2017年10月24日火曜日

蓮華座:病気をやっつけるのか膝をやっつけるのか? 
Lotus Pose: Destroyer of Disease, or Destroyer of Knees?

陰ヨガのトレーニングの際、人の骨格とできるポーズの範囲を教わったことがあります。私はもう何年もヨガを練習してきて教えてもいますが、実は未だに蓮華座は苦手ですし脚を左右に開くことも苦手です。でも、前屈や内に向かうポーズにはあまり苦労したことがないのです。
そう、人はそれぞれ違うものです。できないポーズがあってもそれを受け止める心の強さを養うのもヨガの練習なのですね。
今回は骨格の視点から見た蓮華座(ロータス・ポーズ)についてです。
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ハタヨガ・プラディピカには大胆にも「パドマサナ(蓮華座)が全ての病を駆逐し…真の賢者のみがマスターできる!」と書かれています。

全てのスピリチュアルや宗教の書物と同じく、この著者には「広告に偽りなし」の法に対処する必要はありません。多くの人にとって、蓮華座はリスクが高く効果が薄いポーズで、もし股関節が堅ければ膝にストレスがかかります。しかし、正しい両親(つまり正しい遺伝子)を選ぶ程の賢者にとっては、蓮華座で座ることは朝飯前でいつだってできるのです、ヨガを始めたばかりであっても。

では、そういう人たちは私たちとどのように違うのでしょう?何が彼らを「賢者」にしているのでしょうか?



蓮華座を行うことがあなたにとって賢いことなのかどうかは、結局はあなたの骨格によります。おそらく、内転筋や内旋筋、関節包靭帯などのいくらかの張力抵抗に対処していく必要はあるでしょう。しかしこれらを終えた後、このポーズで長く安全に座り続けられるかどうかは(或は膝を痛めてしまうかどうか)、あなたの股関節を作っている二つの骨、大腿骨と骨盤の形状にかかっているのです。

簡単に蓮華座を行えるか、もしくは決してできないかに影響する要素は多くあります。大腿骨頭の長さ、大腿骨の上部と接する腸骨のカップ状のくぼみ(寛骨臼)の深さ、その窩部に沿った軟骨の厚さ(関節唇)、そして関節包靭帯と内旋筋の柔軟性などです。

あなたにとって、なぜ蓮華座が決して良いことではないのか、または最も簡単なポーズになりうるのかを見るため、二つの要素について見ていきましょう。これらの要素は、寛骨臼と大腿骨頭です。では図1を見てください。

注意:ここで解剖図を見る際、全ての骨が図のようであるかに思いがちですがそうではありません。解剖図は、何十もの、或は何百もの体の合成です。人間の自然な違いの平均であり、私たちの骨の見方を誤らないようにしてください。



図1:骨盤と大腿骨の斜視図


図2は実際の骨盤の写真です。二つの違いがわかりますか?寛骨臼を探してみてください!上の骨盤では、寛骨臼がすぐ分かりますが、下の骨盤ではどこなのでしょう?寛骨臼の角度は様々ですが、それはつまりソケットの体側に平行なラインに対する角度になります。かなり前傾したソケットの人もいれば(上の骨盤のように前向き)、あまり前傾していない人もいます(下の骨盤のように横向き)。上から見るともっとわかりやすいでしょう。写真ではわかりづらいので図3を見てみましょう。



図2:(a)、(b)の骨盤を比較。
違いを考慮しどちらが外旋しやすくどちらが内旋しやすいか考えてみましょう



体の中心 ← → 体の外側
図3:上から見た様々な角度の寛骨臼。
(a)は表1にある最も小さい角度のもの、(b)は最大、(c)平均的と言われるもの




人それぞれが異なりあなたは平均ではありません。(ある有名な医師の言葉を借りれば「生きている人は皆、あなた以上にあなた人はいない!」)表1には3つの寛骨臼グループのデータがありますが、5つの研究の要約です。

重要なのは平均ではなく、各研究でわかった値の範囲です。これら範囲は「正常」で、95%の人がこの範囲に入ります。

11度というのは、寛骨臼がかなり横に向いていることを示し、図2の下の骨盤のようなものです。33度はかなり前向きで、上の骨盤の左側のもののようなものです。(図2のaでは、左のソケットが右のものよりも大きいことに気づいていましたか?私たちは左右対称ではありません。ですから片方がもう一方よりも前向きである可能性もあります。これはつまりそっちの方が外旋しやすいということになります。指導者にとっては、こっちが半蓮華座をデモするのに「いい方」となります)



男性       女性        平均
表1:5研究で見られた寛骨臼の範囲


あなたの角度が、骨盤によってどれくらい内旋・外旋できるかを決定しているのです。しかしこれだけが、あなたが蓮華座をすることができるかを決定している解剖学的要素ではありません。大腿骨の角度もあります。



図4:大腿骨の角度を比較。左の大腿骨の後傾は-4度で外旋が比較的容易。右は前傾が47度で内旋が比較的容易。


図4には二つの大腿骨があります。違いがわかりますか?最大の違いは、その捻れ具合です。体のどの長い骨にも曲りやねじれがあります。大腿骨の長さに沿った捻れは大腿骨頭と臼の角度として表れます。左の骨の骨頭がやや下向きの平行(後傾)であるのに対し、右は著しくに回転しています(前傾)。これが寛骨臼に収まる際の骨頭の方向に影響するのです。どちらの場合も、大腿骨の下端(膝関節の一部となります)がまっすぐ上に向きます。

これらの大腿骨の体を想像してみましょう。どちらの場合も膝はまっすぐ上を向くので、寛骨臼に入った骨頭の角度は、右の骨ではもっと後ろになり、左のものではもっと横向きになります。骨盤と同じく、大腿骨の場合でも骨盤によりスペースがある方が外旋しやすくなるのです。

年齢           大腿骨頭前傾 
表2:年齢による大腿骨前傾値の変化


表2が示すように、大腿骨のねじれは年齢とともに変化します。成人の平均は約15度で、正常な範囲は3度から27度です。これには95%の人が含まれますが、生徒20人中一人が正常ではないというわけではありません(あなたがその生徒かもしれません!)。図4の大腿骨は、約-4度(負値ですよ!)と47度で正常ではないでしょう。もちろん、正常範囲でない骨を持つことが悪いというわけではありません、ただ個性的だというだけです!



蓮華座における寛骨臼と大腿骨の違い


図5:蓮華座では、寛骨臼での外旋、屈曲、そしてやや外転が必要です。


蓮華座では、大腿骨の3つの動きが寛骨臼で必要となります。屈曲、外旋、そして(ほとんどの人にとって)やや外転が必要です。これは図5で見ることができます。ほとんどの人は蓮華座で座る際に必要な90度の角度で股関節屈曲することができますが、これは椅子に座る時と同じ動きです。そしてほとんどの人が両脚を外転できます。重大な制限は、どれくらい外旋できるかです。外旋は、関節周りの筋肉や靭帯など軟組織の緊張によって制限されます。しかし、それらを効果的に緩めるよう対処したのち、最後に外旋を妨げるのは圧迫です。大腿骨頭が寛骨臼の端に当たるのです。どれほどヨガをしたところでこれは変わりません。


最良のケースと最悪のケース

寛骨臼の角度が大きければ、大腿骨が外旋するスペースが狭くなりますが内旋のスペースは大きくなります。大腿骨の角度が大きければ、ここでもまた外旋するスペースが狭くなりますが内旋のスペースは大きくなります。これが図6でわかります。左の人はどこから見ても外旋しにくい骨を持っています。どれだけ長く練習しても蓮華座ができることはありません。しかし素晴らしいイーグルポーズをすることができるでしょう!イーグル・ポーズで簡単に脚をかけられるのは彼が内旋のための大きなスペースを持っているからです。


図6:左図は外旋の最悪のケースです(大腿骨前傾が27度、寛骨臼前傾が33度)。
右図は最良のケースです(大腿骨前傾が3度、寛骨臼前傾が10度)。


寛骨臼の角度が小さいと大腿骨が外旋するスペースが大きくなりますが、内旋するスペースは小さくなります。大腿骨の角度が小さいと、ここでもまた外旋するスペースが大きくなりますが内旋するスペースは小さくなります。図6の右の人は外旋に最も適した人で、おそらくいつでも蓮華座はできるけれどイーグルをするのは嫌いかもしれません。内旋が制限されるので脚がかけられないのです。

さて、二つの差異を見てきました。寛骨臼の角度と大腿骨の角度です。稀にとても異常な何人かの人が、イーグルも蓮華座もできるのです!それは、彼らの大腿骨に長い骨頭があって寛骨臼がとても浅いからでしょう。イーグルも蓮華座もできない人もいます。大腿骨頭が短く寛骨臼がとても深いのです。

つまり、私たちは皆個性的で、誰もが蓮華座で瞑想的に座れたりイーグルのように飛べたりしないわけです。あなたには蓮華座に何の問題もないかもしれません、素晴らしい!幸運を楽しんでください。しかし、もし何年もこのポーズを練習しているのに膝の痛みを感じるだけなら、ヨガはあなたの骨の形を変えるわけではないことを理解してください。不可能なポーズを自分に押し付けようとすることは、解放ではなく怪我を招きます。真の賢者とは、ただ蓮華座の先を行こうと決心した人なのかもしれません。





(出展)https://yogainternational.com/article/view/lotus-pose-destroyer-of-disease-or-destroyer-of-knees

2017年10月19日木曜日

ダウンドッグからランジへ入るヒケツ 
The Secret to Stepping into a Lunge from Downward Facing Dog

先日久しぶりに会った友人がヨガを始めたらしいのです。話を聞いていると、ダウンドッグをどうやっていいのかわからない、そこから足を前にやる時にうまくいかないと言うのです。確かに最初はこれが大変だったなあと思い返していたところにこの記事を見つけました。慣れている人も教えている人も基本に返って丁寧に集中してやってみると面白いかもしれません。
このポーズだけでなく、ヨガをしていると「空間(スペース)」がいかに大事か思い知らされることが多いです。

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ヨガクラスはスムーズに流れて行きます。ツリーポーズもしっかり立てたし(ちょっとフラフラしただけ)、チェアポーズも耐えた(ちょっと顔が歪んだだけ)、呼吸もちゃんと続けられている。ではなぜ、先生が太陽礼拝に入りますと言うとイヤーな感じになるのでしょう?

