2020年3月16日月曜日

アーユルヴェーダ: 食事の方法 Vol.2 
GOOD FOOD- AYURVEDA CONCEPTS, DIRECTIONS, PREPARATIONS

つまりは、清潔な場所で、食い合わせを避けながら、体質に合ったものを規則正しく、出来立てを良く味わって、腹八分で食べましょう、ということでしょうか。

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食習慣の8つの要素


その人に合った食事を決める時に考慮すべきことが8項目あります。プラクリティ(性質)、カラナ(加工)、サムヨガ(組み合わせ)、ラシ(量)、デシャ(場所)、カラ(時間)、ウパヨガサンシュタ(用法)、そしてウパヨクタ(使う人)です。これらは、アシュタ・アハラ・ヴィディ・ヴィシェシャ・アヤタナと呼ばれます。


プラクリティ(性質):そのものの性質は遺伝によってもたらされます。例えば、本来、黒緑豆は重く緑豆は軽い性質があります。同様に豚肉は重く、鹿肉は軽いです。


カラナ(加工):加工とはそのものの性質を大幅に変化させるものです。撹拌や加熱、湿度や季節、場所、容器などの環境要因、そして保存期間などが性質に影響を与えます。例えば、水を加えたり火で加熱すると、固形物が柔らかくなったり液化したりします。凝乳やヨーグルトは本来浮腫を誘発しますが、撹拌するとバターミルク(Takra)になり浮腫を取り除きます。毒も、正しく浄化し加工したあとに薬として使われることもあります。


サムヨガ(組み合わせ):2つ以上の物質を組み合わせるとまた、それぞれの本来の性質を変えることがあります。例えば、蜂蜜やギーは健康にいいのですが、それぞれを同じ量で摂取すると害になります。同様に蜂蜜、牛乳、魚はどれも悪いものではないのですが、組み合わせて摂ると毒になります。このように、組み合わせると変わった性質を示す物質があるのですが、それぞれ別の間はそうした性質は見られません。


ラシ(量):摂取する食物の量はラシと呼ばれます。その人に合った食事量を決める際、材料それぞれの量(パリグラハ)と食事の総量(サルヴァグラハ)を考慮しなければなりません。これは、その人の消化力によります。食事量はまた、消化にも影響します。軽い食事でも多すぎれば消化するのには重くなってしまいます。


デシャ(場所): デシャとは国を示し、違う無所で生産された食物や薬の材料はその性質も異なります。自然植生で作られた物はよそで作られたものよりもよい質を持ち、またその地域の人にも合っています。


カラ(時間): 食事の中身は季節によって変えなければなりません。例えば、冬には消化力が高まるので重い食物が良いのですが、夏や雨季は消化力が下がるため一般的に軽いものがお勧めです。また、病気の時には、関係するドーシャと病気の段階によって食事の中身を選ぶ必要があります。例えば、発熱してから7日間ギーは禁忌となりますが、そのあとは患者の体力を高め熱による乾燥を緩和するためにギーが処方されます。


ウパヨガサンシュタ(用法): 食事の指針です。最も重要なルールは、前の食事が消化されてからというものです。摂った食事が正しく消化されていると、軽く、空腹感と喉の渇き、自然な食欲が時間通りに現れます。

相反しない物を避けて、温かい油分のある食事が勧められます。食物は前の食事が消化されてから良い場所で正しい量を摂るべきです。速すぎず遅すぎず、話したり笑ったりせず、集中して食べましょう。

良くない食習慣は多くの病気の原因となるため避けるべきです。健康に良いものと悪いものを同時に摂るのはサマシャナと言われ、不健康です。


前の食事が消化される前に食べることはアディヤシャナと言われます。アーマ(毒)が作られ多くの病気の原因となります。


不規則な時間に食べる、多く食べたり少なく食べたりすることはヴィシャマ・アシャナといいます。これはヴァータの悪化に繋がります。なので、同じ時間に適切な量を食べることが勧められます。


ウパヨクタ(使う人):食物を摂る人のことです。その人にとって何が特に健康的なのかそうでないのかを考慮すべきです。それによって食品を選んだり避けたりするとよいでしょう。




食習慣の指針 (アハラ・ヴィディ・ヴィダーナ)


アーユルヴェーダには、アハラ・ヴィディ・ヴィダーナと呼ばれる健康的な食習慣のための10のルールがあります。これは健康な人にも病気の人にもよいものです。いつの時も良い習慣というのは、性質が相反しない油分のあるものを、前に食べた物が消化されてから、全て良い物に囲まれた良い場所で、速くもなく遅くもなく、話したり笑ったりしないで集中し、自らを十分考慮して、温かい食事を食べることです。


