


前回からの続きです。
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7. 膝を胸につけるポーズ(アパナサナ)と膝の回転



このポーズは、腰まわりを優しくストレッチし股関節を動かしやすくします。


青向きで横たわり、両膝を胸に引き込んで数呼吸します。




それから、手を左右の膝に置き手を使ってお互いの膝が離れるように回しながら数呼吸します。そして、両膝が近づくように回しながら数呼吸しましょう。






8. ハムストリングスのストレッチ(スプタ・パダングシュタサナ)と
ヨガストラップを使った脚の回転


このポーズは、ハムストリングスやふくらはぎだけでなく、股関節内外転筋をストレッチし、足首や膝、腰の柔軟性を高めます。


もし床に置いた脚を伸ばすと腰に負担がかかるようなら、足の裏を床において脚を曲げたままにしておきましょう。


仰向けで横たわったまま、両脚を前に伸ばします。右膝を胸に引き込み、右足の裏の周り(土踏まずの先の方、指の付け根のあたり)にストラップをかけます。ストラップの端をそれぞれの手で持ち、つま先が右肩の方向に向くよう、右脚をかかとから天井に向けて伸ばします。何度か右脚を曲げ伸ばししてから、できるだけまっすぐ延ばして数呼吸しましょう。





それから、ストラップを右手で持ち、右脚を一方向へ回します。そして数呼吸反対に回して、もう一方の脚でも行います。






9. 橋のポーズ(セツバンダ・サルヴァンガサナ)





橋のポーズでは、ハムストリングスと臀筋を使いながら大腿四頭筋をストレッチし、股関節と膝の可動性を高めます。また、まっすぐな姿勢を保つ脊柱起立筋を強化します。全体重が股関節や膝を通して両足にかかる立位のポーズとは異なり、橋のポーズでは、体重のいくらかを支えるために肩を使います。


仰向けに横たわって両膝を曲げ、足の裏を床に向けてかかとを膝の真下か少し前に置きます。両肘を肋骨の横で直角に曲げて、前腕は床から垂直、手のひらを内に向けて指を天井の方へ向けておきましょう。息を吸い込みながら、両足(床につけたまま)、上腕、肩の背中側で下方へ押し、腰と胸を持ち上げます。息を吐き出しながら、背中をリラックスして床に下ろしましょう。橋のポーズを、さらに1、2回繰り返します。



10. 膝のワイパーと合蹠のポーズ(スプタ・バッダコナサナ)



これらのポーズは、次の座位瞑想の準備のため、腰を緩め股関節を動きやすくするのに役立ちます。


床に仰向けに横たわり、両腕を横に開いて、膝は曲げて両足を肩幅程度に開きます。ここで息を吸い込んでから、息を吐き出しながら、右足の外側と左足の内側を転がして両膝を右へと下ろします。


息を吸い込みながら、両膝を真ん中に戻します。息を吐き出しながら、膝を左に下ろします。息を吸って真ん中に戻し、この動きをさらに何度か繰り返しましょう。





そして、両足を閉じます。息を吸い込みながら、両膝を心地の良い範囲で開いて、足の裏どうしを付けます。息を吐き出しながら、膝を元通り合わせて、もう一度足の裏をマットに着けます。この動きを数回繰り返します。それから、膝を開いて足の裏どうしを付けたまま数呼吸の間時間をとりましょう。






11. 座位の瞑想




マインドフルネス瞑想は、物事に対処する技術を高め、リウマチ性関節炎に時として伴う鬱症状を改善すると考えられています。ここにご紹介する変更を加えた安楽座でより心地よく座れるかもしれませんが、椅子に座ったり横たわる方がより心地良いと感じる人もいるでしょう。


足首や膝、股関節にかかる重みを減らすため、折り畳んで壁ぎわに水平に置いた数枚のブランケット(あるいはボルスター)に座ります。ブランケットは高く重ねて膝が骨盤の前の骨よりも下になるようにし、壁が体を支えられる程度の距離に座ります。骨盤の後ろ側、背中全体、そして頭の後ろが全てリラックスできて心地よく壁にもたれられる位置です。(もし後頭部が壁に届かなければ、後ろに下げるのは心地よくできる範囲にします。)両手を膝の上に、手のひらを上あるいは下に向けて(または好きなムードラで)置きます。


目を閉じるかそっと視線を落とし、今の瞬間へ意識を向けて、まずは今の瞬間の周囲のことに気づきます。周りの音、時刻、温度など。それから、今の瞬間の内側へと意識を引き込みます。呼吸の動き、思考や感情の揺らぎなど。心地が悪い部分に気付き、それでも体の多くの部分が心地よいことにも気付きます。このリラックスしたマインドフルネスを数分間続けます。練習を重ねるごとに、徐々に瞑想の時間を長くしてみましょう。



12. 「スノー・エンジェル(雪の上に人型を作る)」





瞑想の静けさの後の気持ち良いこの動きは、肩と股関節の内外転の筋肉を強化します。手足を床でスライドさせて行うこともできますが、ここでは摩擦を減らすためにブランケットを使っています。このポーズで頭を床に下ろしたり次の仰向けのポーズになった時に、首の後ろ側が心地悪いほど詰まって顎が天井に持ち上がる場合は、頭の下にも折り畳んだブランケットをおきましょう。


マットの上で仰向けで横たわり、両脚を閉じてかかとを折り畳んだブランケットの上へ、両腕は手のひらを上にして(それぞれの手の甲の下に折り畳んだブランケットを置いて)体のわきに置いておきます。

息を吸い込みながら、まるで新雪に人型をつけるように動きます。両脚はつま先を上に向けたまま床で大きく開き、両腕は手のひらを上に向けたまま横に開いたり耳の横まで上げたりします。呼吸とともに動かしながら、これをゆっくりと数呼吸行います。






13. シャヴァアサナ






ブランケットに両手やかかとを預けたままシャヴァサナでリラックスし、途切れることなく数分間、深く楽な呼吸を続けます。リラックスしている間、暖かさや安らぎが全身を満たすのをイメージしましょう。


起き上がって動き始めてからも、今この瞬間に留まり感じた感覚の名残りに寄り添ってみましょう。












2025年6月4日水曜日

A Joint-Focused Yoga Sequence for Arthritis  Vol.1
関節に焦点を当てた関節炎のためのヨガ・シーケンス


注: 以下はヨガ実践者や指導者のための一般的な助言を与えることを目的としています。医療従事者による個人への助言の代替ではなく、ヨガの指導者はその範囲にとどまるべきです。つまり、生徒に対して診断や治療、医学的な助言をしようとはしないでください。



ヨガにおいて関節炎と向き合う場合の最優先事項は、そうした関節にかかる負担を減らすことです。ただ動きを減らすというだけではなく、もっと複雑なことです。



The Back Pain Secret: The Real Cause of Women’s Back Pain and How to Treat It(腰痛の秘密:女性の腰痛の本当の原因と対処法)」の著者である理学療法士のビル・リーフ氏によれば、関節の動きが減れば減るほど、「時間とともに」維持できる可動域は狭くなるのです。「関節周りの筋肉が短くなって、動きを制限」するようになります。


関節リウマチや変形性関節炎の患者の多くは、可動域を維持し痛みを軽減するのに、罹患した関節をストレッチしたり強化したりすることで恩恵を受けることができます。「一般的に変形性関節炎は股関節や膝関節に現れます、関節リウマチは手足のより小さな関節に影響を与えることが多いです」関節炎はまた特に腰など背中にも現れることもあります」とリーフ氏は付け加えます。


以下のシーケンスは関節炎に優しく穏やかで、床から立ち上がったり座ったりの動き(膝に関節炎のある人には不可能あるいは不快である可能性がある)を最小にし、両手への荷重を無くし(関節炎は手や手首に現れることが多い)、バランスを取るためのサポートを使用(膝や股関節の関節炎の人にとってバランスを取ることは困難)しています。荷重を減らす、つまり足や膝、股関節へのストレスを緩和するために、壁や補助具を使うことをお勧めします。


リーフ氏が関節炎の人に推奨するのは、このシーケンスを週に数回行うこと、罹患している関節に最も効果的なポーズを書き留めて毎日練習することです。


「全てのポーズは不快を軽減するためであり、増加させてはいけません。痛みではなく、穏やかな伸びを感じる点までストレッチしてください。 もし不快感が増すようなら、ルーチンを控えましょう」


関節炎の方はまた、主治医医に十分な検査をしてもらい、信頼できる診断、また個々人にあった治療の提言を得ましょう。それには、ヨガの練習をする際に圧迫を制限できるよう関節を固定することも含まれるかもしれません。



🟠 練習法


始める前に、入浴や温かいシャワーを浴びる、サウナやスチームバスに入る、温湿布をする、歩いたりサイクリングマシンに乗るなどしてウォーミングアップをしましょう。シーケンス前にそうすることで、より動きやすくなります。壁、ヨガストラップ、ブランケットやバスタオル4、5枚が必要です。