おそらく、太陽礼拝のBやCに出てくるダウンドッグからランジへの移行が心配でそんな感じになってしまうと言う人が多いのではないでしょうか。きっと、隣のヨギの足が滑らかにお腹の下で浮いて、その足が両手の間に蝶のようにそっと降りるのを横目で見ながら、自分は足をようやっと持ち上げてまるで花壇に置いた砂袋みたいに下ろしたらまだそこはマットの端よりはるか遠く後ろだったり、前のかかとが床から浮いて膝がつま先より前に出てしまったり。まるでまだビギナーみたいだと感じたり(初心者を見下げたり上手になることへ執着はないのだけれど)、膝が正しい位置にないと(足首の皺より前にある)関節を痛めることもわかってる。でもどうやって前の足をあるべき場所に降ろせるのだろう?

ヨガでの移行の多くにあるように、ダウンドッグからランジに入るには強さと柔軟性だけではなく技術が必要なのです。では、ダウンドッグで先生が「足を前に」と言った時のイヤーな感じを消すことのできる簡単な方法をお教えしましょう。この3つの方法はマインドと呼吸と身体に関係しています。

この動きを試す前にウォームアップすると(特に腰回りとハムストリングス)やりやすいことを覚えておいてください。ダウンドッグーランジの移行の前に、キャット&カウ、前屈からランジ、好きな3本脚ドッグなど簡単な準備運動をしておきましょう。


1. マインド


まず、マインドの準備をします。どんな挑戦も最良の結果を得るためには、それに達するところをイメージすると効果的です。

子供の頃、体育の時間にみんなで大きな円に座り、大きなパラシュートにそれぞれが掴まったりしたことがありませんか?(訳注:無いですよねー?)このゲームは、パラシュートの下をあっちからこっちへと、交代でくぐり抜けることです。でもその下をくぐるためには、空に飛んで行ってしまわないようにしながらパラシュートをふわっと持ち上げて空間を作らなければ、向こう側へは行けなかったはずです。ダウンドッグ-ランジの移行を、こんな空間を自分の体で流れるように作って行うとイメージしてみましょう。

移行をイメージしましょう(まだやらないでただイメージするだけ)。ダウンドッグから右足を伸ばして3本脚のドッグに入り、そこから右膝を曲げて胸に引き込む、猫のように背骨を丸めて床を自分から遠ざけるように押す。背骨が「パラシュート」のように膨らみ、体育の時間のパラシュートのように軽く足を前に出す空間を作ります。

この移行であなたが作る空間をイメージすることが、簡単に前へ足を出せる第一歩です。


2. 呼吸


ヨガのどんなアサナの移行でも同じように、ランジからダウンドッグに入るために呼吸は重要な要素です。ヨガの黄金律を思い出しましょう(他にもあるかしら・・):収縮するときは吐きます。伸展するときは吸います。つまり、脚を上げて3本脚のドッグに入る時に吸い、膝を胸に引き込んで前に踏み込む時に吐きます。

実際に踏み込もうとする前に、この呼吸を交えたシンプルな練習を試してみましょう。

ダウンドッグから、息を吸って右脚をあげ3本脚のドッグになり、息を吐きながら膝を胸に引き込み、プランクに入るかのように少し前に移動、左踵を床から持ち上げ(もしまだだったら)左足の指の付け根で支えます。そのまま数呼吸して腰を持ち上げて平行に保ち、キャットのストレッチのように背骨を丸め、頭はリラックスします。空間をもっと作るために吐く息ごとに床を押してお腹をもう少し縮めて、もう少し丸まります。右脚をまた後ろへ伸ばして、吸う息とともに3本脚のドッグに戻ります。吐いて、ダウンドッグに戻り反対側も繰り返します。


3. 身体


マインドと呼吸ができたので、身体に行きましょう(ここで実際に前に足を出す練習です!)。ダウンドッグから息を吸って、右脚をあげ3本脚のドッグへ。お腹に集中して吐く息で膝を胸に引き込み、背中を丸め、両手で床を押し、左足の指の付け根でも床を押すと、右膝がもっと胴体に近づき足を出すための空間がもっと広がります。そこで右足を前にさっと出し(サッカーボールを蹴るように)、ゴール(両手の間の空間)に向かって足を出し、そして優雅に、そう優雅に、です、足の裏全体を地面に下ろし、ランジに入りましょう。

この移行を両サイド何度か繰り返しコツを掴みましょう。


最後に、人の体はそれぞれ違うことを思い出しましょう。長い腕、比較的短い脚、長い胴の人がいますが、そうした人は他の人よりも足を出すのが簡単でしょう。腕と胴が長くて脚が短いということは、体と床の間の空間が広く足を通しやすいからです。なので、これらのコツを試してもまだできない場合は、両手の下にブロックを一番低い状態で置いてみましょう。体と床の間の空間が広いといかに簡単に足が出せるかを感じてみてください。

この移行を練習する方法は他に、ウォームアップしてから四つ這いから練習することもできます。左脚を後ろに伸ばし、左踵を腰の高さ(これ以上高くしない)に上げ、そして吐く息で左膝を胸に引き、キャットのように背中を丸めて床を押します。吸う息でもう一度脚を伸ばします。これを数回繰り返し、四つ這いに戻ったら反対側も繰り返します。


ウォームアップし、イメージし、呼吸し、練習すれば、足を出す時に感じるイヤーな「ひざカクカク反応」が「膝がランジにするっと出る」にあっという間に変わり、思考と呼吸のバランスが取れて練習を楽しむことができるようになります。もしかしてまだこの移行が全然無理だと感じていますか?おそらく、今のあなたにとってのヨガの練習は、達成することへの執着を手放すことで、そして練習の中での成長に感謝することかもしれません。抗うより応えること、感謝を持って一瞬一瞬に呼吸するのです、マットの上でもそうでなくても。



2017年10月15日日曜日

ヨガと骨粗しょう症 Vol.2
Yoga and Osteoporosis : The Dos and Don'ts Vol.2

では前回からの続きです。
具体的にどんなポースがいいのか良くないのかについて見ていきましょう。
これらは、骨粗しょう症患者だけでなく、シニアヨガ全般に応用することができるでしょう。
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編集者より:下記のヨガ実践者や教師に向けた一般的な推奨事項です。医師の個人的な助言の代わりにはなりません。

ヨガは骨粗しょう症の治療の一端として効果的でしょう。近年のある研究では、毎日のたった8−10分のヨガで骨密度が増加することがわかっています。


やるべきこと


リーフは、骨粗しょう症のある人がヨガを行うとき、または骨粗しょう症の生徒を教える時は、以下のポーズや動きに注目するよう勧めています。

1. 自然な形の脊椎でのポーズ

骨粗しょう症の生徒は、山のポーズなど脊椎を自然な形にするポーズを中心にし、これらのポーズにおいて脊椎が最適な形をとるようにするべきである。

「尾骨を後ろへ十分引いて腰にカーブを作り、頭は両肩の上に来るようにする。重りのついた糸が耳から両肩、腰、足首の方向にぶら下がっているのをイメージする。ほとんどのポーズや流れの中で、この最適な背骨の位置を保つ」

自然なカーブが作れない上背が丸まっている人はどうすればいい?「できるだけ自然にする」
例:山のポーズ、立位の前屈(ストラップを使う)、ロー・ランジ、戦士のポーズ、テーブルトップ、プランクなどは全て背骨が自然な形のポーズである。


2. 伸展を意識する

背骨を自然なあるいは自然に近い形にした後は、伸展をすると良い。というのも「骨粗しょう症では、弱った椎骨が時に骨折した場所で曲がってしまうから」だ。背骨を長くすることで椎骨間の空間を作り、その曲がりを防いだり直したりできる。

例: バランスをとりながら、頭の上に乗せた本や水差しなどを上へ持ち上げるイメージをする。


3. 手に荷重をかけるポーズをする

マットに手をつけよう!前述の通り、他のエクササイズに比べヨガが優れている点は、荷重を手にかけることによって脚だけでなく腕の骨密度をも強化することができることだ。

例:テーブルトップ、 プランク、上腕のプランク、チャトランガ、上向きのテーブルトップ、下向きの犬のポーズなど

注意:上背が丸い場合はあまり両手に荷重をかけるのは危険です。テーブルトップでは、肩甲骨の間のスペースを凹ませるようにし、可能ならばチャトランガやプランク、ダウンドッグなどのポーズだけに移行するようにする。クロウなど背中を丸めるアームバランスなどは避ける)


