2020年12月31日木曜日

臀筋を使う Vol.2
Recruit the Glutes

 

ヨガポーズで臀筋群を活性化する


ただ裸足で歩くというだけで、臀筋の最善で最も効果的なエクササイズのひとつとなり、ヨガの練習は裸足での運動の効果を拡大し大幅に増加させてくれます。臀筋群は、両脚に荷重がかかっている時に本領を発揮するので、臀筋のためのヨガは主に立位やバランスのポーズとなります(臀筋は後屈ポーズでも重要な役割を持ちます)。



ウトゥカタサナ(椅子のポーズ)




ウトゥカタサナは、大抵は大腿四頭筋を燃焼するポーズだと考えられていますが、臀筋にも効果的で、このポーズを練習することで上記にあるような相互収縮などを体験することができます。ウトゥカタサナは、全体的にスクワットより膝に優しいのですが、大腿四頭筋や臀筋の強化にも効果的です。


ポーズに入るには、ウッターナサナ(立位の前屈)で前屈します。足の親指同士をつけ、内踵を少しだけ離しておきます。両膝を深く曲げ、膝の内側をくっつけ、同時に両腕を前に伸ばして、古いスタイルでプールに飛び込むかのように手のひら同士をつけましょう。


足先を少し持ち上げて、体重が踵に移動するようにしましょう。四頭筋の中心がより強く働くのを感じるでしょう。膝頭に向かって疲れを感じないようにしましょう。より深く曲げるためには、内腿の上部を床に向かっておろします。


踵の中心を床に押し、臀筋が使われて腰がウエストラインから下方へ伸びるのを感じるまで、坐骨を踵に向かって引きましょう。臀筋群が働くと、内腿が硬くなるのを感じるでしょう(でも詰まりを感じてはいけません。もしそうなら、もう一度下方へおろしましょう)。四頭筋の中心もより強く働くはずです。両肩を後ろへ引き腕を頭上に挙げて完全なポーズに入りましょう。



このアライメントは全ての立位ポーズで確認することができます。どの場合も、体重を踵のより中心に移動しつま先の掴む力を緩めることで、臀筋や腿、腰の動きを感じるでしょう。臀筋にかかる効果がより大きくなるのは、特にアルダ・チャンドラサナ(半月のポーズ)などのバランスポーズです。



アルダチャンドラサナ(半月のポーズ)





このポーズは、あまり人気のあるポーズではありませんが、それはバランスを取るのが難しく、また軸足側の股関節に詰まりや不快を感じることが多いからです。股関節を安定させ、腰を伸ばし、ハムストリングスの付着部を保護するために臀筋が十分使われていないと、こうした問題が現れます。膝がロックされていたり腰が反りすぎていると気づいたら、アルダ・チャンドラサナで3つ全ての臀筋を活性化することに注目しましょう。



このポーズに入るには、左側のトリコナサナ(三角形のポーズ)から始めましょう。左膝を曲げて体重を前方の左足に移動し、右足を後方へスライドします。左膝を曲げたまま、床と平行になるまで右脚を持ち上げましょう。軸足を伸ばして膝をロックしたくなるのを我慢しましょう。その代わりに、左膝を曲げた状態でつま先をやや持ち上げ、体重を踵の中心、後方へ移動します。バランスを取るためにつま先を使っても構いませんが、ふくらはぎとハムストリングスを堅めるだけなので、つま先で床を掴まないでください。踵の中心で地面を押し、左脚をゆっくりと伸ばしながら腿、腰、臀筋の反応を感じましょう。坐骨周りの筋肉が硬くなって坐骨を踵に向かって下げ、四頭筋に力が入って腰へとエネルギーを引き上げます。腿そのものは、膝が足の中央に並んだ状態を保ち股関節の詰まりを防ぐために十分な幅で外旋するでしょう。ポーズを反対側で繰り返します。





最初は、特に膝をロックし膝頭が内側へ回転してしまうと、ポーズの中でバランスを崩すかもしれません。しかし、過伸展による大腿骨の内旋が癖になると、間違いなく股関節の痛みに繋がりポーズも不安定になることを覚えていてください。この新しい外旋を促進するため、母指球と内踵を地面にしっかりと付けたまま臀筋を働かせ、そして脚を真っ直ぐに伸ばしましょう。ポーズが軽く感じるようになり、土踏まずが強く、そして股関節が沈見込んだり詰まったりしなくなるはずです。



アルダ・チャンドラサナでは、実際に層になった臀筋群をさまざまな面で使うので、「全ての臀筋」のバランスをとるポーズになります。挙げた脚が適切に支持されれば、これは腰の痛みや疲労に悩む妊婦にも良いポーズです。腰の長さと臀筋が胸腰筋膜を引っ張っているという感覚は、赤ん坊という追加の重みを抱えていることから来る腰のストレスを緩和することができます。それ以上に、筋膜に対する大臀筋の引きが、腱が特に動きやすい妊娠の時期に仙骨を安定させることにも役立ちます。

  • アルダ・チャンドラサナは、臀筋群の全ての層を運動させることができる

  • 大臀筋は脚を挙げ、それを高く保つために腿を外転させる。また、股関節を開いてバランスを保つためにちょうど良い幅に軸脚の腿を外旋させる中心的な役割を担っており、それが腰の筋膜を伸ばして仙骨を安定させる。

  • 中臀筋は、軸足の股関節を安定させる中心的な役割を担い、大臀筋とともに挙げた脚の股関節の前を長く伸ばす。中臀筋は、軸足の股関節で最も働き、ポーズに安定を軽さを与える。

  • 小臀筋は最も深い層であり、股関節を覆い大腿骨頭の全面に付着している。軸足の股関節を曲げて腿を外旋させ、股関節で感じやすい詰まりを防ぐのを助けている。

踵の中心で地面に根付き、臀筋群を働かせれば、アルダ・チャンドラサナのようなバランス・ポーズはアライメントが整った姿勢を促進します。そして臀筋だけでなく体全体で感じられる多くの恩恵を受けることができるのです。



(出典)https://yogainternational.com/article/view/recruit-the-glutes




2020年12月28日月曜日

臀筋を使う Vol.1
Recruit the Glutes




あなたは知っていましたか?姿勢の改善、膝関節や股関節の安定、腰痛の緩和が、臀筋を構成する3つの筋肉を使うことで同時に可能だということを。これらの筋肉の主なものが、あまり評価されていない完全な姿勢のための「皇帝」である大臀筋、そして彼の従者である深層筋の中臀筋と小臀筋。これらの臀筋は、正しく使えていれば、腰椎や仙骨、股関節、膝などの健康に不可欠な役目を担っています。使い方が正しくない場合は(大抵はそうなのですが)、関節に問題が生じたり、ハムストリングスが過剰に発達したり硬くなります。まず、臀筋の解剖学をみていきましょう。そして、これらの筋肉がヨガポーズの中でどのように役立つのかを学びます。




臀筋の解剖学


臀筋には3つの層があり、それぞれが機能的に様々に補完し合っています。臀筋の主な機能は、最も外側にある大臀筋によって行われます。大臀筋は股関節伸展、すなわち腿を後方へ伸ばし、股関節の前をストレッチします。また、水平方向へ股関節を回転させ、腿を外へ回します。これらの動きは、単純な歩くという動きには不可欠で、もし大臀筋がうまく働かなければ他の筋肉(特にハムストリングス)が補完しなければならなくなり、その過程で硬くなり過剰に発達します。

 
中臀筋は、脚に体重をかけている時に大腿骨を寛骨臼内で安定させる働きをします。例えば、ヴリクシャサナ(木のポーズ)やパダングシュタサナ(足先を持つポーズ)などで、片足でバランスを取る際、中臀筋が股関節を水平に保ち、側方に揺れたり倒れたりするのを防ぎます。これは、上げた脚の方向へ骨盤が倒れるのを防ぐため、腰の外側が収縮し(腿の外転)ているのです。より重要なのは、単純に歩く動きで不可欠な役割を担っており、この筋肉がなければ、前へ進もうと片脚を挙げる毎に側方へ倒れてしまうでしょう。中臀筋は三日月か半月の形をしており、腰骨の外端に沿って着いており、骨盤の後ろの仙骨から大腿骨頭の前に向かって伸びています。


最も深い層では、小臀筋が股関節を内旋、屈曲させます。基本的には大臀筋と逆の働きをしており、大臀筋を補完して動きのバランスを作ります。また小臀筋は股関節を外転させ、パダングシュタサナなどのポーズで脚を挙げ、股関節を屈曲するときに、大腿骨が関節内で摩擦を起こさないようにします。









完璧な姿勢のための鍵




臀筋はそれぞれ「使わなければ無くなる」タイプの筋肉で、残念ながら私たちの多くには臀筋を使わない姿勢をする癖があり、臀筋が発達しません。よくある姿勢が後傾姿勢で、股関節が脚を通って走っている重力ラインよりも前に傾いている状態です。このミスアライメントを補完するため、大抵の場合、膝は後方へロックされ腰は前傾して上体が丸まります。これらは全て臀筋が正しく働くのを妨げています。臀筋が平たく発達しなくなり、ハムストリングス(股関節と膝をこの位置で支えるのを助けています)が硬くなって過剰に発達します。つまり問題は2つの要素からなります。


臀筋は脚に荷重がかかった時に働きますが、本当に正しく荷重がかかった時にだけ、正しく働くのです。臀筋や脚の筋肉の使い方が理想に最も近づくのは裸足で歩く時なのですが、これは歩くたびに体重が踵の中心にくることに大きな理由があります。靴を履いて歩く時には異なることが起こります。靴そのものが、臀筋を正しく使えているかどうかを教えてくれます。靴の踵を調べてみましょう。特に踵の後ろ外側がすり減っていることがわかるかもしれませんが、これは踵の外側が一番先に地面に着いているというサインです。実際、ほとんどの靴が、高く柔らかい踵のおかげで、このような歩き方をするようになっています。


では踵の後ろ外側に体重をかけると何が起こるのでしょうか?脛や足首が硬くなるほどに足首を曲げて足を下ろすと、下の脚がまだ後方へ倒れたまま土踏まずが潰れて内側に回転します。これが足首を硬くし、脛骨過労性骨膜炎になりやすく(特にランナー)、土踏まずを弱くするあるいは平たくする、そして足底筋膜炎による足の裏の痛みへと繋がっていきます。膝にも影響があります。下の脚の角度によって膝が過伸展しやすくなります。ハムストリングスは硬くなり、股関節の前傾により股関節の前部がストレスを受けて弱まります。


裸足で歩くと、これは変わります。足首をあまり曲げず踵の中心から下ろすことが多くなり、足指の付け根がすでに床に近い状態になります。踵からつま先へと一歩の間により自然に荷重が移動し、足首は土踏まずの強さを維持できる位置にあります。これが上記の問題を少なくし、臀筋を正しく使えるというおまけもあるのです。


自分の姿勢をチェックするのは簡単です。臀筋の動きを観察しながら、上記の様々な歩き方を試してみましょう。親指と人差し指で大臀筋をつまんで、それぞれの場合でどのように働いているかを観察します。まずは靴を履いてやや大袈裟に後傾姿勢をとってみましょう。上体を後方に倒し、腰を前に出して膝をロック、歩き始めましょう。おそらく、臀筋の動きはとても小さく、前に体を出すためにハムストリングスに重みを感じるかもしれません。では、膝のロックを外してやや「マイクロベンド」し、腰を後方へ動かして体重が踵の中央へ乗るようにしてから、歩きます。臀筋群の動きを比較してみましょう。臀筋がより働くのを感じたら、それは改善のサインです。


最後に、靴を脱いでもう一度歩きましょう。床が硬ければ硬いほど、足首の屈曲を小さくして踵の中心からおろしたくなるはずです。そして踵を下ろすときに特に、臀筋をより強く働かしていると感じるでしょう。つまり、踵の中心に体重をおき歩く時に臀筋を働かせることに集中することで姿勢を正すと、良いことが起こるのです。

  • 踵が地面を蹴る時にやや前傾することで(後傾姿勢で後ろに傾くよりも)胴部のアライメントがよくなる

  • 膝や股関節がややマイクロベンドになり、足首や脛の緊張を減少させて腱を保護し過伸展を防ぐ

  • 歩く際に踏み込む時踵から足先へと進み土踏まずが強く維持され、足裏の潰れを少なくし、足裏と足首の疲れを防ぐ

股関節を正しく調整すると、特に上記のポイントで臀筋を使うことができます。そして臀筋が働けば、腰や膝関節、股関節を安定させることができます。




臀筋を働かせる:体への影響

腰を安定させる


腰を覆っているのは、強靭な結合組織の膜で、腰、股関節、胴部、そして肩の筋肉に編み込まれています。胸腰筋膜として知られ、腰の「策具」を形作り、船のマストを支えるように脊椎を支持しています。大臀筋が収縮すると、下方へと交差する支持部分を緊張させ、特に歩行や前屈などの臀筋群が働いている場合に腰椎が長く仙骨が安定します。



健康的な膝と股関節


臀筋が使用されると多くの筋肉もまた相互に収縮し、それに沿って主に四頭筋が使われるのですが、それだけでなく内転筋(内腿の筋肉)が外転筋としての臀筋の動きを補完します。膝の健康を維持するには、特に四頭筋の内側広筋が重要です。臀筋を使うと内側広筋が同時に使われ、膝の健康維持の可能性が高まります。


結果として、こうした相互収縮(股関節の前部にある腸腰筋の小さな収縮も含みます)が起こり、大腿骨頭が寛骨臼のより中心へと保たれ、股関節の全体的な摩耗を減少させます。反対に、大臀筋が使われていないと、他の筋肉が腰のアライメントを支持しなくなり(特に関節の前部)、股関節そのものが摩耗し深刻な症状につながっていくのです。



(出典)https://yogainternational.com/article/view/recruit-the-glutes



2020年12月25日金曜日

股関節の痛み:対策と予防 Vol.2 
Hip Pain: Overcoming and Preventing It



内転筋と外転筋のバランスを見つける有用なツールはヨガブロックです。ヨガブロックを使うと、同時に大腿骨を回転することなく、鼠蹊部を和らげて内腿上部を坐骨に向かって引く方法がわかります。この過程で、中臀筋のバランスのよい動きができるようになります。


両方の腿の上部の間にブロックを置いて始めましょう。内転筋の動きがわかるはずです。両手を股関節の谷へ、そして人差し指を谷に沿って置いて鼠蹊の筋肉が感じられるようにします。

大腿骨を平行にしたまま、両膝を曲げます。これが回旋筋群をある程度中和し、内転筋の動きをよりわかりやすくします。体重を踵に少し移動し、つま先を和らげましょう。


 