もし重ねたブランケットに立ったり座ったりするのが不快であれば、椅子を使いましょう。最初の5ポーズはまっすぐ座ったままでも練習できます。椅子のポーズ(5番)では、上半身を前に倒して両腕を上へ伸ばし、少しだけ椅子の端から腰を持ち上げましょう。瞑想(11番)でも、よければ椅子に座って行うこともできます。



1. 山のポーズ(タダアサナ)のツイスト




リーフ氏によれば、この優しいツイストは「肩や肘、股関節、膝をゆるめて、関節のスペースを広げます」また、動きをなめらかにするには、「まず視線を動かしてから、胴体、そして体の他の部分を動かすようにしましょう」


足をおおよそ並行に股関節幅に開いた山のポーズで立ち、耳は肩の上に、肩は股関節の上に、股関節は踵の上にと並べます。腕は、手のひらを内側に向けて体のわきに置いておきます。つま先と膝の向きを揃えたまま、胴体から右へ、そして左へと捻りましょう。腕は揺れるままにしておきます。この動きを、深く優しい呼吸を数回分繰り返します。



2. 肩の回転




この動きは、三角筋や胸筋をストレッチすることで肩関節を自由に動かすのに役立ちます。


山のポーズのまま、両腕を肩の高さ位で開きます。両手は緩く握って、親指側を上に向け、親指をリラックスさせます(あるいは、快適で行えるほどの柔軟性があるなら、親指を後ろ向きに回して肩の外旋を深めます)。


体の他の部分を安定させたまま、深く数呼吸しながら、ゆっくりと両腕を一方向に動かし大きな円を描きます。そして反対方向へもう数呼吸動かしてから体のわきへと下ろしましょう。



3. 手首の回転




この動きは、手首の屈筋や伸筋などの筋肉を強化することで、手首を自由に動かすのに役立ちます。


山のポーズのまま、両腕を体のわきに下ろし、手をもう一度ゆるく握り、親指をリラックスして前に向けます。両腕を動かさないで、両手首をゆっくりと一方向へ回し2、3回呼吸してから、反対方向へ回しながら数呼吸しましょう。



4. 両手のグーパー





このエクササイズは、手の関節をストレッチし強化するのに役立ちます。


両手でグーを作る時に腕はさまざまな位置になることがあるでしょうが、肩の高さで並行に腕を前に伸ばすと、腕を優しく強化することができます。


山のポーズから、両腕を肩の高さで体の前に持ち上げて、親指側を天井に向けてゆるく握り(親指はリラックスさせて上に乗せる)、手首は自然な向きにしておきます(前腕から手の甲までが直線になるよう)。息を吸って、手首を自然な向きにしたまま両手を開き、指を大きく広げます。息を吐いて、手首はそのままゆっくりと手を握って拳を作ります。この動きを、呼吸とともに数回繰り返してから、腕を体のわきでリラックスさせましょう。



5. 椅子のポーズ(ウトゥカタサナ)と壁際のかかと上げ


このポーズはハムストリングス、四頭筋、臀筋、腓腹筋を強化し、股関節や膝、足首の可動性を促進します。股関節や膝、足にかかる荷重を最小にし、かかとを上げる際のバランスを補助するために壁を使います。


壁から30cmほど離れて立ち、背中と臀部を壁にもたれかけます。(後頭部も壁についていることが理想です。ですが、そうすることで下顎が不快なほど持ち上がるようであれば、下顎を床と並行に、そして首の後ろを長くしたまま、心地よく行えるまで後頭部を壁から離してください)。両手を腰に置きます。膝を曲げて足を前に歩かせながら、腰を壁でスライドさせ、辛いけれど安定させられる程度まで膝を曲げたところで止まります。リーフ氏は「最初な数センチしか曲げられないでしょうが、そのうち四頭筋が強くなると、90度まで曲げられるようになるかもしれません」




より強度を得るには、両腕を頭上に上げます(あるいは心地のよいところまで)。そのまま数呼吸します。





それからまっすぐ立って、壁にもたれて1、2呼吸のあいだ休みます。


壁を使って椅子のポーズに戻ります。今度は、ふくらはぎを強化するため、膝を曲げたまま両かかとを持ち上げられるか試してみましょう。




ひと呼吸ごとに両踵を持ち上げるところから始め、そのあと徐々に数呼吸へと延ばしていきましょう。


かかとをおろして、両脚への荷重を減らすため、壁に背中を滑らせながら立ちあがります。




6. 壁際のランナーのストレッチ


これは、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋とヒラメ筋)、アキレス腱のストレッチで、足首の可動性を促進します。後ろの膝を曲げたバリエーションでは、ストレッチをヒラメ筋へと繋げます。


壁に向かって立ちます。30cmほど離れて立ち、両手を壁に胸の高さ位で置きます。左足を後ろへ60〜90cm下げます。両足先は壁に向けておきましょう。背骨を伸ばしたまま(股関節から曲がり背中は丸めない)で上体を斜め前に倒し、後方の踵を地面に着けまま、左ふくらはぎの筋肉にストレッチを感じるまで肘を曲げます(ストレッチを感じなければ、左足をもう少し下げます)。そのまま数呼吸します。





今度は、左足の中心と直線に並べたまま左膝を曲げます。左足の指の付け根で根付かせて、左踵を後方へと下げます。このまま数呼吸しましょう。




ポーズから出て、反対側で繰り返します。


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2025年5月8日木曜日

アーユルヴェーダのスーパーフード:ギーの持つ消化や免疫などの効能 
The Ayurvedic Superfood: Ghee Benefits for Digestion, Immunity, and Beyond


アーユルヴェーダの文献には、精製したギーバターは1000以上もの治療的性質を持つと言われてきました。それを受けてインドでスーパーフードと考えられてきたギーは、今や最新の研究に基づいたスーパーフードです。ギーは酪酸の最も豊かな食料源で、牧草で育てられたギーバターには、穀物で育てられたものに比べて健康的な代謝を向上させることで最もよく知られる共役リノール酸(必須脂肪酸であるリノール酸の異性体の混合物)が5倍多く含まれています。



ペンタデカン酸C15とは何か、どのようにギーの健康効果を高めるのか


精製ギーを称賛する理由がまたひとつ新しい研究で示唆されました。ペンタデカン酸C15です。近年、この奇数鎖脂肪酸の健康効果が見つかってきています。主として牛や数種の魚など反芻する動物の腸内で作られるこの脂肪酸は、その量がとても少ないためあまり注意を向けられてきませんでした。この脂肪酸はギーの中にも見つかっています。今日では、ペンタデカン酸の効能について言及する研究が数多く存在し、ほんの少量で長期にわたる健康や長寿の効果が得られることを示唆しています。




ペンタデカン酸C15によるギーの効能


この奇数鎖飽和脂肪酸の効能は、ペンタデカン酸C15という名前の通り、炭素の数(15)にあると考えられています。効能は以下の通りです。

  • 免疫を高める
  • 心臓の健康をサポートする
  • 肝機能をサポートする
  • 健康的な血糖値をサポートする
  • 赤血球を強化する
  • 代謝や脂質をサポートする
  • 細胞の健康的な老化をサポートする


対照的に、偶数鎖飽和脂肪酸のパルミチン酸C16は、炎症や血糖値、心臓の疾患などの原因となります。その鍵は、脂肪酸鎖の中の炭素数にあり、ペンタデカン酸C15はほんの少量でも生物学的に活性しているという事実にあります。


アーユルヴェーダには「微細であればあるほどより力強い」という古いことわざがあります。体内の数え切れない機能を調整している腸内のバクテリアは目に見えません。渡り鳥の移動や季節を司る昼夜のサーカディアンリズムもまた目に見えません。ですから、最も効果のある脂肪酸のひとつがほんの少量で癒しの効果があることは驚くことではないのです。



C15の効能を裏付ける研究


体が老化するプロセスのひとつとして、AMPKと呼ばれる酵素が減少しますが、これが減少するとエネルギーレベルが下がり始めます。AMPKは、私たちの細胞内にあるエネルギーを作るミトコンドリアにグルコースを届けています。ペンタデカン酸は、AMPKを刺激してミトコンドリアへグルコースを提供するのを促し、細胞エネルギーの生産を増加させたりレベルを高めたります。


その他の研究でも、奇数鎖脂肪酸(ペンタデカン酸C15など)の高い人に比べて値が低い人は、死亡率が高く全体的に不健康であることを示されています。健康的な血中の鉄分レベル、血糖、コレステロール、正しい炎症反応に加えて、ミトコンドリアのエネルギー生産の回復や機能的なAMPKプロセスをもサポートします。


また、C15は生物学的に活性である代謝物を作るために体内で使われます。代謝物のひとつがペンタデカノイルカルニチンで、CB1やCB2受容体を活性化するとされますが、気分や睡眠、健康的な免疫反応、痛みのレベルなどを調整します。研究では、このC15由来の代謝物はまた、体内のストレス軽減受容体を活性化することでストレスを和らげることが示されています。また、この代謝物にはヒスタミン受容体を抑制する能力があり、季節性の刺激物への(アレルギー)反応が健康的であるようサポートします。



ギー・バターは健康に役立つ?






