2024年2月29日木曜日

腰椎狭窄症のためのヨガ Vol.2
A Yoga Sequence for Lumbar Spinal Stenosis


前回からの続きです。

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6. 壁ぎわのマウンテンポーズ



プロップスを使うと自分自身をより認識することができ、ニュートラルな背骨がどうなのか明確に理解しやすくなります。


壁に背中を向けて、両足を壁から数センチ離し腰幅で立ちます。湾曲のある腰や首の後ろはそっと壁から離しておきますが、お尻、背中の真ん中や上方、肩甲骨、後頭部は全て壁につけておきましょう。


肩甲骨を壁につけるには、腕をロボットのように、肘を脇腹の横で直角に曲げて上腕の後ろを壁に押し付けます。両肩をすくめ、後ろへまわし、それから下方へそして寄せるように動かせます。


もしこのニュートラルなアライメントが不快に感じるなら、腰が平らに壁につくまで膝を曲げて前に歩きましょう。




腕はロボットまま、あるいは体の横で力を抜くかして数呼吸します。両足は地面に根付かせて、頭頂に向かって背すじを伸ばし、この姿勢を後でできるように相互関係を覚えておきましょう。
 


7. 戦士のポーズ1のバリエーション




戦士のポーズ1などで前屈みになって腰椎を屈曲すると、狭窄症の症状緩和になるかもしれませんが、より垂直の姿勢では腸腰筋をストレッチできます。LSSの症状の原因であることの多い腰椎の前弯は、腸腰筋を伸ばすことで予防したり緩和することができます。


マットの前方に戻ります。左足を根付かせて右足を後ろへ大きく一歩下げます。足の幅は腰幅にして、右足の親指はマットの右前角の方向に向けましょう。


左膝を曲げて腰が平らになるまで体を左脚の方へ倒し、両手を左腿の膝に近い場所におきます(心地よさを感じるためにもっと前に倒れなければならない時は、前腕を膝に乗せます)。


ここで数呼吸し、胸を前に開くか、あるいは両手を左腰の方に歩かせてより垂直な姿勢になってみましょう。
(もし背骨を垂直にして快適であれば、 伝統的な戦士のポーズ1をしても良いでしょう。両腕を前方に、そして快適な範囲で高く伸ばします。)ここで数呼吸、そして右足を前に揃えて左側も行います。



8. マハ・ムードラ(偉大なる封印)ポーズのバリエーション





3箇所全てのバンダ(体の鍵)を練習して、股関節を自由に動かせながらコアを優しく促しましょう。背中を丸めたツイストは、LSS患者にとって圧迫を感じるので、ストラップを使うこのバーションで背すじを伸ばして行いましょう。


両脚を前に伸ばして床に座ります。右膝を右の方に曲げて、右足の裏を左腿の内側に付けます。膝が不快感を感じる場合は、右腿の下にブロックやブランケットをおきましょう。


左足にストラップをかけて(あるいは両手を左腿の両側の床に置きます。どちらも背筋を伸ばすのに役立ちます)、背骨をまっすぐに起こしたまま胸をそっと左に回し、頭頂に向かって引き上げることに注目します。(もちろん、不快感を感じない程度までツイストするようにしましょう。ツイストを緩める必要がある時は、胸は右すねの方向に向けましょう。)


息を吐きながら、骨盤底筋とお腹を引き上げて、ムーラバンダとウッディヤナバンダを締めましょう。ジャランダーラバンダには、胸を上げ、顎は(心地よい範囲で)胸骨の方へ引きます。息を吸いながら力を抜いて、次の吐く息でまた引き締めます。これを数呼吸おこない、それから右脚を伸ばして左側に移りましょう。




9. 風抜きのポーズから半分の風抜きのポーズ
(アパナサナからアルダアパナサナ)




この膝を胸につけるポーズは腰椎の屈曲を優しく促します。片脚を伸ばすことで、腸腰筋を優しくストレッチできます。硬くなった腸腰筋が腰の前弯を強めて症状を悪化させることがあるため、LSS患者には大切なストレッチです。


仰向けに横たわって両膝を胸に引きます。両手は膝か脛の上に置いて、腰を平らにしましょう。ここで数呼吸します。


左膝を抱えたまま、ゆっくりと、右のかかとをマットに滑らせて右脚を前に伸ばします。腰に前弯アーチができない範囲で、右脚をできるだけまっすぐに伸ばしましょう。右腿を地面に向かって下ろしながら、数呼吸します。そして右脚を引いて、左に移りましょう。
 


10. ボルスターやブランケットを使った横向きのシャヴァサナ




LSSの人は、仰向きに寝るよりも横向きに寝た方が心地よいと気づくかもしれません。


ブランケットを途中まで巻いて、マットの真ん中におきます。平らな面の上に腰、巻いた面にウエストが乗るよう、横向きに寝ます。


胎児のように丸くなり、巻いたブランケットがウェストを支えて(腰椎が床に着かないように)最も快適な姿勢になるよう左右どちらかを向きます。ブランケットをもう一枚(あるいはブロック)下にある耳の下に、ボルスターをすねの間に挟みます。両腕は曲げて、上の腕を下の腕にのせてリラックスさせ、体の前におきましょう。


ここで数分休みます。腰のあたりのリラックスした感覚に意識を向けて、それから全身の感覚を感じ、心と体のつながりを深めましょう。


日常に戻る準備ができたら、徐々に体を覚醒させていき、ボルスターをよけて心地よい座位に起き上がります。広がりや穏やかさが大きくなったかどうか、自身の練習の効果に気づきます。そして意識を、今ここに存在するこの感覚にできるだけ長く向け続けましょう。

2024年2月26日月曜日

腰椎狭窄症のためのヨガ Vol.1
A Yoga Sequence for Lumbar Spinal Stenosis



編集註:下記はヨガの実践者や指導者のための一般的な助言を目的としています。医療従事者による個別の助言の代替ではありません。ヨガの指導者は自身の役割の範囲にとどまるべきであり、生徒に対して診断や治療、医学的アドバイスを行わないようにしてください。





以下の腰椎狭窄症(LSS、脊柱管の狭窄)のためのヨガは、症状のリスクを最小限にしつつ効果を最大限にするよう作られています。


The Back Pain Secret: The Real Cause of Women’s Back Pain and How to Treat It の著者である理学療法士のビル・リーフ氏は、狭窄症の人がヨガをするに当たって、コアの強化や前屈、腸腰筋のストレッチなどを、背骨をニュートラルな状態で優しく動かすことが効果的であると言います。背骨の極端な動きはできるだけ避けるべきであり、その他禁忌事項ややった方がいいことなどはこの記事をご参照ください。


しかしながら、狭窄症をもつ人は誰でも、医師にどんな動きが推奨されるのかを明確に指示してもらうことが大変重要です。「狭窄症は背骨の複数箇所で起こることもあるので、みんなが同じように反応するわけではありません。あなたの医師や理学療法士から情報を得ることが最も大切です」とリーフ氏は言います。


ポーズとのつながりを感じ、今体験している感覚を感じられるようにゆっくりと行いましょう。「痛みやピリピリ感、痺れを感じたらすぐに止めましょう」  





以下の練習では、壁やストラップ、ボルスター、ブランケット2枚を使います。またブロックがあると良いでしょう。



1. チャイルドポーズ




チャイルドポーズでは、腰椎は優しく屈曲していて、多くの人で狭窄症の緩和になる姿勢です。「制御された部分的な屈曲です」急に動く深い前屈よりも安全に行うことができます。


四つ這いから、膝を開いて足の親指同士をくっつけます。
心地よいところまでお尻を下ろしていき、両手は前に歩かせます。ここで数回深呼吸します。



2. キャット&カウのバリエーション




キャット&カウは、背骨の柔軟性を高め、骨盤を動かす筋肉を強化します。このバリエーションでは「心地よければやや猫のアーチを作り腰椎を丸めますが、牛の後屈ではなくニュートラルに保ちましょう」背骨の伸展がLSSの症状を悪化させることが多いからです。


四つ這いになります。息を吸いながら背骨をいつもの「牛」ではなくニュートラルな形にし、腰椎の曲線は優しく、そして頭頂から尾骨の先までを遠くへと伸ばします。
息を吸いながら背骨を丸め、腿の方向を見ます。

毎回背骨を後屈ではなくニュートラルに戻しながら、この動きを数呼吸繰り返します。



3. プランクポーズ




プランクはコアを強化し、それが腰椎を支えるのに役立ちます。


四つ這いから、背骨をニュートラルに保ち、肩は手首の上にして頭頂を前方へ伸ばして、右足を後ろまで下げます。  つまさきを立てて、右かかとに向かって伸ばしましょう。


ここで数呼吸します。強度が強すぎる場合はそこで方向を入れ替えます。右膝を下ろして左足を下げましょう。あるいはもっと強度をあげるために・・・


左足を右足の横に下げ、腰幅にして両踵を後ろへ、頭頂は前へと伸ばしましょう。プランクのまま数呼吸し、吐く息でお腹を上に内側に引き込み、あとはマットへ両膝を下ろします。



4. ダウンドッグのバリエーション





下向きの犬のポーズでは、四肢は背骨の伸展と連携しています。やや穏やかな屈曲がLSSの症状を緩和するので、尾骨を天井に引き上げて腰をそらすのではなく、このポーズで腰を平らにしておく方が良いでしょう。


四つ這いから腰を後方へ引き上げ、最初は膝を曲げて行い、そのあと踵をマットに近づけるように心地よい範囲で脚を伸ばしていきます。(通常のダウンドッグよりスタンスが短いほうー腰が平らかやや丸い状態ーが楽な場合はそのようにしましょう)ここで数呼吸します。


 
5. 前屈からマウンテンポーズ





制御した前屈は大抵の場合、LSSの症状を緩和しますし、両手を腿から歩かせて起き上がる移行は腰椎にストレスをかけません。


ダウンドッグから前に歩いて、両手をブロックやすねにあるいは腿に置き(自由に膝を曲げましょう)、ここがいいという安心感を感じる場所まで移動しましょう。


両足で地面を押し下げ、心地よい範囲で膝を曲げ、両手を腿から上へ歩かせて背骨を伸ばして立ちましょう。




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次回に続きます。








(出典)

2024年2月3日土曜日

ヨガクラスで腰痛を防ぐ5つのヒント 
5 Tips for Preventing Back Pain in Yoga Class



多くの成人にとって腰痛はよくある問題ですが、世界的にも腰痛は身体障害の主な原因でもあります。腰痛の原因や治療法を人々が探し続けるにしたがい、ヨガが再度注目されています。2017年「Annals of Internal Medicine(内科論文集)」で発表された研究では、医師の腰痛治療は、薬を処方する前にヨガなどのエクササイズを薦めるべきだと書かれています。


