2015年12月25日金曜日

息を止めていませんか?正しい呼吸をするには
Are You Holding Your Breath? Here’s How (and Why) to Stop Pausing

息を吸って。息を吐く。ヨガでは、呼気、吸気は命の都の大切な守衛だと言われます。門衛がうまく機能していると、都の守りは強固になります。門衛がうまく機能せずまとまりがないと、都は攻撃にさらされます。
呼吸をよく観察すると、呼吸の癖が私達の状態を反映しているというだけでなく、私たち自身に深く影響を与えていることに気づきます。精神的状態、神経系統、ホルモンバランス、筋肉の緊張、身体や心の機能など、呼吸の仕方が全体に影響するのです。悪い癖は疲労やストレスを生み、良い癖は健全な肉体と幸福感を作り出すのです。

健康や精神鍛錬の観点から見て、最適な呼吸パターンというのは、スムーズで規則正しく、静かな鼻で行う腹式呼吸です。マラソンを走るとき、虎に追いかけられているときなど大抵の場面で、これは理想的な呼吸です。しかし残念ながら、観察してみると、この呼吸をしている人はかなり珍しいことに気づきます。私達の門衛が働いているであろうことは知っていても、それをチェックする人は少ないのです。彼らが遅刻してきたり訓練されていなかったりするかもしれないなんて考えないのです。でも実際は、優秀でない門衛は結構います。特に、呼吸が以下の4つのように乱れることが多いです。



第一に、横隔膜が制限されて呼吸が浅くなり胸部が制約されることがあります。この状態は、交感神経を過剰に刺激してストレスや不安感といった生理的症状につながります。また、心配や不安な思いにとらわれがちになります。第二には、荒い鼻息ですが、これは鼻腔が詰まっていることを意味します。第三の問題は、呼吸の際の身体の強い動きです。呼気吸気の最後に息を止めることが第四の問題で最もやっかいなものです。こうしたパターンは肺のリズムを乱し、神経系を乱し、心臓に悪影響を与えることがわかっています。

息を止めることは生きないこと


第四の問題、すなわち息を止めることは、なかなか直すことが難しいことが多いのです。ひとつには、呼気の最後に息を止めるというのは精神的ストレスの自然な反応だからです。誰かが難しい質問をしたとすると、あなたは自然に息を吸いこみ、呼吸を止め、眼を閉じ、答を探して数秒深く考え込むことでしょう。少しの間息を止めていると、姿勢が丸くなり、深いため息をつくのが普通ですが、こうした呼吸のパターンは生命エネルギー(気)を失うと考えられています。

ハタヨガの中に、呼吸を少し止める練習法がありますが、それは健康的で規則的な呼吸パターンがマスターできて初めて効果的で安全なものなのです。つまり、安定した絶え間のない呼気と吸気の流れを完成させるということです。では、どうすればマスターできるのでしょう?どうすれば都の門衛を訓練できるのでしょう?呼気、吸気の後にわずかにでも止めることのない正しい呼吸を身につけることができるのでしょうか?

その秘密はお腹にあります。まず、お腹をリラックスして呼吸してみてください。椅子にできるだけまっすぐに座ります。前かがみにならず、かといって前のめりにもならないように。きつい服装で下腹が締め付けられないようにします。さあ、息を吸う時にお腹を膨らまし、吐く時にはリラックスささえるように呼吸しましょう。胸が動かないようにします。

リラックスした規則正しい呼吸の中で、呼気、吸気の後に門衛が交代する重大な局面がやってくるのを感じましょう。呼気吸気がスムーズに入れ替わるようにします。円を思い描くとよいかもしれません。
観覧車を見ていると思ってください。カゴが上がっていき、また下がっていきます。
カゴが上がるのを息を吸ったとき、下がるのを吐いたときだと考えられれば、息を止めることなく呼吸する素晴らしいお手本となるでしょう。縦方向の動きが遅くなったとき、呼吸はゆっくりになります。観覧車のカゴの上る動き(吸気)が、頂上付近で遅くなり、スムーズに下り(呼気)に移行していきます。

観覧車のイメージもよいのですが、実際の呼吸パターンは円というより楕円です。すなわち、呼気吸気の変わり目よりも、呼気吸気自体の長さの方が長いのです。練習では、その分岐点で息を止めてしまうこともあるでしょう。それぞれに難しい点があるので、別々にわけて見て行きましょう。

吸気から呼気への移行


吸気の終わりはそれほど難しいものではありません。通常の神経インパルスがスムーズな移行を行ってくれるからです。呼気が始まると横隔膜の筋繊維に神経インパルスが刺激を与え続け、筋弛緩を少し抑制しますが、横隔膜が完全に解放されると呼気の動きに完全に移行します。吸気から呼気への移行をスローモーションにしてみると(呼気の開始を遅らせる)、息を履き始める前に若干のためらいを感じるでしょう。これは、呼気のための弛緩が始まっているのに、横隔膜に神経インパルスが流れ続けている証拠です。