最後に、C15と魚油(EPA)を比較した研究では、C15の方が安全であり、より広い効果もあることがわかりました。また、かなり少ない量でも効果が見られました。気分の栄養によるサポート、不健康な細胞や望ましくないバクテリアの増殖防止においては、C15が魚油と同様の効果があることが研究者らによって発見されています。




C15を食事に取り入れる方法は?


全ての無加工の乳製品には、ペンタデカン酸C15がほんの少量含まれていますが、牛乳の脂肪酸を凝縮し乳糖(ラクトース)を全て除去しているのは、牧草で育てたオーガニックの牛乳をゆっくりと熱して作ったギーバターなのです。この脂肪酸の凝縮プロセスによって、ギーのペンタデカン酸C15の量は、ほんの少量からより癒す力があるレベルまでに変化しています。


ギーの作り方

無塩バター450g

バターを中火にかける。バターが溶けてから12分間ほど火にかけ続ける。バターが煮えて表面に泡が出てきます。kの泡に薬用効果が含まれています。火を弱火にしてギーが黄金色になるのを待つ。ギーに水を一滴垂らしてみて、弾ける音がしたら出来上がりです。火からおろして冷ます。濾し器でこして室温で保存する。




超健康のための超油脂:ギーの効果を取り入れる


牧草で育てた牛から搾った牛乳で作ったオーガニック・ギーの力強い性質全てを考えてみれば、なぜアーユルヴェーダの文献がこれが最も癒しの効果のある食品だとあがめる理由がより理解できるようになるでしょう。





(出典) https://yogainternational.com/article/view/the-ayurvedic-superfood-ghee-benefits-for-digestion/

2025年4月1日火曜日

ヨガが認知症患者にできること Vol.2
How Yoga Can Help People With Dementia

前回の続きです。

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認知症患者のためのヨガ


認知機能に障害のある65以上の方と向き合うなら、このクラス形式を試してみてください。以下の練習は提案に過ぎませんので、あなたの経験や心地よさのレベルに合わせてください。これらの練習で、突発的で強い感情の爆発や夜間の興奮状態、脅迫的行動など、この病気で最悪の症状を緩和できることもあります。また、早期段階でまだ独立して暮らせる人、または24時間の介護が必要な人どちらにも合うよう提案しています。



はじめに、念頭におくべきヒント:

1. 生徒がまだできることは何かを理解すること、どれくらいの体力があるか調べておく

2. 喜びや記憶を刺激するような音楽を選ぶ(可能なら、若い頃によく聞いていた音楽を調べておく)

3. 笑顔で、目を見て、はっきりとゆっくり話す

4. いつも生徒の名前で呼び、自己紹介を忘れないこと(時には何度も何度も)

5. 感覚的な刺激、感覚的な瞑想をする。音や香り、味、視覚や触覚などの物をを使ったり、比喩的描写を通して、注意や意識を五感全てに導く。


6. 安全な環境を作る。目を閉じるのを不快に感じる人もいます。かわりに視線を落とすか鼻先を見るよう促しましょう。また目を閉じている時や了解を得ていない時は、生徒に触れないように気をつけましょう。


7. 全ての人が機能レベルの限界に達せるよう集中します。認知症のどの段階にあるのかを考えて、彼らがいる場所に会いにいき、うまくいくような機会を提案しましょう。例えば、ナディ・ショーダナ(片鼻の呼吸)ができなければ、チャンドラ・ベーダナ(左鼻の呼吸)ができるかもしれません。柔軟に考えて、たくさんの選択肢を与えましょう。




おすすめの練習法


アサナ


目的: 柔軟性、筋力、バランスを維持、向上

効果: 転倒や怪我の防止に役立つ

ヒント: てのひらやお腹、胸などアンカーポイントに意識を向けて、体への気づきを高める。それが難しければ、音や画像などに注意を向けるようにしてもいい。


練習案:

1.センタリング:クラスの始めに、目を閉じるか鼻先を見下ろすか提案しましょう。心地よい目標を掲げるか、愛する誰かに練習を捧げるよう導きます。

2. 可動域のエクササイズ:関節のウォームアップと全方向への背骨の動き。呼吸に合わせて簡単な動きに集中する

3. ツイスト:肩越しに見るなど優しいツイストを促す。この練習で瞑想神経が整い、副交感神経反応が強化されます。

4. バランス: 壁や椅子に手を置きながら片足を持ち上げるなど、簡単なバランスポーズを行う。できることから始めて、そこから展開していく。

5. 左右脳間のコミュニケーションを刺激するため左右交差した動きを促す:反対の手で反対側の肩を叩く、片手ずつ風船を叩くなど。陽気で楽しく行う。


6. 前屈で締めくくる:パスチモッターナサナ(座位の前屈)など、やさしい前屈で神経を鎮めてクラスを終わります。個人の能力に合わせる。例えば車椅子の人なら両手をテーブルに乗せる。転倒の危険があるなら同じくテーブルの前に座って前屈するなど。



プラナヤマ


目的: 副交感神経反応を活性化する

効果: 神経バランスを整えることで睡眠を向上、気分を調整する

ヒント: わかりにくい呼吸法よりもポーズのほうが全てのレベルの人に合わせるのが簡単だと思います。そのため、プラナヤマの練習は認知症のステージを考慮することが大切です。


練習案:

初期段階・中段階:ブラマリ呼吸( マルハナバチ呼吸)と長い呼気(吸気の2倍程度の長さ)が副交感神経調整に役立ちます。

末期段階: ため息を吐くように促す。ため息は横隔神経を活性化させ、それが体をリラックスさせるのに役立ち、過覚醒を緩和する効果が持続します。




瞑想


目的: 心を鎮ませ集中させる。

効果: 落ち着き、集中、精神の明晰さを促すことができる

ヒント: 生徒の生活や興味をよく知れば知るほど、より効果的な瞑想のガイドができます。彼らについてできる限りを理解して、それをクラスに取り入れましょう。


練習案:

リラックスした心地よい姿勢になるよう促しましょう。横たわってもいいし、椅子に背を伸ばして座り両足を床につけてもいいでしょう。簡単なボディスキャンや呼吸に気づく練習から始めます。彼らにとってイメージを誘導することが役に立ち、好きな場所の思い出を思い出せるよう導きましょう。
  

私は時々、この誘導する練習を昔の生徒さんと一緒にしたことを、思い出します。トムという素晴らしい男性で、彼はアルツハイマー病の末期でした。トムは長期介護施設におられ、全てのスタッフからとても愛されていました。死の過程にあり、強い苦痛を感じておられました。毎日の同じ時間帯になると、彼はどんどん混乱していき大きな声で助けを求めました。彼の家族から彼が熱心な船乗りだったと聞いていた私は、彼のそばに座って海の話をし、目を閉じて波の音、帆船やカモメのイメージ、温かい海風を思い出してもらいました。彼がすぐに落ち着いて休めるよう、彼に合った簡単なヨガニードラを作りました。イメージや体の感覚への集中、そして柔らかく優しい存在の力は、共有できる贈り物でした。




チャンティング


目的: 生徒たちを内なる先生と触れ合わせる

効果: 落ち着かせる効果。他の人と一緒にチャンティングすることで一体感を作る

ヒント: マントラの選択には、参加者の文化的背景や人生経験を考慮する

練習: マントラの反復

早期・中期:アルツハイマー病研究および防止財団によるキルタン・クリヤ
末期: 生徒に聞こえるよう大きな声で繰り返す。「ソーハム(私は...である)」のマントラや「私は愛」など肯定の言葉をひとつだけ繰り返す。



リラクゼーション(ガイド付きリラクゼーションやヨガ・ニードラなど)


目的: 喜びや至福の状態へ導く

効果:  神経系のバランス調整を促うことにより、人生の困難への反応を穏やかにしたり肯定的な感情を養うのに役立つ

ヒント: 指導する環境を考慮すること。例えば、高齢者介護の場では、騒々しい傾向があることと音のレベルをコントロールすることが難しいことを知っておく。また、補聴器は背景音を強調する可能性もあります。意識を内に向けてひとつの音に集中するよう促しましょう。重みのあるブランケットなどの補助具が、生徒の体を落ち着かせたり、感じるかもしれない不安を鎮めるのに役立つかも知れません。また、暗い灯りがリラクゼーションの助けになることもあります。