しかし、他の運動などと同様に、ヨガにもリスクはあります。ヨガで腰痛を防ぐ(怪我ではなく癒しを得る)5つの方法をご紹介しましょう。


1. 繋がる


さまざまなバージョンの「Dry Bones(乾いた骨、つま先の骨は足の骨に繋がってる、といった歌詞」という古い歌がありますが、ご存知の方も多いかもしれません。私は、ヨガクラスでこの歌詞の一部を使って、全ては繋がっているということをみんなに思い出してもらいます。ミシェル・エドワーズは著書 YogAlign の中で、人体を全体的に見る重要性について述べています。「体の全ての部位は全身に影響するため、体の前側の短縮や収縮は体の後ろ側にとてつもなく大きなストレスや牽引を与えます。体はそれぞれ繋がり合っています。他の部位に影響を与えることなくどこかを動かすことはできません」


体はひとつのシステムであり、それぞれの部分の集まりではないと認識することが練習の中で腰痛を防ぐ基本となります。エドワーズが特に問題とするのは、背中の健康と「シックスパックの腹筋」との関係です。彼女が言うには、固まった腹筋で体の前面が縮まると背中の痛みや筋力の低下につながり、そのためにバランスが崩れて腰痛を引き起こします。腰痛には腹筋運動というよりは、解剖学的に理解されたアサナや深い呼吸の練習、そして活動的なライフスタイルを続けることでマインドフルに体幹を作り上げることを薦めると彼女は言います。


エドワーズはまた、彼女のクラスに全身のマッサージを取り入れています。私は、大抵クラスの初めに彼女の「足指組み」と足裏マッサージをして、生徒たちにすべては繋がっている(そして体の後ろ側の筋膜は足裏から背中に繋がっていて頭骨までずっと通っている)からだと思い出してもらい、足をケアすることは腰の健康にもよいと伝えます。数分間そうして左右の足をマッサージしてから、右手で左足指を組んで指どうしを握り合って足指を強くします。これをまた反対側の足でも繰り返します。


練習するときは、繋がっているということを頭に入れることが腰痛を防ぐために不可欠なのです。




2. 自身の限界を知る


亡きT.K.V.デシカチャー氏は、現代の最も尊敬されるヨガ指導者の一人で、いまも彼の教えは何千もの生徒や指導者たちに影響を与え続けています。彼の最も素晴らしいヨガへの功績のひとつは、自身の練習を作り上げることを強調したことです。著書 The Heart of Yoga の中でデシカチャーはこう述べています。「自身の原点を認識し受け入れることを学ばなければ、アサナに不可欠な性質を見出すことはできない」自身の限界を見つける大切な第一歩は原点を知ることなのです。


Living Yogaで「A Nonviolent Approach to Extending Your Limits(自身の限界を越えるための非暴力的アプローチ)」と題されたエッセイの中でケン・ダイヒウォルドは、自身の限界を探る重要性について考察しています。限界にとどまり続けない一方でそれを越えることが悪影響になることもあり得ます。ダイヒウォルドはそうした限界のことを、ある意味「自己破壊と自己改善のの微妙な差」と定義しています。練習での腰痛など他のどんな痛みでも避けるには、自分がどこにいるのかから始め、その場所を尊重し、そしてマインドフルに自分の限界を探求することが必要です。


実際には、マットの上でどんな鋭い痛みをも避けることが、自分の限界を超えない確実de
最も明確な方法だと言えます。そしてデシカチャーは、練習の一体感を保つのに呼吸が有益な方法になりうると信じていました。彼はウッジャイ呼吸(「音を出す呼吸」「海の呼吸」とも言われます)の提案者です。「練習の中で、穏やかで均等、かつ静かな音が維持することが難しいなら、それはもう自分の限界を過ぎてしまっている」限界の内側にとどまるためのツールとして呼吸を使いましょう。背中を守り、障害続けられる練習にむかって進みましょう。



3. 補助具をたくさん使う


私が主に教えているのは優しくレストラティブなスタイルのヨガです。クラスを始める時はたいてい、練習の中でより心地よくできる場所を探るよう生徒たちに尋ねます。「もっとスピードを落とせるのはどこでしょう?和らげられるでしょうか?」私はそう聞きます。全身そして特に背中をいたわる素晴らしい方法は、ヨガの補助具をうまく使うことです。


ヨガクラスの間、どこで補助具を使うかを生徒と先生が伝え合うことが理想的です。けれど、補助具を使うことが正しいポーズに役立つかは見た目ではわからないポーズが二つあります。一つ目は、呼吸の練習をしたり集中したりできるよう、多くのクラスで始めにやる足を組んだスカアサナ(安楽座)というポーズです。けれど、安楽座が安楽でなかったらどうでしょう?もしそうなら、お尻の下に折り畳んだブランケットを置いたり、ブロックやボルスターの上に座ってみましょう。補助具を使ってもまだスカアサナが心地よくなければ、ヴァジュラサナ(稲妻のポーズ、正座)を試しましょう。股関節と腰とは複雑に関係しているので、多くの人にとってスカアサナで必要となる股関節の外旋を避けることが腰に優しい座り方になります。もうひとつは、ほとんどの人がヨガの練習で数分以上を過ごす休息のポーズ、シャヴァサナです。これは私が生徒にぜひ補助具を使って欲しいと薦めるところです。この最後の至福のポーズに辿り着いて背中にただ緊張感を感じるだけなんてがっかりですよね。まっすぐに横たわって腰に痛みや緊張感があることに気づいたら、大きいボルスター(あるいは折りたたんだブランケット2枚)を両膝の下に置いてみましょう。これを試した後は、ほとんどの生徒がいわゆる普通のシャヴァサナではなく、腰にもっと心地よい姿勢を選んでいるようです。



4. 前屈に気を付ける


ヨガ界では前屈についてはやや異論が多く、腰痛や怪我の原因となるという人もいれば、誰もがすべきヨガの練習だと信じる人もいます。またここで、デシカチャーの言葉が鍵となるようです。「ヨガの練習は、誰にでも合うように作り上げるべきである」前屈はあなたの練習に合っていますか?どうしてそうなんでしょう?あなたの体が必要としているものにぴったり合った前屈をするにはどうすればいいのでしょう?例えば、今は前屈をする時間を短くする、あるいは前屈をするときはいつも膝を曲げるなどでしょうか。


ジュリー・グッドメスタッドは、私が頼りにしているヨガ解剖学と前屈の専門家です。ヨガジャーナルの解剖学コラムでは、「前屈は素晴らしくリラックスでき内省的なポーズである一方で、特に脚の裏側が硬い人には腰のストレスや怪我となり得ます」と彼女は書いています。


私自身の練習では、立位でも座位でもたっぷりと膝を曲げることが、私のしつこい腰痛をマットの上でも外でも和らげてくれています。再度デシカチャーの引用です。「前屈を強めようとして腕の筋肉を使うべきではない」


ここでもまた、前屈にどう体が反応するか実験してみましょう。前屈が良くないと感じるなら、数週間やめておくか、腰の健康や軽さに影響があるかを注意深く検討して、最も優しいものから少しずつ行なっていきましょう。前屈での腰の痛みや引かれる感覚は、ポーズを調整するか他のポーズをする時だという強い指標になります。また、呼吸が前屈でストレスを受けるようであれば、あなたの体がもう一度考えてみてちょうだいと伝えているのかもしれません、最後に、ヨガの先生にあなたの前屈を分析してもらうようにお願いすることが、あなたの腰を守り癒す洞察になるかもしれません。



5. マットの上でも外でも「養うように」動く


私のヨガの教え方や練習にとても影響を与えたもののひとつが、ケイティ・ボウマンが「養う動き(nutritious movement)」と呼ぶ概念です。生体力学者ボウマンは、健康や幸福への全体的アプローチの提唱者です。毎朝1時間ヨガをすることはとても良いことですが、その日の後の時間のためにどのように動くでしょうか?座りがちでしょうか、よく動く方でしょうか?マインドフルに動くのでしょうか、体や姿勢の悪い癖を強めるのでしょうか?ヨガは腰痛のたったひとつの解決法というわけではなく、パズルの1ピースのようなものだと考えるのがより現実的なアプローチだと私は思います。また、腰痛が再発したときのたったひとつの解決法というよりは、より広い心身の鍛錬の1ピースだと考えて練習のプレッシャーをやや緩めるといいように思います。マットの外で過ごす23時間をよりマインドフルに「養うように」動くと、マットの上でも痛みを感じることが少なくなります。



ヨガ哲学の「アヒムサ(非暴力)」を念頭において、私たちは、より大きな全体像の一部として腰痛を防ぐ方法を探ることができます。より高みにあるものの役に立つ力を与えてくれる癒しのヨガを作り上げるのです。ヨガクラスで腰痛を防ぐことで、これから何年間も続けれられる練習が確実にできます。



慢性の腰痛はありますか?
ここでヨガクラスで腰痛を防ぐ方法を見つけられたでしょうか?









(出典)https://yogainternational.com/article/view/5-tips-for-preventing-back-pain-in-yoga-class/

2024年1月30日火曜日

伝統的なヨガで筋肉のバランスが崩れる? Vol.2
Does Traditional Yoga Lead to Muscular Imbalance? - Part 2



前回は、ヨガにおける肩の健康に影響を与える解剖学的な隠れた不均衡を探りました。ヨガは完全な「バランスの良い」実践だと言われることが多いのですが、アサナの動きを分析するとそうでもないことがわかります。伝統的なヨガは、肩の「押す」筋肉を強化するにはとてもよい働きをしますが、反対のグループである肩の「引く」筋肉を強化することはありません。ヨガは無数の効果がある素晴らしい活動であることに違いはなく、ヨガの持つこの不均衡は決して欠陥ではありません。それはただ引くための対象を用いないマット上での実践であるというだけです。この押す・引くという動きの不均衡にが結果的にヨギたちの肩の機能的強さのバランスを崩し、長期的な怪我のリスクを高めることもあるのです。

 
幸いにも、ヨギがこの強さのアンバランスを直すために可能な効果的で創造的な方法はたくさんありますが、伝統的なヨガではない他の運動にも目を向ける必要があります。ヨガマットの上で行う押すポーズとのバランスを取るための引く動きを習慣的にやれば、肩に本当に機能的なバランスを取り戻すことができるでしょう。それではここで、ヨガで行う押す動きとのバランスをとるための方法をいくつかご紹介しましょう。




ブランケットを使ったサーフィン


これは私の好きな動きの一つです。とても効果的な肩を引くエクササイズで、ヨガの練習に取り入れやすいです。


ヨガブランケットをヨガマットのサイズくらいに折りたたみ、硬いフローリング(あるいはその他なめらかな面)に置きます。ブランケットの上にうつ伏せになり、手のひらを床に向けて腕を耳の横で前に伸ばします(腕以外の全身をブランケットに乗せて置きます)。息を吐きながら、両手を床にしっかりと置いたまま体を手の方向へ引きます。体とブランケットを前に滑らせながら、左右の肩甲骨を引き寄せましょう。動きの最後には、肘が曲がり両手は胸の横あたりにあるはずです(手首の可動域によって、胸よりも前後するかもしれません)。そこでまた腕を前に伸ばし、てのひらを床に根付かせて繰り返します。







プルヴォッターナサナ(上向きの板のポーズ)


ヨガでこのポーズを好きな人はほとんどいないことに気づいていましたか?これは実際に肩を引く筋肉を使う珍しいアサナだからです!そして、一般的に肩を引く筋肉は肩を押す筋肉よりもかなり弱いため、多くのヨギにとってこのポーズはとても難しいのです。プルヴォッターナサナは、厳密に言えば、自分の方に何かを引くわけではないので肩を引く動きではありませんが、引くための筋肉の一部に効果的です(全ての筋肉ではないにしても)。ヨガの指導者には、この素晴らしいポーズを飛ばすか、クラスに一度くらいしかやらない人が多いです。けれど、ヨガでかなりの肩を押すポーズをすることを考えると、プルヴォッターナサナはできるだけ行った方が良いのです!