股関節のバランスを取るーステップ1


では、硬くしないように、内転筋に優しく力を入れましょう。内腿の上部を坐骨の方向へ「溶かし」、ブロックを締め付けないように後ろへ引きます。この動きが内腿の後ろから来るのを感じましょう。腿の付け根の筋肉が人差し指がの下で、柔らかくなるのを感じるでしょう。柔らぐとともに、仙骨が前傾し腰のアーチが強くなります。


このように、大腿骨を内に大きく回転させたり緊張させたりしないで、中心に向かって内転筋を「螺旋状」に動かしましょう。最初、この動きは鼠蹊部の緊張を解き、和らぐように感じます。しかし続けていると、大腿骨を関節の中心に置くには、関節の中で大腿骨を横に動かして広げるという動きが必要となります。



ステップ1:ブロックを締め付けないで後ろへ引き、
鼠蹊部を緊張させず大腿骨を内旋させずに
中心に向かって螺旋状に動かす。
ステップ2:親指で筋肉の動きを観察しながら、
ブロックを後方、下方に動かす力と
尾骨を地面におろす力のバランスを取る。



そして次は、内腿を、指先の下にある鼠蹊ではなく深いところで硬くし、腿の内側全体を坐骨に向かって後方へ伸ばします。この深い内転筋は、すでに部分的に使われいるはずです。より強くして、それらの筋肉が大腿骨に対して外側へ押すようにしましょう。内腿が反発しあって(引きつけるのではなく)磁石の両極のほうに働きます。これが骨盤底を開きます。



股関節のバランスを取るーステップ2


次に、両脚を伸ばしていきましょう。ここで中臀筋が働きます。尾骨が重くなり床に向かって降りていくのをイメージしましょう。まるで尾骨が、やや前方に曲がりながら下りているしっぽであるかのようにこの重みを感じます。内腿を後方へ溶かし続けて、この尾骨の引き下げとバランスをとりましょう。


尾骨を下げながら、脚を伸ばし続け徐々に大腿四頭筋(腿の前)を硬くしていきます。ブロックを後方へ下げ続けるために内腿がより強く働き始め、強くブロックを締め付けているように感じるでしょう。ブロックを後方へ引く力、下げる力、そして尾骨に向かって下ろしていく力のバランスをとりましょう。


脚を長く伸ばしていくつれ、臀部の上部と腰の横の動きを感じるでしょう。これが中臀筋です。親指を臀筋の上に戻し、どの筋肉が働いているかを感じてみましょう。また、大きな臀筋(大臀筋)が、尾骨に向かって内側へ締め付け始めていないか、緊張しすぎていないか、両脚が外旋して腰が硬くなってしまっていないかをみましょう。脚をまっすぐに伸ばしながら、骨盤の中心部のスペースを感じ続けます。この場合、「中心を掴む」というのは、デリケートかつダイナミックなバランスで、地面と繋がりつつ広がっています。胸が引き上がって開き、腰はリラックスして(自然なカーブを維持しつつ)伸びているでしょう。



より深い練習:パリヴリッタ・トリコナサナで股関節痛を緩和する


他の立位ポーズ、特にツイストでは、同じ動きをしていますがより著しくなります。パリヴリッタ・トリコナサナやパリヴリッタ・アルダチャンドラサナは特によい例です。というのも、正しくやれば股関節痛や腰痛を緩和してくれますが、間違ってやると挟み込みや股関節の軋みの原因となるからです。


正しい動きを覚えるため、パリヴリッタ・トリコナサナをパートナーの助けを借りて試してみましょう。パートナーに後ろ足の踵の外側あたりに片足を置いて立ってもらいます。そこにしっかりと立っていてもらいましょう。ベルトを後ろ脚の内腿の周りにかけます。



パリヴリッタ・トリコナサナ
ベルトが腿上部を内側、坐骨に向かって後方へと螺旋状に動かす。
練習で、この動きを自分でできるようになる。




ツイストに入ったら、パートナーに股関節から斜めにとても優しく引いてもらいます。あなたの股関節の左右が並んで安定する程度の強さで引いてもらい、内腿の筋肉(大腿骨でなく)が内側そして坐骨に向かって後方へ螺旋状になるように内側をやさしく引いてもらいましょう。ベルトは、内腿の筋肉の強さであり支えの役割をします。ここでは、股関節を平行に保ちながら、この動きを自分で作り出すことを身につけましょう。


それから、前脚に注目します。アライメントを確実にしましょう。膝を少し曲げて必要なら腿を調整し、坐骨と膝、踵の3点を並べましょう。それから脚を伸ばし、腰の外側に力が入って硬く強くなるのを感じましょう。


次に、大腿四頭筋を強くして下腹部に引き上げ、脚を地面に向かって伸ばしましょう。先程の練習で親指を置いていた臀筋上部から脚を下ろします。そこから、お尻の中心、大腿骨を通るエネルギーの流れを感じ、腰の外側を後方へ引きましょう。


ストレッチと力が、腰の前で同時に起こっていることに注目しましょう。腰が固まって丸くなるので、脚を伸ばしすぎないようにします。同様に、しっかり伸ばさないと、腰が過剰に落ち込んで腰の外側(中臀筋)に不快な張力を感じ、内腿を締め付けます。バランスが取れていると、中臀筋が股関節前部から骨盤の重みを引き上げてくれます。後ろ脚の内腿(ベルトの力を借りて)の引き上げと広がり、そして中臀筋の動きによる前脚からの伸展とグラウンディングの組み合わせにより、股関節が左右平行になるのです。最終的には、股関節が広がり、強く、そして安定します。


これらの筋肉を使うのがより難しくなるのは、全体重が片足にのるバランスポーズで、特にパリヴリッタ・アルダチャンドラサナのようにツイストとバランスの組み合わせです。ここでは、後ろ脚の内腿はより強く働かなければならず、中臀筋のより力強い働きで前脚をグラウンディングしなければなりません。股関節を左右平行に安定させるため、腰の外側と臀筋が強く働きます。


パリヴリッタ・アルダチャンドラサナ
このポーズでは、解放され支持された内転筋が引き上がり、
中臀筋が長く伸展することでバランスが作られる。




このように股関節に働きかけることで、股関節痛や怪我を防止するのに役立つだけでなく、何世紀も前に市場でシャンカラチャリヤが学んだ教訓を思い出させてくれます。それは、ヨガマットの上だけでなく日々の生活にも当てはめることが重要な教訓です。私たちの中心を保つことで、精神的にも肉体的にも、強さ、広がり、そして内なる自由の感覚を得ることができるのです。

2020年12月22日火曜日

股関節の痛み:対策と予防 Vol.1 
Hip Pain: Overcoming and Preventing It


股関節痛 – 主な原因


聖人のシャンカラチャリヤは、まだ若い頃に人生の偉大なる教訓のひとつを見つけていました。内なる自己を早く持つことに失敗すれば、私たちは平凡な人生の石臼に粉々にされていまうだろう。この気付きは、子供だったシャンカラチャリヤが、市場で小麦を挽いている女性に出会った時でした。その後継があまりにも深く彼を動揺させたので、彼は先生のもとへ涙を流しながら走っていきました。「人生ってそうなんですね」と彼は泣きました。「毎日、時間の石臼で粉々に挽かれているんだ」先生は、市場に彼と一緒に戻って、石臼の上の石を持ち上げて言いました。「見なさい。中心軸に早く戻ったものはそのままだ。そういうものだけが失わなくて済むのだよ」シャンカラチャリヤは感動し、この教えを晩年も役立てました。私たちもまた役立てることができます、様々なレベルにおいて。


この教えは、私たちの精神的な生活と同様、身体の調子にも応用することができます。何年も使い続け、私たちの関節は荷重というストレスの下で、ギイギイ、パキパキ、ゼイゼイと「粉々に挽かれ」てしまいます。


単純な要素が組み合わせが、股関節に十分な大きさのストレス嵐を作り上げ、股関節痛へと繋がります。特に、ジョギングや散歩の好きな人、週末のアスリート、そしてもちろんアサナの練習をしている人(注意が足りない時には)など、活動的な生活を送っている人たちに多いのです。この問題と、それが原因で起こる股関節痛を理解するには、二つの重要な筋肉群を見ることが必要です。内転筋(内腿と鼠蹊部の筋肉で両脚を身体の中心線へ引く)と外転筋(股関節の外にあって、腿を中心線から離す)です。


 


鼠蹊部の筋肉(内転筋)は硬くなりがちで、大腿骨頭をソケットに引き込みます。大腿骨はソケットの中心で外転筋によって安定しなければならないのですが、これは鼠蹊部の筋肉とは逆になります。しかし、この外転筋が(大抵の場合はそうなのですが)弱くストレスを受けていると、結果として崩れたバランスがきしみや関節の悪化、股関節痛となる可能性があります。

しかし、必ずしもそうではありません。ヨガは、私たちの広がった中心「近くでホールドする」ことへの理解を与えてくれ、スピリチュアルな面だけでなく股関節の健康に保ちしなやかに歳を重ねていくツールとなります。ヨガは、人生のあらゆるレベルのバランスと調和を目的としており、股関節の痛みや怪我を防止しながら安定、活性化するのに役立ちます。



股関節痛と怪我


内転筋、または鼠蹊部の筋肉には2種類あります。短い方は、恥骨から内腿へと伸びており、よく負傷します。これらの筋肉は、長時間の座り続けや運転、姿勢のストレスなどから硬くなります。この硬さは、悪いフォームでのランニングや、片側のヒップの上で子供を抱える、左右非対称のヨガポーズを間違って行うなどの骨盤を捻ることで、より悪化します。また感情的ストレスによっても両腿をぎゅっと寄せることになるため、硬さが生じます。


その結果起こる怪我は、鼠蹊部の損傷です。突然の勢いのあるストレッチ、特に筋肉が温まっていない時には、筋繊維や腱が裂傷します。例えば、ランナーが中心線を超えて前脚を出して走ると、短い内転筋が硬くなり疲労します。そのストレスは、坂道を駈け上がる時(トレッドミルも含む)に増大するのです。






怪我はアサナの練習でも起こります。パリヴリッタ・トリコナサナやエーカ・パダ・ラジャカポタサナのようなポーズで、前脚の内腿を恥骨から離して引くときに、鼠蹊内転筋は強く引き込まれます。これらのポーズでは、「中心線を挟んで」と指示されることが多いのですが、実際には強く挟みすぎる可能性があり、股関節の中で骨が中心に来るために必要なスペースを作ることができなくなっているかもしれないのです。


主要な外転筋である中臀筋は、股関節内の大腿骨を安定させ、股関節を安全に保つのを助けます。腰骨を大腿骨頭に向かってひきこむことで、この外転筋は股関節を安全に、そして中心線に向かって内転筋が引かれる関節内のスペースを保ちます。私たちが一歩歩くたび、中臀筋は股関節が横に傾くのを防ぎ、関節内で大腿骨を中心に保つのです。






内転筋に関しては、中臀筋の損傷は、ランニングやピボットなど骨盤が捻れたり回転する動きで悪化します。この筋肉は、片足に全体重が乗るとき、ハーフムーン・ポーズ(アルダ・チャンドラサナ)やツリーポーズ(ヴルクシャサナ)などのバランスポーズなどで特に強く働きます。中臀筋が弱く鼠蹊が硬いと怪我をし、その怪我が関係痛となって腰痛を起こし、仙腸関節の機能不全による痛みと間違われることもあります。




股関節痛を防ぐためにバランスを取る



これらの2セットの筋肉群の調整をとることが、股関節の怪我を防ぐのに役立ちます。また、脚や股関節、骨盤の動体的な使い方を新たに理解するのにも役立つでしょう。深いレベルの気づきは、タダサナというシンプルな立位ポーズを意識することから始まります。
 




私たちが脚を伸ばして真っ直ぐ立つと、大臀筋とそのほかの骨盤深くにある回旋筋によって、腿の自然な外旋が起こります。過度の回旋は股関節に問題を起こす可能性があります。中臀筋は回旋筋ではなく、内転と外転、収縮と伸展のバランスを作り出し、内転筋とよい関係を持っています。この関係は、コアが軽く、開いていて引き上がっていると、保持されます。この正しい内側の動きにより、両脚が強く地面についていればいるほど、コアが引き上がるのです。


内転筋と外転筋の正しいバランスを見つけるためにはふたつの難しい問題があります。まず、立っている時に、鼠蹊部、つまり内腿の上部にある緊張をどのように解くかと身に付ける必要があります。次に、臀筋を使いすぎず、かつ鼠蹊部を固めず、どのように両脚を伸ばすのかを見つけなければいけません。どちらの動きも、坐骨から膝の内側に走る深く長い内転筋を正しく使う必要があるのです。


 
可能性のある怪我
ツイスト・ポーズで骨盤を回旋させるほど、
股関節へのストレスは大きくなる。
腰の後ろが下がると、腰の前が引き上がり、
中臀筋の固定と引き込みが同時に起こる。






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次回に続きます。



2020年12月18日金曜日

筋膜とヨガについて知っておくべきこと 
Everything You Need to Know About Fascia and Yoga



筋膜は、体の他の部分と同様に重要です。ヨガの練習は、筋膜を健康に保つことができ、柔軟性や安定性を高めるために作り替えることも可能です。


こんな感覚を感じたことがあるでしょう。脚をストレッチすると肩の凝りがほぐれる、股関節を開くと腰痛が緩和されるなど。これを起こしているのは、自然の意図なのです。私たちは皆、「筋膜」と呼ばれるコラーゲンの絡み合った網を体中に持っており、この網の一部で何かが起こると私たちは他の場所にその影響を感じることができるのです。


「前屈はハムストリングスのストレッチ?まあ、そうです。でもそれ以上です」と、アナトミートレインの著者であり「Fascial Release for Structural Balance」の共著者トム・マイヤーは説明します。「ヨガで筋膜を考慮しなければ、それが何なのかという全体像をみていないということです」







筋膜が重要な理由


筋膜要素とヨガ


ヨガのアサナを含む動きは、筋膜を活性し、みずみずしく耐性を維持することで筋膜を健康的に保ちます。ヨガは、筋膜の4つの重要な要素に影響します。

  1. 水。筋膜のほとんどは水です。筋肉を伸展、収縮する時やヨガポーズをホールドする時、あなたの筋膜から水が圧搾されます。動きを止めたり伸展をやめると組織は再び水分を取り戻し、より多くなります。科学的証拠が示しているのは、筋膜は動きを通して、絞り出した以上の水分を吸い上げるということです。「水は動いて場所を変えます。そして水は組織の様々な化学物質を出し入れしますが、それには神経ペプチドやホルモン、新しいタンパク質、ヒスタミンなどを含みます」ヨガのポーズは、体を組織的に全可動域で動かすため、ヨガはこうした再生を促進するのに特に長けているのです。