練習: ヨガ・ニードラ修正版

生徒たちが理解できるよう、安定した声でゆっくり話しましょう。もし理解できていなくても、優しい声がリラクゼーションの助けになります。




最後に


認知症の人たちのため、生活の質を最適化し意味のある体験を提供するような方法を見つけることが非常に重要です。ヨガは、喜びの瞬間や達成感、一貫性、安心、そして休養を与えることでこれを促進することができます。信頼と快適性のある安全な環境で、遊びの機会を与え、ストレスを削減することができます。最も大切なのは、ヨガによって、自分の変わらない部分である奥深くにある自分自身を、みんなが見つけられることです。それをもって、私の好きな「メモリーブリッジ」のドキュメンタリーの一節で締めくくりたいと思います。


”認知症に苦しむ人たちは、今もここに手が届く場所にいて、アルツハイマー病や認知症の破壊力の向こう側、記憶の奥底にいます。私たちは、聞くために学び、学ぶために耳を傾けています。彼らはまだ愛することができ、愛されることができるのです”



(出典)https://yogainternational.com/article/view/how-yoga-can-help-people-with-dementia/

2025年3月26日水曜日

ヨガが認知症患者にできること Vol.1
How Yoga Can Help People With Dementia


注: 以下はヨガ実践者や指導者のための一般的な助言を与えることを目的としています。医療従事者による個人への助言の代替ではなく、ヨガの指導者はその範囲にとどまるべきです。つまり、生徒に対して診断や治療、医学的な助言をしようとはしないでください。




65歳以上の認知症患者は、米国だけで数えても約570万人います。現在この病気を治す方法は無いため、治療のほとんどは症状を管理することが中心となっています。しかし補完治療として、認知症患者のためにヨガを取り入れることは有意義である可能性があります。生活の質を改善する可能性、また認知機能を維持させる可能性をがあります。


ヨガがどのように役立つかを探る前に、この病気そのものを詳しく見ていきましょう。


認知症とは?


認知症とは、人によってかなり異なるさまざまは症状を持つ認知機能の障害であると広範囲で分類されています。最もよく見られる症状には、物忘れ、思考コミュニケーションが困難になる、視覚や空間的な能力が損なわれる、運動機能が損なわれる、論理的思考が難しくなるなどがあります。


認知症は認知機能に影響するだけでなく、心理的な幸福感にも影響すると理解することが重要です。鬱や不安症、動揺、妄想などを引き起こすおそれがあり、全体的な機能が低下します、認知症は徐々に進行し、回復はしません。



認知症の原因


認知症の原因には、パーキンソン病(運動障害を起こす神経疾患)などの前頭葉の障害、アルツハイマー病、または血管性認知翔による血流や酸素供給の不具合があります。最も多い原因がアルツハイマー病で、2番目に多いのは血管性認知症だと広く考えられています。


そして、認知症は65歳以上にとても多いのですが、老化の典型ではないと知っておくことが大切です。

 
かつて医療関係者や科学者たちは、脳には変化がなく有限だと信じていました。ローカライゼーション(特定の機能に特化した特定の脳の部分があるという考え)は不変であり、脳が成熟するとそこからはただ機能が落ちるだけだと考えられていたのです。しかし、老化とともに認知機能が変化すると、私たちは情報をよりゆっくりと処理し、タスク間を行き来することが困難となり、評価したり判断をする能力が弱くなる可能性があります。今では、老化そのものが物忘れや認知機能の変化につながるのではないと理解されていますローカライゼーションは不変ではないのです。脳の各部分は特別ではありますが、訓練と注意力を通して損なわれた箇所を補うことができます。短く言えば、脳は、以前に想像していたよりももっと適応力があり、柔軟、統合的で、どのように脳が老化していくかに私たちは影響を与えることができるのです。
 

実際、2019年のアルツハイマー病協会国際会議で発表された研究によれば、アルコールや喫煙を止めること、バランスのよい食生活、定期的な運動、認知機能を刺激する活動などさまざまなライフスタイルの選択をとることが、認知機能の衰えや認知症リスクを、60%まで下げる可能性があるのです。とても勇気付けられる結果だと思いませんか?



ヨガがどのように役立つか


高齢者のヨガの効果に対する単純盲比較試験で研究者らが見出したのは、ヨガを練習したグループには「言語的・視覚的記憶の短長期記憶、注意・作業記憶、発話流暢性、実行機能、処理速度に著しい改善が見られ」ました。被験者らは一緒に毎日ヨガを1ヶ月間練習し、週に一回3ヶ月、そして自身で6ヶ月間(毎日するよう勧められた)練習しました。


この研究は、高齢者介護の場でのヨガの効果を見るために設計された数少ない試験の一つです。しかし、呼吸法や瞑想が脳や神経システム機能にどのような効果があるのかについての研究はとてもたくさんあります。そしてヨガセラピストとしての私の経験から、ヨガは認知症患者の気分や認知機能、記憶力など全面的に著しい向上を与えると認識しています。例えば、アルツハイマー病のクライアントの時は、彼らの好きな歌を覚えるようにしています。彼らが動揺したり集中できないときに、そうした歌を歌うのです。そうしたらいつも、私と一緒に歌い出すのです。完全に気分が変わって、今に集中できるようになります。吸う息の倍の長さで吐くヨガの呼吸のように、歌うことは長く息を吐くことになり、体の弛緩反応を刺激します。


また、ヨガは今に集中することを教えてくれます。認知症による記憶障害があると、人生はその瞬間が全てになります。  


そのほか、認知症患者がヨガを練習することで得られる可能性のある効果は以下の通りです。

• 血流、呼吸、可動域が改善され、転倒防止や運動機能維持に役立つ

• 体への意識が高まる。内受容感覚(体内で発生する信号への意識)、固有受容感覚(空間内の体への意識)、運動感覚(動きへの意識)の向上

• 迷走神経状態の改善が、ストレスに反応した後の副交感神経(「休憩して消化する」神経系)を活性化させる

• 注意のネットワーク機能が向上し、キビキビと油断なく、感覚のインプットに優先順位をつけ、実行調整(葛藤をうまく処理し、目的に向けた行動を実行する能力)を行うのに役立つ

• 痛みに対処する能力が向上

• 体力や維持している能力への集中力が上がる

• 幸福感があがる

• 自己統制、感情制御が向上

• ストレス反応の低下に関係する扁桃の反応性を下げる

• 脳機能の向上に関係する脳梁(情報が行き交う左右の脳を繋ぐ神経束)を通る左右脳間コミュニケーションの向上

• 細胞の老化を遅らせる若返り酵素テロメラーゼの増加

• 慢性ストレスの影響を取り消す能力




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次回に続きます。






2025年3月10日月曜日

ヨガはがん治療をサポートする
だが、この「すべき・してはいけないこと」は心に留めておくこと
Yoga Can Support Cancer Care But Keep These Do’s and Don’ts In Mind

今回は、インドのCNN系メディアNews18からの記事です。

私がトレーニングを受けたシンガポールのドクターのもとにも
がんで苦しむ患者さんが来られていました。
残念ながら、数年後に旅立ってしまわれましたが
ヨガセラピーで痛みや苦しさ、死の恐怖を緩和できていたならいいなと今でも思います。
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サミーナががんと診断された時、彼女は冷静に受け止め、落ち着いて自分に必要なことにとりかかりった。腫瘍を取り除く手術を受け、免疫療法と経口化学療法を行なった。がんの代替医療の役割について聞いたことがあったので、手助けしてくれそうなヨガの指導者に連絡を取った。


ヨガを練習して数日のうちにサミーナの疲労は酷くなり、動悸やめまい、ホットフラッシュ、息切れをするようになった。調べてみると、そのヨガ指導者は動きが多く刺激の強いスリヤ・ナマスカラを彼女に練習させていることがわかった。


もう一人の元がん患者であるクシュブーの場合はこうだ。がんだと確証を得た時、化学療法や他の医療行為を拒否し、彼女は様々な代替医療を探し始めた。食療法、ホメオパシー、マントラ治療法、アーユルヴェーダ、自然療法、瞑想、そしてヨガの呼吸法だ。しかし、2年も経つと彼女の数値は急激に高まってついには入院しなければならなくなり、ICUで命からがら数週間を過ごすことになる。そうして入院中からその後10年にわたって標準的な医療と化学療法を受けることになり、がんを克服した。


二人とも間違っていたのである。一人は間違ったヨガ指導者を選んでしまった。もう一人はヨガや代替療法が「包括的に」体を元に戻してくれるから従来の治療は必要ないと考えてしまったのである。



ヨガは役にたつが、どのようにかが大切


ヨガはがんのための効果的な支持的療法として証明されていると、エビデンスに基づいた研究で示されてきている。正しくーつまり習慣的に、正しく理解したうえで、長期間ー行えば、炎症を抑え、免疫を高め、がんの進行につながる悪い行動さえも変える可能性を持っている。