4. 優しい後屈をする

骨粗しょう症は多くの場合に胸椎後弯を伴うため、優しい後屈をすることが特に重要。胸椎を内側に戻して胸を持ち上げ、胸椎伸展を向上させる。

こうした骨粗しょう症には、優しいものであっても前屈は勧められない(「避けること」の2項を参照)が、優しい後屈には良いものもある。「椎骨の皮質骨の強度により、屈曲よりも伸展の方が安全」とリーフは説く。
(注意:大きな後屈は圧縮するので禁忌である。後述の「避けること」参照)

例:橋、スフィンクス、ベビーコブラ、ラクダ(両手は腰に)、フォームローラーや巻いたブランケット(胸椎の下に水平におく)の上に横たわる、ゆるい後屈など。この後弯症のための練習は、骨粗しょう症患者の多くにとっても安全である。


5. 優しい側屈やツイストをする

「様々な背骨の動きは、椎骨の健康や強度を維持するのに重要だ」が、背中を丸めるポーズは避けるべきである。

これらの様々な動きには優しい側屈やツイストを含み、「骨粗しょう症に関連した骨折の危険を避けながら脊椎の柔軟性を最大に維持することができる」

しかし、どのくらいまですればいいのか?「胴が可動域の限界に遠ければ遠いほど負担は軽くなる」リーフは、背骨の長さが変わらないところまでを勧めている。

側屈の場合、曲げている方の腰が倒れてしまわないところまでにしておく。ツイストでは、腰にやや内向きのカーブが残っているところまでにする。

例:立位からあるいはランジから数度だけ横に曲げる。リバース・ウォリアーや門のポーズ、横たわったバナナサナなど。両脚を横に振る「フロントガラスのワイパー」のように横たわって優しいツイストを楽しむ。そして、もっと強いツイストをする際は、背骨をまっすぐにしたまま(丸めない)ほんの少しだけツイストする。


6. ポーズの移行はゆっくりと

例:半分の前屈のような位置からはゆっくりと起き上がる(膝を曲げ、肘を膝において椅子のポーズのようにして山のポーズまで起き上がる)ようにし、頭が急に動いて転倒するリスクを下げる。ウォリアーIや三日月のポーズのように片足を下げるポーズの際は、前の足が必ずしっかり着地していることを確認する。


7. 安定を保ったままバランスに挑戦する

骨粗しょう症の生徒にとって転倒は骨折を意味することになるので、ヨガクラスのバランスポーズは不可欠である。しかし、転倒を避けるため、まずはサポートをしっかり作ってからバランスに挑むべきである。

例えば、立位のバランスポーズでは、手を壁について安定させるか、足を上げる前に安定できるまでつま先をマットにつけておく。「『完全な』ポーズをしなくても、バランスや調整力は向上することができる」

例:

‌• ウォリアーIIIでは、後ろのつま先(あるいは後ろ足の指の付け根)をまず地面につけ、立つ方の脚へと体重を移していく。(ここで無理だと思わなければ後ろのつま先を軽くする)

• 立位のつま先を持つポーズを練習するときは、上げる足を壁につけるか、膝を曲げて足を椅子の上におく。(ここで無理だと思わなければ足を軽くする)

‌• 壁に手をついてきのポーズを練習する。安定したと感じられたら壁の手を徐々に軽くしていく。


8. そして、少し荷重をかける

もっと強いポーズに挑戦するよりも、手や足首に軽いウェイトを使って簡単なポーズを続ける。

バードドッグ(四つん這いから手足を伸ばす)のようなポーズが快適に行えるようになると、大きな後屈などのポーズをしたいと思うようになるかもしれない。(後ろの膝を曲げて足首を体の後ろで持ち上げるなど)

それよりも、前の手や後ろの足首にウェイトをつけて持ち上げる方が良い。「疲れずに10-12回続けられる程度の重さのウェイトにする。おそらく0.5-1kg程度だろう」

例:ウェイトを持った腕を椅子のポーズで頭上にあげる、またはウォリアーIIで横に開く。また、ウォリアーIIIなど片足のバランスポーズで、アンクル・ウェイトを持ち上げる方の足首に巻きつける。



避けるべきこと


リーフによれば、骨粗しょう症のヨガの生徒にとって必要なのは、過度に大きく動かすことだと言います。下記は彼が避けるべきだというポーズや練習です。


1. 腹筋運動はしない

腰を支持するのに強いコアは重要だが「これらのポーズは負荷のかかった腰の屈曲が必要だ。上半身の荷重を支えながら腰に大きな負担をかけると、胸や腰の椎骨が骨折する可能性がある」

代替案: 背骨がまっすぐなポーズで吐く息と供に腹部を入れたり引き上げることでコアの安定性に働きかける。横たわり背骨を自然な状態にしたまま、上体でなく両脚をあげたり下げたりする。


2. 実は、脊柱屈曲(背中を丸める)のポーズは全てよくない

骨粗しょう症の生徒は、腹筋運動だけでなく脊柱屈曲が必要なポーズ全てが、腰にストレスを与えるので避けるべきだ。つまり、優しいものであっても前屈はしない。横たわって膝を抱えるのも、アパナサナやハッピーベイビーもだ。

どんなに強いヨガの生徒でもうまくやるには難しい動きであるロールアップして立ち上がることは、骨粗しょう症の人は絶対に避けるべきだ。

代替案:ウッターナサナ(立位の前屈)をやめて アルダ・ウッターナサナ(半分の立位前屈)にする。この「背中をフラットにするポーズ」では、両手をブロックや椅子の座面、壁に置いたりして、背骨の最適な形を維持する。

パスチモッターナサナなどの前屈よりは、ダンダーサナのように垂直のポーズを選ぶこと(胸をあげ腰を腹部側にカーブさせるため必要なら横たわる)。

ハムストリングスをストレッチするには、前屈を深めるより、横たわり足にストラップをかけて足の親指を掴むポーズを練習しよう。これらのポーズでは、背骨をニュートラルにして伸ばし続けることに集中する。


3. 強い後屈は行わない

前述のように優しい後屈が骨粗しょう症の生徒にも可能な一方で、上むきの犬、車輪、弓、かかとに手をおくラクダなどの大きな後屈は圧迫し危険だ。リーフによれば、「骨粗しょう症が進んだ上体では、胸椎が椎骨の中で最も危険な場所だ。そこは背骨が曲がる際だけでなく伸展(後屈)においても最もストレスのかかる場所だからだ」

代替案:「やるべきこと」のリストに勧められている優しい後屈を守る。


4.強い側屈やツイストはしない

「胴の回転は脊柱にねじりのストレスをかける。椎間板や椎骨が最もストレスを受けるのは、曲げた上体で大きく捻った時。泥や雪をショベルで掻き出す動きを想像してほしい。そういう時によく背骨は傷つきやすい」

つまり、深い椅子のポーズでツイストしたり、マリチアサナで肘を腿の外側に置いたりするのはダメだということだ。強い側屈(例えばパリガサナやリバースウォリアーで手を脛へ伸ばす)では、ツイストの要素が加わり圧迫されることもある。

代替案:「やるべきこと」のリストに勧められている優しいツイストや側屈を守る。


5. 逆転の練習を始めない

骨密度が低いと診断されても、ずっと周期的に逆転を練習してきた人や、ポーズの中で背骨をまっすぐ保っていられる人ならば、ヘッドスタンドやショルダースタンド、ハンドスタンドなどの逆転の練習を安全に行うことができるかもしれないが、まず医師の判断を仰ぐ方が賢明だろう。

もし逆転の練習の許可を得たとしても、骨粗しょう症ならば転倒の危険を最小限にするため壁の前で行うべきだ。

今までそうした練習をしてこなかった人が骨粗しょう症と診断されたのなら、それは練習を始めるタイミングではない。「弱って密度が低くなった椎骨は、逆転での圧迫に耐えられない。頚椎の湾曲が無くなっていたら尚更だ」

代替案:逆転で得られる循環やエネルギッシュな効果のためには、下向きの犬や橋、壁に両脚をあげるポーズなど優しい逆転を行う。


6. ペースの速い、競争的なクラスは出ない

何を急ぐと言うのですか?全てではないけれど、ビンヤサフローやパワーヨガのクラスはポーズの移行が速いことが多いのですが、骨粗しょう症の生徒にとって安定性が欠かせません。バランスを崩しかねないほど速く動くことを勧めるクラスや先生は避けましょう。

代替案:ハタ、アイアンガー、優しいリストラティブや陰ヨガなど、アライメントを重視したクラスを選ぶ。



(出典)https://yogainternational.com/article/view/yoga-and-osteoporosis-the-dos-and-donts

2017年10月11日水曜日

ヨガと骨粗しょう症 Vol.1
Yoga and Osteoporosis : The Dos and Don'ts Vol.1

年齢を重ねるとともに骨の密度が低下する骨粗しょう症になってしまう方は多く、特に閉経後の女性に顕著な傾向があります。
骨折が怖くて運動を全くしなくなってしまう方もいらっしゃいますが、宇宙に出た飛行士が地球の重力に耐えられず歩けなってしまうなど重力と骨の関係は明らかで、骨のためにはある程度の負荷が必要だとわかっています。
それでは、ヨガはどうなのでしょう?
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編集者より:下記のヨガ実践者や教師に向けた一般的な推奨事項です。医師の個人的な助言の代わりにはなりません。

ヨガは骨粗しょう症の治療の一端として効果的でしょう。近年のある研究では、毎日のたった8−10分のヨガで骨密度が増加することがわかっています。
また、「The Back Pain Secret: The Real Cause of Women’s Back Pain and How to Treat It」の著者で医学療法士のビル・リーフによれば、ヨガは日々の練習により体力、柔軟性、バランス、筋肉の同調、耐久性、筋肉量、敏捷性、エネルギーレベルなど、骨粗しょう症の高齢者にとってす重要な全てを向上させることができます。