  2. ヒアルロン酸。ヒアルロン酸はスポンジ状構造をしていて、水分を吸い上げます。たっぷり水分を含んでいるときは、卵白のようなジェル状になっています。「このヒアルロン酸が水分を保っているときは、とても素晴らしい潤滑性があるので関節の中の抵抗はほとんどゼロに近い」とマイヤーは言います。しかし、ヒアルロン酸の水分が足りない時には粘りが出ます。動かさなかったり、あるいは自然な加齢により筋膜の潤滑性は失われ、関節はお互いに軋みあって関節炎へと向かってしまうのです・・。この関節内部の相互作用こそが関節炎へと、悪化への道を進ませるのです。また、使いすぎも問題になります。摩擦が多すぎると炎症が起こりヒアルロン酸の鎖を切ってしまい、組織をまとめて水分を保つことが困難になります。「水分が勢いよく入ってくる状態、それを腫れと呼んでいます」マイヤーは言います。


  3. グリコサミノグリカン。グリコサミノグリカンは水分をとらえます。水分が近くにあるときはシダのように広がって、その端に沿って水の分子を引き込みます。体を動かさないでいると、それらが丸まったままになります。「ヨガで行う動きによって、特に普段動かさない場所の、グリコサミノグリカンが割れて開くため、広がって水分を受け入れる」と、マイヤーは言います。


  4. コラーゲン。コラーゲン(肉の中に見える白い筋ばったもの)は、鉄よりも強靭です。その繊維がお互い寄り添うように並んでいます。「これをストレッチすると、この粘った分子が放たれます。これらの繊維間にある結合が解かれます。繊維がお互いに滑りあって、そして結合を長い形へと作り替えるのです」


筋膜の成長とヨガ


筋膜で働いている細胞は線維芽細胞です。これは、新しい筋膜を作り古い筋膜を取り除きます。新しい筋膜は、フェルトのようでどの方向にも動く組織されていない繊維です」マイヤーはいいます。「横になっているだけでは、筋膜を組織づくることのできる細胞はひとつもありません。あなたの動きが筋膜を作り組織立てている」ヨガなどの動きを通して、筋膜を組織立てはじめると、以下のような性質を認識し始めるでしょう。


  1. 弾力性。筋膜は、ゴムバンドのようではなく、スーパーボールのような弾力性を持っています。復元率にすぐれています。弾力性は良いことです。必要なのはバネのような腱(筋膜がたくさんあります)だとマイヤーは言います。筋肉ストレッチで弾力性をトレーニングすることができます。1秒間ほどの曲線の動きが、筋膜の素早いストレッチと反動を作ります。急な坂を自転車でこいで上がるよりは、ウッティタ・トリコナサナで30秒間ホールドしたり、エアロビクスで弾む動きを取り入れてみましょう。


  2. 可塑性。筋膜は粘着性と柔軟性があり、可塑性に優れています。例えば、ウッティタ・トリコナサナのように長いストレッチをすると、筋膜繊維の間の結合が溶けてお互いにスライドしあって長さをつくりますが、こういったときに可塑性が上がります。薄いプラスチックのバッグをゆっくり伸ばすところをイメージしましょう。あなたが引っ張っている箇所でプラスチックは長くなり、元の形には戻りません。柔軟性を通り越して可塑性へと移動したわけです。マイヤーによれば、あなたの筋膜でも同じことが起こります。柔軟性と可塑性を超えてストレッチし腱を無理に引っ張ったり、急に筋膜をストレッチすると、怪我をしてしまいます。


  3. 再形成する。筋膜は常に再形成されています(線維芽細胞が古い筋膜を取り除いて新しい筋膜を作り上げるのを思い出しましょう)。、例えば、腱を強く引っ張って筋膜を損傷した怪我を考えてみましょう。体を保護するため、線維芽細胞が新しい筋膜をどんどん作って瘢痕組織(きずあと)ができます。しかし、再形成にはよい面があります。激しいヨガや運動で筋膜に著しい負荷がかかったとき、筋膜はフィットネス業界がいうところの「ティア・アンド・リペア」で再形成されます。少し筋膜が引き裂かれるのですが、年齢や食事、健康状態、運動習慣などにより、1-2日間あるいはそれ以上の時間をかけて修復されていきます。




「マットの上で行っているのは刺激です」とマイヤーは言います。「マットから出た後に起こることの方が、あなたの体にとってはより興味深いのです」言い換えれば、より興味深いのは、再形成や編み直しです。時間が経つにつれ、再形成によって筋膜のより健全なパターンが作られ、例えば頭が前に突き出たような悪い姿勢を正してくれるのです。





2020年12月14日月曜日

肩の怪我を理解し防ぐ VOL.2
Understand and Prevent Shoulder Injuries



肩甲骨を解放する


まず、ウォリアーIIのポーズで両腕を両サイドに伸ばしましょう。両腕は肩と同じ面か、やや前に来るように気をつけましょう。「すくめ」を体験するために、手の親指が下向きになるよう手と腕を回転させましょう。首の両サイドが持ち上がって、三角筋が緊張し、肩が固まるのを感じましょう。



緊張したウォリアー II: 三角筋が緊張していると肩が持ち上がる



次に掌が上向くように手と腕を回転させ、手の小指を上に伸ばしましょう。背中の丸みがなくなります。肩甲骨の内側上部が開放されて後ろに下がり、首の横が柔らかくなります。肩甲骨が背中に安定して支えられ、腕の重みが首ではなく肩甲骨に支えられていることを感じましょう。特に肩甲骨の外側の筋肉が硬くなると同時に三角筋が柔らかく、肩関節がより開いて開放されるのを感じるでしょう。肩甲骨に支持を感じるために腕を小さく回してみましょう。


リラックスしたウォリアー II: 肩がリラックすると
肩甲骨の上部内側が下がり首が柔らかくなる




同じすくみがパールシュヴァコナサナで上の腕を頭上に伸ばした時にも起こります。腕を伸ばすのが難しい生徒が多くいます。三角筋が硬く、肩がすくんで首が詰まって頭を回すのを不快にさせています。これも肩甲骨から始まっていて、腕が肩関節にうまく入り込むため後ろへ下げることができていないのです。




パールシュヴァコナサナ:腕をやや前にC字の形で伸ばし、
肩の挟み込みを防ぐ。腕が回転して肩甲骨が開放されるのを感じよう。



パールシュヴァコナサナで肩を開放するには、上の腕を少し体の前にして、小指の方向へ伸ばしながら小さな円弧を描くように腕を回し、小指でアイスクリームを救うかのように手でCの字を作ります。肩甲骨が解放され耳から遠ざかって後方へ下がり、上腕骨が耳の横で正しい場所に嵌まり込んで、頭の回転するスペースを作ります。これは簡単ですがとてもエレガントな肩甲骨の動きで、肩を開くと同時に、背中と肩の深層筋を微細に下へ下げることで回旋腱板の締め付けを防ぎます。



肩関節を保護する


肩甲骨を感じるというのは、まだ始まりに過ぎません。回旋腱板(特に棘上筋)を保護し治癒するには、骨の位置を直すだけでなく、三角筋の情報への引きに対抗する筋肉群を活性化し強化しなければなりません。ダウンドッグやハンドスタンドなど腕を伸ばしたポーズでは、こうした筋肉を使いますが、この位置では肩もまた最も動きやすく脆弱な状態にあります。シルシャーサナ(ハンドスタンド)のバリエーションから安全に始めましょう。このポジションでは腕と肩がより安定しています。そして、このヘッドスタンドの準備練習の目的は腕をより荷重に耐えられるようにし、もし少しでも頭に荷重がかかるとしても首は安全なままです。


壁に向かったダウンドッグ


この練習法では、腕に荷重をかけずに肩の正しいアライメントを築くことができます。壁に向かって立ち、指を組んで両肘を肩幅に開き、前腕をヘッドスタンドの位置で壁に置きましょう。両掌は離しておき、腕が、V字ではなく逆さになったU字になるようにします。股関節から前屈しながら後ろへ歩きましょう。U字を保ったまま、体が直角くらいになり(必要なら膝を曲げます)頭が上腕と同じ高さになるまで腕を壁に沿って下げましょう。頭頂は壁につかなくても構いません。



上腕二頭筋の外側に軽く力を入れて、肘の内側から腋に向かってエネルギーを引き寄せましょう。この動きは肩を安定させ保護します。上腕二頭筋は力を入れると腕骨を肩関節に引き寄せるからです。肩を開いて関節内の挟み込みを防ぐために、両肘の間にビーチボールをギュッと挟むように、二頭筋を硬くして肘同士をアイソメトリックで寄せます。ウォリアーIIで小指を上に回した時のように、上背部が広がるのを感じましょう。


前腕を壁に押し付けて肩から上体をストレッチし、壁から離れます。肩に怪我がある時は、肩に痛みや詰まりを感じないところに止まりましょう。最初は頭と壁の距離は3-6センチくらいしか離れないかもしれません。それで大丈夫です。肘を押すと、肩甲骨がどのように背中で力強くなるか、肩の内部でより大きなスペースを作り出すかに気付きましょう。比較するために、手首で押してみて、どのように三頭筋や三角筋が働き肩が硬く丸くなるかを見てみましょう。腕に荷重がかかっている時に肘で押すとより深層の筋肉が活性化します。広背筋、肩甲下筋や大円筋です。これらは腕骨頭を後下方に引き、肩峰突起から遠ざけます。これが棘上筋の挟み込みを防ぐのです。壁に前腕を押して背中を伸ばす一方で、上背部が丸くなり過ぎないようにします。肩甲骨の間から床に向かって背骨を下ろし、腕を使い続けます。このストレッチを30秒程度ホールドしましょう。



椅子を使ったヘッドスタンド


次のバリエーションでは、腕により荷重がかかります。ここで補助が役に立ちます。安定した椅子を、滑らないように壁に向けて置きましょう。椅子に背を向けて前に座り、両脚を伸ばして椅子から脚の長さ分の距離を測ります。ここでかかとがある場所に肘を置くことになります。


さて、椅子から離れて、腕をヘッドスタンドの形にして肘を測った場所に置きましょう。両足を床につけたまま爪先を立て、ダウンドッグをする時のように腰を持ち上げます。二頭筋の内側に軽く力を入れ、前腕を下方へ体から離すように押し腰を後ろにストレッチ、肘から腰にかけてをまっすぐにしましょう。頭頂部を手の間の床に置き、頭ではなく腕にほとんどの荷重がかかるように、腕を強く押しましょう。このストレッチを腕を押しながら30秒程度ホールドします。


もし、ほとんどの荷重を腕に載せた続けることができ、そして肩関節に詰まりが無いようであれば、片足ずつ椅子の上に置いて腰を持ち上げ、より腕に荷重をかけます。(首を保護し肩を強化するために、頭が前腕のラインに来るように床から頭を完全に持ち上げてもよいでしょう)前腕全体を床に押し、特に肘を強くしましょう。



ヘッドスタンドのバリエーション:床に前腕全体を押して肩を強化し首を保護する




ヘッドスタンドのバリエーション


次の練習では、椅子を移動させて壁から脚の距離を測ります。両手の指を組んで頭を両手の間に置き、両手で後頭部を囲み、手首の骨が床と直角になるようにします。もし首に問題があるようであれば、ここでも頭を床から浮かせても良いですが、かなり努力が必要となるでしょう。まずダウンドッグ・バージョンをしてから、片足ずつ壁に移動させ体が直角になるようにしましょう。最初にやった練習の逆さバージョンです。このポーズはウルドヴァ・ダンダーサナ(下向きの杖のポーズ)と呼ばれることもあります。両腕を押して首の荷重を減らし、両肩を耳から腰の方へ引き上げましょう。この動きが肩峰突起から腕骨を遠ざけ、棘上筋を安全に保ちかつ治癒するのを助けてくれる筋肉群に力が入り強化します。


この練習は回旋腱板の怪我にどれほど効果があるのでしょう?2006年に the International Journal of Yoga Therapy で発表されたある研究では、10人の回旋腱板を負傷した人に、同様のヘッドスタンドのバリエーションを毎日30秒間6週間練習をしてもらい、その後6週間毎にフォローアップのセッションをし、平均で4.9ヶ月続けました。10人のうち9人が肩の可動域に向上がみられ、最初の30秒のセッションの後すぐに肩の痛みが減少しました。最後のフォローアップでは、8人に著しい可動域の向上、痛みの75パーセント減少がみられました。手術に至ったものは誰もおらず、これは激しい痛みを伴う回旋腱板負傷患者には珍しいことです。


すでに完全なヘッドスタンドの練習をしていて、アライメントや予防策に気づいているなら、肩を強化しながら治療するルーチンにこのアサナを取り入れても良いでしょう。ポーズの間は、前腕全体を床にしっかり押して体重を分散させる必要があります。



ヘッドスタンド:肩が落ち込むと体がバナナのようにアーチ形になり(左図)
回旋腱板に負荷を与えます。これを防ぐには、
首から肩を持ち上げるときに前腕をしっかり押します(右図)。




ヘッドスタンドでは、肩は耳の方へ丸まる傾向があります。結果として、体が「バナナ」になってしまいます。もし腰や首に圧迫を感じるなら、バナナ形になっているサインです。もう少し肘を押しましょう。同時に、腿を強く安定させて腰を少し後ろへ下げて肩の真上に来るようにし、両足を前に、かかとの内側と母指球を高く伸ばします。下腹部を強くして体を安定させましょう。頭頂に向かってのびながら首が長くなっているように感じなければなりません。


肘をもっと床に押すと、肩を広げることができ、耳から腰の方へ持ち上げることもできます。肩甲骨の外側がどのように使われているかを感じましょう。今使っている筋肉こそが、練習を通して目覚めさせ強化させている時に、肩のバランスの取れた動きを作り出し回旋腱板の怪我を保護してくれる筋肉なのです。


肩は、毎日のとても多くの活動で重要な役割を果たしています。楽器を弾いたり、タイプしたり、運転したり、もちろんヨガやスポーツでもそうです。毎日の練習に逆立ちを肩強化の練習を含めることはとても意味のあることです。そして最後に、世界の負担があなたの肩にやや重過ぎると感じたら、逆さになることでちょっとした解放感を得られるでしょう。アトラス神(訳注:ゼウス神から双肩に天を担わされた巨人)もまた、ヘッドスタンドをよくしたはずです。