まずは、ダンダーサナ(杖のポーズ)で、指を前に向けた手を腰の後ろ20センチあたりに置きます。息を吐きながら、両手両足を床に押して腰を空へと持ち上げます。そのまま5回呼吸してから、ゆっくりと腰を床まで下ろしましょう。




プルヴォッターナサナが辛いと感じるなら、代わりにリバース・テーブルを練習してみましょう。同じポーズですが、膝を曲げて踵を膝の真下に置きます。






レジスタンス・バンドでボート漕ぎをするダンダーサナ


私の解剖学の先生であるジェイソン・レイ・ブラウンは、数年前にヨガに押す・引くの不均衡があることに気づきました。創意に満ちた彼は、クラスにレジスタンスバンドを取り入れて、以下のような運動をシーケンスに入れることにしました。レジスタンスバンドという従来は使われていない補助具を必要とはしますが、どんなヨガクラスにも簡単に組み込むことができます。


ダンダーサナから始めます。レジスタンスバンドを足指の付け根にかけて、バンドの両端を手を持ちます。息を吐いて、肘が後ろの壁の方へ移動するようにバンドをまっすぐ引きます。息を吸って、ゆっくりと前に腕を戻しましょう。筋肉が疲れるまで何度も繰り返します。バンドの硬さによりますが、20ー50回ほどボート漕ぎをします。






ぶら下がりと懸垂


ぶら下がりは、ハンドスタンドなどの逆立ちに対するほぼ完全な補完と言えるでしょう。ハンドスタンドが、両手を地面に置いて行う垂直に押す動きである一方、ぶら下がりは、バーを掴んだ両手でハンドスタンドの逆をするようなものです(垂直に引く動き)。逆立ちを習慣的に練習していなくても、ぶら下がりはヨギにとって(そして体を持つ誰にとっても!)とても良い肩を引く動きであることに違いはありません。


もし、ほとんどの人と同様に、子供のころのジャングルジム以来ぶら下がったことがないのなら、いきなり完全にぶら下がらないことが重要です。肩というのは、体重全てを支えながらぶら下がる動きには適していません。まずは安全に懸命に、怪我をしないでぶら下がれるようになる必要があります。完全なぶら下がりで体重を支えられるほど肩の引く筋肉が強くなってから、何の補助もなく完全な懸垂がマスターできるよう練習してみましょう。




ロック・クライミング


ロック・クライミングは、ヨガの不均衡に対抗するすばらしい活動です。ヨガは、床から体を押して話す動きばかりですが、ロック・クライミングは、登っている岩肌に向かって体を引く動きだけで成り立っています。やったことがない場合、ロープやハーネス、特別な靴などについて知っておいて損はないでしょう。ほとんどのジムでは初心者クラスもあるので、すぐに基本が身に付くはずです。





これらは、肩を引く筋肉を強化するための数えきれないほどある選択肢のほんの一部でしかありません。いくつかを試してみて、ヨガの練習で慣れている押す動きとの違いに気づいてみましょう。多くの場合、体をさまざまな方法で動かせてみればみるほど、同じ動きを繰り返すよりも、ヨガの練習で得ようとしている本当のバランスと健康を養うことができることでしょう。

2024年1月24日水曜日

伝統的なヨガで筋肉のバランスが崩れる? Vol.1 
Does Traditional Yoga Lead to Muscular Imbalance? - Part 1


ヨガを実践する人の多くは、体や心、精神のバランスを作り出す本質的な力がヨガにはあると信じています。ヨガは変化をもたらす素晴らしい実践ですが、アサナには意外にあまりバランスが良くはないものもあります。実際、この不均衡が身体的な怪我の元になる可能性も低くありません。


「バランス」という言葉は、霊的な体験から精神、そして物理的空間での肉体的なバランスと多岐にわたります。けれど、ここで論じようとしているのは、肩の機能的筋肉バランスについてです。ヨガは肉体的に完全にバランスの取れたものだと教わることが多いのですが、解剖学的視点でヨガのアサナを深く調べると、アサナを通して肩のいくつかの筋肉はとても強化される一方で、他の筋肉は全く強化されないということがわかります。この筋肉の不均衡が長期的には怪我や痛みとなって現れます。


幸い、私たちの体は負荷に対して常に適応しているので、筋肉バランスが崩れたままにはなりません。けれど、この問題に気づき理解することが、私たちの肩を健康でバランスの取れた状態にする第一歩となります。






ヨガにおける肩の強さの不均衡


ヨガがどのように体の筋肉の不均衡を作り出すのかを理解するために、2つの解剖学的動きを理解する必要があります。肩を押す動きと肩を引く動きです。
 

肩を押す動きは、何か押して体から遠ざける際に腕を使う動きです。玄関を通ろうと重たい扉を押す、あるいはリビングを掃除する際に掃除機を押すのをイメージしてみてください。肩を押す動きをする時はとても多くの筋肉が共に働くのですが、この動きに関連する主役に焦点を当てましょう。腕を使って何かを遠くへ押す時、主に働く筋肉は胸筋、三角筋前部(肩の前にあります)、三頭筋(上腕の後ろにある筋肉群)、そして前鋸筋(肩甲骨から胸郭の横に広がっています)です。これらの筋肉は、腕の角度や動きと重力との関係によって異なる働きをしますが、「押す」筋肉群はこれら4つの大きな筋肉だと考えることができます。


ヨガの中でよく見られる肩を押す動きの例をいくつか見ていきましょう。ヨガでは、玄関扉や掃除機はありませんが、何度も押す大きな面があります。ヨガマットのしたにある床です。プランク・ポーズは、腕でこの面を遠くへ押すアサナの完璧な例です。ここでの肩の動きをイメージするには、このポーズで腕を使わなければ何が起こるのかを想像するとわかりやすいでしょう。腕の力を全て抜いてしまえば、肘は体重で曲がり、体が重力で床に崩れるでしょう(あまりいい格好ではありませんね!)。けれど、床に崩れないで、肩を押す筋肉群(胸筋、三角筋前部、三頭筋、前鋸筋)を収縮させて床を押すことで、腕を伸ばしたまま床から体を浮かせておくことができます。


その他ヨガでの肩を押す動きは、アドムカ・シュヴァナサナ(下向きの犬のポーズ)、チャトゥランガ・ダンダアサナ(ヨガの腕立て)、アドムカ・ヴルクシャサナ(腕立ち)、バカアサナ(カラスのポーズ)、ヴァシシュタサナ(横向きのプランク)などがあります。
 

押す動きと異なり、肩の引く動きは自身の方へ何かを引く時に起こります。地面の頑固な雑草を引く時、リスを見つけて捕まえたいと追いかけようとしている犬のリーシュを強く引っ張っている時などを考えてみてください。こうした肩を引く動きをしている時に収縮している主な筋肉のことは、肩を押す筋肉群の「拮抗筋」と呼びます。それには、菱形筋、中部僧帽筋(左右の肩の後ろにあります)、二頭筋、上腕筋(腕の前に走る筋肉です)、広背筋(背中の大きな筋肉)があります。ここでも腕の角度や重力との関係性によって、各筋肉の働く強さは異なります。しかし、この全体的な筋肉群が肩を引く筋肉だと考えてください。
 


ヨガでの肩を押す動きについて理解したことを基に、肩を引くヨガの動きがあるか考えてみましょう。この分類に正しく当てはめるには、そのポーズは腕で自身の方に何かを引可なければならないということを忘れないでください。どのポーズでしょうか?思いつきますか?これが引っ掛け問題じゃないかと思ったあなた、正解です!実際は、ヨガでは自分の方に引く何かは存在しません。伝統的なヨガは、自分の体とマット、床、そしてポーズを支えるため(引くためではなく)の様々なプロップスのみで行います。ヨガでは、頑固な雑草や興奮した犬を引くことはありませんし、練習の中で肩を引く動きもないのです。強く肩を押す動きが数多いこと、それを補完する肩を引く動きが全くないことを組み合わせた時、機能的強さのアンバランスが起こるのは自然な結果です。
 

ここで明らかにして置きましょう。引く動きがヨガに全くないのは、ヨガの欠点ではなく手落ちでもないのです。単に床の上のマットで全て行う練習での動きだという事実だけなのです。けれど、ヨガがバランスの良い完全な長期の健康とウェルネスの実践だと表現されるため、多くの人たちは主な運動法としてヨガを選ぶのです。そういった意味では、ヨガは実際にはその目標を果たしてはいません。
 

ありがたいことに、「ヨガの肩」に本当に機能的なバランスを取り戻すための方法は、伝統的ヨガの境界を超えて動きのレパートリーを増やす必要はあるものの、数多く存在します。次回の記事では、ヨガマットの上でも外においても、肩の強さの不均衡に対処するクリエイティブな方法をご紹介しましょう!