その効果を得るため、ますます多くの骨粗しょう症に悩む生徒がヨガクラスを訪れていますが、生徒も指導者も骨粗しょう症がどういうものなのか、また状況に合わせて効果を得るためどのように適応すれば良いのかを知ることが重要となります。


定義と広がり


骨粗しょう症とは、骨の密度が減少し骨折しやすくなる病気です。

骨粗しょう症は、一般に「沈黙の病」と呼ばれます。骨密度の低下はすぐにわかるものではなく、骨折するか自覚症状のない椎骨骨折が原因で上背が丸くなるまで、自分がその病気だということに気づかないことが多いからです。

2010年には、米国の50歳以上の成人約10%(およそ1020万人)が骨粗しょう症でした。50歳以上の約44%(およそ4340万人)に骨量の減少が見られました。

骨粗しょう症までではないが骨量が減少している症状を「骨減少症」と呼びます。症状は悪化しますが、必ずしも骨粗しょう症に至るわけではありません。骨密度が低下すると骨折のリスクを高まるということですが(大抵は脊柱、腰、手首)、骨粗しょう症患者より骨減少症患者の方に骨折が多いのは、骨減少症患者の数の方が多いためだと考えられます・

骨密度の低下は女性に多く見られます。男性に比べ骨粗しょう症になる人は4倍にもなります。

リーフによれば、「女性は、閉経時のエストロゲン減少により急激に骨量が減少します。男性は、一般的に70歳ごろに始まるテストステロンの減少が原因となります。また、投薬(特にステロイド)、体調(リューマチや摂食障害など)が骨粗しょう症に関連します」

他に、家族の病歴、喫煙、小さく痩せた体型、運動不足、カルシウムやビタミンD、たんぱく質の不足、アルコールやナトリウムの過剰摂取などの危険因子があります。

骨粗しょう症や骨減少症への一般的治療には、投薬、カルシウムやビタミンDのサプリメント、アルコールやタバコをやめること、脱水が原因の転倒を防ぐため水分を多く取ること、そして週に最低90分間の荷重をかけた筋力トレーニングなどが含まれます。

しかし、骨粗しょう症に関してはすべての運動が同じというわけではありません。



骨粗しょう症と運動


骨減少症患者は、医師の許可があればほとんどのスポーツに安全に参加することがほとんどですが、骨粗しょう症の場合は一定の運動は避けた方が良いとリーフは説明します。「骨粗しょう症では、骨や関節が弱くなっているので、ジャンプしたり負荷をかけた激しい運動は勧められません。これには縄跳びや激しいステップ・エアロビクスも含まれます。また、ランニングやデコボコした面でのウォーキングなど激しい循環器系の運動避けた方が良いでしょう」
スポーツについても注意を促します。「素早い方向転換をするバスケットや野球、テニスなどは転倒や骨の変形につながりかねません。これらは特に腰、大腿骨、下背の骨折の可能性が高いのです」

ゴルフもまた脊椎には危険なものです。ボールを拾うために何度も前屈して背中を曲げたり、スウィングで早くひねったりするからです。これら脊椎の動きは、時間を経るにつれて小さな骨折を起こし、さらに脊椎を弱め大きな骨折につながり麻痺してしまう可能性さえあります」こうした骨折は次第に治癒するかもしれませんが、原因となる構造的な脆弱性や良くない姿勢は多くの場合なくならず、年齢とともに悪化することもあります。

リーフによれば、骨粗しょう症患者には、穏やかな負荷をかけた運動が一番いい効果をもたらします。重力に逆らった運動が、骨の形成を促すのにさらに効果的です。

負荷をかけた動きの中でも、リーフが骨粗しょう症患者に勧めるのは、ウォーキング、ゆっくりとしたジョギング、階段を上る、ピックルボール、優しいダンスなどです。「これらは骨に良い影響を与え、密度を維持、上昇させるのに役立ちます」しかし、「両脚に大きな衝撃」がかかる類の運動は気をつけるよう彼は指摘しています。

腕も鍛えたいと思う人には、ヨガがお勧めです。「ヨガのポーズの多くは、四肢に負荷がかかり脚だけでなく腕の骨密度をも高めるでしょう」


骨粗しょう症患者すべてにヨガは可能?


骨粗しょう症患者に比べ、骨減少症患者はより激しい脊椎の動きを必要とする様々なポーズを行うことが可能です。しかし、その骨密度低下の度合いにより安全に行える運動のタイプや範囲が決まってくるので、どちらの患者もヨガのアサナをしても大丈夫なのか、また避けるべき動きがないかを医師に判断してもらうべきです。
胸椎後弯症(上背の丸まり)や骨折をしたことのある骨粗しょう症患者がヨガをする際には特に注意が必要となります。

「胸椎後弯症はリスクを高めます。たとえば、脊椎がCの字の形で前屈やひねりを加えることは、骨密度が低くなって脆くなった胸椎にとっては大変危険になります」骨折歴のある人はどうかといえば、一度でも椎骨の骨折をいたことのある人はその後の一年間にまた骨折する可能性が高くなるとリーフは指摘しています。

骨粗しょう症が進んだ状態では、ヨガ(アサナ)は勧められません。「水泳やアクアビクス、バイクなど重力のかからない運動など骨が耐えられるものだけを行うのがいいだろう」とリーフは言います。

ヨガを行なっても良いと医師の許可を得た生徒でも、その状態と医師の助言を常に指導者に伝えるべきです。


ヨガの指導者は、骨粗しょう症の生徒が医師の許可を得ていることを確認し、避けるべき動きがあるのかどうかを確認し、以下の(次回の記事に掲載します)一般的な注意事項を念頭に置くようにしましょう。



2017年9月30日土曜日

ポーズができないのは柔軟性のせいだけではないかも 
Why Inflexibility May Not Be What’s Stopping You From Doing That Pose

アサナができない時、柔軟性が足りないのだとみんな思いがちだ。しかしバーニー・クラークは、全ての人に向いたポーズはないと説く。自分自身の特性を解剖学的に捉え、そのポーズができないのは実際的に何が原因なのかを見つける地図を、彼は示してくれる。


個性を賞賛し抑えきれない衝動でセルフィーを撮るこの時代は、不自然で歪んだ次元へと入ってしまった。テクノロジーは、常に新しい製品を生み出し、我々の外観を騙し本当の自分をピクセルのフィルターの影に隠してしまう。だから、高尚なるダンサーのポーズをしようとしてつま先が頭頂につかない時、自分の組織と骨の形状という事実があなたを襲うのだ。あなたの体は、ただそれができない。これは、能力がないとかヨギっぽくないということではなく、人間なだけだ。冷静に人は皆違うということを気づかせてくれるものだ。「あなたは唯一であり、その唯一性によって『誰もができる』ようなものとあなたができるものの違いを作っている。ヨガには全員ができるポーズはないし、誰も全てのポーズができるわけでもない」バーニー・クラークはいう。ヨガの実践においては、あるポーズが全員に適しているわけではない。


ヨガのアナトミーはユニークだ -- 学ぼう


違いと唯一性を統合することは、全ての社会が適合するわけではないという複雑性を示している。5人の生徒がいるヨガクラスでは、全員のニーズに応えるのは簡単だが人数が増えるにしたがってそれは難しくなる。つまり、一般化とは塩をひとつまみしなければダメになってしまう可能性があるということだ。ヨガクラスにおいては不安があるが。もっと適した体が欲しいと思ったり、「正確なポーズ」ができなければ目立ってしまい欠陥品だと非難されると恐れてしまうかもしれない。

「違いは欠陥ではない」クラークは遺伝学者テオドシウス・ドブザンスキーの言葉を引用し、違いを認め受け入れることを勧めている。「なぜ、他の人ができないから自分も失敗すると考えるのか?今の自分にできることがあり、そのうちにできることもあり、そして永遠にできないこともある」

好奇心があれば、徐々に自分の身体のユニークな機能を最も理解する者になれる。ほとんどの先生はあなたのことをそんなには知らないし、自分で理解できるほどには理解してくれない。

あまりにも熱心すぎる先生などは、あなたに怪我をさせてしまうような間違った憶測さえするかもしれない。家でもクラスでも自分のマットの上で自分の練習をすることが不可欠なのだ。つまり自分の強さ、弱さ、限界、技術を探求することに時間をかけるということだ。


なぜできないのか?