しかし、がん治療にヨガを利用する時には、理解しなければならないことがある。がん治療は倦怠感、筋肉の弱体化、めまいや末梢神経の障害などを引き起こし、その結果、いくつかの動きは安全ではなくなる。また、転移や骨粗鬆症、疼痛などがある場合があり、ヨガポーズはそれを悪化させる恐れもある。従来の治療とヨガセラピーどちらも行う医師や専門家らが、最近の学会でこの重要な問題に対する彼らの経験を共有した。


以下は、彼らの意見と実用的なガイダンスである。



医師の意見


ムンバイにあるタタ・メモリアル・センターのディレクター、パンカジュ・チャトゥルヴェディ氏はこう述べる。「治療の養生の後、正しい段階の正しいヨガに導いてもらうため、医師に相談してください。YouTube やインスタグラムのビデオをみながらの練習はやめてください。また、ヨガは我々が行なっている今の治療の代わりには絶対にならないこと、だからこそ練習は治療と並行して行うのだということを忘れないでください。そして処方や指示は医師から受けてください」


米国ヒューストンの MD・アンダーセンがんセンターの統合医療プログラム・ディレクターのロレンツォ・コーエン氏はこう付け加える。「がんケアにおいて、病院側が他の治療と同様にヨガセラピーを提供する必要があります。しかし、私が特別に『ヨガセラピー』という言葉を使う理由は、医療の現場では単なるヨガの指導者やヨガの訓練を受けた者ではなく、その疾病や健康状態における専門知識を持つ者である必要があるからです」


CCRYN(インド・ヨガ自然療法研究中央委員会)の Ayush 省ディレクターであるラガヴェンドラ・ラオ博士は「私の肺に転移した肺がん患者は、彼女自身ヨガティーチャーでもありますが、ヨガの練習中のハイパーベンチレーションで倒れました。彼女は気胸になっていたのです。ですから、乳がんの転移が肺に到達している場合、ハイパーベンチレーションはしないようにしてください」


AIIMS (全インド医学研究所)の長であり、シュリシュリ先端研究所の顧問である有名な腫瘍学者のヴィノッド・コチュピライ博士はこう付け加えている。「そうです。私たちの(ヨガ関連の)研究では、肺領域への放射線治療を受けているなど特定の患者を除外しています。または、脳に転移がある患者にもこうした練習は勧めていません」


SRHU(スワミ・ラーマ・ヒマラヤン大学)がん研究所のディレクターである腫瘍外科医のシュニル・サイニ博士によれば、「ヨガは素晴らしい支持療法ですが、患者はそれぞれ異なるため治療にあたる医師らと相談するべきです。また、患者は病気の各ステージで異なりますし、治療のタイミングも異なります。全てのがんもまた異なります。例えば、乳がんの骨転移では、骨折の危険や痛みが増す危険もあります。急性の状態では、具合がとても悪い時にはただリラックスさせる練習法の方が良いでしょう。回復が必要な時は、身体的な側面も追加することもできるでしょう。ですので、治療チームと緊密に取り組む必要があるのです」





がんの治療としてのヨガ:すべきこととしてはいけないこと



• ヨガを始める前に、一次医療の医師や治療チームに相談すること

• がんを専門とするヨガセラピストの元で練習する。個人に合わせた指導を得ること

• 激しいポーズをしない。やさしくレストラティブなヨガをすること

• 自身が心地よく感じられる補助具を使う。薄いクッションや折り畳んだシーツ、椅子など

• 後屈、逆転など体を大きくねじるポーズをしない。その強度から太陽礼拝は推奨しない。速いペースで動かない。

• 各ポーズ、一回ごとに十分な休憩をとる。

• 全体を通して瞑想や深いリラクゼーション、深呼吸などは取り入れることが可能

• 息を止めたり、力強い呼吸はしない。ゆっくりとコントロールした呼吸に集中する。

• 患者がかなり弱るため、放射線治療や化学治療のあとは一週間あけること。化学療法後は血液の値が下がるので、7、8日間待って値が戻った時にのみ特別なテクニックで練習する。外科手術の場合、身体的なエクササイズは1ヶ月後から始める。

• 患者が自身の能力を理解していることが必要。心地よさが感じられる範囲を超えて体をストレッチしない。

• 感染などのリスクがあるため、大勢いる場所を避けグループでは行わない。

• 高温での練習をしない。また、体内の熱が上がりそうな練習は避けること。

• 水分補給をすること。空腹の状態では行わない、が、食事の後は2時間あけること。








(出典) https://www.news18.com/lifestyle/yogmantra-yoga-can-support-cancer-care-but-keep-these-dos-and-donts-in-mind-9228198.html



2025年2月25日火曜日

パササナ(投げ輪のポーズ)のシーケンス Vol.2
A Sequence for Pasasana (Noose Pose)

 前回の続きです。

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4. マリチアサナ 3


ダンダアサナで、右脚を曲げて右足先を左腿内側の会陰近くに置きます。左脚はしっかり伸ばしておきます。右手を体の後ろにまわして少し肘を曲げます。肘で体側を押さないでください。体のエネルギーの流れだけでなく肩の動きも阻害します。息を吸い込んで、左腕を頭の方へ伸ばし、背すじを伸ばします。息を吐き出し、ツイストし、左わきの下の外側を右膝の外側へおきます。わきの下と膝の間はできるだけ近づけて、より曲げた脚の方へ腹部が移動するようにします。




今度は、立位ポーズのように脚を使いましょう。前腕が床と並行になるように手首の内側を床の方に向け、それから右へ捻ります。腕の骨を力強く後方へ引き、上背部をやや後屈します。保持してから、吸う息で解放し、反対側も行いましょう。


5. アルダ・マツエンドラアサナ


このポーズでは、手や腕を組む段階に進んでいきます。背中で肩を安定させて腕の骨頭を後ろへ引くことで、力強い背中側の腕組みを維持します。




ダンダアサナから、左膝を曲げて左足先を右脚の下へ滑らせて、左足先を右股関節の外側におきます。右足先は、左膝の外側の床へおきましょう。股関節の外側をしっかりと下ろします。息を吸い込んで、両脚をギュッと揃え、左膝と右足先どうしで押し合い、左腕を上げて背筋を伸ばします。息を吐き出して捻ります。


左手を左の膝頭の周りに置きます。左肘で少し右脚を押してより深く捻りましょう。右腕は体の後ろに置いて両わきから背筋を伸ばします。ホールドして、解放、そして反対側でも繰り返します。



6. マリチアサナ3(手を組む)


マリチアサナ3のこのバリエーションは、膝とわきの下のすきまがなくなるまで捻れるようになったら行いましょう。そうでなければ、最初のバリエーションをただ繰り返すようにしてください。腕と脚のすきまがほとんどなくなったら、両脚を使いながら左肘を脇へ広げて腕を内側に回転させます。左手を右の脛の前に滑らせましょう。アルダ・マツエンドラサナでしたように、右手をウエストラインの背中側へ回します。右手首の内側を床の方に向けて、両手を組みましょう。右踵は床に向かって押し続けます。右踵の内側を左膝内側へとアイソメトリックに引き込んで、右股関節の外側が下りるようにしましょう。それから、背筋を伸ばし、腕の骨を引き込んで、捻りましょう。保持して、解放し、反対側でも続けます。




7. パリヴリッタ・パールシュヴァコナアサナ(手を組む)


これは、最初に練習したパリヴリッタ・パールシュヴァコナアサナのより深いバリエーションです。今は手を組むことができないなら、無理しないでください。ゆっくり時間をかけましょう。体の声を聞いて、愛情を持って注意して対応しましょう。前回のパリヴリッタ・パールシュヴァコナアサナの指示に沿って入ります。両脚と体の背中側全てを強く保ちましょう。





右肘を開いて右前腕を左腿の下に通らせて脚の内側に沿って安定させます。左肩を背中に回して、腕の骨頭を後方へ下げ、左腕をウェストラインで曲げて、マリチアサナ3でやったように背中側で手を組みます。上背部で後屈し、両腕を安定して後方へ下げます。右の内腿を床から離すように引き上げ、右踵を床へ回し下ろして、より深く捻ります。保持して、解放、反対側で繰り返します。



8. マラアサナ


両足をそろえます。前屈して、30cmほど前の床に両手を置きます。足指の付け根に乗って体重を両手に移動し、股関節を踵に近づけて、脇の下の方へ両膝を開きます。前方へ屈んだら、踵を床に下ろします。踵が床に着かなければ、安定感を得るためにブランケットやタオルを折って踵の下におきましょう。もし可能なら、両足は離したり外に向けたりせず、そうでなければ調整しましょう。




両腕を体の前へしっかりと伸ばし、背筋を伸ばしながら頭をできるだけ床に近づけます。今度は、肘の内側を内へまわして横に向け、腕を内側へ回しながらわきの下を脚の下の方へとできるだけ下げましょう。