2024年1月18日木曜日

坐骨神経痛のための10のヨガポーズ Vol.2
10 Yoga Poses for Sciatica Pain Relief

前回からの続きです。

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6. 膝を胸につけるポーズ・ガス抜きのポーズ(パバンムクタサナ)


これは、腰や股関節、臀筋の凝りをゆるめるとても良いポーズです。
強度を緩めるには、片脚ずつ行いましょう。



  1. 仰向けに寝て、両膝を胸に引き込みます。
  2. 足首と膝を揃えて引き込みながら、腿の後ろか脛の前に両手を伸ばします。
  3. 手が届くなら指を組むか、反対側の肘を持ちます。
  4. ストレッチを深めるには、頭を持ち上げて顎を胸に引き寄せましょう。
  5. このポーズを1分間保ちます。



7. 仰向けの鳩のポーズ(スプタ・カポタサナ)


仰向けの鳩のポーズは、腰を支え股関節の圧迫を少なくする働きがあります。臀筋や股関節とともに梨状筋もストレッチされます。


  1. 仰向けで膝を曲げ、踵を骨盤の方へ近付けます。
  2. 右膝を曲げて、右足首を左腿の付け根に乗せます。
  3. すでに深いストレッチを感じていればこのままでいましょう。
  4. より深めるには、左足を持ち上げて左膝を胸に引き上げます。
  5. 左の腿裏あるいは脛で手を組みます。
  6. ここで1分間保ちます。
  7. 反対側でも繰り返します。



8. 橋のポーズ(セツ・バンダ・サルヴァンガサナ)


橋のポーズは、背骨をストレッチし、痛みや緊張を緩和します。優しく体が刺激され血流が促されます。また、脚や臀筋、コアにも効果があります。



  1. 仰向けで膝を曲げ、踵を骨盤の方へ近付けます。
  2. 両腕は体の横に手のひらを下にして置きます。
  3. ゆっくりと背骨を床から持ち上げて、腰をできるだけ高く上げます。
  4. 両膝か両腿の間にブロックを挟んで、アライメントを維持しましょう。
  5. ゆっくりと下ろします。
  6. この動きを10回繰り返します。
  7. 最初の姿勢で体をリラックスしましょう。
  8. このポーズの高く上げた位置で1分間保ちます。



9. 半魚神のポーズ(アルダ・マツエンドラサナ)


このねじるポーズは、背骨を伸ばし痛みや緊張を緩和します。腰のあたりから始まるねじる動きを感じましょう。


  1. まずは座ります。
  2. 右足を左腰の外側に置いて、膝が前方か横に向くようにします。
  3. 左足を右腿の外側に移動します。
  4. 左手を後方の床に置き、指先で支えておきます。
  5. 右腕を左腿に巻き付けるか、あるいは左腿の外側に置きます。
  6. 息を吸うたび、背骨を持ち上げて伸ばしましょう。
  7. 息を吐くたび、もう少し捻ってポーズをより深めていきます。
  8. 頭を回して、好きな方向に視線を向けます。
  9. 1分間続けます。
  10. 反対側でも繰り返します。



10. 脚を壁に上げるポーズ(ヴィパリタ・カラニ)


体を休ませ、リラックス、回復させる究極のリストラティブ・ポーズです。
クッションやボルスターを腰の下に置くとより安定します。


  1. 壁を右にして座ります。
  2. 横たわって両脚を回し壁の方へ挙げ、心地よい範囲で腰をできるだけ壁に近づけます。
  3. 頭の下に枕や折りたたんだブランケットをおきましょう。
  4. 両腕は快適な場所に置きます。
  5. 体をしっかりとリラックスして重く下ろしましょう。
  6. このポーズを最大20分間続けましょう。




坐骨神経痛の時に避けるべきポーズ


症状を悪化させる場合があるので、坐骨神経痛の時は避けた方が良いヨガポーズがいくつかあります。体の声を聞きながら感覚を尊重し、不快に感じるポーズを無理にやろうとしないようにしましょう。


その日の自分自身に最も効果的だと思うものを試しましょう。痛みが起こるどんなポーズでもやめておきます。


骨盤や腰により負担をかける可能性があるので、座位や立位の前屈(ダウンドッグ以外)はやめた方が良いでしょう。仰向きの前屈は可能です。股関節や腰が支えられているからです。


坐骨神経痛はたいていの場合は片側の脚にのみ現れるので、片側だけ行えるポーズがあるということに気づくでしょう。どのポーズにおいても膝は自由に曲げても構いません。座位ポーズで不快感を感じる場合は、膝の下にクッションを置きましょう。



妊娠中の坐骨神経痛の場合は、腹部を圧迫したり強く引くポーズは避けましょう。強い後屈や捻りのポーズ、または腹部を圧迫するポーズもしないでおきましょう。必要に応じてボルスターやクッションを使ってポーズを変更しましょう。



さいごに


坐骨神経痛がある時は、上記のポーズが役にたつかもしれません。そのほかのポーズも、簡単で優しく安全なポーズを練習してみましょう。


可能なら、ヨガクラスや個人レッスンを受けてみましょう。正しい方法で行えているかをチェックするため、月に一度はプロに相談するのも良い考えです。個人レッスンがなければ、クラスの前や後に先生と話をするのも良いでしょう。


もし、坐骨神経痛の痛みが1ヶ月以上続いていたり、深刻なものであったり、通常ではない症状を伴うようであれば、医師や理学療法士に相談しましょう。


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過去の記事も参考にされてください。
https://jyotis3yoga.blogspot.com/2015/12/poses-to-soothe-sciatica.html



(出典) https://www.healthline.com/health/yoga-for-sciatica

2024年1月15日月曜日

坐骨神経痛のための10のヨガポーズ Vol.1
10 Yoga Poses for Sciatica Pain Relief


坐骨神経痛とは?なぜヨガがいいのか?



坐骨神経は、腰から臀部の深いところを通り腿へ、そして脚の横を通っています。坐骨神経痛の原因は、圧迫や炎症、坐骨神経や腰椎の損傷です。また、固まったり、使いすぎたりして損傷した筋肉が原因で坐骨神経痛は起こることもあります。


坐骨神経痛の痛みは、ピリピリ、ズキズキ、また燃えるような感覚で、脚に沿って下方へと走ったり広がったりします。また、痺れやチクチク感、炎症を感じることもあります。大抵の場合、坐骨神経痛は体の片側だけに現れます。


坐骨神経痛は、多少の不快感を起こすようなちょっとしたやっかいごとにすぎないことも多いのですが、深刻な痛みを起こすこともあります。


2013年の小さな研究では、コブラのポーズやバッタのポーズなどのヨガポーズが、坐骨新の症状を和らげるのに効果的だとわかりました。2017年に始まった研究でも、ヨガには以下の効果があるとされています。
・慢性の腰痛を和らげる
・運動機能を向上させる
・鎮痛剤の使用を減らす



では、坐骨神経痛を予防、緩和、治癒させるためにヨガをどのように使用できるかを深く探ってみましょう。




1. こどものポーズ(バラアサナ)


こどものポーズは、体を感じ取りリラックスさせる素晴らしい方法です。背骨を長く伸ばし、股関節や腿、腰の柔軟性を促し開きます。



支えが必要なら、腿や胸、額の下にクッションやボルスターを置きましょう。
  1. 四つ這いから始めます。
  2. 両膝を揃えて踵の上に腰を下ろします。
  3. 両腕を前に伸ばすか、体の傍に休ませます。
  4. 上半身を完全にリラックスさせて、腿の上に重く下ろしましょう。
  5. 深い呼吸を意識し、体全体のこわばりを解いて気持ちをリラックスさせます。
  6. このポーズを5分間保ちます。


2. 下向きの犬のポーズ(アドムカ・シュヴァナサナ)


この前屈ポーズは、体のアライメントを整え、痛みやこわばりを解きます。下向きの犬のポーズは、全身を強化しながらバランスを整えるのに役立ちます。



  1. まずは、四つ這いになります。両手を押して腰を天井の方向へ持ち上げましょう。
  2. 上腕の横に耳がくるように頭を下げるか、顎を胸の方まで引き下げます。
  3. 両膝を曲げて骨盤をやや前に傾けます。
  4. 直感的に心地よいと感じられるよう体の位置を調整しましょう。
  5. このポーズを1分間保ちます。


3. 三日月のポーズ(アルダ・チャンドラサナ)


三日月のポーズは、体を強化、安定させバランスを養います。柔軟性を高め、緊張を解き、背骨や臀筋、腿をストレッチします。



このポーズは壁を使い安定させて行います。手の下にブロックを置いても良いでしょう。


  1. 右足を前にした立位のポーズ(三角のポーズなど)から始めます。
  2. 右膝をやや深く曲げて体重を右足にかけていきます。
  3. 左手を腰におきます。
  4. 左足を数センチ前にスライドさせながら、右手を右足から右前の床に伸ばしましょう。
  5. 床を並行になるまで左脚を持ち上げて、左のかかとに向かって蹴ります。
  6. 前を見たまま、上半身を回転さえて股関節を開きます。
  7. 深めるには、左手を天井の方へ持ち上げて、視線も上に向けましょう。
  8. このポーズを1分間続けます。
  9. 右脚を曲げながらゆっくりとポーズから出て、左脚を床に下して元の位置に戻りましょう。
  10. 左足前にして繰り返します。



4. コブラのポーズ(ブジャンガサナ)


この穏やかなポーズは、背骨を強化、ストレッチし、血流と柔軟性を高めます。



  1. うつ伏せになって、両手を肩の下におきましょう。
  2. 脇を締めます。
  3. 息を吸って頭、胸、肩を持ち上げます。
  4. ひじを少しだけ曲げたまま、胸を開き続けます。
  5. 腿、腰、腹部に力を入れておきます。
  6. 30秒間保ちましょう。
  7. ポーズから出たら休んで、1-3回繰り返します。


5. バッタのポーズ(シャラバアサナ)


このポーズは、背骨、臀筋、腿を強化します。コアと腰を安定させます。また、股関節の血流や柔軟性を高めます。




  1. うつ伏せに横たわり、背中側で両手を組んで骨盤におきます。
  2. ゆっくりと胸、頭、腕をできるだけ高く持ち上げましょう。
  3. 両腕を体から遠くへと離していきます。
  4. 深めるには、両脚を挙げるか、片脚ずつ挙げましょう。
  5. 臀筋や腰、腹筋を使います。
  6. 30秒間維持しましょう。
  7. ポーズから出て元の位置に戻ります。
  8. 優しく腰を左右に揺らしながらリラックスし、呼吸数回の間、休憩します。1-2回繰り返します。



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次回に続きます。

2023年12月18日月曜日

ヨガの生命の樹
The Yogic Tree of Life



ほとんどの人にとって、樹木というのは地面から育つのが普通ですが、ヨガ的には樹木は逆さに成長します。「アシュワッタという永遠の木がある。その根は上にあり、枝は下にある」と、死の神秘を明かすヨガの書物であるカタ・ウパニシャッドでそう語られています。ヨガマスターや、シベリアのシャーマン、ペルシャの司祭、古代ケルト族、そしてバイキングたちもこの木のことをよく知っていました。


私の祖父母がイッグドラシルと呼ぶこの驚くべき木は、ノルウェーでは空から地面に向かって育つといいます。オーディンやトールなどの北欧の神は、私たちとは異なる枝に住んでしました。実際に古代のイギリス人たちは、自分たちのことを「ドルイド」つまり「その木を知る者」と呼んでいました。しかし、私がヨガを学び始めるまで、この逆さの木がいったい何なのか知りませんでした。