クラークは、様々なヨガポーズで感覚を系統的に記録することで自分の体の限界を知る効果的な方法を勧めている。まずは質問から始める。「なぜできないのか?」言い換えれば、何が可動域を限定しているか?二つの要素があると彼はいう。第一は伸張で、ストレッチに対する組織(筋肉、靭帯、筋膜)の抵抗であり、もう一方は圧迫で、骨と骨(硬い圧迫)、肉と肉(柔らかい圧迫)、骨と肉(中間の圧迫)など接触によって起きる。

つまり、ヨガの練習で伸張か圧迫かの感覚に注意を向けることで自分の体の特別なアナトミーと限界を探ることができる。今度は、与えられたポーズではなく自分の体と向き合うことを可能にするのだ。このプロセスのため、クラークはアナトミーを探りどこで圧迫と伸張が起こっているかを観察するため彼の著書の中でどの抵抗でどんな感覚を感じるかを説明している。以下は、彼のYour Body, Your Yoga からの引用で、「止まってしまう」3つのポーズを探っている。


バックベンド




あなたの最大可動域は、骨がお互いに当たるか他の組織を圧迫するかにかかっている。例えば、上にある腰椎の二つの例を見てみよう。見るからに左側の人は右の人のように脊椎を伸展(バックベンド)することができないが、他の点は一緒だ。しかし、抵抗のあろう場所を見てみると、右の人はどんどん伸展を深めていける一方で、左の人は圧迫点にすぐ到達してしまう。


スクワット



スクワット(マラーサナ)を邪魔しているのは何だろう?膝が足の前方に行きながら踵をがずっと地面に着けておくためには、足首の背屈を最大にする必要がある(B)。足首の背屈の限界のせいで、この点でかかとが床から浮き始める(C)生徒も多い。かかとをあげると背屈はそんなにしなくてもいい。Dの位置では、背屈ではなく股関節屈曲が最大であり、足首が原因でないことがわかる。


三角形のポーズ


股関節を外転する(脚を体の中心線から遠ざける)には二つの方法がある。大腿骨か骨盤を動かすのだ。第一の例では(a)、股関節を外転させるのに十分な空間があり、三角形のポーズで床に手を伸ばしながら脊椎をまっすぐにキープできる。(b)では、そんなに股関節を外転できない人の方法をみることができる。脊椎の側方への湾曲だ。(c)は、もう一つの方法だ。股関節の屈曲を深めながら骨盤を大腿骨の圧迫点へと回転させるのだ。(d)はまた違う方法だ。あまり外転できないことを受け入れて、手を脚かブロックの上に載せる。


(出典)https://www.yogajournal.com/teach/why-inflexibility-may-not-be-whats-stopping-you-from-doing-that-pose

2017年9月27日水曜日

愛の四つの質 ティク・ナット・ハン 
The Four Qualities of Love


今回は、マインドフルネスを普及するベトナム出身の禅僧ティク・ナット・ハンの教えからです。仏教を開いたブッダもそもそもはヨギでした。心、体、エネルギーをどのようにコントロールすべきか、そこの根源は同じだと思います。

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Thich Nhat Hahn


ブッダがくださった愛の教えは、明確で科学的、応用的です。愛、共感、喜び、平静は、まさに悟りを開いた人の特徴です。私たちの中にある真の愛には四つの局面があり、それは全ての人と物の中に存在します。
– ティク・ナット・ハン

幸福とは、真の愛によってのみ可能になります。真の愛は癒しと周囲を変化させる力があり、人生に深い意味をもたらします。真の愛を理解し、どのように築き育てるかを理解している人がいます。ブッダがくださった愛の教えは、明確で科学的、応用的です。誰もがその教えから恩恵を得ることができます。

ブッダの時代、バラモン教信者らは、死後、万能の神であるブラフマーとともに永遠に天国に居られるよう祈りました。ある日、バラモンの一人がブッダに尋ねました「どうすれば必ず死後ブラフマーとともに居られるでしょうか?」ブッダは答えました。「ブラフマーは愛の源だから、ともに居るためには、愛、共感、喜び、平静であるブラフマヴィハラ(四無量心)を実践しなければならない」

ヴィハラとは住居のことです。サンスクリット語で愛は「マイトリ」といいパーリ語では「メッタ」と言います(慈)。共感はどちらの言葉でも「カルナ」です(悲)。喜びは「ムディタ」(喜)。平静はサンスクリット語で「ウペクシャ」、パーリ語で「ウペッカ」。四無量心は真の愛の四つの要素です。これらは「無量(量れない)」と呼ばれます。というのも、これを行うと毎日内側で大きくなり、全世界を包含するまで続くからです。あなたはより幸せになり、周りの人々もまたより幸せになるのです。


四無量心を通してブッダの精神を引き継ぐ


ブッダは、人々の信心を尊重していたので、そのバラモンの質問にそうするように答えたのです。座って瞑想することを愉しんでいるのなら、座って瞑想をしなさい。歩く瞑想を愉しんでいるのなら、歩いて瞑想しなさい。しかし、自分のユダヤ、キリスト、イスラムのルーツを守り続けなさい。それがブッダの精神を引き継ぐ方法です。自分のルーツを切り離すと幸せにはなれません。

四無量心を学べば、怒りや嘆き、不安、悲しみ、 嫌悪、孤独、不健康な愛着などの病を癒す方法を知ることができます。

(慈)

真の愛の最初の局面は「マイトリ(慈)」で、喜びや幸福を与える意思や能力のことです。この能力を開発するには、他者を幸せにするために何をして何をしないかを知るため深く見て聞く練習をしなければなりません。彼女に欲しくないものをあげたとしてもそれはマイトリではありません。彼女の真の状況を見て、彼女を不幸にさせないようにする必要があります。

理解がなければ、あなたの愛は真の愛ではありません。愛する人が欲しているもの、念願、悩みなどを感じて理解するために深く見るのです。私たちは皆愛を必要としています。愛が喜びや幸福をもたらします。これは空気のようなものです。私たちは空気に愛されていて、幸せで健康であるために新鮮な空気が必要なのです。健康であるために木が必要です。愛されるためには、愛さなければなりません。つまり理解するのです。愛を持ち続けるため、空気や木や愛する人たちを守るために適切な行動を取らなくてはなりません。

マイトリはまた「愛」や「慈愛」とも訳せます。「愛」は危険すぎるので「慈愛」を好む仏僧もいます。しかし、私は「愛」の方が好きです。言葉は時に病気になり、私たちが癒さなくてはなりません。私たちは「ハンバーガーが好き(I love...)」などのように「愛」という言葉を食欲の意味で使ってきています。もっと慎重に言葉を使うべきです。「愛」は美しい言葉です。その意味を取り戻さなくてはなりません。「マイトリ」は友という意味のマイトラを語源にしています。仏教では、愛の最初の意味は友情なのです。

私たちは皆、愛の種を内側に持っています。この素晴らしいエネルギーの源を、何の見返りもない無条件の愛を築き育てることができます。誰かを深く理解すれば、それが私たちを傷つけた人だとしても、彼らを愛することを拒めません。釈迦牟尼仏陀は、次の累代のブッダは「マイトレーヤ、愛のブッダ」と呼ばれるだろうと宣言しています。


共感(悲)

真の愛の第二の局面は「カルナ」で、悩みを解決して変換し、悲しみを軽くする意思と能力です。カルナは通常「共感」と訳されますが、これは厳密には正しくありません。「共感(compassion)」は「com(一緒に)」「passion(悩む)」からなっています。しかし、私たちは、他者の悩みを取り除くために悩む必要はありません。例えば、医師は同じ病気にならなくて患者を治すことができます。あまりに悩みすぎると、壊れてしまって助けることができなくなります。それでも、他にいい言葉が見つかるまでカルナの訳語として「compassion」を使うことにしましょう。

共感を築くには、マインドフルな呼吸、深く聞いてみることを練習する必要があります。ロータス・スートラには、「共感の目で見、世界の嘆きを深く聞く」菩薩としての観世音について記述があります。誰かが悩んでいたら、近くに座るでしょう。その人の痛みに触れるため、深く見て聞くことでしょう。深いコミュニケーションの中で深く関わり、それだけが幾らかの安心をもたらすのです。

一つの思いやりの言葉、行動、思いが、その人の悩みを軽減し喜びをもたらします。一つの言葉が、安らぎと自信を与え、疑いを解き、誰かが間違いを防ぐ、争いを解決する、あるいは解放へのドアを開ける手助けになるのです。一つの行動が、ある人の命を救い、その稀な機会を活用する手助けとなります。一つの思いでも同じことができます。思いは常に言葉や行動に繋がるからです。心の共感によって、思い、言葉、行動全てが奇跡を起こすのです。

私が新信者だった頃、世界が悲しみに満ちているのになぜブッダはこんなにも美しい笑顔でいられるのか理解できませんでした。なぜ悲しみにとらわれないのだろうかと。後に、ブッダは、十分な理解と平静と強さを持っていることがわかりました。だから、悲しみが彼を圧倒することなどなかったのです。悲しみにどう対処しどう変換すればいいのか知っていたので、悲しみに対して微笑むことができるのです。悲しみに気づかなければなりませんが、状況を変換するために明晰、平静、強固でいなければなりません。カルナがあれば、涙の海に溺れることはありません。ですから、ブッダの微笑みが可能になるのです。


喜び (喜)

真の愛の第三の局面は「ムディタ」です。真の愛は常に私たちと愛する人に喜びをもたらします。もし愛がお互いに喜びをもたらさないのであれば、それは真の愛ではありません。評論家は、幸福は体と心どちらにも関係するといいますが、喜びはまず心に関係しています。

この例はよく語られます。砂漠を旅している人が、冷たい水の流れを見つけて喜びを感じます。水を飲んで幸福を感じます。Ditthadhamma sukhavihari とは「今の瞬間の幸福に浸る」という意味です。「未来に急ぐことはありません。今ここに全てがあることを私たちは知っています」

良い状態の両目があるという気づきなど、多くの些細なことが大きな喜びをもたらしてくれることもあります。ただ目を開いて青い空を見、紫の花、子供達、木、そして様々な形や色を見るのです。マインドフルネスの中でこれらの素晴らしく生き生きとした物に触れられると、喜びの心が自然に湧き上がってきます。喜びは幸福を含み、幸福は喜びを含むのです。