2020年12月9日水曜日

肩の怪我を理解し防ぐ VOL.1
Understand and Prevent Shoulder Injuries

私は仕事上PCでタイピングすることが多く、また楽器を弾いたり料理を作るのが好きで、つまり腕を前にして作業をする時間がかなり長い方です。そんな私は、ヨガを始めてすぐの頃に無理なチャトゥランガで肩の怪我をしました。そして痛みがほとんどなくなるまで数年かかり、その間はアームバランスのポーズを試す度におかしな痛みを感じました。いまでも右肩は左肩と比べてかなり可動域が狭く、すぐに疲れて痛みを感じやすいのです。なかなか治らなくなる怪我。みなさんには経験してもらいたくないなーと思っています。

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あなたが両腕を上げる度、肩の筋肉は小さいものも大きいものも、微細なニュアンスで踊り始めます。これらの筋肉の複雑な相互作用は、肩関節の特別な構造に伴っており、両腕に大きな可動域を与えています。実際、肩は体の中で最も緩い関節のひとつなのです。しかし、この動きの自由にはよくない側面もあります。肩は、突然の転倒や野球のボールを投げるなど継続的な動きからの怪我に弱いのです。回旋筋腱板の筋肉は、肩で最もデリケートな部分ですが、特に敏感なところです。しかし、いいお知らせもあります。目的にあった定期的なアサナの練習は、回旋筋腱板を健康に保つ効果があります。アライメントに気付きを与え、肩の筋肉を強化し、胸を開きます。そして下記のポーズは、既に怪我をした回旋筋腱板をも治癒に向かわせる効果もあります。



肩の解剖学


肩関節の独特の性質を、特に肩甲骨との関係について見ていきましょう。肩関節は臼状関節とされていますが、上腕骨頭に丸い「球」はあってもそれに対するくぼみ(窩)はありません。そのかわりに、鎖骨の端と肩甲骨が一緒になって、その下から上腕がぶら下がっている棚を作っています。この棚は肩峰突起と呼ばれています。この下には丸いくぼみがありますが、肩甲骨の一部です。このおかげで肩関節は「窩」を持つことができ、上腕骨頭がこの表面を滑ることで回転し、そして回旋腱板の安定した収縮が関節をひとつにまとめています。


回旋腱板は、実は4つの分かれた筋肉からできていて(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)、上腕骨頭の前後で重なり合って関節を安定させています。これらの深層筋は肩峰突起に直接ついているより大きく強い筋肉群と重なり合っています。回旋腱板の筋肉は、上腕骨そのものの動きを導き、他の大きな筋肉群は、上腕骨と肩甲骨をひとつのユニットとして機能させながら肩全体の動きをコントロールします。





怪我の起こり方


回旋腱板の怪我で多いのは、肩の最も端にある三角筋(腕を上げるための大きな筋肉)の下です。怪我は、上腕骨頭に直接ついている小さな筋肉で腕を頭上に持ち上げる三角筋を助ける棘上筋に起こります。この三角筋の強さこそが棘上筋の怪我を引き起こすことが多いのです。腕を頭上に上げる時、三角筋は体から80度あたりまで腕を引き上げることができます。ここで、三角筋だけでは腕を上げることができなくなり、腕骨が肩の高さくらいに来ると、上に上げるのではなく腕骨を引くことしかできません。腕をひき上げ続けると、三角筋はやや弛緩して棘上筋が急いで助けに入ります。棘上筋はその後腕を30-40度上げますが、そのあとは三角筋はその仕事を終えることができます。


棘上筋が怪我をするのは、80ー120度の間です。大きなゴム輪くらいの大きさの棘上筋の腱は、筋肉の中で最も怪我をしやすい部分ですが、筋肉そのものもまた怪我をします。これは、特に激しいアド・ムカ・シュヴァナサナ(ダウンドッグ)や、最近人気の派手なヴァシスタサナ(サイドプランク)、そしてアドバンスのアームバランスポーズ、ティティバサナなどで起こります。


単純な事故もまた棘上筋腱を傷つけます。例えば、凍った駐車場で転倒して腕をついたりして、上腕骨が窩に入り込み棘上筋を肩峰突起との間に挟んだり、腱を切ってしまったりします。また単純な腕を上げるという反復する動作でも起こります。頭上にある棚の何かを取ろうと手を伸ばした時、三角筋が上腕骨を強く引きすぎて肩峰突起を押すので、棘上筋を挟んでしまいます。時間が経つにつれ、小さな怪我が積み重なってより深刻な問題になっていくのです。


肩はこうした挟み込みを防ぐように作られているのですが、使い方の癖や毎日の生活で、バランスが崩れたり痛くなったり、動かなくなったりします。この問題は姿勢の癖から始まります。私たちの多くは、腕の重みを支えるために肩の筋肉を使いすぎています。首に最も近い筋肉である菱形筋と肩甲骨上部から首に伸びる肩甲挙筋がその重さを担っています。これは、タイピングなど肩を長時間すくめた状態になるような活動の時には特に問題となります。慢性的な緊張が積み重なり、肩甲骨の内側が耳に近づき、背中や肩が丸くなります。これが悪いサイクルの始まりとなります。これらの筋肉が引っ張るので肩甲骨が背中を丸く持ち上げ、筋肉がより硬く収縮し、肩甲骨をさらに高く引き上げます。この姿勢と緊張の結果、三角筋が弛緩すべき時にも全く弛緩しなくなります。あなたの肩が前に巻いていて腕を80-120度上げる際に三角筋に力が入っているとしたら、上腕骨が肩峰突起に押し付けられて回旋腱板腱を挟みこんでいるかもしれません。


この悪循環を防止し肩筋肉の力とバランスを取り戻すためのヨガ・ポーズは、様々な方向へ腕を上げる簡単な立位のポーズから、体重を直接腕で支えるポーズまで様々あります。以下の立位ポーズは、腕を上げる際の肩甲骨の健康的な可動性を取り戻すのに役立ちます。また、菱形筋や肩甲挙筋の負荷を緩和するため他の筋肉を活性化することも可能です。逆立ち特にヘッドスタンドは、肩筋肉を強化しまた、より開いてストレスから解放してくれます。
 
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次回に続きます。



2020年11月15日日曜日

ブラマリ(マルバチの呼吸)で心を鎮める
Calm Your Mind with Brahmari (Bee Breath)

今回はプラナヤマのひとつ、ブラマリという呼吸法についてです。
口を閉じて蜂の羽音のような音を出す呼吸です。
この記事ではただ両目を閉じていますが、両手で両目と両耳を塞いで視界と外の音を遮断してやる方法もあります(閉所恐怖症の方には辛いかもしれませんね)。

コロナが出てから、対面のクラスでは呼吸法を練習するのを控えていますが、ヨガの本質は呼吸にあるといってもいいくらいです。アサナだけでなく、ぜひプラナヤマの練習も取り入れてみてください。

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ブラマリは、喉にある生命中枢であるヴィシュッダ・チャクラに直接の効果があり、これはヨガの高度な実践では必要不可欠の局面を持ちます。また、口蓋にあるタル・チャクラも刺激します。タントラの書物によれば、タル・チャクラは松果体と脳下垂体の活動をコントロールし、つまり体の微細な生化学をコントロールしています。


このテクニックで作られるバイブレーションは、この部分の神経末端を活気づけ、体全体や精神に深い効能をもたらします。





マルバチの呼吸の練習


心地よい姿勢で座り、両目を閉じ、鼻から深い横隔膜呼吸を行いましょう。普段の声の高さでハミング(鼻歌)してみましょう。そして舌の奥を口蓋に押し当てます。あまり強く舌を押し付けると喉の気道が完全に閉ざされてしまい、空気が流れず音が出ません。舌を少し引き揚げて喉から鼻腔へと移動する音を聞きましょう。ブラマリの蜂のようなハミングが鼻腔の中で振動するのを感じましょう。


この練習を始めた最初は、ハミング音が出るのは息を吐いた時だけでしょう。舌と喉をリラックスさせて普通に息を吸いましょう。上達とともに、吐く息ごとに安定してハミング音を鳴らしてみましょう。



毎日、空腹の状態で2、3分間ブラマリを練習しましょう。そして、快適で心地よいと感じられる範囲で徐々に5分間へと延ばしていきます。もし、めまいや痺れ(特に唇や指先など)または不安感など、ハイパーベンチレーションの症状を少しでも感じたらシンプルに横隔膜呼吸に戻し、その日の練習はやめましょう。



この練習の効果を最大にするには、音を出すのをやめた後、目を閉じて静かに座ることです。ブラマリのあとは、心と体の静寂をはっきりと感じるでしょう。この静寂は、呼吸への気付きや瞑想などでより長く感じ続けることができます。





2020年11月12日木曜日

ストレス反応を変える方法 Vol.2 
How to Change Your Stress Response

横隔膜呼吸


赤ちゃんや幼い子供は、肺の空気を出し入れするための胸腔と腹腔を隔てたドーム型の横隔膜を使って、深くたっぷり呼吸しています。お腹はリラックスしていて呼吸とともに動きます。これが自然で健康的な呼吸の方法です。しかし、成長するにしたがい、お腹を引き締めるように教えられ(お腹を引いてまっすぐ立ちなさい!)、そしてストレスを感じると腹部を無意識に緊張させる癖がつき、自然な呼吸の流れを邪魔するようになります。腹部を引き込むと呼吸は肺の上部でのみ行われます(乳首より上)。そのため、体はその呼吸パターンをストレス反応と理解し、ますます闘争逃走反応が強まります。





その一方で横隔膜呼吸は、副交感神経の主要な調整者である迷走神経を刺激して、休息消化反応を活性化させます。迷走神経は脳から胸部腹部のほぼ全ての内臓を通り、鎮静効果の連続を誘引します。ほとんどの場合、私たちは何か心地よいものやたまたま起こる効果によって活性化されることを待っている状態なのですが、この神経(つまり副交感神経全体)は横隔膜呼吸によってスイッチが入ることを気づかずにいます。


自立神経によって調整されている全ての作用(心拍数、血圧、消化液分泌、蠕動、体温など)のうち、意識的にコントロールできるのは呼吸だけです。呼吸で、横隔膜(迷走神経の他の部分や脳にメッセージを送る)に刺激を与える迷走神経の一部を刺激し、休息消化反応の全体を活性化することができます。ですから、慢性的なストレス反応を逆転させる第一歩は、生まれつきしていたはずの呼吸の方法をもう一度覚えることなのです。


もし横隔膜呼吸の訓練をしたことがないのなら、経験豊富な先生を見つけてそれがまた習慣になるまで毎日練習しましょう。そして、毎日の活動を通して横隔膜から呼吸するスキルができれば、自身の呼吸が神経システムのバロメーターだということを体験するでしょう。横隔膜から深く呼吸している限り、もし不快な状況に立ち向かったとしても、落ち着いてバランスの取れた感覚になれると気づくはずです。そしてまた、呼吸を胸で浅く行うと不安が忍び寄って筋肉が緊張し、心も焦って廻りはじめることに気づくでしょう。この動揺した呼吸が長く続くと、毎日が落ち着きのない防御的なものになるでしょう。一旦これを体験から学ぶことができれば、違う選択ができるはずです。



体系的なリラクゼーション


副交感神経を活性化するためには、横隔膜呼吸からはじめると良いでしょう。しかし、特に何年間も無意識に虎のオリを開けっぱなしにしている時には、さらに必要でしょう。毎日、リラクゼーションの時間をとることが必然です。私がこう言うと、患者たちは皆「テレビをみながら」「本を読みながら」「編み物をしながら」「みんなと過ごしながら」リラックスしていると言います。問題は、こうした活動は常にそこにある不安から気を逸らす(そのためいくららの解決にはなります)ことができる一方で、筋肉の収縮や緊張として持っているストレスを解消することはほとんどできないと言うことです。


体に緊張感を持ち続ける癖を直すには、ヨギが「プラナマヤ・コーシャ(エネルギー鞘)」と呼ぶものに働きかける必要があります。頭から爪先へと順番に緊張を解く体系的なリラクゼーションの練習です。他のヨガの練習と同じようにこのテクニックもたくさんありますが、最も良い方法は経験豊かな指導者から学び、磨きあげていくことです。その種類は、簡単な緊張・弛緩の練習や点から点への呼吸の練習から、エネルギー鞘の様々な点をはっきりと区別することが必要となるテクニックにまで及びます。しかし全ては、順序だって身体中に注意を移動させていくもので、大抵の場合はシャバサナで休みながら行います。そして日常の出来事から注意をそらしていくことも必要となります。練習の間は、記憶や予定や不安、空想などをやめ、今ここで行っていることに集中し、気付きを静かにやさしく体の一点から他の一点へと移動させていきます。



横隔膜で呼吸し、体系的に体のある部分から他の部分へと全ての注意を向ける事は、注意の向いている場所の緊張や疲労を解消するだけでなく、それらの点の間のエネルギーの流れを増大させます。これが、癒しと浄化を促進します。さらに、体系的なリラクゼーションの練習に全ての集中を集めるには、心を明快にし今という瞬間に完全に注意を払う必要があるため、瞑想への扉を開く技術を磨くこともできます。



瞑想


ストレスが私たちの生命(あるいは少なくとも私たちの幸福感)が危険だと認識することで始まるため、この認識を変えるよう心に働きかけることがストレス反応を鎮める最もパワフルなテクニックなのです。闘争逃走反応を活性化するもののほとんどは、生きるか死ぬかと言うものではありません。ある課題を達成するプレッシャーを感じたり、明日のミーティングで何が起こるのか心配したりしますが、その結果私たちの生命がどうなるわけでもありません。レアケースを除いて、ストレスを作り出す思考パターンは大抵の場合日常の出来事への過剰反応です。体中にアドレナリンを流すような反応ではなく、ストレスを少なくするだけでなく実際に起こっていることを正しく認識するよう(「渋滞に巻き込まれただけで、死にかけているわけではない」「この人を喜ばせたいけれど、もしできなくてもクビになることはない」)組み直すことができます。これが闘争逃走反応を徐々に鎮めていき、瞑想で得られる体験とともに得られるスキルです。


瞑想は、心の癖を中庸な視点から観察する機会をもたらすことでその癖を理解するのに役立ちます。ですから、私はストレス管理の方法として瞑想を処方するのです。私は瞑想を霊的な変移の手段として軽視したくはありません。が、その初期の段階においては、瞑想の最も素晴らしい高価のひとつは心のおしゃべりの狂乱や揶揄に引き込まれていくのを回避することができることです。瞑想はそうした揶揄の最中へ激突しないで、公平な目で観察することを可能にしてくれます。それはまるで、暖かく乾いた部屋から豪雨を見ているようなものです。思考とともに動くより心を見つめることで感じる平穏は、私たちの中心にある平穏なのです。