私が知る限りアシュワッタについて語る最古のものは、5000年以上前にインドで編纂されたリグ・ヴェーダです。「その木とは何か?何でできた木なのか?それが形作られているのは地なのか天なのか?」インド古代聖者たちは、文字通りその木を空に置きました。夜に外に出て、黄道(太陽や惑星の通り道)が天の川と交差するあたりの蠍座を探してみましょう。そこには、ヨギがムーラ「根」と呼ぶ空の蠍の尻尾に小さな星座が見えるでしょう。これが、世界の木が育つ天界の根です。ここはまた銀河の中心でもあるという驚くべき偶然が、もしあなたが偶然を信じるならですが、起こっています。


空に散らばる星たちを十二宮を逆さに辿っていくと、蠍座にアシュワッタの幹が生えていて、天秤座の方へ腕を伸ばしていて(インド星座では「分かれた枝」という意味のヴィシャカ)、そして獅子座や乙女座にある枝に実をつけています(「木の実」という意味のファルグニと呼ばれます)。古代聖者はここにカニャという若い女性を置きます(乙女座)。彼女は、木の実に片手を伸ばしています(からす座はハスタと呼ばれ「手」を意味します)。そしてそこで彼女の隣で木に巻きついた長い蛇がうみへび座で、古代インドではアシュレシャ「蛇の王」と言いました。インドの伝説によれば、この木の実はヨギ以外は食べてはいけませんでした。そのすざましい力は彼らにしか扱えなかったからです。


さて、ここでびっくりです。古代のインドやイランでは、天空の木は一本ではなく二本あったというのです。一方は金の実をつけ、もう一方は銀の実をつけます。これらは、蛇がイブに食べるよう誘惑した、聖書の知識の木やエデンの園の生命の樹を思い出させませんか?モヘンジョダロ(パキスタンの遺跡)で発見された粘土版の記述から、聖書の最古の部分がが編纂された1000年以上も前にインドではアシュワッタの木が崇められていたことがわかっています。古代アッシリア人もまた、女神イシュタル(乙女座)が世界の木のかたわらでライオン(獅子座)の上に立つ絵を残しています。これら星座の神話は、おそらく聖書のアダムとイブの物語の原型なのでしょう。イブは、黄道に沿ってなる木の実に手を伸ばしています。インドでは、ヨガの書物の中で十二宮のある黄道をアディチャスと呼び、木の実を食べたアダムとイブがとらわれてしまった死と再生の車輪、つまりサムサラ(輪廻転生)を表します。


ヨガの伝統では、行動の結果(木の実)への執着をなくすよう学びます。それはカルマをより複雑にするだけだからです。


ノルウェー神話では、木の世話をする三人の庭師が出てきます。一人目は過去を知るウルドという老婆で、二人目は現在を知るヴェルダンディという若い女性、最後は未来を知るロヒニという無垢な女の子で牡牛座の星アルデバランに関係があります。若いヴェルダンディはインドではチトラと呼ばれますが、西洋の天文学者からは乙女座のスピカとして知られます。運命をコントロールするとバイキングが信じている恐ろしい老婆のウルドは、インドの人がジェスタと呼ぶ赤く輝く星、蠍座のアンタレスです。この3つの星はそれぞれがほとんど同じ距離で離れていて、4方角を示す伝統的な天空の指標のうちの3つです。


古代インドで最も重要な儀式、馬の供犠で、この3つの星を表す3人の女性が儀式の頂点で午に手を置きます。この馬の供犠との関係が特に興味深いところは、世界の木の意味を持つアシュワッタは、実は「馬が立っている場所」という意味だということです。天空の馬とはもちろんペガサス座で、サンスクリットではダディクラス、4つ目の指標です。ペガサスは、天の北極の周りを永遠に駆け続けます。天の北極は、動くことのない北の空の一つの点です。それ以外の天空の全ては、周りを動きます。それは、時や変化の外にある魂を表します。私たちの内なる魂は完全な静寂の場所から、まるで回転する独楽の動かない車軸のように、周りで起こる物事を観察しているのです。


ノルウェーの天の北極はふたつめの木で、黄道の周りを回っている善悪の知識の木と直角に立っています。この北の木の銀の実は、有名なヨギの不死の蜜であるソーマの源です。これが、アダムとイブが食べることを禁じられた生命の樹です。カタ・ウパニシャッドは、わかりやすく暗示しています。「アシュワッタと呼ばれる永遠の木がある。その根は上に、枝は下にある。その輝く根はブラフマン、至高の真実と呼ばれ、それのみで死を超える。この世に存在する全てはその一点に根ざしている。それを超えるものは何もない」ウパニシャッドは、アシュワッタの樹の輝く根、つまり動かぬ一点を自分自身の中に見つけなさいと伝えているのです。では、実際にはどうすればいいのでしょうか?


ヨガで馬が象徴するのはプラナ、生命の呼吸です。呼吸は、ペガサスが北極星に繋ぎ止められているように、私たちの心に繋ぎ止められています。呼吸の周期は、ペガサスが天空を終わることなく回り続けるように、何度も何度も巡ります。しかし、ヨギたちは、自分の存在の動かない中心に意識を統合し、呼吸をゆっくりに、そして最後には呼吸を止める方法を知っています。これがサマディの状態で、瞑想の最も深いレベルです。


深い瞑想の中で、木に登り始めることができます。あなたの中にあるアシュワッタは背骨です。背骨の最下部にあるムーラダーラ・チャクラのことを根のチャクラと言いますが、超自然の根は実際には頭頂にあるサハスララ・チャクラにあり、そこが聖なる意識のある中心です。それが目覚めるのは、自身の外にある実を欲するのをやめ、内側に意識を向ける時です。そして、意識の力であるクンダリニの蛇が背骨に対応する微細な経路を頭頂へと上り始めます。インドからスカンジナビアに渡る世界の樹にまつわる伝説はどちらも、蛇が辿り着こうとする樹のてっぺんの近くに鷲がいると伝えています。鷲とはアジナ・チャクラで、眉間の後方にある意識の中心です。蛇が鷲を過ぎて超自然的な神経樹の最高地点に達した時、悟りが開かれると言われています。


バガヴァッドギータで、最上のヨギであるクリシュナは言います。全ての樹の中で聖なる意識が最も存在しているのはアシュワッタであると。もうひとつの聖典バガヴァータ・プルナでは、クリシュナは死の間際、意識を内なる存在へと引き入れアシュワッタの樹に沈思したと伝えています。死の時にすべての意識を内なるアシュワッタの天空の根に向けることができれば、ヨガの実践において何か素晴らしいことを成し遂げたといえるでしょう。






ところで、アシュワッタの木は実際に存在します。植物学者はそれをインド菩提樹と呼びます。その木の下に座って、ブッダは悟りを開きました。バニヤンツリーの一種で、最初は地面から生えますがその後たくさんの根を枝から下に伸ばします。その先が地面に到達すると、それがまた根となり新しい樹となります。このように、ひとつのアシュワッタがアシュワッタの森となります。そこで「どれが元の木なんだろう」と自問した時、森に生えている全ての木が実は元の木なのだということに気づくのです。見た目はたくさんの木が生えているようですが、本当はたったの一本なのです。古代のヨギが世界を象徴するためにアシュワッタを選んだのは、それを完璧に表すからです。この世の全ては別々のものに見えるけれど、真実は、全てのものは同じ永遠の源を共有しているのです。










2023年11月28日火曜日

アーユルヴェーダのスパイスミックス:チュルナ 
The Wonders of Ayurvedic Spice Mixtures: Churnas



ホリスティックなウェルネスとして、アーユルヴェーダは、古くから心や体、精神のバランスに重点をおいています。この古代の知恵の中心にあるのは、ハーブ療法や実践における知識の宝庫で、その中でもチュルナとして知られるアーユルヴェーダのスパイスミックスは特別な存在です。これら細心の注意を払って組み合わせ作られたハーブとスパイスには、味覚を刺激するだけでなく、多くの健康上の利点があります。


この記事では、チュルナの世界を掘り下げ、その重要性、アーユルヴェーダのスパイスの深い効果、ドーシャの調和における役割、そしてこれらのスパイスミックスの魅力的なレシピをのぞいてみましょう。




チュルナとは?


チュルナはサンスクリット語に由来する言葉で、「粉末」を意味します。アーユルヴェーダでは、チュルナとは、特定の健康上の問題に対処するために配合された、細かく粉砕したハーブミックスのことです。これらは、さまざまなスパイス、ハーブ、その他植物の成分を正確な割合でブレンドすることによって作られています。その結果、料理の風味を高めるだけでなく、無数の治療効果ももたらす調和のとれたブレンドが生まれます。




アーユルヴェーダのスパイスの健康上の利点


チュルナでよく使用されるアーユルヴェーダのスパイスは、この古代の実践法の中心であり真髄です。これらの高い効果を持つ植物は、その健康上の深淵な利点で知られています。

  • ターメリック: 金色に輝くターメリックは、その抗炎症作用と抗酸化作用で有名です。その活性化合物であるクルクミンは、消化の促進から関節の健康のサポートまで、さまざまな健康上の利点と関連付けられています。

  • クミン: 消化を促進する性質を持つクミンは、膨満感や消化不良を軽減します。また、ドーシャのバランスを整える効果もあると考えられています。

  • コリアンダー: コリアンダーは冷やす性質があることで珍重されています。消化と解毒を助け、健康な肌を促進します。

  • シナモン: この体を温めるスパイスは、血液循環と新陳代謝を刺激すると考えられています。血糖値のバランスを整えるのにも有益であると考えられています。

  • フェンネル: フェンネルシードは、腹部のガスを緩和し、消化の促進するためによく使用されます。

  • ショウガ: 燃えるような風味と消化能力の高さで知られるショウガは、吐き気に効き、消化を改善し、免疫力を高めるために使用されます。



スパイスを使ってドーシャのバランスを整える


アーユルヴェーダの中心となるのは、体内に存在するさまざまな元素エネルギーを表すドーシャ (ヴァータ、ピッタ、カパ) の概念です。これらのドーシャの乱れが、さまざまな健康上の問題を引き起こすと考えられています。チュルナでミックスされたアーユルヴェーダのスパイスは、これらのドーシャを調和させる上で極めて重要な役割を果たします。


ヴァータの乱れ

風と空間を表すヴァータは、バランスが崩れると不安、落ち着きのなさ、消化器系の問題を引き起こす可能性があります。生姜、シナモン、ターメリックなどの体を温めるスパイスは、過剰なヴァータを鎮めるのに役立ちます。


ピッタの乱れ

火と水に関連するピッタは、過剰になると炎症、酸性度、過敏症を引き起こす可能性があります。コリアンダーやフェンネルなどの冷やすスパイスは、ピッタのアンバランスを軽減するのに役立ちます。