ムディタは「同情的な喜び」または「利他的な喜び」という意味だという人もいますが、私たちは他者が幸福な時に幸福だと感じるものです。ムディタのより深い意味は、平穏と満足に満たされた喜びだと言えるでしょう。他者が幸せであるのをみると嬉しいが、自分が幸せでも嬉しい。自分自身に喜びを感じないならどうして他者に喜びを感じることができるでしょうか。喜びは全ての人に対するものなのです。


平静 (捨)

真の愛の第四の要素は「ウペクシャ(捨)」で、平静や無執着、公正、冷静、放免を意味します。「Upa」は「上」を、「iksha」は「見ること」を意味します。一方に固執せず状況全体を把握するため、山に登ります。もしあなたの愛が、執着、差別、偏見、愛着の要素を持っているなら、それは真の愛ではありません。

仏教を理解せずにウペクシャは無関心だと思う人が時々いますが、真の平静は冷たくも無関心でもありません。子供が複数いたとしても、全てあなたの子供です。ウペクシャは愛さないという意味ではありません。子供達が差別なくあなたの愛を受けられるように愛するのです。

ウペクシャは「平等の知恵」であるサマタジナナと呼ばれる印です。自分自身と他者を区別なく全ての人を公平に見る能力です。争いの中でどんなに深く関与していても、偏見なくどちらのサイドも愛することができるのです。全ての差別や偏見を捨て、自分と他者の境界を取り除きましょう。

自分自身を愛する者で他者を愛される者と見たり、他者より自分を評価したり、自分を他者と違って見たりする限り、真の平静は得られません。真に愛し理解したいのなら、自分自身を他者の皮膚下に置き彼と一つにならなければなりません。それができれば、「自身」と「他者」の区別は無くなります。

ウペクシャがなければ、愛は所有的になります。夏の風はとても気持ちの良いものです。しかし、それをブリキ缶に入れてずっと持っていたいと思っても風は死んでしまいます。私たちの愛する人も同じです。彼は、雲、風、花のようなものです。ブリキ缶に入れたら死んでしまいます。でも多くの人はそんなことをしているのです。彼の自由を奪い、彼は彼で亡くなってしまいます。自分自身を満足させるために愛する人を利用するのです。それは愛ではありません。破壊です。

あなたは彼を愛しているという。でも、彼の熱望や必要や困難を理解しなければ彼は愛という名の牢獄の中です。真の愛はあなたにも愛する人にも自由を与えます。それがウペクシャです。


愛が真の愛であるためには、共感、喜び、平静がなければならない。真の共感であるためには、愛、喜び、平静がなければならない。真の喜びには愛、共感、平静がなければならない。そして真の平成には愛、共感、喜びが必要なのです。


これが四無量心の相互に存在する性質なのです。ブッダがバラモンに四無量心を実践するよう説いた時、私たち全てにとても大切な教えをくださったのです。しかし、この愛の四つの局面を自身や愛する人たちの生活にもたらすには、深く見てそれらを練習していかなければならないのです。


From Teachings on Love by Thich Nhat Hahn

2017年9月23日土曜日

シャヴァサナ:解放と静寂、静止のポーズ 
Shavasana: The Posture of Relief, Silence, and Stillness

今回はシャヴァサナについてです。
まだヨガを始めて間もないという方でも、一度は必ずしたことがあるのではないでしょうか。回復・休息のポーズですが、最後のシャヴァサナの時間にマットを丸めて帰ってしまう方が(私のクラスではありませんが)時折いらっしゃいます。「シャヴァサナがなければヨガではない」と教えられてきた私にとって、この至福の時間を経験せずにいるなんてもったいないと思うのですが。
瞑想への第一歩とされるこのポーズについて、少し見てみましょう。
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まだヨガを始めたばかりの頃、すごく難しいポーズと軽々とこなす熟練した先生のワークショップに参加しました。その週末、彼女にとってヨガがどんなに大事かを語りながら、先生は将来の夫となる人と出会った時の話をしてくれました。彼がヨガの何がそんなにすごいのかと尋ねたので、先生はシャヴァサナ(屍のポーズ)を教えました。そうしたら「これすごいね。これがヨガだというのならぜひやりたいよ」と彼は言ったそうです。そしてヨガを始めたのです。それ以来二人は幸せに過ごしているのだそうです。

どんなアサナでも教えることができたはずなのに、屍のポーズを選んだとは少し変に思えます。簡単そうだし、どんなバカでも床に横たわって目を閉じればいい。それで?屍のポーズを過小評価するのは簡単です。アサナといえば、やったことのない人には絶対にできない筋肉と骨を複雑に組み合わせたような、体操選手がやるようなポーズをイメージします。つまり、筋肉レベルの努力と技術が必要なポーズです。

シャヴァサナは、面白くもおかしくもないという人が多いでしょう。じゃあなぜやるのか?なぜなら、その効果は数えきれなく、他の多くの精神的な練習の基本となるからです。シャヴァサナは、心を落ち着かせ意識に集中してポーズの準備をするために時にセッションの初めに行われたり、疲れを取るためにポーズの合間に少し行われたり、そして大抵は体を休ませ心を落ち着かせエネルギーを全身に行き渡らせるために練習の最後に行われます。全てはリラクゼーションのためなのです。


シャヴァサナでリラックスするということ


私たちは、本当にストレスにさらされています。現代社会の高度のストレスが健康に悪影響を与えるという文書が今まで多く書かれてきました。簡単にいえば、出勤途中で事故に遭いそうになったとか、大切な人と口喧嘩をしたとか、突然の来客があったりなど、ストレスは普段の生活の中でどんどん積み上がっていきます(ストレスの多い出来事が常に悪いとは限りませんが)。身体的、感情的に危険を感じると、自律神経が赤信号にかわり(「闘争逃走」シンドローム)、内分泌、呼吸器、循環器、消化器の調整など維持・回復機能が犠牲になります。自律神経が常に興奮していると、体は休んで回復する時間を持つことができません。緊急モードでは誰も長時間、正常に機能することはできないのです。

屍のポーズは神経を回復モードに戻す手助けをしてくれます。これはとても大切で、神経が素早く「闘争逃走」モードに入っても回復モードにゆっくり戻してくれるからです。リラックス状態で神経と身体機能を落ち着かせることで、私たちはエネルギーを使えるようになります。自律神経に支配されている筋肉から緊張が解け、閉じ込められていたエネルギーが解放されます。そうしてリラクゼーションの後に爽快さを感じるのです。またこの新しく使えるようになったエネルギーが意識をより高くし、防御を外して無意識に向かわせ、私たちの創造的な局面が目覚めるのです。そしてより深いレベルのエネルギーに触れることができるのです。

リラックスするには今の瞬間にいることです。力を抜き、評価、義務、自己批判、周囲の環境、他者を手放します。リラクゼーションには信頼が必要です。屍のポーズでは、体の前面と内臓があらわになって脆弱になります。目は閉じられ、注意を向けることもできません。ただ横たわるのです。深いシャヴァサナでは意識全体が変化します。「今」に完全に意識を向けながら別の次元に存在します。心は活発で注意深く、それでいて安定して穏やかです。その結果、肉体と精神の両局面の力強い回復が得られるのです。


シャヴァサナの練習


誰にも邪魔されないような静かな場所と時間を見つけましょう。両脚を前に伸ばして床に座ります。床が硬いようであればブランケットか薄いマットを敷きましょう。背中を丸めて床に両肘を下ろしながら、両足と骨盤は動かさずに徐々に脊柱を床に下ろします。体全体が床に降りたら、両脚をリラックスし、つま先が自然に外側に向くよう骨盤の外に向かってゆったりと力を抜きます。尾骨は床につけたまま、腰は自然な曲線を保つよう少し浮かしましょう。腰が楽になるよう、お尻の肉は仙骨から遠ざけるようにしましょう。骨盤の背面全体が広く柔らかに感じるでしょう。腰に不快感を感じたら、膝の下に枕を置くか、両膝を内側でつけたまま曲げます。

さて、下腹部を解放し、胴体全体も力を抜きましょう。そうすれば、脊柱の中心から広がる開放感を感じるでしょう。両肩を下げ、両腕の内側が見えるよう広く外へと下ろします。肩は床に平らにしておきましょう。手のひらは上に向け、指は自然に曲げておきます。もし手が床に着かなければ、枕で前腕を支えましょう。

特に長いセッションの場合は、頭の下に平らで硬めの枕を置きます。頭を左右に何回か振って首を緩めます。そして、両耳が両肩から同じ距離になるように頭骨を中心に戻しましょう。顎先は少し引いて柔らかくし、喉元と下あごをリラックスさせ、首の背面を長くします。

目を閉じましょう。脳の活動は目の動きに密接に関係しているので、目は動かさず柔らかくしておきます。両目を覆う布、あるいは目的に合ったアイバッグを使って目の緊張を解くと良いでしょう。心が落ち着きます。視覚以外の感覚も落ち着かせ、顔と顎を完全にリラックスさせて自分の内へと向かいましょう。

数分してから、まっすぐでない箇所を調整します。脊柱を長く、肩甲骨は広く、骨盤も広く、頭と首と胴体はまっすぐにしましょう。最小の動きで調整したら、動きを止めます。
心を受け身にしていきます。心が集中できれば、平穏と静穏が訪れるでしょう。



2017年9月19日火曜日

プラナヤマを実践するタイミング 
When to Practice Pranayama

今回は、前回のインド最高齢のヨギニも最も大切にしているというプラナヤマ(呼吸法・調気法)についてです。Himalayan Institute の Spritual Head である PANDIT RAJMANI TIGUNAIT 氏が質問に答えています。

ヨガには様々な解釈があり、その方法も様々です。VYASAでのヨガセラピーにおいてはクンバカは行わず、またアサナとプラナヤマを同時に練習していきます。

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プラナヤマを実践するにあたりどのような準備をすればいいですか?安全に効果的に行うために何をすべき(してはならない)でしょう?