今度は、両肩を耳の方へしばらくの間すくめます。それから一方の腕を脛の下へと伸ばし、やや内回転させながら背中へと伸ばしましょう。反対側の腕も同じようにします。この「ベルトを締める」動きを何度か行ってポーズを深めます。保持して、両脚をしっかりと合わせ、背中をたっぷり伸ばすよう背中に呼吸を入れます。解放します。



ピーク・ポーズ

9. パササナ(バリエーション1)


壁の横に折りたたんだブランケットをおきます。ブランケットに踵をのせてタダアサナで立ちます。壁から前腕の長さの距離くらい離れましょう。息を吸って胸を持ち上げます。息を吐いて膝を曲げてスクワットします。今度は息を吸って、立位ポーズのように両足に力を入れて背筋を伸ばし、息を吐いて捻って、右わきの下の外側を左膝の外側へおきます。肩と膝の隙間を無くしましょう。





右手を右肩の高さで壁に置きます。必ず左肘を曲げたまま、左腕を壁に置きましょう。息を吸って両脚をぴったりと着け、背骨を伸ばして、息を吐き切り、壁の方へ捻ります。左手をアイソメトリックに床へと引き、背中の左肩甲骨に力をより感じるまで続けます。その力を保ったまま、右腕を左膝に押し付けて、もっと尾骨を引き、上背部の後屈をしながらより深く捻ります、保持、解放してから反対側で繰り返します。



10. パササナ(バリエーション2)


左肩と右脚の間の隙間をなくすことができたら、この手を組むバリエーションに進みましょう。前のポーズの指示すべてを繰り返します。左腕を内回転して、もう一度引きを横に広げましょう。左手を右脛の周りに伸ばし、前腕を左脛の前と左腿の外側あたりにスライドさせます。最後には、両脚の周りに回して組むことができるかもしれません。





右腕の骨を後方へ下げ、右腕をウェストラインで曲げて、手首の内側は下に向けたまま、背中で両手を組みます。両膝どうしをしっかりとつけて、股関節外側を働かせ、背骨を伸ばし、腕の骨を下げて、そして捻ります。保持、解放、そして反対側で繰り返します。




初めて試した時にこのポーズができる人はとても少ないです。練習が長期間続く努力を必要とするのと同様に、この難しポーズは、忍耐強く献身的な繰り返しを通してのみ可能となります。




準備ができたら、足の下のブランケットをよけて取り組んだ要素全てを取り入れ、
最後のポーズを練習しましょう。



このような深い股関節屈曲の後は、鼠蹊部のストレッチや腸腰筋のリリース、体をニュートラルに戻ることがとても効果的です。ですので、セツ・バンダ・サルヴァンガアサナで、体の前が伸びるよう脚の骨を通してストレッチして、この練習を締めましょう。スプタ・ヴィラアサナやワイパーのポーズもまた同様の効果があります。シャヴァアサナで時間をかけて心地よく休みましょう。

2025年2月20日木曜日

パササナ(投げ輪のポーズ)のシーケンス Vol.1
A Sequence for Pasasana (Noose Pose)

今回の記事はアドバンスのポーズのための練習法です。
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「責任・義務」という言葉は時に、とても自信のある人でさえもその出口戦略を見出すことに心配や不安を感じさせるものなのかもしれません。例えば、私の友人が最近とても好きな相手を結婚しました。けれど、「その日」の数週間前、彼女は突然不安に襲われました。もし自分の気持ちが変わってしまったら?彼が愛の誓いを守れなかったら?私は彼女に何が一番
不安なのかを尋ねました。彼女は涙をポロポロ流しながら叫んだのです「私は責任とか義務には向いていないのよ!」


この友達は、アサナやプラナヤマの練習を長い間続けてきました。私は、彼女がずっとこうした練習を熱心に続けてきたことを指摘しました。「それは、また違う」彼女は言いました「それは義務じゃないの。本当にヨガがしたいの」本気で?毎日?私は言いました。「1日も欠かさず練習したがる人なんて、聞いたことないわ」もちろん彼女の毎日というわけではないけれど、でも毎日練習してきたのです。「したい時もしたくない時も私はヨガをするの。そうやって長い間続けた努力から成果を得るの」私は、うまくいった結婚みたいだと思いました。


人間関係の多くを根付かせて育てるためには、こういったタイプの持続した責任や義務が必要です。パタンジャリは、こうした考えをヨガスートラの第1章14節ではっきりと説明していて、練習に専念するということを定義づけています。練習を確立するということは、すなわち練習が自身の堅固な基盤となるということと彼は述べています。長い間、敬意と愛情を持って続ければ確立されると。


私たちはみんな、故意であるかそうでないかに関係なく、何であれ習慣的に行うことができ、確かな習慣やルーチンを作ることができます。毎晩寝る前にお茶を飲むことだったり、毎日午後4時に犬を同じ道で散歩させることだったり、毎朝、朝食前に瞑想をすることだったり。敬意をもって取り組むことで何でも実践や練習にすることができます。そしてその取り組みが自分自身への約束となり、あまり考えずに行う作業やただ決めたルールではなく、向上したいという意思となるのです。


私たちの練習は、自身の価値や熱意を持って続けるに値するその追求を確かにする手段です。献身と敬意を観念的な理想と見るのではなく、マットの上でアサナをしている時もマットの外で自分のことや人間関係について取り組んでいる時も、私たちは敬意と愛情を持ち続けることができます。長い間繰り返し練習すれば、パタンジャリの言うように、安定した基盤を作ることができ、逆説的に言えば人生の中でより大きな自由に到達するのです。


ロチェスター大学宗教学教授であるダグラス・ブルックス博士は学生たちに、ヨガでは「自由は自由から来るのではない。自由は束縛から来る」と念を押します。ブルックス氏はヨガのことを「洗練された束縛」と呼び、心の中で真実だと信じるものに従って生きる自由をその実践者に与えるのだと。有害で思慮のない習慣にはもはやとらわれず、実践者は、死と蘇りという究極の束縛、つまりサムサラからの自由を見つける力を得るための練習を完璧なものしようと献身しています。いったん精神的な安定を得られれば、自由に自身の心の叡智に耳を傾けたりそれに従って人生を生きることができます。


パササナ(投げ輪のポーズ)は、束縛と自由、義務と献身を体験させてくれます。深いねじって腕を組むこのポーズは身体的に、背骨を自由に深くねじれるような強固な土台をつくるため、両脚と股関節を強く働かせなければなりません。ねじりが深くなればなるほど、肩を開き脚の後ろで手を組みながら、胸や肺でしっかりと呼吸し、喜びと解放感を感じることが容易になります。


比喩的には、パササナの安定した土台は約束の力を、ねじりの動きは最も深い真実を中心におくという私たちのゴールを表しています。組んだ手は中心にある価値に留まることを表現します。そして練習が時間をかけて持続する努力を必要とするように、この難しいポーズは熱心に継続して繰り返し練習することのみで完成することができます。最初に試したときにこのポーズができる人はとても少ないのです。では、実際のレベルは?パササナは空腹時にだけ行いましょう。また膝や腰に問題がある、椎間板ヘルニアの場合はこのポーズは行わないでください。


今回のシーケンスを練習するときは、全てのポーズで決まった数の呼吸を続けてください。すべてのポーズでウッジャイ呼吸を5回行うこと、あるいは前もって決めた時間ポーズを保つことで、自身で境界を決めることができ、それが皮肉にも自由を与えてくれます。これで、少し不快感を感じた時にモゾモゾしたりポーズをやめようかなと思ったりすることなく、ポーズに注意を向けることができます。体力やスタミナ、経験に応じて30秒から1分間やってみましょう。


もちろん、ポーズの間痛みを感じるべきではありません。痛みが生じたり呼吸が乱れたら、ポーズをやめましょう。これらの境界は厳格ではありません。自分自身の練習に取り組んでください。最大の効果を得るために同じポーズを2回以上するのがいいと思うかもしれませんし、繰り返すことでより学び向上できると感じるかもしれません。



パササナ(投げ輪のポーズ)の準備


1. パールシュヴォッタナアサナ

タダアサナから、両手を背中で合わせて合掌します。肩が硬いと感じたら、背中で両肘を掴むか指を組みましょう。背中に肩甲骨を引いて寄せます。両腕の骨頭つまり上端を背面へと動かします。この動きによって肩が安定し、胸をより大きく開くことができます。



息を吸い込んで、両足を1ー1.5mほど開き、右脚は外側へ左脚は内側へしっかりと回転させます。まず両脚の次の3つの力強い動きに注目しましょう。筋肉を骨に向かってまとめる、両脚は強く引き寄せあう、そして足先のエネルギーを股関節に引く。尾骨は引いて下腹部をおへそに向かって引き上げ、胸を上げながら頭頂に向かって背骨を伸ばします。二重顎を作るかのように首を戻して、空に向かって顔を上げましょう。