カパの乱れ

土と水を体現するカパは、バランスが崩れると、だるさ、うっ血、体重増加を引き起こす可能性があります。黒胡椒や生姜などの刺激作用のあるスパイスは、カパのバランスを整えるのに役立ちます。




スパイスミックスのレシピ (チュルナ)


チュルナを作るには、風味、エネルギー、健康上の利点のバランスをとる技術が必要です。
まずは伝統的なチュルナのレシピをいくつかご紹介しましょう。


3ドーシャのためのチュルナの割合
フェンネル シード 6 
コリアンダー シード 2
クミン シード 2
ターメリック粉末 1 


ヴァータためのチャーナ
フェンネル シード 6
コリアンダー 2
クミンシード 3
ターメリック粉末 1
ショウガ粉末 1
ヒング (アサフェティダ) 1


ピッタのためのチュルナ
フェンネル 10
コリアンダー 4
クミン 2
ターメリック粉末 1
フレッシュまたはドライミント 1


カパのためのチュルナ
フェンネルシード 6
コリアンダー 3 
クミン 3
ターメリック粉末 1
ショウガ粉末 1
黒コショウ 1/4
シナモン粉末 1/2


各レシピのすべての材料を清潔なコーヒーグラインダーに入れて挽きます。




最後に


アーユルヴェーダのチュルナは、単なるスパイスミックスではありません。健康とウェルネスへの総合的なアプローチを体現したものです。強力な健康効果、ドーシャを調和させる効果、そして風味豊かな側面をも備えたこれらのスパイスミックスは、アーユルヴェーダの知恵と伝統の証です。チュルナを日常生活に取り入れて、アーユルヴェーダで証明された原則のエッセンスを取り入れることで、最適な健康状態を得ることができるのです。






2023年10月18日水曜日

心臓病の原因は高コレステロールでなく炎症かも Vol.2
Inflammation, Not High Cholesterol, May Cause Heart Disease

前回からの続きです。

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心臓発作の警告サイン


心臓発作は突然で強いものもあります。「映画の心臓発作」と呼ばれ、誰の目にも明らかなものです。しかし、ほとんどの心臓発作はゆっくりと始まり、軽い痛みや不快感を伴います。発作に見舞われた人は多くの場合、何があったのかわからず、長い間助けを呼びません。心臓発作が起きていることを示すサインは以下です。


胸の痛み
ほとんどの心臓発作で、胸の中心に痛みを感じ数分間続きます。あるいは、痛みが消えたり戻ってきたりします。不快な圧迫感、締め付け、膨満感、痛みとして感じられます。


上半身の他の部分の痛み
腕や背中、首、顎、胃の痛みや不快感という症状もあります。


胸の痛みを伴うまたは伴わない息切れ


その他サインの可能性として、冷や汗やめまい、立ちくらみなどがあります。男性に比べて女性はやや、息切れやめまい、吐き気、背中痛や顎の痛みを感じる場合が多いです。



より複雑なことに・・・


もしあなたが中年男性で、高コレステロールというリスク要素があるなら、あるいはLDL値が高いことを知っているなら、注目してください。最近、「悪玉」コレステロールには、パターンAとパターンBの二つの味があることが発見されました。軽く、ふわふわして完全に大丈夫なLDL-Aは心臓疾患に全く危険を及ぼさないが、小さく硬いBは「悪い奴」だと、心臓科の専門であるジョニー・ボウデン博士は言います。パターンBのLDLは、内皮に留まって酸化し動脈プラークとなります。ですから、AとBの割合を知ることが心臓疾患のリスクを明らかにすることに役立ち、パターンBのLDLを減らす必要があるシグナルかもしれません。もちろん、LDL酸化に繋がり、動脈プラーク形成を起こす炎症を促すリスク要素を最低限にする必要はあります。




何ができるのか


医師や研究者らが心臓疾患の複雑な原因について明らかにできることは今後もないかもしれませんが、あなたの心臓を守るために今すぐ行動するのを止めるべきではありません。それが大きな変化を伴う人もいるでしょうが、すでに健康的なライフスタイルを送っている私たちにとっては少しだけ付け加えるだけで良いでしょう。



リスク要因を減らす


私たちの健康を損ねる慢性疾患と同様、心臓病は食事や運動の良くない選択、喫煙や過度な飲酒など疑問のある習慣などが原因で発症します。ほとんどの人はそれを既に知っているというでしょうが、この知識に基づいて食事を改善し、心臓病のリスク要因を減らすために行動するのがまず第一歩です。そして、あなたの心臓に闘うチャンスを与えるあまり知られていない手段に講じることも考えてみましょう。


1. インシュリン・レベルを下げる
医師らは糖尿病予防のためこれをしろと言いますが、高インシュリンはまた、動脈の炎症に繋がる生化学的連鎖反応を引き起こし心臓疾患の原因にもなり得ます。高インシュリンはまた、腹部の脂肪蓄積を(例のスペア・タイヤですね)促します。インシュリンを下げるには、食べる糖分を制限します。栄養士のボウデンが「脂肪よりもっと大きなダメージを与え炎症させる物質」と呼ぶところの、精製粉のパン、パスタ、短粒米、じゃがいも、インスタントのオートミールなど高血糖の炭水化物を避けなければなりません。


2. 口内環境を整える
習慣的な歯磨きやフロスは単に歯を守ったり息をきれいにするだけではありません。数多くの研究で、不健康な歯茎と心臓疾患の関係性がわかってきています。もっとも深刻な歯茎の疾患である歯周炎は、循環器疾患のリスクを30%以上も増加させます。



3. ストレスレベルを下げる
体内の慢性的なストレスが、自然な闘争逃走症候群として副腎からのコルチゾールを絶え間なく分泌させます。このコルチゾールや他の関連したホルモンが、動脈を収縮させ血圧を上げ、心拍を上げ、血中の凝固を促します。研究では、瞑想や祈り、ヨガ、バイオフィードバックなど心身のテクニックがストレスレベルを下げ心臓発作リスクを軽減すると示しています。

 

サプリメントを使う


心臓に良くない炎症性の食べ物や、フリーラジカルを誘発する環境的な毒素、汚染物質などに対抗するため、抗酸化物質のビタミンや抗炎症性のサプリを取り入れましょう。


ビタミンC、E
これらの強力な抗酸化物質はまた、動脈硬化を軽減しプラーク形成を防ぎます。


CoQ10
すべての細胞に存在する油性の栄養素コエンザイムQ10は、フリーラジカルを強力に排除し、LDL酸化を防ぎます。


NAC
正式な名前は「NアセチルLシステイン」です。NACはシステインの一種で、体内で最も重要な抗酸化物質のひとつであるグルタチオンを増加させます。


ALA
ALA(アルファ脂肪酸)は、それ自体が抗酸化物質であるだけなく、体内のビタミンCやE、グルタチオンをリサイクルするのに役立ちます。ALAはまた、亜麻仁や亜麻仁油にも含まれます。


オメガ3 
これらの重要な脂肪酸は炎症を抑え、血栓の防ぎ、心臓発作の死亡率をも下げるとされています。


ヨガを続ける
オハイオとジョージアの州立大学での研究で、ヨガで、慢性炎症のマーカーとなるサイトカイン・インターロイキン6のレベルが下がることがわかりました。また数多くの研究で、ヨガが主にコルチゾールを下げ中枢神経のバランスをとることにより、血圧(心臓疾患のもう一つのリスク要素)を下げることが示されています。



もちろんヨガの専門家が信じるのは、心臓疾患とは検査結果だけではありません。自分の体、心、精神とのつながりが切れた状態だとみなしています。そして、心臓によい環境を作るには、アサナ、プラナヤマ、瞑想、無私の奉仕といった実践要素をすべてを組み合わせるべきだとしています。その方法が以下です。



体の全可動域まで動かす様々なポーズを含んだ継続的な練習に取り組みましょう。後屈は胸郭を開いて心配機能を高め、立位ポーズは脚を強化し全身をストレッチします。前屈では安定感を得られエネルギーを取り戻し自律神経を落ち着かせます。ツイストは内臓をマッサージし全身の血流を高めます。


感情や心の状態をよく観察しましょう。血圧は、当然ながら勝手に上がるものではありません。20年以上前、ディーン・オーニッシュ医学博士と彼の研究チームが、感情的なストレスや孤立感、敵対心、自己批判などが、高コレステロールや酸化LDL、トリグリセリドレベルやニコチンと同様に心臓疾患に関係があると世界に証明しました。彼らはまた、ヨガや瞑想、グループサポートなどのライフスタイルの変化が病気を緩和することを示し、医療関係者を驚かせました。


ウッジャイ呼吸(勝利の呼吸)やナディ・ショーダナ(片鼻呼吸)などのプラナヤマを日課に取り入れて不安や動揺を減らしましょう。ただし、高血圧の人はクンバカ(呼吸を止めること)はやめておきましょう。


高血圧の緩和になるレストラティブヨガやチャンティング、マントラ瞑想などを実践しましょう。肉体としての心臓を落ち着かせ、感情的な心も落ち着かせられます。



心臓の健康に良いレストラティブヨガ


神経を落ち着かせ平衡状態を取り戻すため、以下のポーズを日課に取り入れましょう。高血圧のばあいは、頭立ちなど支持のない逆転ポーズは避けましょう。もし時間がなくてひとつのポーズだけをするなら、シャヴァアーサナ(屍のポーズ)やヴィパリタカラニ(両脚を壁に立てかけるポーズ)で、最大の効果を得ることができます。

  1. 頭を支えたアドムカ・シュヴァナーサナ(ダウンドッグ)
  2. 支えに体を沈み込ませるバラアサナ(子供のポーズ)
  3. たくさんの支えを使ったスプタ・バッダコナアサナ(仰向きの合蹠のポーズ)
  4. 仙骨を上げたヴィパリタ・カラニ(両足を壁に立てかけるポーズ)



必須脂肪酸を摂る3つの方法


ヴェジタリアン(あるいは単に水銀汚染や持続可能性を懸念する人)は、植物からだけでも必須脂肪酸を摂ることができます。


  • 大麻油や亜麻仁油にはアルファ・リノレン酸(ALA)が含まれており、体内で魚油にある必須脂肪酸に変化します。大麻油は亜麻仁油よりも味が良く、オメガ6とオメガ3の比率が3対1と理想的です。また、大麻油にはガンマ・リノレン酸(GLA)も含まれており、炎症を抑え肌の健康を向上させます。どちらのオイルも熱が加わると分解されてすぐに異臭がするので、開封後は冷蔵し1-3ヶ月内に消費しましょう。

  • くるみは、オメガ3に加えて心臓によい一価不飽和脂肪、また特に心臓によい小麦由来でないビタミンEを含んでいます。くるみの薄皮にも重要なフェノール酸、タンニン、フラボノイドが含まれているので、やや苦味はありますが一緒に食べましょう。