プラナヤマを行うのにはアサナの練習は前提となります。アサナを完全に確立するまではプラナヤマを行うべきではないと聖典にもはっきりと記されています。どんなに健康であっても、内臓にはまだ気づいていない隠れた問題があることを常に念頭におくべきです。心臓、肝臓、肺、胸腺、甲状腺、膵臓、脾臓、腎臓、膀胱、生殖器、内分泌腺、神経系などです。総合的なアサナを毎日行うと、自分の身体や問題、そしてそれを克服する必要性に気付きます。優れたハタヨギは、ついには直感的な分析を行う能力を開発します。結果として、プラナヤマなどのさらに上級のヨガの訓練について実際的になります。


安全に行うには、自分の体力やスタミナを過信しないことです。まずは基本的な哲学を理解し伝統的なアサナを練習しながら、科学としてヨガを学び実践してください。ヨガの果てしない微妙な違いを試したいのなら、思いのままに様々な技術やスタイルを学ぶと良いでしょう。しかし、84の伝統的なポーズの系統だった練習がプラナマヤ・コーシャ(プラナ鞘)へのドアを開けてくれるのです。


こうした伝統的なアサナには二つの目的があります。第一は、特に神経系など身体や内臓を浄化し活性させます。第二には、通常はプラナ鞘に眠っている生命力を目覚めさせます。神経系や体内の微細なエネルギー経路が浄化されていないと、このプラナ鞘にある並外れた生命力が目覚めた時に身体を圧倒してしまうでしょう。そのような理由から、古典にあるような完全なアサナを実際に実践するために浄化というヨガのテクニックを取り入れる必要があるのです。


現代のヨガを教えている現場では、上級であっても浄化のテクニックに触れているものが少ないのに驚かされます。ハタヨガ・プラディピカやヴァシシュタ・サムヒタ、そして多くのウパニシャッドなどの文献は、はっきりと「ネティ(鼻腔)」「ドーティ(胃、食道)」「バスティ(腸)」「ナウリ(内臓)」「アグニ・サラ(消化器)」「トラタカ(目)」などの浄化法を練習に取り入れなければ、アサナの練習の効果は完全には得られないと述べています。完全なヨガ・アサナの究極の結果は、本当の休息と弛緩から始まります。体内の空間から不快を完全に取り除き、喜びで満たされます。


そして、伝統的なアサナにより、安定して快適に座れる体を作るのに役立ちます。心と身体の快適と安定はプラナヤマの練習に不可欠のものです。いかに快適に座れるかは内臓がいかに健康かを示しており、いかに安定した座法を行えるかはエネルギーがいかに自由に流れているかを示しているのです。


よくわかりません。特に84の伝統的ポーズに比べて、プラナヤマはアサナよりもゆっくりとしていて難しくないように見えます。なぜアサナのように上級の練習にプラナヤマのようにシンプルなものが前提となるのでしょう?


プラナヤマはシンプルではありません。説明しましょう。最も上級のアサナは坐法です。手足を捻り身体をプレッツェルのように曲げることができるかもしれません。スプリット(前後開脚)やピーコック、スコーピオンのポーズ、指先の逆立ちが(ヘッドスタンドよりさらに高難度)できるかもしれませんが、じっと座ることはできないと気づくでしょう。


快適で安定した坐法をするには、脊椎が健康で強く柔軟である必要があります。背中、腰、腿の関節もまた良い形状でなければなりません。さらに、体重は会陰を中心に臀部に平均にかからなければなりません。呼吸器や消化器は強く、完全にバランスが取れている必要があります。交感神経、副交感神経もまた完全にバランスがとれ調和していなければなりません。脊椎は上に伸び、胸は開き、肩はリラックス、横隔膜を完全に自由に拡張、収縮させなければなりません。さらに、脊椎の曲線は正しい必要があります。これらの条件が全て満たされた時にやっと快適で安定して座れるのです。そしてこの安定した快適な坐法は、身体的なポーズの練習によって達成されるものなのです。これらのポーズは坐法よりも重要ではなく、坐法はプラナヤマに必要不可欠なのです。


プラナヤマの実践は、骨格系、呼吸系、筋肉系を超えたところにあります。内分泌系や神経系だけでもありません。本来の意味では、プラナヤマとは生命力そのものの統御を得ることが目的です。そしてこの目的は呼吸の法則を超えることで得られます。通常は、健康な呼吸とは優しくスムーズで急激な動きや雑音がない呼気吸気によって行われます。円を描くような流れで呼吸をしなければなりません。


勝手に呼吸が止まりそれをコントロールできないとすれば、それによって身体の機能が妨げられ心の落ち着きがなくなり、生命力も影響を受けます。健康的な呼吸においては、停止してはなりません。呼吸を止める度にゆっくりと死んでいくのです。ヨガのゴールである心と身体の奥深くにある並外れた能力を支配するには、呼吸の停止を制御する必要があります。これを意思で行うのです。これをクンバカと呼びます。同様の呼吸の停止を正しい準備と共に行うと、それは長寿の源となります。伝統的なプラナヤマは全てクンバカを含みます。実際、ヨガの世界ではプラナヤマとクンバカは同義語です。しかし、正しい坐法をしておらず、内臓が不健康で、神経系のバランスが取れておらず強固でもないとしたら、プラナヤマ(クンバカ)は体と心どちらにも悪影響を及ぼすでしょう。なので、プラナヤマは上級の練習であり、アサナの完成が条件となるのです。

2017年9月13日水曜日

汗をかくヨガは間違い 最高齢インドのヨギニが語る 
India’s oldest yogini says you’re doing yoga wrong if you’re working up a sweat

今回は、インドで長く伝統的なヨガを教えてきた女性とその家族についての記事です。
米国に渡ってどんどん新しくなっていくヨガ、そしてインド古来のヨガについて彼らの意見が書かれています。
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太陽礼拝(スリヤナマスカラ)を一度に100回できるような、パワーヨガのファン、ホットヨガの愛好者に対し、インドの最高齢のヨガ・ティーチャーは、それは間違いだと主張する。

インドの南、タミルナドゥ州の98歳になるヨガのエキスパートV・ナナンマルは、ヨガは正しくやれば過酷な運動ではなく汗をかいたり息が上がったりするものではないと信じている。それは平和的でリラックスするもので、それこそが彼女が1世紀近く実践してきているものである。

その年齢にも関わらず、何事もなくどんなアサナもやってしまうその才能で、ナナンマルは称賛とを得てきた。食事とエクササイズのおかげで、彼女は今日まで病院に行ったこともなく大抵の若者よりも健康そうに見える。現在、ヨガ界や健康関連の有名人となり、複雑なアサナをとっているビデオは人気を博し何百万人もの視聴者を魅了している。

ヨガに関しては、ナナンマルと子供達、孫たち、ひ孫たちをも含む家族は、世代を超えて受け継がれてきた伝統に従っている。1972年に設立されたコインバトールにあるオゾン・ヨガセンターで、プラナヤマ(呼吸法)に焦点を当てた伝統的スタイルのヨガを教えている。

しかし、ここではルルレモンのヨガパンツもヨガマットもない。ナナンマルは伝統的な服装でシンプルなカーペットの上でヨガをする。彼女のスタイルはミニマリストに近く、雑穀粥の朝食に野菜と米の昼食、牛乳と果物の夕食といったシンプルな食事をとる。また、生徒たちにも肉やタバコ、アルコールを取らないよう勧めている。

これらは、インドの都市部や世界中にある10億ドル規模のヨガ業界とは大きくかけ離れている。強く速い動きのパワーヨガ、高湿度で行われるホットヨガの人気は、特に米国で衣類やアクセサリー、クラスの人気にますます火をつけている。しかし、ナナンマルや彼女の家族のような伝統主義者にとって、これらは単なるエクササイズであり本当のヨガの形とは程遠いものである。例えば、ナナンマルは、太陽礼拝のアサナは伝統である12回以上行うべきではないと主張する。しかし、ヨガ愛好者の中にはそれをエクササイズとして行い、できる限りの回数を行うこともある。


セレブなどではない 


ナナンマルにとって、ヨガで世界的に有名になることは意識したものではなかった。彼女と子供達がヨガを「フルタイムの職業」にする前は、それは単なる家族の行動であり、107歳まで生きた母親ポナンマルを含む家族で行うものだった。

「父と祖父はどちらもインドの登録医師で、家族以外にヨガを教えることもなかった」息子でヨガ・ティーチャーであるV・バラクリシュナンは語った。「家族の伝統であり外に出ることはなかった」当時、ケララの主要産業は農業であり、カシューナッツとココナツの農場を持ちながら伝統的なシダ医療を行なっていた。

ヨガが人助けになる可能性があるとナナンマルに気づかせたのは、義母が関係する事件だった。
「義母が農場にいた時に脚をくじいた」ナナンマルはタミル語で説明した。「医者に見せる代わりにヨガのポーズをいくつか教えたら、脚が治った」

それからというもの、義母は彼女の最初の生徒となった。その後、近所の人や子供たちに教えるようになり、1970年代にはもっとたくさんの人に教えたいと思うようになっていた。そこでオゾン・ヨガを設立しナナンマルと家族はその後10万人以上の人を教えてきた。しかしその規則は厳しく(例えば裸足でヨガを行うなど)、それに従わなければ帰るようにと遠慮なく生徒に言う。