息を吐き出して、股関節から前屈します。胴部を下げながら、右足の指の付け根でアクセルペダルを踏みこむのをイメージします。かかとを地面に着けたまま、指の付け根を通って後方の足が床の方へ重たく感じるまで押します。この動きで、重みを均等に両足にかけることができ、前方の脚が過伸展するのを防ぎます。まず額をすねに向けて、それから顎をすねに向けていきます。このポーズで5回しっかりと呼吸するか、自分で決めた時間まで保持しましょう。


息を吸って、後方の脚を押して、立ち上がります。反対側で繰り返します。



2. ガルーダアサナ

タダアサナで立ち、右脚を曲げます。左脚を右脚の周りにからませます。左足首を曲げて右脚のふくらはぎに後ろに置いて、つま先は床の方へ向けておきます。左足が安定しなければ、もう一度やってみましょう。右脚をより深く曲げて左脚をもっと高く持ち上げ右脚の上の方へからめてみます。または、左足先を右足首の外側にそっと置いておきましょう。今度は、左腕を右腕の下にして、肘と手首で交差します。できるだけ両手のひらを近づけましょう。


軸足を深く安定させ、からめた脚と強く合わせます。今度は、できるだけ後方へ上背部を引き上げます。両脚の強さを維持しながら、ウェストで前屈し、脇腹を後方へスライド、魔女の猫のように背中を膨らまします。背を丸めて両肘を上の脚の外側へ動かします。この前屈によって股関節が開いて背中が伸び、次のポーズの準備となります。ホールドして解放したら、反対側でも繰り返しましょう。



3. パリヴリッタ・パールシュヴァコナアサナ


タダアサナから両足を1.2-1.8mほど開きます。右脚を外側へ回転させて、股関節がマットの前端の並行になるまで左足指の付け根を軸に回旋します。息を吸い込んで両脚に強く働かせ、筋肉を骨にまとめ、股関節に向かってエネルギーを引きます。左腕を頭上に伸ばして背骨を伸ばします。息を吐き出して、少し背中を丸めて、前の脚の上で上半身を捻ります。左の脇の下の外側を右膝の外側におきましょう。左手は床かブロックに乗せます。


ねじりが安定していると感じたら、前屈をやめます。胸を上げて頭と尾骨が一直線になるよう上背部を開きます。ねじりを深めるには、安定性を作るため両脚に力をこめ、上半身の左右両側が同じ長さになるように右の腰と右脇の下の間を伸ばします。もっと捻っていきましょう。右腕を頭上にあげて上を見ます。ホールドして解放したら、反対側も繰り返しましょう。



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次回に続きます。








(出典)https://yogainternational.com/article/view/exquisite-bondage-pasana-noose-pose/

2025年2月12日水曜日

ゴムカアサナからより多くを得るために 
Get More From Your Gomukhasana


ゴムカアサナ(牛の顔のポーズ)は複雑なポーズです。股関節の屈曲、外旋と内転、そして肩の屈曲ともう一方の肩の伸展、内転を通して、股関節と肩を深く開きながら胸を開きます。その複雑性のおかげで、ゴムカアサナには上半身にも下半身にも多くの効果があり、姿勢や機能運動を改善したり、肩を深く開いたり手を組んだりする他のポーズ、エーカ・パダ・ラジャカポタアサナ(片足の鳩王のポーズ)など深く股関節を開くポーズなどへの準備になります。



ゴムカアサナの対象となる部分(肩・胸・股関節)は、特に長時間座っている人にとって
は、問題が起こりやすい箇所です。臀筋の上に一日中、受動的に座っていることでそれが弱く硬くなり、タイピングや食事、車の運転、腕で何かを押す動き、メールを打つ動きなどにより胸と肩(特に三角筋前部)は硬くなります。ゴムカアサナは、いくつかの調整をすれば、こうした問題すべてに対処できる素晴らしい方法です。






ゴムカアサナの入り方


では最初から始めましょう。まず四つ這いになり、右脚を前に引いて右膝を左膝のすぐ前で交差させます。今度は左足を右方向へと開き、両踵が腰よりも広い幅にして置きましょう。両手を後方へ歩かせて、床の方へと腰を下ろします。先に左の股関節が下りるので、右も下ろしましょう。ゆっくりと動いてください。両方のお尻を下ろすことが難しい場合は、左脚(下の方)を前に伸ばすか、ブランケットの上に座りましょう。



左かかとの上には座らないで、両方の坐骨が床(やブランケットなど)にしっかりと着くようにしてください。右膝を左膝の上に重ねてみましょう。でも、無理はしないでください。完全に重ならなくても大丈夫です。背筋を伸ばして座り、骨盤から離すように胸郭を持ち上げます。腰が曲がらないよう(前屈みにならないよう)に気をつけて、骨盤を前傾し、坐骨は後方へと伸ばします。そうすることで、体幹の筋肉とのつながりを見失わないようにします。お腹は優しく引き上げて、腰が反りすぎたり胸郭が前に突き出ないようにしましょう。胸を持ち上げて、頭頂まで背筋を伸ばします。



ポーズの上半分を作るには、右腕をまっすぐ上げて左腕を体の脇でまっすぐ下げます。両方の肘を曲げ、右の手のひらと左の手の甲の両方を背中に着けます。指先どうしを着けてみましょう(無理しないで)。もし届かなければ、ストラップやタオルなどを使ってつなぎ、両手はただ背中に休ませておきます。指先を這わせて近づけた時にポーズに何が起こるのかに気づきましょう。顎はあまり上げたり下げたりしないように、床と並行に保ち、首の後ろ全部を長くします。



ほとんどの人はゴムカアサナは上げた方の腕が重要だと思っていますが、実際には下方の腕により焦点を当てて、肩の回旋腱板(特に肩甲下筋)や菱形筋などを強化し、周知の通り固くなった胸筋と前部三角筋をストレッチすることで、肩により多くの効果を得ることができます。そのためには、上がりやすい右肩を上げずに両肩を床と並行にする必要があります。
両肩を揃えることで、両手を繋ごうと背骨を横に曲げることなく、肩甲体をストレッチすることができます。次に、左(下方)の肩を後方へ回転させながら肩甲骨どうしをやさしく寄せましょう。これによって左三角筋前部、つまりこのテクノロジーに囲まれた世界に住む私たちの多くが硬くなってしまっている部分のストレッチが深まります。これをするには、両手をもっと離す必要があるかもしれませんが、長期的にはより効果的です。このポーズをホールドして、呼吸しましょう。



顎のまわりをリラックスして、頭頂に向かって背筋を伸ばしてみます。このポーズによって、肺に力強い呼吸がもっと入ってくるのを感じましょう!背骨と胸郭のまとまりを保つため体幹を使い続けるのを忘れないでください。



ゴムカアサナの素晴らしいところは、上半身と下半身の要素をどちらも選ぶことができることです。どちらか片方を選んで、体のその部分を開くことに本当に集中することもできます。股関節のストレッチを強めるには、例えば、背骨をまっすぐに保ったまま股関節で前屈(対象としている股関節の可動域を狭めることになるため背骨を丸めないようにしましょう)し、坐骨を後方へ放つことに集中します。



上半身の要素は、特にデスクの前や椅子の上に長くいる人にとって、一日中取り入れられる素晴らしいストレッチです。毎日何回か休憩時間にこのストレッチをすることで、姿勢が大きく改善するだけでなく肺により多くの酸素を取り込めるためエネルギーレベルも改善されるでしょう。



ゴムカアサナはまた、他の多くのポーズの効果的な準備になるポーズでもあります。上半身の要素は、ウッティタ・パルシュヴァコナアサナ(体側を伸ばすポーズ)やシュヴァルガ・ドヴィジャサナ(極楽鳥のポーズ)などの手を組むポーズの準備となります。下半身の要素では、鳩のポーズやベイビークレードル、エーカパダ・ガラヴァアサナ(飛ぶ鳩のポーズ)、アグニシュタンバアサナ(薪のポーズ)などの股関節を深く開くポーズの準備に役立ちます。




こうしたちょっとした微調整に意識を向けて、ゴムカアサナで股関節と肩の可動域が前よりも良くなって、より深い練習へと誘ってくれるのを確かめましょう!