  • 微細藻類には、ALAとともにDHAやEPAが豊富に含まれており、オメガ3の必須脂肪酸が摂れます。魚は藻類を食べて脂肪内にオメガ3を蓄えます。微細藻類は今、魚油と同様に心臓に効果(英国栄養ジャーナルより)のあるサプリとして販売されています。




食べるべきもの


伝統的に、地中海周辺国であるスペインやギリシャ、イタリアの人々、特に中国や日本のアジア圏の人々は、欧米よりも心臓疾患の数が少なく、また寿命も長い傾向にあります。なぜでしょう?それは、伝統的な食事にあります。マリナーラソースに大豆は入っていませんし、中華鍋にオリーブ油は使われませんが、どちらの食事にも飽和脂肪や硬化脂肪が少なく健康的なオイルが多く含まれており、魚や野菜が中心です。心臓疾患の予防前線の共同著者である心臓病学者スティーブン・T・シナトラ医学博士とジェームス・C・ロバーツ医学博士は、アジア圏と地中海圏の食事を組み合わせた食事法(PAM diet)を提案しています。




抗酸化物質が豊富な果物や野菜

これらは、LDLコレステロール分子を酸化させ体内の炎症を引き起こすフリーラジカルと戦います。ここでのヒントは、自分の好きなものを食べるということです。


食べるべきもの:ブルベリーやブラックベリー、チェリー、赤い葡萄、いちごなど鮮やかな色の果物、ケールやほうれん草、芽キャベツ、ブロッコリーなどの緑の濃い野菜、ビーツや赤パプリカなどイキイキとした赤い野菜は抗酸化物質が高濃度で含んでいます。また玉ねぎは、LDLを酸化を防ぐケルセチンという特別なフラボノイドが豊富です。抗酸化飲料はないのかって?適量の赤ワイン(レスベラトールを含みます)や、炎症に関係する酵素をブロックする緑茶はどうでしょうか?



ナッツや種など

良質の必須脂肪酸、タンパク質、食物繊維が豊富で、狩猟採集時代の主食であったこれらには、吸収した食物コレステロールを減少させるのに役立つ植物ステロール(植物油)も含まれています。

食べるべきもの:生のアーモンド、くるみ、ピーカンナッツ、ブラジルナッツ、ひまわりの種。



低GIの穀物

これらの食物には、高GIの穀物に比べて多くの食物繊維が含まれおり、消化に時間がかかるため、血糖値を安定させインシュリンの劇的な増加を起こしにくくします。食物繊維はまた、消化器官を浄化し過剰なコレステロールを吸い取ります。実際に、1日に食物繊維を10g多く摂取すると心臓病リスクが29%下がるという研究があります。


食べるべきもの:黒パンやスペルと麦のパン、バルガー(トルコの麦料理)、玄米やワイルドライス、大麦、オーツ麦、キノア、ひえ、そば。



オメガ3脂肪酸

コーン油、サフラワー油、サンフラワー油での加工食品には炎症の原因となるオメガ6脂肪酸が過剰に含まれており、こうした商品を好んで摂取することで体内のオメガ6とオメガ3の比率が悪くなります。健康となる3対1から、20対1にまでなることもあります。オメガ6の多いポリ不飽和植物油や加工食品を避け、オメガ3を増やしましょう。


食べるべきもの:冷たい海にいる魚(サーモン、サバ、鰯など)、大麻油や亜麻仁油、大豆、海藻など。



ビールや乳製品を飲むのなら少しに

この食品が含む不飽和脂肪は、毎日消費するには多すぎます。また、動脈の損傷を促すホモシステインとなるメチオニンが多く含まれています。

食べるべきもの:代わりに魚を摂取することで脂肪の少ないタンパク質が得られ、炎症を抑えるオメガ3を摂取、また動物性の食物を全く摂らないことで問題を排除することができます。



にんにく

地中海料理やアジア料理で多く使われるニンニクには、長い薬効の歴史があります。植物栄養素の中でも、LDLを下げて良いコレステロールを増やすアリシンを含んでいます。また血圧を下げ血小板の粘性を下げます。


使い方:生のニンニクをみじん切りにして15分置き、栄養分を放出させます。最大の効果を得るには、1日に5房ほど食べる必要があります。



オリーブ油をたくさん

古代ギリシャでは、オリーブの木は素晴らしい癒しの力があると考えられており、オリーブの実から採れるオメガ9脂肪酸が豊富な一課不飽和油は、心臓発作リスクを減らし血圧を下げます。


使い方:エキストラ・バージンオイルを使いましょう。加工が最低限で、精製されておらず、酸化していません。



大豆

どんな形状であっても、大豆はHDLを増やしてLDLや血圧を下げます。

食べるべきもの:枝豆など丸大豆や、テンペなど発酵した大豆、たまり醤油、豆乳、豆乳ヨーグルト。









2023年10月16日月曜日

心臓病の原因は高コレステロールでなく炎症かも Vol.1
Inflammation, Not High Cholesterol, May Cause Heart Disease


今回の記事は、コレステロールと心臓疾患についてです。
予防のために何を理解すべきなのか、何ができるのかをみていきましょう。
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一般的に、ヨガの実践者は心臓が健康なグループに入ります。ヨガは、体への習慣的な運動と心へのストレス緩和のテクニックを与えてくれます。喫煙する人は少なく、アルコールを飲む人でもその量は適度です。そしてほとんどの人は、マイケル・ポランが彼の著書「食べ物が守る力」で述べている率直なアドバイスに従っているでしょう。「食べ物を食べよう。食べ過ぎないで。主に植物を」


では、どうして心臓病について心配しなければならないのでしょう?第一には、病気にならない人は誰もいないし、米国で多い死因は心臓病だからです。第二に、健康診断に行ってコレステロールが高いとスタチンを処方されてしまった知り合いが誰にでも一人はいるからです。そして最後に、コレステロールが心臓病の主な原因ではないかもしれない(現在、研究者らは炎症が原因としている)ことを知る必要があるからです。つまり、私たちは長い間間違ったボールに目を向けていたということです。


コレステロールに注目し始めたのは約60年前、米国心臓協会が冠動脈疾患の原因が「バターとラード、牛肉、卵」だと宣言した時です。医療界が、血液のコレステロール・レベルを上げる食べ物に含まれる高レベルの飽和脂肪であり、過剰なコレステロールが動脈を閉塞させるという考え方を取り入れたのは間も無くでした。低脂肪の食事とコレステロールを低下させる投薬が劇的に増加した50年がすぎた現在、その概念は、ほとんどの医療関係者や消費者の頭の中にしっかりと確立されたのです。


そろそろ、それを見直す時期ではないでしょうか?「コレステロールの重大な俗説:コレステロール値低下が心臓病を予防できない訳(スタチンフリーに効果)」の共同著者(スティーブン・シナトラ医学博士著)で栄養士のジョニー・ボウデン博士は、「コレステロール値を下げて心臓病を予防しようとするのは、マクドナルドの巨大な食事からピクルスを取り除いてカロリーを減らそうとしているようなものだ」と述べています。65歳以上の男性、そして全年齢の女性で、冠動脈疾患を判断するのにコレステロール値を見るのは事実上意味がありません。そして、おかしなことに、ちょっと下がって大局をみれば、低いコレステロールは、予防どころかより病気の原因となる可能性があります。



敵を知る


医師らはめったに認めないのですが、高コレステロールの人は実のところ長生きです。少なくとも6つの研究で、コレステロール値が低いほど死亡率が高いことがわかっています。実際、米国の死因の全てを見ると、コレステロール値の高い人には癌が少なく、消化器官や呼吸器官の疾患で亡くなるリスクが低く、自動車事故や自殺も少ないのです。驚くことに、コレステロールによる防御は、深刻な心臓病にまで及びます。米国と欧州での研究では、心臓病患者でコレステロールレベルが高い人は、低レベルの人たちよりも長寿でした。


私たちの体がコレステロールを必要としているのは、脳細胞生成という何よりも重要な役割があるからであり、研究では低すぎる値(160以下)が鬱や攻撃性、脳出血、認知障害などと関係があるとされており、これらは全て事故や自殺の死亡率が高いことを説明しているのではないでしょうか。



高コレステロールの悪評


コレステロールを議論するには、まず肝臓が1日に約800ー1000mgのコレステロールを生成していることを知ることから始めるべきでしょう。これらは体が健康を保つために必要な量です。しかし、食べるものからコレステロールを追加摂取すると(動物由来の食物には全てコレステロールが含まれます)、体はその余分に対処するまで生成を抑えます。また、脂肪を消化し、細胞粘膜を強化・修復し、神経を隔離し、ビタミンDを合成し、性生活を制御するものの含めたホルモンを生成するのを助けるため体はこの柔らかでドロッとしたステロールを必要としています。


コレステロールは脂肪のような物質なので、水性の血液に溶けたり細胞に直接流れ込んだりはできません。そのかわりに、リポタンパク質という特別な乗り物に乗せてもらう必要があります。おそらく私たちが良く聞くのはLDL(低比重リポタンパク)とHDL(高比重リポタンパク)の2つでしょう。科学者らが発見しているのは、LDLが必要な場所にコレステロールを運び、より重いHDLが動脈壁をもすくい取って余分なコレステロールの掃除係として働き、それらを処理し排出するため肝臓に戻すということです。


この文脈からみれば、HDLもLDLも体の日々の活動で重要な機能を果たしているため、どちらも「善玉」コレステロールと呼べます。しかしながら、コレステロールが心臓疾患の原因だという議論の初期では、HDLだけが血中コレステロール・レベルを下げるため善玉だという扱いを受けました。一方LDLは、フラミンガム心臓研究の研究者らが心臓疾患の「限界危険要素」だと位置付けたため「悪玉」と烙印を押されました。


体が作る極めて重要な物質が死をもたらす可能性があるというのは想像し難いのですが、「悪玉コレステロール」という烙印はそう言及しており、LDLレベルをできるだけ下げる意図でのLDLコレステロール薬の全面戦争が勃発しました。この前提は、体がLDLを不可欠としていることを見落としているだけでなく(LDL無しでは細胞は必要なコレステロールを得られない)、重要な事実を見ぬふりをしています。LDLが「悪玉」になるのは、電子のひとつが放たれることでフリーラジカルが酸化(本質的に不安定化)した時だけです。それは動脈壁にくっついて炎症連鎖を起こし心臓発作の原因となる血栓につながるのです。



おそらくは、まだ他にも


高コレステロール論理(脂質仮説と呼ばれます)への最も的を得た乖離は、おそらく心臓発作を起こした人すべてのうち半分になる人のコレステロールが正常値だという不都合な真実です。ほとんどの人は、50%というその数字に注目し、コレステロール以外の何かがこの明らかな矛盾の原因となるのではないかと思うでしょう。