この吸気から呼気への移行をスムーズに行うためには、そんなに努力は必要ありません。しかし、健康的な呼吸の癖が身についていなければ、吸気の最後に息を止めていることに気づくかもしれません。その場合は、ハタヨガのポーズ(アサナ)が呼吸の悪い癖を正してくれるまでは、アサナをしながら規則的な呼吸をすることに集中したほうがよいでしょう。

例えば、コブラ(吸気で上がり呼気で下がる)などのポーズを何度も行いながら呼吸をしたほうが、ただ座って呼吸を観察するよりは簡単にできるでしょう。座って呼吸を正そうとすると、難しい問題に集中する生徒が息を止めてしまうように、心も固まってしまってそれが呼吸を止めることにもなりかねません。

呼気から吸気への移行


呼気の終わりから吸気へのスムーズな移行は、もう少し複雑です。呼気が終わりに近づくと、横隔膜が完全にリラックスします。これは、ため息をついたときに感じることが出来ます。試してみて下さい。かなり大きく息を吸い込み、完全に吐ききりましょう。音をたてたり、呼気を抑制したりしなければ、横隔膜は完全に弛緩するはずです。

完全にリラックスした呼気が問題になるのは、吸気の初めに横隔膜を刺激するニューロンが神経インパルスを出し始め、眼に見えるほど体が急に動くことです。これは、寒い朝に自動車のエンジンをかける時と似ています。激しく動き始め咳をしてからようやくスムーズに走り出すのです。呼気が終わると同時に吸気を始めようとしてもいいでしょうが、大抵の人にとってこうした動きなしに行うことは難しいでしょう。

これに対する対処法は、呼気と共に優しく腹部の筋肉を引き込み、吸気の始まりまでそのまま保つことです。このテクニックを身につけるのは、言葉で表すよりもずっと困難です。

呼気を強調してみましょう。風船を膨らますように、口をすぼめて空気が少しだけ出るように優しく吹きます。強制的な呼気は、腹部の筋肉に関係があることに留意しましょう。できるだけ長く吐き続けます。強く吐いているため、吸気は受動的になります。胸部と腹部が勝手に開きます。吸い続けながら、腹部の筋肉の緊張を保ちます。呼気の動き(腹部の収縮)と吸気の動き(横隔膜の収縮)を重ねると息が止まるのを防ぐことができます。

完璧な呼吸


さあ、完璧な呼吸に進みましょう。まず、姿勢を確認。まっすぐに座って規則正しく呼吸しましょう。急に動いたり止めたりせずに呼吸してみます。以下の3つのことに注目しましょう。吸気の方が少し力が必要で、呼気は少し止まってから始まり、スムーズな呼気のために腹部の筋肉を使うことは難しいということ。均一に呼吸するのは不可能です。均一に呼吸するためには、まっすぐ座らなければなりません。

姿勢よくしたまま、鼻から2秒吐いて2秒吸います。静かに、なめらかに動かずに続けます。呼吸の流れが楕円を描くようだということを思い出しましょう。吸気の速度をだんだんゆっくりにしていって、黒板の上部で楕円の軌跡を描くように呼気へと移行します。楕円を下方に描きながら、腹部の筋肉を使ってスムーズに呼気を強めます。呼気の速度をだんだんゆっくりにしていって、楕円の下部を描きながら吸気へと移行します。腹部の緊張は保ちましょう。

他の方法もあります。呼気の際に腹部を下方へ凹ませ、吸気の際に上方へ膨らませます。下内側、上外側、下内側、上外側。さらに、呼気のときにハム・・・、吸気のときにソウ・・・と心の中で言い続けることもできます。ハム、ソウ、ハム、ソウ、ハム、ソウ。もしくは、下腹部からすくいあげるような感覚をイメージします。呼気の最後に向かって、腹部の下の方から徐々に上部へと腹部を動かしていきます。

それでもまだ難しいようであれば、横隔膜や腹部を強くするようなアサナと(クロコダイルなど)共に練習してみるといいでしょう。身体が強く柔軟でリラックスできるようになれば、少しの努力で正しい呼吸ができるようになります。

行き届いた都の警備


規則正しい均一な呼吸は私達の生命エネルギーを作ります。こうした呼吸の習慣から、バランスのとれた落ち着いた心と健康な身体ができていきます。二つの門衛が、よく訓練され常に働いていると、都はどんどん強くなっていき、毎日の変化のよって基盤を揺るぐことはもうありません。そして、身体と呼吸と心が精神の鍛錬のための調和のとれた道具となりえるのです。


出典:Yoga International
https://yogainternational.com/article/view/are-you-holding-your-breath-heres-how-and-why-to-stop-pausing

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