2025年2月6日木曜日

満足できる豆腐バーガー 
Satisfying Tofu Burgers


ちゃんと満足できるバーガーを作るのにお肉は必要ないことを証明する、野菜だけのレシピです。今度のパーティで、この美味しいバーガーをメイン料理として作り、家族や友達をびっくりさせましょう。   






バーガー8-10個分

材料

  • ひまわりの種: ½ カップ
  • しょうゆ: ¼ カップ
  • きび、お米、あるいはパン粉:1 カップ
  • 絹こし豆腐:450グラム
  • アラメ:大さじ2 
  • 水;1 カップ
  • エキストラバージンオリーブオイルか胡麻油;大さじ2 
  • にんにく:1 かけら、みじんぎり 
  • たまねぎ: ¼ カップ、みじんぎり
  • カレー粉などのスパイスブレンド:小さじ1 
  • にんじん; ¼ カップ、細かくみじんぎり
  • セロリ: 1 本、細かくみじん切り
  • 梅干しペースト:おおさじ1½
  • タヒニ(ねりごま):大さじ2 
  • 塩少々
  • 黒胡椒: 小さじ¼ (好みで)
  • ふりかけ用にコーンの粉


作り方

  1. オーブンを180度に予熱する。穀類としょうゆを混ぜる。クッキングシートにのせて乾くまでローストする。
  2. 生の場合は、きび(きび1カップに水2カップで30分)あるいは玄米(米1カップに2½カップの水で55分)を準備する。
  3. 豆腐を、ペーパータオルで挟んで重しをおき5-10分間水切りする。
  4. アラメを水に10-15分浸す。水を切って細かく刻む。
  5. 油を温めて、ニンニク、玉ねぎ、スパイス、にんじん、セロリを2-3分間炒める。
  6. ひまわりの種をフードプロセッサーで半分くらいに砕く。豆腐をすりつぶす。炒めた野菜を加えて、火を通した穀類1カップ、種、アラメ、梅、ねりごま、塩胡椒を加える。塩は好みで調整する。よく混ぜる。
  7. バーガーのたね約½ カップで1.5cm厚のバーガーを作る。
  8. 80度のオーブンで15-20分焼くか、プライパンで(コーン粉をふりかけてから両面をきつね色になるまで焼き、ペーパータオルの上で水気をとる)。
  9. 全粒粉のバンズにレタス、赤玉ねぎのスライス、マスタードとともに挟む。






 (出典)https://yogainternational.com/article/view/satisfying-tofu-burgers/

2025年1月30日木曜日

お腹の慢性的な不具合を治す方法 
Quick Tips to Relieve Chronic Digestive Distress

今回の記事は、消化についてです。
アーユルヴェーダでは、食べることと消化することをとても重視しています。
なぜなら、それが体と心を作る源だからです。

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「一億円当選したところで、お腹の調子が悪ければ幸せになんてなれない」私のヨガの先生はリトリートの度にこの言葉を繰り返します。そして、宝くじに当たる人はとても少ないですが、いつもつらい胃腸の症状に悩む人はとても多いのです。


一億人以上のアメリカ人が、逆流性食道炎や過敏性腸症候群、消化器の潰瘍、憩室炎などの消化器官の問題を抱えています。こうした症状は辛いものです。大抵は複雑でわかりにくく、臭いおならや突然トイレに駆け込むなど恥ずかしい症状もあります。


こうした問題の原因を探りおそらく永続的に解消するために、古代の叡智は私たちに、消化の本当の土台を深く探りなさいと伝えます。アーユルヴェーダではその土台をアグニ(火)と呼んでいます。


強いアグニは、生命力、免疫、明晰さ、そして気分までも向上させます。理想的に、維持されている時には、食べた物はすぐに精力的な燃料へと分解されます。


この燃料は肝臓で同化され体のあらゆる層や組織に送られます。アーユルヴェーダでは、最深層に栄養が行き渡っていると、私たちは活気やエネルギーを感じると言われています。気分が良くなるのです。

この良い気分はその他のレベルにおいても健康的な消化とつながっています。


腸は「第二の脳」とも呼ばれ、セロトニン生成の90%を担い、1億以上のニューロンを司ります。消化がうまく働くと、セロトニンが処理されて腸内神経が刺激され、心の状態に影響します。よい消化は文字通り、生物化学的にもそれ以上にも幸福感を与えてくれ流のです。


アーユルヴェーダでは、アグニが弱ると食べ物が一部しか消化されず、肝臓が詰まって、毒素が組織内にできてしまいます。そうなると、疲労や倦怠感、不機嫌、うつ状態などになったり、または膨満感やガス、便秘、差し込みなど不快感が起こります。


「腸の痛み」は不快なものです。しかし深層部の消化力にエネルギーを与えなさいという警鐘かもしれないのです。


アグニを高めるためにアーユルヴェーダが薦めるライフスタイル:

  • 食事は規則正しく、食物がしっかり消化できるよう各食事は4-6時間空ける
  • 自然に近い状態で、栄養価が高く消化に良い自然食品を選ぶ
  • 季節と体調に合ったスパイスと食べ物を組み合わせる
  • 生活のあらゆる面でストレスを減らすようリラックスする
  • 特に食事の時は「ながら」をしないで集中する
  • 食物アレルギーが疑われるなら、除去食を試してみる。卵や乳製品、小麦、とうもろこしなどよくあるアレルゲンを21日間断つ。ひとつづつ食事に戻したとき消化に問題が起これば、それが問題を起こすその食品を断つべきだというサイン。
  • 毎朝、塩とレモンを入れたお湯を飲む。
  • そしてアグニサラなどヨガのテクニックを練習する。


特別なサポートが必要なこともある
ライフスタイルを実践していても十分で無い場合、現代の生活に合わせたハーブや伝統的な食品で消化を助けることができます。弱ったアグニを活性するには・・


消化酵素を増やす
酵素とは食べ物を燃料へと変えるタンパク質触媒です。私たちの体が繰り返しリサイクルしている消化にとても重要な物で、酵素の量が寿命を決めるという栄養士もいます。

歴史的に私たちは、生の食物、特に生の乳製品、肉、野菜などから酵素を得てきました。今日では、生の乳製品や肉は明らかに問題が多く、また生野菜は消化が良くありません。その代わりに、酵素が豊富で扱いやすい食物を摂ることができます。そのなかでもローハニーは最高です。発酵させたケフィアやキャベツ、コンブチャ(紅茶キノコ)も良いでしょう。


ハーブの苦味で食事を始める
苦味は味覚です。コーヒーや甘くないチョコレート、ルッコラなどの葉野菜の味です。また、ハーブの多くも苦味を持ちます。ハーブの苦味は伝統的に、消化液を刺激するため食事の15ー30分前に摂られてきました。正しい時間に正しい場所へ正しい酵素と液体を得るためです。今日でも、この同じ苦味で熱く弱った消化力を改善することができます。リンドウやオオグルマ、ノコギリソウ、ニガヨモギなど冷やすハーブを含むお酒を試してみてください。冷たく弱った消化力に悩んでいるなら、ウイキョウや陳皮、生姜など温める効果のあるものを試しましょう。



体によい菌を摂る
腸内は500ー1000種類の役立つバクテリアが共生していて、消化プロセスを助けています。塩素で殺菌された水や大量の加工食品、抗生物質やストレスなどによって、こうしたバクテリアが死ぬと体によくないバクテリアが増えて膨満感や便秘、痛みなどの原因となります。本当の牛乳から作った自然で新鮮なヨーグルトは、腸内フローラをもう一度取り戻す良い方法の一つです。入手できない時は、プロバイオティクスのサプリを試しましょう。信頼できるものを選ぶようにしてください。よいプロバイオティクスは、菌が生きられるように冷蔵しておく必要があります。



プレバイオティクスを試す
他の生物と同様、腸内フローラも生きるためには栄養が必要です。腸内フローラに栄養を与えるハーブや食べ物のことを最近では「プレバイオティクス」と呼び、消化プロセスでもほとんど損なわれることがありません。たんぽぽや牛蒡、オオグルマの根などのハーブを試しましょう。幸運なことに、いくつかのプレバイオティクスハーブの苦味は肝臓に良い効果があります。



肝臓を守る
肝臓は、栄養を吸収したり毒素を浄化するなど30以上の機能を担っています。よく働かせるためには、きれいに保ち栄養を与え続けなければなりません。伝統的に、初春の野草が解毒や肝臓を整えるために使われてきました。今日では、たんぽぽの葉を春の習慣に取り入れることで自然のプロセスを再生することができます。牛蒡やたんぽぽ、ナカバギシギシなどを煎じた物、アルコール抽出したものなどもまた、肝臓を優しく浄化し栄養を与えます。


慢性の消化不良を抱えたまま、ずっと暮らしていくべきではありません。人生の一大事(例えば宝くじに当たるとか!)だけでなく、春に咲く花々や温かいそよ風などささやかな楽しみにさえも影を落とします。賢く健康を促進していけば、ゼロから強い消化力を築き、辛い症状をなくしていくことができます。


これらの浄化と強化法で、より軽く明るい日々を過ごせますように。そして人生がより素晴らしいものになりますように。





(この記事は症状や補完的な治療の一般的な情報であり、専門家による助言ではありません。新しい治療や食事法、運動などを始める前には必ずご自身の医師や資格のある医療従事者にご相談ください。)







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