ウシュナ(温かい食物): 温かく美味しい作り立ての食物は消化を促進し、消化器内のガスを取り除き、分泌粘液を減らします。


スニドガ(油分を含む):油分を含む食物は美味しく、また消化液を刺激し、消化を促進、ガスを減らし、体に栄養をもたらし、感覚を研ぎ澄まし、体力をつけ顔色を良くします。


マトラヴァータ(適切な量):正しい食事量はドーシャや消化の均衡を乱さず、消化を促して通りが良くなり、寿命を伸ばします。

チャラカ(アーユルヴェーダの始祖)は、頭の中で胃を3つの部分に分けよと言っていました。ある部分は固形物で満たし、次は液体で満たし、そして3つめは空にしておけと。この言葉を理解することにより正しい量かどうかを知ることができます。

食べ過ぎのサイン:食後、過剰な重さや腹部のつまり、脇腹の痛み、感覚の飽和感を感じたり、空腹感や喉の渇きがなくなってしまえば、それは食物を多く取りすぎたことを示しており、3つのドーシャを悪化させる原因となります。

適切な量を食べたサイン:上記の食べ過ぎの兆候は見られず、座っても立っても、横たわっての動き、呼吸、笑う、世間話をするのが楽だという感覚があり、夜や朝までにすぐ消化され、体力がつき顔色や生育もいい、それらが適切な量を摂ったことを示しています。

量が少なすぎるサイン:食事が少なすぎると満足感が得られず、体力、免疫が下がる、顔色や生育が悪くなる、ガスが上がってくる、寿命が短くなる、性的なエネルギーが下がる、体や精神、知力、感覚が弱まり。ヴァータの悪化となり80におよぶヴァータの異常に繋がります。


ジルニ(前の食事の消化):いつの時も前の食事が消化されてから食べるべきです。適切な量を食べていれば、食欲や喉の渇き、軽さ、ガスや腸、尿の動きを感じ、心や経絡が明晰になります。


この良い食習慣は食物をちょうど良い時間で素早く消化するのに役立ち、寿命を伸ばしダートゥ(体の構成要素)を悪化させません。



間違った食習慣


アディヤシャナ:前の食事がまだ消化されないうちに食べることを言います。これは間違った食べ方であり、ドーシャを即座に悪化させます。前の食事の消化の途中で食べると、どちらも未消化となり、消化されていないものと消化されたものが混在し、アーマ(毒素)の生成に繋がります。


ヴィシャマシャナ:不規則(ヴィシャマ)な食べ方は良くありません。決まった時間に食べないこと、食べすぎたり少なすぎたりすることはヴィシャマシャナといいます。これはヴァータの悪化を増加させます。


サマシャナ:健康に良いものと不健康な物どちらをも含む食べ物を食べることを言います。


ヴィリャ・アヴィルッダ(相反しない):一緒に摂る食物は相反しないものであるべきで、相反するものを一緒に摂るとヴィルッダ・アハラの原因となり病気になるため避けなければなりません。


イシュタ・デシャ・サルヴァ・ウパカルナ(適切な場所と環境):食物は適切な場所と良い環境で食べなければなりません(サルヴァ・ウパカルナ)。それによって精神的そして肉体的な障害を防ぎます。例えば、臭い匂いがしたり恐ろしい光景が見える場所、また良くない環境で食べると精神的に落ち着かず、食欲や消化に悪影響を及ぼします。


ナアティ・ドゥルタム(速く食べない):あまり速く食べてはいけません。食物が違う通り道に入ることもありますし、味わうことができず、健康も損ないかねません。


ナアティ・ヴィリムバタム(時間をかけすぎない):あまりにもゆっくり食事をすると満腹感が感じにくく、食物が冷めてたくさん食べてしまう可能性があります。ですから、食事はあまりに速くあまりにゆっくりとは食べてはいけないのです。


アジャルパナ・アハサナム(話したり笑ったりしない):食事の際は食べることに集中し、話したり笑ったりしてはいけません。速く食べるのと同様の問題がおこりかねません。


タンマナ・ブンジタ(完全に集中して食べる):食事は完全に集中して食べなければなりません。


アートマナマ・アビサミクシャヤ(自己の本質を考える):食品は、食べる人に合ったものを選ぶよう十分に考慮しなければなりません。





アーユルヴェーダは生命の科学で、その選択から最終段階まで食に関しての重要な要素を包括的んアプローチで提供しています。この注意深さによって人々の健康と幸福を維持することができ、理想とする幸福という目標に到達できるのです。






(出典)https://ayurvedapc.blog/2019/06/08/good-food-ayurveda-concepts-directions-preparations/

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