瞑想を始めたばかりの間は、瞑想の対象から心があちこち動いて他の思考に止まったりするでしょう。これは何度も何度も起こります。あなたがするべきことは、優しくそして何度も注意を瞑想の対象へと戻し、善悪の判断なしに辛抱強く行うことです。時に、この邪魔をする思考が心のスクリーンにうつされた映画のように見えるかもしれません。変だったり激しかったりするかもしれません。しかし、あなたは休息消化モードにあって、面白いことにその心の映像は闘争逃走反応を起こさないのです。ただそれらを観察できるということは、それがあなたでないという証拠です。そしてあなたの内にいる観察者と心の混沌を区別できるということは、あなたは体いっぱいのストレス・ホルモンで反応しているのではなく、冷静に反応しているということを意味します。



瞑想を練習すればするほど、どれが現実でどれがそうでないかを区別できるようになります。つまり、どれが生命を危険にさらすものでどれが過剰反応なのか。そして、交感神経を活性化させるほとんどのことはただの習慣的な過剰反応であるとわかってくれば、違った選択ができるようになります。不快な出来事に反応するのではなく、意識的に横隔膜から呼吸し、そして瞑想で心のおしゃべりを観察するのと同じ方法で観察することで、神経に触る影響を緩やかにすることができるのです。



最初は難しいかもしれません。パートナーや同僚があなたに怒鳴ったら、おそらくあなたも怒鳴り返そうとして胸で呼吸しているのに気づくかもしれません。そうしたら、横隔膜から呼吸し中庸の視点から見るのだと思い出しましょう。でも時間とともにそのスキルが身についていくでしょう。特に習慣的に瞑想の練習をしたり、横隔膜で呼吸したり、毎日リラクゼーションの練習をしていれば。そして、休息消化反応を意識的に続けて活性化させることを選択すれば、闘争逃走反応が起こるのは、運転している車が氷の上でスリップしたり、猫がキャンドルを倒してカーテンに火がついたときくらいになっているのに気づくはずです。健康になって、毎日も楽しくなるでしょう。正しい扉を選ぶことを学んだのです。

2020年11月8日日曜日

ストレス反応を変える方法 Vol.1
How to Change Your Stress Response

今回は、自律神経と心身ともに健康でいるためのヒントについてです。
私が学んだヴィヴェカナンダ・ヨガ研究所のヨガセラピーは、基本的にいかに意識的にリラックスし心を穏やかにするかに注目したものです。難しく考える必要はありません。簡単な方法でできるのです。

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「女か虎か?」というお話を知っていますか?その最後には、ヒーローは2つのそっくりな扉の前に立ちます。ひとつは美女が隠されていて、もう一方は恐ろしい虎がいます。ヒーローはこのどちらかを開けなければならないのですが(選択権は彼にあります)、どちらに美女がいてどちらから虎が飛び出してくるかを知るすべはありません。


患者が慢性ストレスの症状を訴える時、私は時々この話を思い出すのです。頭痛や消化不良、潰瘍、筋肉のこわばり、高血圧、あるいはこれらの組み合わせ。私がそれはストレスが原因だと指摘すると、患者は諦めたように見えます。ストレスはこんなにも多くの人たちの生活に常に存在し、全ての扉の向こうに虎が潜んでいるかのようです。逃走闘争反応が神経に深く繋がっていると私のオフィスにくる人々のほとんどは知っていて、その多くは絶え間ない緊張の感覚を正常のものあるいは避けようのないものだと受け入れています。


そうではないのです。物語のヒーローのように私たちには選択することができます。もうひとつの扉があって、そちらも神経に深く繋がった毎日の困難への反応があるのです。そしてこの運命が運次第であるヒーローと違って、私たちはどちらの扉がどちらなのかを見つけることができます。神経の一般的な理解とストレスに対する反応、そして基本的なヨガの3つのテクニックを訓練すれば、扉を見分けることができるようになります。こうしたテクニックを練習することが、虎を放してしまう扉を硬く閉ざしたまま美女を選ぶ力を与えてくれます。



虎を放つ


自律神経は、体の無意識の処理全てをコントロールしています。呼吸の速さ、心拍数、血圧、消化液の分泌や消化器の蠕動、体温などです。自律神経にはふたつの大きな要素、部分があります。交感神経と副交感神経です。私たちがストレスを感じると、脳が交感神経を活性させ闘争逃走反応と呼ばれています。これが副腎髄質からアドレナリン(エピネフリン)を分泌させ、このホルモンが血流を廻りほとんど全ての臓器に影響します。アドレナリンは、生命や手足の脅威を切り抜けるよう体を勢いづけます。心臓は速く強く打ち、血圧を急上昇させ、呼吸数が上がって胸へ空気が送り込まれ、気管が広がってより多くの酸素を体に取り込み、血糖が上がって燃料供給を準備し、肌と体の中心の血液を制限するよう血管が収縮、脳や手足には血流を送るため他の血管が膨張します。するとどうなるでしょう?体は闘うか走るかのために緊張し、心は極度まで警戒します。


この反応は生命を脅かすような時には重要な反応です。もしアメリカライオンとばったり出会ってしまったらこのストレス反応が私たちの生存の可能性を劇的に大きくします。この素晴らしい反応の話を聞いたことがあるでしょう。子供助けるために自動車を持ち上げた母親や、燃え盛る建物から自分の2倍もある男性を担ぎ出した消防士。これはすべて交感神経のおかげです。生命の危機に晒された時に素早く断固としていつでも反応する、感謝すべき神経システムです。


闘争逃走反応は、本当に危険が迫った稀な時だけに作動するようになっています。理想的には、次の危機一髪がやってくるまでは(何週間、何ヶ月、あるいは何年も先)休眠状態です。しかし、私たちの多くは毎日のように、毎時間のように反応しています。戦士や綱渡り曲芸師、SWATチームの人たちなどは、頻繁に生きるか死ぬかの状況にいることでしょう。が、ほとんどの人にとっては、強盗や交通事故、山の中で熊に出会うなど稀なことです。いったんそうした脅威が収まれば、ホルモン信号はストレス反応を止め、恒常性が取り戻されるのです。


私たちの多くにとっての問題は、闘争逃走反応はなかなかスイッチが切れることがなく、ストレスホルモンが継続的に体の中を廻り続けることです。







知らないものへの恐怖、周りの状況の大きな変化、将来への不安、消極的な態度など、これらは全てストレスの原因です。今日私たちは、野生動物と闘うこと以上に、仕事や人間関係、交通渋滞に巻き込まれることなどに不安を感じていますが、それが精神的なものであってもいまだ古代からの生存反応のスイッチが入ってしまうのです。


その結果、私たちの体はいつも緊張状態で、闘うか逃げるかの準備をしていて、これが身体的な問題を引き起こします。体内をアドレナリンがめぐる時に何が起こるかを見れば、こうしたことがわかるはずです。血圧上昇、速くて浅い呼吸、高血糖、そして消化不良です。さらに、アドレナリンは怪我をした時にすぐ血液が固まるよう血小板の粘度を上げます。これによって怪我からの生存率を高めますが、慢性的な高粘度の血小板は、血液がより固まりやすくなり動脈が詰まりやすくます。そしてこれが心臓発作や脳梗塞へと繋がっていきます。


ダメージはここで終わりません。絶え間ない闘争逃走モードにいれば、副腎皮質がコルチゾールを分泌し始めます。このステロイドの仕事は、十分な燃料を確保することで長期間の非常事態に対応するのを助けることです。コルチゾールは、肝臓や筋肉組織に働きかけ、糖(グルコース)と脂肪を作って血流へと放たせます。身体自身から見れば、これは合理的反応です。脂肪や糖を血中へ送り出すことは、例えば沈む船で生存するために役立ちます。しかし、この燃料が長引く体の緊張の反応の中で代謝されなければ、結果的に病気になります。血流の過剰な糖は糖尿病、過剰な脂肪はコレステロールや中性脂肪のレベルを高くします。このどちらの状態も心臓病の危険を高めます。


コルチゾールやコルチゾンなどのステロイドは、自己免疫疾患や喘息の炎症を鎮めるので短期間の使用は有用ですが、血流に長期間存在すると免疫機能を抑制してしまいます。これが血液細胞(バクテリアやウィルス、癌細胞、カビなど有害な微生物からの勇敢な防御役)を不活性にさせます。そのため病気になりやすくなり、特にライム病、肝炎、EBウィルスの慢性感染症や癌にかかりやすくなるのです。


怖いですよね。そうです、これが虎なのです。交感神経が慢性的に活性化されていると体は常にプレッシャー下に置かれます。初期症状を無視すれば(肩こりや消化不良、繰り返す頭痛、怒り易い、気が動転しやすいなど)遅かれ早かれ虎が私たちを引き裂くでしょう。けれども私たちは違う選択をすることができます。自律神経ののうひとつの働き、副交感神経です。略奪の交感神経の暴君の元で生きるより、休息と消化の反応を起こす副交感神経のスイッチを入れることを学ぶのです。



脅威と危険によって自動的に起こる闘争逃走反応と同様に、休息消化反応もまた心の落ち着きによって自動的に起こります。副交感神経が活性すると、心拍数と血圧は下がり、呼吸はゆっくりと深くなります。血流が体の中心に集まってきて、消化を促し、免疫システムを支え、幸福感をもたらすのです。



私たちがこの休みの状態を無意識に作っているのは、心から笑っている時や深い睡眠状態の時です。心地よく、自身に課している忙しさからより必要となる休息を与えてくれます。しかし、ストレス状態を普通と受け止めて、ほんのたまにだけしかリラックスした幸福感を感じなければ、そうなってしまいます。いつももうひとつの扉があるのにもかかわらず、1日に何回も虎を解き放ってしまいます。意思を持って扉を開けることを身に付けられれば、休息消化の神経システムを活性化させてストレス反応を引き起こす悪い癖を直すことができます。




美女と出会う

私は治療の中で様々な自然両方を使いますが、ストレッチや呼吸、リラクゼーション、瞑想など、基本的にはヨガを用います。これらのテクニックは特にストレスマネージメントに効果的です。有酸素運動がストレスからきた緊張を解消するのに素晴らしい方法であり、砂糖やカフェイン、辛い食べ物が神経を昂らせ怒り易くすることは、個人的な経験から皆さんも気づいておられるでしょう。そして、緊張して疲れた体を動かしてストレッチし呼吸に集中することを教えてくれるヨガのポーズを練習することで得られるリラックス効果もよくご存知でしょう。しかし、このゆっくりした深い呼吸が休息消化のシステムを活性させる最も簡単な方法だとご存知でしたか?これがヨガがこんなにも人気である理由のひとつです。疲れた神経を鎮静し不安な心を穏やかにしてくれます。しかし、ヨガはまたより深いレベルにまで働きかけます。健康的な呼吸パターンを再構築し、意識的にそして体系的にリラックスすることを教えてくれ、瞑想を通して精神の内側を探求する機会を与えてくれます。これらのテクニックは(個別でも組み合わせても)、副交感神経を活性化して強化し、休息消化反応が私たちの通常モードになるようにします。そして闘争逃走反応は、自然がそのように作ったように、緊急のために置いておきましょう。では、2番目の扉を開ける方法のいくつかをみていきましょう。


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次回に続きます。

2020年11月1日日曜日

アレルギーの自然な治療法 
Natural Allergy Relief

春だけでなく、秋も花粉症が多い季節です。
辛い症状を自然に緩和する方法をみていきましょう。
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Q:花粉症なので春になるのが怖くなりました。花の季節が始まるとすぐにクシャミが出始めて目が赤く涙目になり、何週間も、時には何ヶ月も怠さが続きます。抗ヒスタミン剤を試しましたがとても乾燥します。なにか自然療法はないでしょうか?



あります。自然の医療法は、アーユルヴェーダ、ホメオパシー、自然療法、ハーバリズムなど多数ありますが、その症状を緩和するだけでなく、ホリスティックな視点でアレルギーの根本原因に働き始められる多くのハーブやサプリメント、ライフスタイルの調整を勧めています。グズグズいわない春を過ごすための毎日の方策をお教えしましょう。でもその前に、アレルギーがどのように始まるのかをみていきましょう。


生理学的には、アレルギー反応は、あなたの免疫システムが無害な物質(花粉やほこり、鱗屑など)に過剰に反応してまるで危険な侵略者でるかのように攻撃することで起こります。この免疫の間違った反応は、体を守ると言うより病気のような症状を作り出してしまうのです。


アレルギー反応に多いのは、鼻詰まり、クシャミ、目の痒み、疲労感などです。その他、咳、喘息、頭痛、痒み、蕁麻疹もあります。こうした反応を引き起こす物質をアレルゲンと言います。春に最も多いアレルゲンは木や草などの植物から放たれた花粉です。アレルゲンは、ヒスタミン受容体と結びつくヒスタミン化合物を分泌する原因となり、アレルギー症状に繋がる免疫反応を刺激します。対処療法のほとんどは抗ヒスタミン剤(ベナドリルやクラリチン、アレグラ、ジルテックなど)で、アレルギー反応を作り出すヒスタミンをブロックします。こうした薬品は症状をコントロールしますが、眠気や頭痛、口の乾きや食欲減退、めまい、疲労感などの副作用があり、そしてアレルギー状態を治療するわけではありません。




問題の根本にはたらきかける


アーマを減らしアグニと免疫を強化する


いくつかのホリスティック医療では、アレルギーを起こす人には三つの要因があると言われています。免疫システム不全、弱い消化システム、毒素の過負荷です。結果として、自然療法は一般的にこうしたシステムを強化して毒素を取り除くことを中心に行われます。アーユルヴェーダ用語では、私たちのアグニ(消化の火)が免疫をサポートしています。しかしアグニが弱くなると、消化が不完全となり、処理仕切れなかった残留物(アーマ)が体の中で毒のゴミとなるのです。


ヨガやアーユルヴェーダは、太陽神経叢と腹筋を強く保ってアグニを燃え立たせ、アーマを減らして免疫を向上させるよう助言しています。私のお勧めは、脚上げ、腹筋運動、アグニ・サラと呼ばれるクリヤ・ヨガの浄化法(腹部の深層筋と骨盤底筋群を活性させる呼吸法)です。アグニ・サラの初心者バージョンでは、呼気でお臍を背骨へと引きながら腹壁を引き締め、吸気でスムーズにリラックスしましょう。




浄化するあるいは免疫をサポートするサプリメントを取ることも可能


チャワンプラシュ


この回復のためのアーユルヴェーダの調合はアムラ・ベリーから作られており、30種類以上のハーブや果物とッジャムを加熱したものです。ビタミンCが豊富でアグニと免疫を強化します。冬の間の免疫をサポートするために温かい飲み物(ミルクやハーブ・ティー)でティースプーン一杯を1日に1、2回摂りましょう。

レンゲ草(キバナオウギ)