数えきれない研究によって、脂肪仮説が心臓疾患を深刻に単純化しすぎていること、心臓疾患の予防には抗酸化物質の果す役割を完全に軽視していることがわかっています。1990年代のリヨン食事心臓研究では、心臓発作で回復した人1グループを米国心臓協会認定の低脂肪、高炭水化物、抗コレステロールの食環境におき、他のグループを野菜、果物、ナッツ類、魚、オリーブ油を主にしたいわゆる地中海ダイエットとよばれる食環境に置きました。研究の結果、どちらのグループも同等のコレステロール値でしたが、地中海ダイエットのグループは2度目の心臓発作を起こした人が大幅に少なく、胸の痛み(不安定性狭心症)や心臓疾患を起こした人もかなり少数でした。どうしてでしょうか?果物や野菜に見られる抗酸化物質や魚に含まれるオメガ3脂肪酸の抗酸化作用に関係があるのではないかと研究者らは考えています。


そして、フランスのパラドックスがあります。フランス人はリッチで高コレステロールの食事を大胆に奔放に食べている様子ですが平均的な全コレステロールのレベルはおよそ250のあたりにとどまり、先進国では最も心臓疾患の件数が少ない国だという不思議な事実のことです。このパラドックスを研究している研究者たちはまた、新鮮な野菜や果物の摂取、そして特にレスヴェラトロールなど赤ワインの強力な抗酸化物質に注意を向けています。


それでは、抗酸化物質は体内でどんな役割をしているのでしょう?抗酸化物質は炎症を抑えます。そして、最近の研究などでは、炎症が心臓疾患の発症や心臓発作に重要な役割を果たしていることが確認されたようです。それはどのようにでしょうか?では動脈の中を覗いてみましょう。高血圧や高血糖の食事からくる血糖スパイク、喫煙の毒素、環境汚染や殺虫剤などの何らかが、動脈の表面を覆う細胞一枚の厚さである内皮を傷つけます。LDLは、おそらくは傷ついた細胞を修復しようとその傷にとどまり、そして血中のフリーラジカルによって酸化します。免疫細胞が傷を治そうと集まり、炎症はさらに悪化します。指を切った場所の周りが赤くなるのを考えてみてください。体は大きくなる「汚染」を止めようと、硬く繊維質の蓋をしますが、この蓋が動脈プラークです。このプラークが安定している時、炎症は治まって蓋はそのまま残りますが、このプラークが悪さをするのは動脈を狭めることだけです。一方で、不安定なプラークは、破裂して血栓を作り出すことがあり、結果的に狭まった動脈を堰き止めて心臓発作を引き起こすのです。


炎症のある心臓障害なのかを調べるため、医師らは数多くの血液検査に頼ります。こうした安価の検査は、症状が起こる前であっても心臓疾患の見つけるのに重要な役割を果たしています。


では、こぞって検査に行くべきなのでしょうか?おそらく、心臓疾患のリスク要因をいくつか持っていない限りは必要ないでしょう。特にストレスの多いライフスタイルや、過剰な体重、高血糖などです。簡単に言えば、炎症を引き起こすライフスタイルを送っているなら必要でしょう。しかし、まずは気持ちを新たにして、心臓の健康のために何をするべきか、何を食べるべきかをみていきましょう。






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次回に続きます。


2023年10月12日木曜日

スーリヤ・ナマスカラの古い起源:太陽礼拝 
The Ancient Origins of Surya Namaskar: Sun Salutation

では前回に続き、ハヌマンのお話です。
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先生と生徒の関係性は、ヨガの中心にあります。心の解放、解脱の道は先生を通して学ぶものです。ヴェーダの時代、グルとシシャ(先生と生徒)の関係はとても近く、まるで家族のようでした。生徒がオンラインでトレーニングの申し込みができたり、ペイパルやクレジットカードで支払ったり、決められた時間でトレーニングを終えたりできる現代とは全く異なります。その昔は、選んだ先生に受け入れられた幸運な生徒は、修了したと言われるまで先生のアシュラムに住み込みました。その間、生徒は実際の生活でも先生に仕えなければなりませんでした。木を切ったり、水を汲んだり、先生の動物や穀物の世話をしたりと、基本的に頼まれたことは何でもしました。先生と生徒の関係性は文字通りお金で買えるものではありませんでしたが、修行が終わる時、生徒は謝礼(グル・ダクシナ)をする必要がありました。それはお金でもいいのですが、大抵はそうではありません。多くの場合それは奉仕であり、先生が頼んだものは何でもするものでした。



ヨガ・スートラ(第1章24-26節)においてパタンジャリは、古代から指導者の指導者、根元的グルとしてイシュワラについて言及しています。イシュワラとはもちろん一個人ではなく、高い状態の意識であり、普通の、抑制された、エゴに基づいた状態の私たちを、超越した無限の状態へと変容させるものです。


古代から、人間はそうした究極の指導者に象徴を用いてきました。最も長く用いられてきたものの一つが太陽、スーリヤです。ガヤトリ・マントラという美しいヴェーダのお祈りでは、太陽は「私たちの心を照らす」と唱えられています。


ラーマーヤナの偉大なる猿のヒーロー、ハヌマンは、生まれてまもなくスーリヤに魅了されました。赤ん坊の彼は、空の太陽を見て大きく育った甘いマンゴーだと勘違いしたのです。その力強い猿の脚で地面を蹴り、長い猿の腕を伸ばし、高く跳び上がって太陽を・・掴んでしまったのです(ハヌマンには赤ん坊の頃から超自然の強さがありました)。ハヌマンが太陽を口にポンと入れて食べ始めると、世界は暗くなり、何か悪いことが起こったことにもちろん神々も気づきます。太陽はハヌマンの口を焦がしましたが、強情な猿は離しません。とうとうインドラ神がダイアモンドの雷電(ヴァジュラ)をハヌマンの顎にまっすぐ放ちました。


そこでやっとハヌマンは口を開けて太陽を吐き出し、世界の光は元に戻りました。けれど、彼はヴァジュラで怪我をしてしまいました。実際、彼の顎(ハヌ)は潰れてしまい、今日知られる名前「つぶれた顎を持った者」が付けられたのです。神々はハヌマンの力を一時的に取り上げましたが、あまりにも顎がかわいそうだったので(太陽を助けるためではなく)特別な力を与えることにしました。強さ、速さ、姿を変える能力、禁欲する能力、並外れた記憶力、そして神を真に愛することのできる能力を。それらは全て、その後ラーマ王に出会い仕える時に取り戻すことになるのです。






それまでの間、ハヌマンには教えが必要でした。「スーリヤにお願いしてはどうですか?」彼の母親であるアンジャナは提案しました。「彼は毎日馬車で世界中を駆け、全てのものすべての場所を見ています。全ての聖典を知り、あなたよりも高く遠くまで跳びます。あなたが赤ん坊の頃の果物のささいな事件のことなど忘れておられるに違いない」


そこでハヌマンはスーリヤに先生になって欲しいとお願いしますが、スーリヤは断ります。ハヌマンが彼を食べようとしたことは許しているのですが、こう言いました。「予定が詰まっていて、全く空いた時間がないのだ。動き続けねばならぬ。立ち止まってお前に教えを与えることはできない。そもそも私が動き続けているのにどうやって学べるというのだ」


「一緒に動いたらどうでしょう?」ハヌマンは訊ねました。「そうしたら生徒にしてくれますか?」
「お前には無理であろう。だがそれなら構わない」スーリヤは答えました。


ハヌマンは跳び上がりスーリヤの方に向かって位置を定めました。そしてスーリヤは、この生徒の粘り強さを認め、空を駆け始めながら聖典を説きました。これで当然、ハヌマンは常に後ろ向きに動くことになりましたが、そうする以外にあったでしょうか?先生に背中を向けるなど失礼です。


このハヌマンが後ろ向きに動く道筋が、スーリヤナマスカラ、太陽礼拝の始まりだと言う人もいます。考えてみれば、太陽礼拝の動きをすると、マットの後ろの方で終わるので続けて動くためにはまた前に戻らなければならないことに気づくでしょう。



ハヌマンはとても熱心な生徒だったので、ヴェーダを1週間でマスターしました。そして、スーリヤへの謝礼は何だったのでしょう?おそらくハヌマンが去って少しホッとしたであろうスーリヤは、全てを断りました。「熱心な生徒が学ぶのを見ていたのが、私への報酬であった」



「それでは」ハヌマンは言いました。「私の感謝とナマスカラ(敬意を表す挨拶)のみを捧げましょう」そうして、ハヌマンのグル・ダクシナとして太陽礼拝が生まれたのです。





練習法



歴史的に見ると、スーリヤナマスカラとしてしられる一連のポーズは、世界のエネルギーと光の源であるスーリヤを讃えて早朝の日の出に行なわれた実践から発展したと考えられます。1920年台、アウンドの王が彼の小さな王国(現在のマハラシュトラの一部)の学校に、全ての男女や子供が心身の健康のためにこの実践を取り入れてほしいと、決められた太陽礼拝の動きを導入し、小さな本を出版しました。


現在、ほとんどのヨガの生徒が、いずれかのバージョンのこの実践を早い段階で学びます(動きに合わせてマントラを唱える場合も)。この実践にははっきりとした「正しい」方法はなく、おおよそ12ポーズの流れから成ります。左右対照の立位のポーズ(タダアサナ)、両腕を挙げ、前屈して地面に触れ、ランジになり、下向きの犬のポーズでよく知られるV字のアサナ(他の名前もあります)、うつむきから胸を引き上げる上向きの犬へと流れ、下向きの犬へと戻り、もう一度ランジ、そしてまた地面に触れて前屈、両腕をあげ、そして最初の立位ポーズに戻ります。それぞれの流れを通して、後ろ向きに動き、そして前に戻ります。
  

スーリヤナマスカラで動く時、先生、つまり他でもない世界を導き照らすスーリヤのようにあなたの人生を導き照らす理想の先生イシュワラと向き合っていることをイメージしましょう。動きに合わせて愛と感謝を捧げましょう。




考察


赤ん坊のハヌマンが太陽にしたように、あなたも状況や人に対して誤った判断をしたことはありますか?思い違っていたゴールに向かって衝動的に飛びついた時に何が起きましたか?大切な何かに進もうと決意した時のことを考えてみましょう。甘いマンゴーのように魅力的に見えた仕事や関係が、実は想像していたよりもっと大きく熱く受け入れ難いものだとわかったら。あなたの過ちを思いとどまらそうとしてくれた人はいましたか?それを聞き入れたでしょうか?あなたの想像の中で「果物」だったと思っていたものを手放すのに何が必要だったでしょう?その過程は辛いものでしたか?その結果何か期待していなかったご褒美があったでしょうか?あなたの過ちは霊的に重要なものだったと思いますか?