この中国のハーブはアレルギーの季節が始まる前に摂るとよく、免疫を強化し健康を保ちます。粉末にした根をティースプーン一杯、あるいは500mgのタブレット1日に3回摂りましょう。

エキナセア、ヒドラチス、ゴボウ、ムラサキツメクサ

これらの血液浄化ハーブを、アレルギーの季節前後に1日に2、3回液体かカプセルのものを摂る。容器に書かれた服用量に従いましょう。




過剰なカパを取り除く


アーユルヴェーダでは、「地」と「水」のエネルギー要素であるカパは、冬から初春にかけて増えます。雪が溶け、雨が降り始め、地面が湿気で重たくなると、カパの冷たく湿った質を見ることができます。私たちの中のカパもまた液化し、無気力感や体重増加、鬱などのカパに関する問題とともに風邪やアレルギー、気管支炎などに悩まされます。カパを鎮める温め、乾燥させ、活動的なアーユルヴェーダのトリートメントで、カパの冷たく湿った思い質とのバランスをとります。



  • 1日30分背骨に沿ってと腕の下に汗をかくまで激しい運動をする。
  • サウナに入る 
  • キノアや雑穀などデンプンのない軽い穀類、たっぷりの野菜(根菜や瓜科を除く)、そして暖かく、火を通したスパイシーな乾いた食べ物を摂ってカパを鎮める。また、小麦や乳製品(特にアイスクリーム)などを避けることも効果がある。
  • ガジャ・カラニ(治癒的嘔吐のテクニック、訳注:ヴァマナ・ドゥティという名前で教わりました)と呼ばれるヨガの浄化法を覚える。抗カパの治療法としては大人気と言うわけではないが、アレルギーの治療には大変効果的。これは、朝の起床後に塩水を2リットルをガブガブと飲みその後すぐに吐き出すと言うもの。胃の過剰な粘液を洗い流し、鼻や気管支から粘液を導き出し、鼻詰まりを解消、熱を作り出し、そしてカパを鎮める。(この浄化法の禁忌:食道炸裂ヘルニア、逆流性食道炎、高血圧、心臓疾患)
  • カパラバティなど強いプラナヤマをして内なる火を強くする。それが、過剰なカパを溶かし粘液を溶かす。カパラバティは予防として行うのが最善。すでに鼻や鼻腔のつまりがある時は行わないこと。

 

こうしたカパを鎮めるセラピーを冬の間に行っておけば、花粉の季節が来た時にもいつもの症状を作り出すカパの蓄積を少なくすることができます。そしてアーマを取り除きアグニや免疫を強化する方法としてハーブやサプリメントを付け加えておけば、アレルギーの根本原因を取り除くことを始めることができ輝かしい春を謳歌できるでしょう。



自然のヒスタミン・ブロッカーを試す


もしどうしても抗ヒスタミン剤が必要だと思ったら、全て自然由来のバイオフラボノイド、ケルシチンを試してみましょう。予防作として使用するのが良いのですが(アレルギーの季節が始まる6-8週間前から始めます)、出てしまったアレルギー症状を緩和することもできます。1日に3回400-600mgを摂り、必要に応じて量を調整しましょう。


イラクサは何世紀にもわたって抗アレルギーのハーブとして使われてきています。薬草の分野で主要な国際的ジャーナル Planta Medica に発表された任意の偽薬コントロール研究では、60パーセントの被験者がイラクサがアレルギー症状の緩和に効果的であると報告、およそ半数(48パーセント)がアレルギー薬と少なくとも同様の効果があると言及しています。推奨される服用量は300-350mg、あるいはフリーズドライにしたエキスのカプセルをひとつ1日三回の摂取です。しかし、イラクサのハーブティーを毎日2-3杯を飲むだけで症状に著しい改善があったという私の患者もいます。


さらに、治験ではビタミンCが血中にヒスタミンをさげるという科学的研究が多くあり、臨床でも同様であるといういくつかの研究もあります。推奨される服用量は、1-3g を1日2、3回アレルギーの季節の間飲み続けます(春、夏、秋)。軟便になったら量を減らしましょう。






アレルギーのトリガーを最小に


花粉症になりがちであれば、乾燥して風の強い日は窓を閉めて室内にとどまること、シーツや服をこまめに洗うこと、花粉の粒子を排除するため家の中で空気清浄機を使ことなどをアレルギー専門医は推奨しています。塩分を含んだ液でネティ・ポットを使用し、鼻腔の汚れや菌、花粉、過剰な粘液を流し洗いましょう。最良の結果を得るためには、この鼻うがいを1日に数回繰り返しましょう。

2020年10月30日金曜日

アインシュタインと神
EINSTEIN & GOD

今回は、ヨガやアーユルヴェーダとは直接関係はないのですが、
学校や軍でカウンセラーをしている友人からシェアしてもらったお話です。

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アインシュタインがアメリカの大学で講義をしていた時、生徒たちから何度も尋ねられた「あなたは神を信じますか?」という質問にいつも彼はこう答えていました。「私はスピノザの神を信じていますよ」


バールーフ・デ・スピノザはオランダの哲学者で、デカルトと並んで17世紀の優れた合理主義哲学者の一人と考えられています。


(スピノザ) : 神はこう言うだろう


-  祈るのを止めなさい。あなたたちにして欲しいのは、世界に出て人生を楽しむことである。歌を歌って、私があなたたちのために作った全てを楽しんで欲しい。


-  あなたたちが自分のために作った暗く寒い寺院に行くのは、そしてそれを自分の家だと言うのは止めなさい。私の家は、山や森や川、湖、海岸にある。そこが私の住むところでありあなたたちへの愛を表している場所である。


-  あなたたちの惨めな人生を私のせいにするのを止めなさい。私は一度としてあなたに非があるとか、あなたは罪深いとか、あなたの性行動悪いことだと言ったことはない。性はあなたに与えた贈り物であり、それであなたは愛や忘我や喜びを表現することができる。だから彼らがあなたに信じさせたこと全てを私のせいにしないことだ。


-  私に関係のない聖なる書物とされているものを読むのを止めなさい。もし、夜明けや風景、友人の姿、息子の目に私を読むことができないのなら、どんな本の中にも私を見出すことはでいないだろう!


-  「どう私の務めを行えばいいかお教え下さい」と私に尋ねるのを止めなさい。私はあなたたちを評価したり責めたりしないし、怒りもせず心配もしない。私は純粋な愛である。


-  許しを請うのを辞めなさい、許すことは何もない。もし私があなたたちを作ったのなら、あなたたちを情熱や制限、喜び、感情、矛盾など、自由意思で満たした。私があなたたちに作ったものにあなたが反応するならば、どうしてそれを責めることができるのか。もしあなたたちを作ったのが私ならば、あなたたちがあなたたちでいるのをどうして罰することがでいるのか。今後ずっと悪い行いをする子供達全てを焼く場所を、私が作ることができたと考えるのか?それはどんな神であるというのか?


-  あなたたちの仲間を敬い、自分にして欲しくないことはしてはならない。私が望むのは、あなたの人生に注意を向けることであり、その注意があなたの指針である。


-  愛する人たちよ、この人生は試験ではなく、何処かへ行く途中でもなく、リハーサルや天国への前段階でもない。この人生は、今ここにある唯一のものであり、あなたが必要としている全てである。


-  私はあなたたちを完全なる自由においている。褒美も罰も、罪も善もなく、誰にも点数はなく、誰も記録をしていない。あなたたちは自身の人生を作る完全なる自由にある。天国においても地獄においても。


-  この人生の後に何かがあるのかは私には言えないが、ヒントを与えることはできる。何もないかのように生きなさい。これが、楽しみ、愛し、存在するあなたの唯一の機会であるかのように。もし後に何もないのだとしたなら、私が与えた機会を楽しむだろう。そしてもしあるとしたら、あなたたちの行いは正しいのか間違っているのかを私が尋ねることはないと考えるだろうが、私は尋ねる。人生を気に入ったか?楽しんだか?何が一番楽しかったのか?何を学んだのか?


-  私を信じるのを止めなさい。信じるとは思い込みであり、推測であり、想像である。私はあなたたちに私を信じて欲しくはない、私はあなたたちを信じたい。あなたたちが愛する人にキスをする時、あなたの娘を抱擁する時、あなたの犬を愛撫する時、そしてあなたが海で泳ぐ時に、あなたたちの中に私を感じて欲しい。


-  私を称えるのを止めなさい。いったい私がどんな自己中心的な神だと考えているのか?私は称えられるのに飽きた。感謝されるのに飽きた。ありがたく思う?ならばあなたたち自身を、健康を、関係を、世界を大切にすることで証明しなさい。あなたの喜びを表現しなさい!それが私を称える方法だ。


-  ことを複雑にし、私について教わったことをオウムのように繰り返すのを止めなさい。まだ奇跡が必要だと言うのか?説明が必要なのか?ただひとつ確かなのは、あなたたちはここに存在し、生きており、この世は不思議に満ちているということだけである。


スピノザ



2020年10月28日水曜日

マーシャル諸島のお話 Vol.2

  ブライアンのお話の続き

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僕も君もみんな水の世界に住んでいる。地球の4分の3は水で覆われている。最初の生命も海から生まれ出た。宇宙からみたら僕らは美しく青い惑星だ。水がなければ生命もない、海が僕らの生物圏の環境をコントロールしている。大気もまるで玉ねぎの皮のように僕らを守ってくれている。


君と僕が出会って、世界をまたいでeメールを送り合っているという事実はなんてすごいことだろう。僕らが今、この場所にたどり着くまでに気の遠くなるような歳月がかかっている。


そんな昔でもない時にこんな概念が現れた。
「この宇宙が始まったのは137億年前くらいだろう」と。そしてこれをふまえて人間が出現した時間を考えれば、「現在から未来へと進む時間の終わりなんて極小さいモノに過ぎない」。


僕はこの概念は間違っていると思う。だって、そんな考えでいると自分がちっぽけでどうでもいいと感じてしまうし、そんな時は人は「何したって変わらない」と自己中心的になってしまうものだから。


本当は、僕らは最初からずっとここにいる。そして137億年もの間ずっとくじが当り続けているかのように生命は続いてきた。全ての要素が星の中で作られたように、とんでもなく繋がった出来事を通して、この宇宙が単純な元素の水素からどのように始まり現在の素晴らしい構造を作り上げてきたのだろう。


十分な要素があって銀河が作られて、そしてこうした銀河のうちのひとつの正しい場所に、中心の混乱から十分に遠くかつ遠過ぎず、そしてちょうど良い量の要素があって・・・。とるに足らないけど安定した恒星が生まれ、周りにその惑星も生まれる。その恒星からちょうど良い距離で僕らが生命存続可能と呼ぶ岩の惑星が作られた。


この岩の惑星はすごく特別だった。熱いコアを持ちその表面は常に動いている。これを地殻構造プレート運動という。この岩の惑星は僕らが月と呼ぶ大きな衛星を従え、この月のおかげで僕らの世界は安定して回り続け生命が出現することになった。この表面の地殻運動はまた、大気を作り出した。生命存続可能な場所にあるおかげで水は凍らず地表の4分の3を覆った。


単純な生命が生まれ、条件が揃ったことでより複雑な生命へと進化した。地球には、ほとんどカチコチに凍って生命が絶滅の寸前まで行った時代もあった。生命は違う形で回復する。ほとんどの生命が消滅する火山活動の激しい時代もあった。生命はまた回復した。6000万年前、地球に大きな物体がぶつかり生命のほとんどを奪い去ったが、この時僕ら「哺乳類」という種が次の展開へと進んだ。確率の法則をずっとずっと超えてこうしたことが起きたと考えてみたら、ただただ驚きだ。


複雑な生命はこの世の宝石だ。準星でもなく、赤色巨星でもなく、ブラックホールでもない。僕らは他の複雑な生命を知らない。どこかにいるかもしれないが、まだ僕らは見つけられていないし接触したこともない。


実際の話、生命が存在しこの地球に僕らが生まれ存在していることは完全すぎるんだ。つまり、空からエネルギーが降り注ぎ食べ物が土から育つ。この世界に生きることはとても簡単だということを僕らはいつも忘れているのだけど、遅過ぎてしまう前に見つめ直す必要がある。


本当だよ、ここに存在することはとても簡単だ。人間はずっと新しい iPhoneや自動車や超高層ビルや、いろんな政治や宗教を夢見たり、空をみて人間が宇宙コロニーに生物圏を移動させるとか人間が絶滅すると夢見るほどクレイジーでいられる。もし僕らが絶滅したらもう永久に存在することはできない。これこそが僕らが気付くべきことで、僕らは団結して僕らの生物圏を守り浄化する必要がある。だって、僕らにあるのはこれが全てで最後までできるだけ守り続けなきゃならない。


こうしたことを全部頭に入れておいて欲しい。僕らは水の世界だ。地球じゃなくて水球と呼んだ方がいいかもしれない。水の一番大きな部分はもちろん太平洋で、だからこそこの最大の水の中心が僕らの中心で、それがマーシャル諸島なんだ。悲しいかな、これに気づいている人はとても少ないし、マーシャル諸島がどこにあるか知らない人さえいる。マーシャル諸島の人々は彼ら自身をこの中心の管理人だと考えている。マーシャル諸島は、陸と水と空が一緒になる場所。このどれかを妨害すると災害に繋がる。長老たちはこれを知っているし、過去、現在、未来の生活もわかっている。彼らの考え方では、過去がなければ未来もない。つまり過去の知恵だけが未来の計画への希望なんだよ。


ー ブライアン




2020年10月27日火曜日

マーシャル諸島のお話 Vol.1


核兵器禁止条約が発効決定したので
もう3年も前からずっと温めてきたお話、
米国の知人ブライアンがマーシャル諸島で体験した話をシェアしたいと思います。

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やあ、返事が遅くなったね。マーシャル諸島から帰ってきたよ。


今回の旅は、体力的にも感情的にも今までで最もキツイものだったと言わざるを得ない。人生ではしばしば起こるけれど、予め計画を立て予想していても突然何かが起こって何もかもが変わってしまう。今回の旅はそんな旅だったが、大惨事かのように見えていた変化が起こった時には、僕がいた場所の悲劇、そして魔法のような体験としか言いようのないものへの別の道が開いた。それは、マーシャル諸島とエニウェトクの人々の温かさと受容であり、僕の旅を特別なものにした。


この旅の目的は、地球上で最も放射線で汚染された場所のひとつであるルーニット・ドームを訪れることだった。米国は1946年から1958年までにエニウェトク環礁で43回もの核実験をした。43回のうち17回はこのドームが作られ残されたルーニット島で行われた。


1977年から1980年まで、米国が放射能汚染されていると認定した島の表土30ー45cm を4300人の米軍兵たちが削り取った。この汚染土は、1958年の5月5日にカクタスと呼ばれる核兵器実験によってできたクレーターの中に、180kgにも及ぶプルトニウムと他の核分裂物質とともに置き去りにされていた。そのクレーターの幅は110m、深さは11.5m。ルーニット・ドームを作った米兵たちは放射能汚染物質を扱う特別な訓練も受けていなかったし、保護具もなく、地球上で最も放射能が強いホットスポットのひとつで働いているということさえ知らされていなかった。4300人の兵士たちのうち今も生き残っているのはたった300人程度だ。彼らはこの任務について米国政府からは認定されてはいない。


悲しいことに、ここは放射能汚染のおかげで、僕が訪れた場所の中で最も美しく最も自然のまま残された場所のひとつだ。今後一切、ルーニット島や周りの島々に人が住めるようになることはない。


僕にとってルーニット・ドームは、核実験が行われた場所が気候変動とまさに遭遇している場所だ。ここは本当に恐ろしい場所で、僕らが気候変動の影響を止めなければ海がルーニット・ドームを飲み込んでしまい、致死性の内容物がこれまで経験したことのないような大惨事を世界中に引き起こしてしまうだろう。


ここに来て映画を作ることで、僕はこの場所を世界中に知らしめ、気候変動を止める緊急性に気づいて欲しいと、そしてこの恐ろしい場所を浄化する方法を見つけて欲しいと願っている。でも浄化するのは不可能なようだ。ラグーンや海の中にある土壌や沈殿物は最初からずっと漏れ続けているため、ますます危険になっていると、このドームを研究している科学者らは考えているらしい。


この近くにもうひとつのクレーターがあるのを知って欲しい。2年前の1956年5月4日に爆発させられたラクロスという名の核兵器実験の結果だ。





僕は、アルノ環礁の上院議員でマーシャル諸島の法務大臣でもあるマイク・ハルファーティ氏とともにエニウェトクを回った。僕らはエニウェトクの長老たちを尋ね、世界の人々にここに来てもらい何が起こったのかを知ってもらうためにどうしたいかと聞いた。すると彼らはこう答えた。ルーニット・ドームに行って世界に向かって歌いたい、その声を聞いた人々はきっと来てくれるだろうと。


2017年8月28日、21人の勇者たちがマイクに従ってルーニット・ドームに向い、自分たちのためでなく世界のために歌った。僕は彼らを「マグニフィセント22」と呼ぶことにした。






では、少し歴史について伝えよう。


アメリカ合衆国は、1946年から1958年の12年間に、エニウェトク環礁のあたりで43回の核兵器実験をしている。この時期、ビキニ環礁内とそのあたりでも24回行った。どちらもマーシャル諸島だ。最初の水爆実験「アイビー作戦マイク実験」は、エニウェトクで行われエルゲラブ島が消滅した。そこには大きなクレーターがあると聞いていた。エニウェトクの人々は私とマイク大臣をそこへ連れて行こうとしたが、時間がなかった。


エニウェトク環礁は現在、40のとても小さな島々で成っている。そこに住む人は1000人に満たない。マーシャル諸島共和国の最西端の環礁で、マーシャル諸島の人々にとってもかなり遠いところで、実際訪れたことのある人はとても少ない。


核実験の間は、米国はエニウェトクの住民をウジェラング環礁へ移動させたが、そこはエニウェトクの上院議員が言うところの大変「資源の少ない」場所だ。エニウェトクの人々はウジェラングに33年間置き去りにされたが、その間に何度も飢饉が起こり生きるために彼らはパンダン(タコノキ)の根や草を食べざるを得なかった。かなり酷い状況だった。1975年、彼らは政府の船に乗りエニウェトクへ帰ることを要求して抗議した。核兵器実験で残された放射性汚染物質浄化への国際的な圧力が合衆国政府にかかったのは、この時。


この環礁の島のひとつはルーニットと呼ばれる。12年間で17種類の核兵器の実験がルーニット島で行われた。1958年5月5日、「カクタス」と呼ばれる核実験は約110x11.5mのクレーターを残した。1958年のこの頃といえば、フェニックス・オブ・ヒロシマ(POH)号とゴールデン・ルール号がホノルルにいた。この一ヶ月後にPOH号は禁止区域に旅をする。


1977年から1980年、43もの核実験で残された放射能を「浄化」するため、合衆国は8000人強の兵士をエニウェトク環礁に送り込んだ。このうち4300人はロジュワ島に滞在し作業を行った。彼らの仕事は、合衆国によって汚染されるように決められていた島の地表約30〜45cmの土を削ることだった。


エニウェトク環礁のため米軍が用意した地図が以下だ。よく見れば特定の島名の横に黒い点があるはずだ。これらは汚染されていると考えられていた島だ。これはまったく正気の沙汰ではない。ロジュワとビジレに黒点は無いが、これらの南と北にはある。何故この2島だけが被害を受けなかったと言うのか。答えは簡単だ。受けなかったわけでない。嘘なんだ。






ロジュワ島のキャンプに送られた男たちは、放射能汚染物質取り扱いの特別訓練を受けてもいなければ、放射能から身を守る特別な設備も服も与えられず、地球上で最も汚染された環境のひとつで働くことになるとは誰も知らされていなかった。


長くなるからまた今度書くことにする。
それではまた。


ーブライアン

2020年10月26日月曜日

【日記】平和への一歩

 24日、核兵器禁止条約(TPNW)への批准国が50カ国に達し、
やっと2021年1月より発効することになりました。


核保有国や唯一の被爆国でありながら日米安保に守られている日本も批准しない姿勢ですが
まずは第一歩といったところでしょうか。


実は、10年以上前から平和運動に少しですが関わってきています。
2017年にノーベル平和賞を受賞したICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)の
日本での認知そして活動支援のために作られたドキュメンタリーがあるのですが
その日本語字幕やナレーションのお手伝いをさせていただいていました。


他にいくらでも平和的な使い道のある莫大な予算が今日も世界中で軍事に使われています。
なるべく早く核兵器が地球上から消えてくれることを願います。


よろしければ、こちらのトレーラーをご覧いただき、自身で考えてみてください。



2020年10月20日火曜日

ヨガ・ニードラって何? 
What is Yoga Nidra


深いリラックスを得たいなら、このヨガがいいかも


で、暑い部屋でポーズを流したりホールドするのは、好きじゃないと。
オッケー。

でも、ヨガを諦める気は全くない。では、マットやブランケット、またはベッドの上でリラックスするというヨガを知っている?

ちょっと気になった?では続けよう。

このスタイルのヨガの一番いいところは、45分間のヨガが静かな3時間の昼寝をしたような感覚にさせてくれるところ。

落ち着いた日々のストレスを解消できる簡単でポーズを取らない方法を探しているなら、ヨガ・ニードラがどのように役立つかを見ていこう。




ヨガ・ニードラと瞑想の違い


ヨガ・ニードラは、落ち着かせ鎮静させてくれるもの。瞑想と一緒だと考える人もいるけれど、実は全く違う。


「ヨガ・ニードラは瞑想に似ているけれど、そうではない」ヨガセラピストでヨガ・プログラム・マネージャーであるジュディ・バーは言う。「重なるところもあるけれど、全く異なるところもある。ヨガ・ニードラでは、横たわって意識的な眠りの深い気付きの状態に入ること、つまり気付きを持ちながら深いリラクゼーションに入ることが目的。この状態は覚醒しながら夢を見ているというところから、夢を見ないで覚醒している方へ、無意識を超えて意識へと移動するということ」バーによれば、この練習法は瞑想のように導入されて行うものだけれど、とても体系的だという。


「瞑想では、座って、意識が覚醒した状態で思考が動かせながら精神を集中する。瞑想はシータ波の状態へと導くことができる。それは、深い眠りのサイクルであるデルタ波へと繋がる。デルタ波の状態は深い癒しの領域で、それがヨガ・ニードラで得ようとするもの。その状態では、体も心も休んでいながら意識は覚醒している」




ヨガ・ニードラの効能


バーによれば、ヨガ・ニードラは自律神経に効果がある。自律神経は意識的でない体の処理(心拍、呼吸、消化、血流など)をコントロールしている。自律神経には交感神経と副交感神経がある。

瞑想は交感神経(主に闘争逃走反応)を鎮静する効果がある、とバーは説明する。「瞑想を練習するのは、主に交感神経を鎮めてより副交感神経を活性化するため。総体的な免疫や消化、ストレス管理のバランスを取るのに役立つ。けれど、ヨガ・ニードラの深いリラクゼーションでは、活性化された松果体がメラトニンというホルモンを分泌する」

メラトニンは、強い抗酸化物質だ。免疫機能や血圧、コルチゾールのレベルの管理に役立ち、深い眠りに誘導する。

近年の研究では、瞑想もヨガ・ニードラも不安やストレスの解消に役立つけれど、ヨガ・ニードラの方が不安解消にはより効果的なようだと考えられている。また、不安症の認知的、生理学的症状のどちらをも緩和するよいツールになり得るとも示唆している。




ヨガ・ニードラの10ステップ


ヨガ・ニードラを行っているヨガスタジオもあるが、YouTubeや瞑想のアプリを使って自宅でもできる。かっこいい道具は何もいらない。ヨガマットやブランケットの上に仰向きに横たわって腰や背骨、頭などをボルスターやクッションでサポートしよう。両膝の下にブランケットやクッションを置いてもいい。


ヨガ・ニードラには10段階があるとバーは言う。これらの段階は、リチャード・ミラーの「10 Stages of Yoga Nidra」の中で述べられている。

  1. 心の中の深い欲求に繋がり、人生の目標や健康に関することに集中しよう。この目標に近づくことを視覚化し、達成することで得られる喜びを感じる。
  2. 目的を決めよう。なぜ練習しているのかを考え、(集中するためとか、予定通りに自分のケアをするためとか)どんな理由であれ、ヨガニードラの練習の中心に置くようにする。
  3. 内なる源を見つけよう。そうすることで、練習の間、体の中の安全な場所へ入り安心し続けていられる。
  4. 体をスキャンしよう。スキャンの間、身体中の特定の部分や感覚に集中するよう導かれる。この目的はリラックスできるように緊張を解くことだ。
  5. 呼吸に気付こう。空気が体の中を流れる様子に注意を向ける。鼻腔に空気がどのように入ってきて、腹部がどのように膨らんで萎むかに気を向けよう。これが気持ちを落ち着かせ、呼吸を一定にしてくれる。
  6. 気持ちを受け入れよう。辛い日だとしてもそれを受け止める。辛いことも無視する必要はなく認識する。バランスを取るために相反する感情を考えてもいい。
  7. 思考を見つめよう。ステップ6と同様、判断や拒否することなく思考を観察する。もし自分に対して否定的な思考が浮かんできたら緊張を解くために肯定的な面を考えてみよう。
  8. 喜びを体験しよう。幸福感を感じ始めたら、それを受け入れてそれで体を包もう。
  9. 自分自身を観察しよう。自分の個性に気付き、どう感じるかに気付く。つまり「自分らしさ」そして、観察している自分を思う。これでより気付きが深くなり自分の感情に寄り添えるようになる。
  10. 練習を振り返ろう。終わったら、何を感じたか何が得られたかを考えよう。そしてその平穏と感情を、良い時も悪い時もどうすれば日常に持ち続けられるかを考える。慌てないで。数分をかけてもとの生活の覚醒状態へと戻るようにしよう。




ヨガ・ニードラのその他のコツ


ヨガ・ニードラは伝統的なヨガよりは簡単に見えるかもしれないが、特に瞑想や心を落ち着かせることに慣れていない場合は練習が必要だとバーは言う。練習を妨げるものを避けて暗い部屋で行うとよいと彼女は勧める。必要なら、光を遮るアイマスクをしてもいいだろう。体が休まると体が冷える傾向があるのでブランケットをかけたほうがいいとバーは言う。


床に寝るのが快適ではないと感じたら、リクライニング・チェアやベッドでも構わない。また、いきなり長時間練習する必要はない。15ー20分からはじめよう。また、日中にヨガ・ニードラをする必要もない。夜間の練習は、睡眠を深くしてくれるだろう。


そしてなににでも言えることだが、最初に難しかったからと諦めないで。心を鎮めて何もしないでいるのは思うよりも難しいものだ。だから何度か試してみよう。特に心と体が休息と回復を必要としているときは、すぐにコツを掴むはずだ。




(出典)https://health.clevelandclinic.org/what-is-yoga-nidra/


2020年10月13日火曜日

パンデミック下でもヨガで良い眠りを 
How to use yoga to sleep better during the pandemic


健康な日常のための正しい眠り


病気そのものだけでなく、仕事のスケジュールの変更や、自宅学習、ソーシャルディスタンスなどCOVID-19は私たちみんなに直接影響しています。


ストレス・レベルが高く、その不安のために夜間の良質な睡眠をとるのがより困難になっています。睡眠のための業界は700億ドルにものぼりますが、多くの疲れきった人々はなお免疫を強く保つために必要な睡眠をとる方法を探し続けています。


残念ながら、不眠症の主な治療に使われているのは睡眠薬です。睡眠薬は誰にでも効くわけでもなく、副作用があり、眠れない根本的なストレスに対処するわけでもありません。そうのため、ますます多くの医療専門家らが不眠に悩む人たちに、まず自然な方法を試すようにと助言しています。クンダリニ・ヨガもひとつの選択肢です。クリヤという特別な呼吸のコントロール法や練習を通し、誰でも必要な満足できる睡眠が取れるのです。




このクンダリニ・ヨガのテクニックは、最近睡眠不足になってしまった人や睡眠障害に悩んでいる人の助けとなるでしょう。Psychology Todayの「ヨガは不眠に効果がある」の記事によれば、「ハーバード医大の研究者が不眠症患者の睡眠に毎日のヨガがどのように影響するかを調査したところ、睡眠の質と量において大きな改善がみられた」



睡眠衛生の重要性



まず、睡眠衛生をよく保つことが不可欠です。夜間を通して質の良い睡眠をとるための最良の状況をつくる習慣です。睡眠の指標としては、眠りに入るまでの時間がかかる、何度も目が覚めて眠りに戻るのが困難、総体的に浅く落ち着かない眠りである、日中に眠気を感じるなどがあります。



一貫した睡眠衛生を各人に合った方法で取り入れることが必要ですが、睡眠の質を改善するために以下のガイドラインを参考にしてください。

  • 就寝時間に近づいたら、明るいスクリーン、またはカフェインやアルコール、ニコチンなどの刺激物を避ける。

  • 日中に運動し、体が休めるようにする。タイミングに気をつけること、遅い時間の運動は睡眠を妨げます。

  • 軽い食事はOKだが、就寝前の思い食事やスパイシーな食べ物は避ける。

  • 脱水状態は睡眠を妨げるため就寝前にコップ一杯の水を飲む。トイレに起きることの方が、脱水よりも全体的な睡眠の障害にはならない。

  • 就寝前に落ち着ける活動を行う。例えば、優しいヨガやゆっくりとした呼吸法、読書、祈りや瞑想など。

  • 夜間の睡眠が浅い場合は昼寝をしない。



ヨギのお勧め:夢を見ず深い眠りのために


たった数分ですぐに深い眠りに至るクンダリニ・ヨガのテクニックを使うことを 3HO Foundation は勧めています。


ステップ1:頭の中が忙しいと眠ることが難しくなる。まず全ての心配や考え、問題を視覚化し、それらを容器に入れてしまい、そしてその容器を心の棚にしまおう。目が覚めるまでにどこかへ行ってしまったり、解決したり、改善してしまうことがたくさんあることに驚くだろう。

ステップ2:うつ伏せになって、右頬を枕にのせる。これが自動的に左の鼻腔を広げて涼やかな鎮静のエネルギーを取り込んでくれる。この状態で長く深い呼吸をしよう。そして手で右の鼻腔を閉じ左の鼻腔で長く深い呼吸を続ける。

ステップ3:眠たくなってきたら、仰向けや横向けなど好きな姿勢になる。眠りに落ちるまで長く深い呼吸を続ける。


睡眠は常に、健康のための重要な要素です。ストレスの多い時は質の良い睡眠が取り辛いものです。上記のステップであなたの睡眠の習慣は向上し、よりよい休息を得るでしょう。






2020年10月11日日曜日

【日記】Yoga with Javanese Gamelan
- ヨガとガムランで心を繋ぐ -


秋は、春に植え育て夏を越えて収穫する季節です。
今年は本当に地味に収穫に向けてコツコツと努力、という一年でしたね。


私にとっての収穫祭は、10月9日金曜日のオンライン・イベントでした。



照明の加減か顔が怖い・・・w




2014年からジャワのガムランを始めたのですが、
そのご縁で今回、約3時間にわたるオンライン・イベントの一部としての
30分間のオンライン・ヨガクラスでした。

募集でヨガクラスに参加していただいた数人の方々と Zoomで繋げ
岡山にいるガムラン仲間の Insta Live の演奏をプロジェクターで写し
その音源とピンマイクで拾った声を同時にスピーカーで流しながら
同時に Youtube の Live 配信をするという結構アクロバティックなことをやりました。

途中、何度か接続が切れたり 改善の余地はあるものの
全体的には結構うまくいったのではないでしょうか。




いつものクラスでも、BGMをかけながらやることが多いのですが、
今回は、こちらの動きに合わせて心地よいサウンドを奏でてくださり
いつもよりも私自身がとてもリラックスできました。

まだまだこんな時期ですので、オンラインで何かを発信したり繋がったり
ということが必要になってくると思います。

音響や照明、カメラ、オンラインの設定など多くのスタッフさんに助けられて
ようやく実現した今回のイベントでしたので、本当に感謝でいっぱいです。
もし可能ならまたやりたいなあと思っています。



ちなみにヨガの後の夕刻からは、インドネシアとこれまた Zoom で繋いだ演奏、
影絵芝居や紙切パフォーマンスなど盛り沢山の1日でした。
演奏にも参加してちょっと疲れましたが、すごく充実した日でした!










2020年10月2日金曜日

無執着って何?
What is Nonattachment?

PsychologyTodayの記事からです。
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コントロールを手放すと自由になる



無執着とは何か?


あなたは今まで、仕事がなかったり、来るべき決定事項に執着したり、歳を取るという事実に向き合うのを避けたり、あるいは期待したほど成功していないことを心配して激しい苦痛の時間を過ごしたことがありますか?仏教では、これらは全て執着と考えられています。執着とは私たちの経験をコントロールしようとすることであり、大抵の場合、望ましいと理解していることにしがみつき、好ましくないと理解していることを嫌悪することです。問題は人生というのはいかにコントロールしようとしても、それがどんなに強い気持ちや善意であっても、勝手に展開していくものだということです。ですから無執着とは、今起きていることを必死でコントロールする必要性を手放した時に現れ、今の瞬間がこうあるべきであるという私たちの要望を無くすことができるのです。


無関心とは異なり、無執着とは、本当に今与えられた瞬間に集中することをせずにもっと良いもっと悪いものに固執する無意識のプロセスにとらわれないということです。無執着とは、精神的な成熟、そして経験とは常に変化するということへの理解とコントロールしようとするのは無駄だということへの理解の先にあるのです。無執着とは受け身でも無関心でもなく、また人生を放棄したりヒマラヤの洞窟に住んだりする必要もありません。むしろ無執着とは、固執やそれに伴って何度も考えて全てがうまくいくかどうか心配したり、人生がそうあるべきだという社会的、個人的な期待にしがみつくことなく、ただ普通にあなたが駆り立てられることをすることなのです。


私たちの執着と現代の病気はあまりにも多く存在しすぎて、自己を考える時はほとんど、もっと良くしたいとか、起きたことこれから起こることに心配しています。めったに今の瞬間を感謝することはないのです。例えば、誰かに言ってしまったことや自分がどう思われているかを心配して、「私が言ったこと」や「こう思われてないといいな」といったことを考えます。こうした考えは大抵の場合自然に起こり、最悪のシナリオに伴う感情を引き起こします。例えば「私が彼らを好いてないと思われているかも」とか「退屈な人だと思われているに違いない」とか。こうした考えや感情は自然に湧き出るものですが、避けられるものにどう対処するかはあなたの選択です。既に起こったことに心配したり、これから起こるかもしれないことを想像し考え込むというこの傾向は、精神状態の悪化の原因となり、軽快に流れるような感覚で生きることを妨げます。こうでなくてはならないという必要性を手放して侍従を想像しましょう。




無執着の研究


2010年、サードラ・シェーヴァー&ブラウンは、無執着の質をとらえ、それが人生の他の面にどう関連するのかを調べるための無執着のスケールを生み出しました。それ以降、無執着という分野の研究は増加してきており、ある体験に対する必要性への固執を減少することが非常に健康的であることがわかってきました。鬱や不安、ストレスといった症状を軽減するだけでなく、共感や親切心、優れた心理的発達や自己実現など向社会的な行動が増えることがわかりました。また、有益な心理的成果を解釈すると、マインドフルネスよりもより重要であるということを多くの研究が示してきています。



ではどのように手放して無執着になれるのか?


これは興味深い質問です。西洋の熟慮の伝統では、無執着への道は瞑想や禁欲的な生活に関連ており、研究でも瞑想する人はより無執着であると示しています。しかし最近、無執着のスコアがとても高い(そしてとても低い)人たちのインタビューをする機会に恵まれ、どのように無執着を開発して生活に取り入れたのかを尋ねました。面白いことに、もっとも多かったテーマが、人生でもっとも困難な時にどのようにやり過ごすかということでした。こうした人々のほとんどが、その後の人生を変えてしまうような大変な経験していたのです。こうした経験から彼らは強くなり、自分自身で変えられないものに悩まされる人生を生きる無駄に気づいたのです。かれらの多くはまた、精神療法や瞑想など手放しの助けになる自省の訓練を取り入れていました。


体験を求めることを手放すのは簡単ではないとわかっています。私たちの固執は無意識で、ずっとそこにあります。それを手放すと無関心な泥沼に落ちるとか、どんどんコントロールを失っていくことになると私たちが感じているからです。しかし私たちは、こうあるべきとい必要性を手放せた時にも、決断することをやめたりしません。そこに起こるのは、妨害なく展開する人生の自由と軽快さであり、より今の瞬間に存在し、他者のために存在し、機会が訪れたらそれを使って過度に閉じ込められることなく無用の体験から出ることができるようになるのです。


自分を試してみましょう。あなたがコントロールしようとしまいと、人生は勝手に展開していくものであることを忘れないで。







(出典)https://www.psychologytoday.com/us/blog/the-nonattached-self/201906/what-is-nonattachment

2020年9月25日金曜日

下位交差症候群を正す練習
Corrective Exercises for Lower Crossed Syndrome



では最後に、下位交差症候群を正すエクササイズに入っていきましょう。下位交差症候群の傾向は上位交差症候群の傾向を持続させる可能性があり、その逆もあり得ることを覚えていてください。全ては繋がっています!下位交差症候群のバランスを覚えていますか?弱くなった臀筋と腹筋そして固まった股関節屈筋と腰の筋肉。これを正すには、腰や股関節屈筋、腸腰筋を伸ばして、腹筋下部と臀筋を強化しなければなりません。まずは、悪い癖や間違った固有受容性感覚を防ぐため、可動性を高めてから強化していきましょう。




可動性


腰とハムストリングスのストレッチ、ツイストのシークエンス

パヴァナムクタサナ(膝を胸につけるポーズ、風抜きのポーズ)、スプタ・パダングスタサナ(仰向きの足親指を掴むポーズ)、スプタ・マツエンドラサナ(横たわった魚神のポーズ)は、硬くなった腰や股関節の筋肉をほぐし下位交差症候群の傾向のある人にとってバランスの取れた可動性を養うための素晴らしいポーズです。


両脚を伸ばして上向きに横たわり、右膝を胸に引き込みましょう。脛の前で指を組みます。頭と肩をリラックスさせ、左脚の後ろ側を床に押しつけます。これが、腰と左股関節屈筋の距離を広げます。上交差症候群のエクササイズでやったように首を頷かせても良いでしょう。首の後ろを優しく床に押して顎を引き、首の後ろをストレッチします。ここで5〜7呼吸しましょう。





固いハムストリングスは腰の緊張にも関係するので、右足の土踏まずにストラップをかけて右脚を伸ばすハムストリングスのストレッチを行いましょう。必要なら力を抜いて構いません。左脚の後ろを床の方へ根付かせたまま、左右の腰の位置を揃えましょう(右胴部が短くなってしまわないように)。ここでまた5〜7回呼吸しましょう。





 
ツイストをするため、右脚を胸に再度引き込み、左手で優しく右膝を体の左側へ移動させましょう。右膝が床につかない場合は膝の下にブロックを置きます。骨盤は上下に重ねるようにしましょう。右肩が床から持ち上がっていても構いません。お腹や胸、肩を柔らかくして優しく呼吸しましょう。反対側で繰り返します。







ランジのバリエーション


股関節屈筋のストレッチ

腰と股関節が開いたので、次は四頭筋と股関節屈筋をランジのバリエーションで開いていきましょう。


ソファや重い椅子、壁などの前で、右脚を前にして(膝は90度)左膝をソファなどのすぐ前の床に下ろしたロー・ランジになりましょう(必要なら後ろの膝下にブランケットを置いて保護しましょう)。では、左足をソファなどに向かって持ち上げます。両手でサポートした右腿を下方へ押し、胴部を持ち上げます。これが難しい場合は、両足をソファなどにつけた四つん這いから左足を持ち上げて、徐々に膝を下げて行っても良いでしょう。最終的には、右足をランジの位置まで前に歩かせますが、これは任意で行いましょう(右膝をついたままでも構いません)。


左の腰を前に引き、腰が丸まってしまわないよう下腹部に力を入れ続けましょう。尾骨を床の方へ伸ばします。左股関節の前が左腿の前面(四頭筋)に向かってストレッチされるのを感じるでしょう。このストレッチを深めるには、左膝を床と垂直になるまで家具や壁に近づけていきます。ストレッチを緩めるには、左膝を家具や壁から遠ざけ右足は立てたまま両手を床に下ろします。腰をリラックスさせ、ハッピーに、そして反らさないように再度確認しましょう!


これはとても強度の高い四頭筋ストレッチですので、呼吸を忘れないでください!ポーズから出る時は気をつけて、両手を床に下ろし、左膝を壁などから離して前に戻し足の裏を床につけましょう。ばねのように急にポーズから出ないようにマインドフルに動きましょう。反対の脚で繰り返します。








強化


下腹部:プランク(クンバカサナナ)

クンバカサナはプランク・ポーズとして知られています。しかし、語源のクンバカには「鍋」や「船」の意味があり、呼気吸気の最後に息を止めることを指します。プランクを練習する際に安定した呼吸を保つには、腹筋、背筋、横隔膜、そして骨盤底筋群で強い「船」を胴体の中に作るイメージをしましょう。


プランクは、背骨周りの筋肉全てを強化する素晴らしいポーズです。腕立て伏せの形になりましょう。これが辛い場合は、両膝を床に下ろします。手首に問題がある時は前腕を下ろします。どのバリエーションであっても、膝、股関節、肩はまっすぐにキープするようにしてください。腰が崩れないよう下腹部を引き、おへそを背骨の方向に引いて、尾骨をかかと方向に向けます。両手(あるいは前腕)を通して強い土台を保ちましょう。両肩のハッピーな中間点を見つけましょう。つまり、肩が落ちて向けが床の方へ下がってしまわないよう、そして上背部を丸めすぎて胸が縮まらないように。実際、間違って練習し続けると上位・下位交差症候群の傾向を正すことができません。マインドフルに行いましょう。ここで5〜7呼吸キープするか、長くできるなら良いフォームのまま疲れるまでホールドしましょう。






臀筋:ブリッジのバリエーション

後屈といえばブリッジ・ポーズ(セツバンダ・サルヴァンガサナ)を思い浮かベルかもしれませんが、このバリエーションは後屈ではなく臀筋の活性化と強化が目的です。


ヨガブロックを近くに置いて上むきに横たわり、両膝を曲げて足の裏を床に、かかとは坐骨に近づけましょう。ブロックを腿の間で強く挟みます。両腕を手のひらを下にして体の脇に
置き、足と腕を下に押しながら腰を持ち上げます。セツバンダ・サルヴァンガサナのように後屈はしません。臀筋を使って、膝と腰と肩が一直線になる位置まで腰を持ち上げましょう。臀筋をより使うため、爪先を持ち上げてかかとで床を押します。これが簡単すぎたら、片脚を上げてみましょう。5〜7呼吸キープするか、腰の上げ下げを10〜20回繰り返します。









このシーケンスは、下位交差症候群が原因の悪いバランスを正すのに役立ち、姿勢を向上させ、体全体の運動連鎖に効果をもたらします。これらの動きを試してみて、体のバランスが作られていく感覚に気づいてください。体の強さと緩さ、スティラとスッカのバランスを訓練すると、どこか足りない場所の埋め合わせをする必要がなくなります。スティラとスッカのバランスを育むことで、体全体とこの運動連鎖に沿った調和を見つけることができます。スティラとスッカのよいバランスがもたらす効果は、他にあなたの人生のどの部分に現れるのでしょうか?