約20年前、ヨガを教える人を訓練することも始めた。資格を与えるため、インド政府イニシアチブであるバーラット・セヴァク・サマジと手を組みプログラムを開発した。オゾンが提供した自然療法ヨガ・サイエンスのプログラムは1000人以上が修了し、その多くが中国やシンガポール、マレーシアなど様々な国でヨガを教えているとバラクリシュナンは言う。

しかしもちろん、時とともに変化していくものだと彼は付け加えた。今や、授業はナナンマルが望むよりもだんだん甘くなり、クラスで伝統的でない服装をしたりプログラムに喫煙者がいることもある。そして、ナナンマルがヨガはブラフマ・ムフルタム(吉兆の時間)である午前3〜5時だけに行うべきだと固く信じている一方で、仕事を持つ人や生徒たちのためにオゾンでは一日中クラスが行われている。そして、以前そうであったようにヒンズー教徒に限らず、インド全域や海外からのすべての宗教を信じている人々へとクラスを開放している。

「もっと多くの人にヨガを学んでもらいたいので、厳しくはしない」とバラクリシュナンは言う。しかし、彼らの原点であるヨガの形は変わることはなく、ビールヨガゴートヨガなどといった流行りとは一線を画している。

「次の世代が私たちの伝統を学び引き継いでいけるよう、今まで行ってきたものを教えるということに集中している」ナナンマルは言った。


2017年9月6日水曜日

柔軟性について科学が教えてくれること Vol.3 
What Science Can Teach Us About Flexibility Vol.3

固有受容体神経筋促進法... って?


西洋における近年の柔軟トレーニングは、素早く劇的に柔軟性を得るため進展反射を再訓練する神経のテクニックを使います。これらの中には、(さあ、一呼吸して)固有受容体神経筋促進法(proprioceptive neuromuscular facilitation)と呼ばれるのものがあります。(幸いなことに、通常はこれを単にPNFと呼びます)

パスチモッターナサナでPNFの原理を用いるには次のようにします。前屈をしながらストレッチを少し緩め、ハムストリングスをアイソメトリック(等尺)に収縮させます。かかとを床に向かって押しつけるようにすると良いでしょう。そして約5〜10秒続けます。この動きをやめ、前屈が少し深くなっているか見てみましょう。

PNF法は、最大に近い長さに保ったまま筋肉を収縮させることで進展反射を得ようとするものです。ハムストリングスを使うと、筋紡錘の圧を緩めることができ、筋肉をもっと緩めても大丈夫だという信号を送ります。これは矛盾しているように見えますが、筋肉を収縮すると実際は伸ばすことができるのです。この様に筋繊維に力を入れたあと解放すると、おそらくたった数秒前に限界に近かったストレッチが楽になっていることに気づくでしょう。さあ、もう少し踏み込んで神経活動の小休止を使ってストレッチを深めましょう。神経系が調整されて、可動域が大きくなります。

PNFは科学的なストレッチと言えるでしょう」理学療法士のマイケル・レスリーは言います。レスリーは、サンフランシスコ・バレーのメンバーの柔軟性を高めるのにPNF技術を変更した組み合わせを使用しています。「私の経験では、静的トレーニング1週間で得られる効果がPNFでは1セッションで得られます」

これまでのところ、ヨガはPNFタイプのテクニックに系統的には注目してきませんでした。しかし、同じポーズを数回行いながらアサナの慎重なシークエンスや繰り返しを重視するヴィンヤサは、神経的なコンディショニングを促進することができます。

アメリカン・ヴィンヤサ・インスティチュートの創設者で、T.K.V. デシカチャーのヴィニヨガ系で最も尊敬されるティーチャーの1人であるグレイ・クラフトソウは、ヴィニヨガをPNFに例えています。「収縮と伸展を交互に行うと筋肉が変わる。収縮の後は、筋肉が弛緩して伸展する」


プラナと柔軟性


クラフトソウはまた、呼吸は意識と自律神経系をリンクさせると指摘し、どんな神経的な動きにも呼吸が重要だと強調しています。「自己開発のどんな科学においても最初のツールとされるのが、この呼吸の質なんだ」

プラナヤマあるいは呼吸のコントロールは、サマディ(三昧)に至るヨギの道の4つ目の肢則です。ヨガの訓練の中で最も重要なものの一つで、身体中のプラナ(生命エネルギー)の動きの調整を行うことができます。しかし、深淵なヨガの生理学、西洋の科学的な生理学のどちらから見ても、リラクゼーションとストレッチ、呼吸の関係性はとても深いものです。生理学者らはこの機能的で神経的な動きと呼吸の相互関係を随伴運動の例だととらえています。つまり、他の場所の動きとともに起こる身体のある部分の不随意の動きです。

パスチモッターナサナを行なっていて深く安定した呼吸をしていると、呼吸の流れを反映する流れに気づくでしょう。息を吸うと筋肉がやや緊張し、ストレッチが浅くなります。呼吸をゆっくり完全に吐くと、腹部が脊柱に向かって凹み、腰の筋肉が長く伸びる様に感じ、胸を腿に向かって下ろすことができるでしょう。

息を吐くと肺が小さくなり横隔膜が胸の方に引き上がるものですが、それによって腹部の空間が広くなり腰椎が前方に曲がるのを助けるのです。(息を吸うと反対になり、風船の様に膨らんだ腹部のせいで完全に前屈できなくなります)しかし、息を吐くとまた、実際には背中の筋肉がリラックスして骨盤が前傾することは気づかないかもしれません。

パスチモッターナサナでは、腰の筋肉組織は受動的に伸長しています。Science of Flexibilityに書かれている研究によれば、吸気は能動的な腰の収縮、すなわち前屈に対して全く逆の収縮を伴います。呼気は腰の筋肉を緩めてストレッチを促します。腰の上あたりの背中に手のひらを置いて深く呼吸をすると、脊椎の両サイドにある脊椎起立筋が、吸気で緊張し呼気で緩むのを感じられるでしょう。もっとよく観察してみると、吸気で脊椎の先にある仙骨あたりの筋肉が緊張し、骨盤が少し後傾することもわかるでしょう。呼気ではそうした筋肉は緩んで骨盤が自由になり、股関節周りの回転を可能にします。

肺が空っぽになって横隔膜が胸に引きあがると、背中の筋肉が緩んで完全なストレッチへと前屈していくことになります。一旦そうなると、心地の良い、永遠の内的安定の時間を感じ、伝統的に前屈の効能だと考えられてきたものの一つである神経系の安定が得られるのです、。

この時点では、特にヨガの霊的要素に触れた様に感じられるかもしれません。しかし、この経験の実際的な説明はまた西洋科学も行なっています。アルターのScience of Flexibilityによれば、呼気で横隔膜が心臓を押し上げると心拍がゆっくりになります。血圧が下がり、肋骨の圧迫、腹壁、肋間筋もまた下がります。弛緩が起こり、伸長への耐性が高まり幸福感も上がるのです。


柔らかくなる近道?


しかし、ヨガの全ての時間が平穏とは限りません。ハタヨガを極めていくと実践者は痛みや恐れ、危険などを伴う飛躍を経験することがあります。(結局のところ、ハタとは「強引な」という意味があります)B.K.S.アイアンガーのLight on Yogaの中で、生徒がパスチモッターナサナをしている生徒の背中の上でマユラサナ(孔雀のポーズ)をし、もっと深く前屈させるようにしている写真を見たことがあるかもしれません。あるいは、バダコナサナ(合蹠のポーズ)をしている生徒の腿の上に立つ指導者を見たことがあるかもしれません。そういう方法は外部者から見れば危険で残酷とすら見えるでしょうが、経験のある指導者によって行われるととても効果的なのです。そしてそれらは、神経的なメカニズムの再調整に焦点を当てた西洋の柔軟トレーニングの最新の技術に著しい類似性があると言えるのです。

この記事をリサーチしている時、何年もハヌマナサナ(「スプリット」として知られています)を練習していたある友人が、このメカニズムに気づいて驚きの躍進を経験したと伝えてくれたのです。ある日、彼がこのポーズを試みて、左脚を前に右脚を後ろに開き両手は床に軽く置いて支えていました。いつもより遠くに両脚をストレッチした時、胴体のほとんどの全荷重を腰の方へ下ろしていました。突然、強い熱を骨盤に感じ、思いがけず素早く解放されて彼の両坐骨が床に着いたというのです。彼はストレッチの時にはほとんど出会わない生理学的な反応を起こし、伸長反射に逆行、解除する神経の「回路ブレーカー」にスイッチを入れたのです。伸長反射が筋組織を緊張させる一方で、この別の反射は(「逆伸長反射」と言います)腱を守るために筋肉の緊張を完全に解いたのです。

これはどのように起こるのでしょう?各筋肉の先端には、筋膜と腱が交わっており、荷重をモニターする感覚器があります。これらはゴルジ腱受容器(GTOs)です。筋肉の収縮や伸展が腱に与えるストレスが強すぎるときに反応します。

旧ソ連の巨大な国営のスポーツ組織は、このGTO反射を大きく操作したものに基づいて神経的な柔軟トレーニングの方法を開発しました。「完全なスプリットや難しいアサナ
の多くに必要となる筋肉の長さはすでにそこにある」ロシアの柔軟エキスパートのパヴェル・ツァツーリンは言います。「しかし、柔軟性をコントロールするには自律神経機能をコントロールする必要がある」彼は、脚を椅子の背に持ち上げながら説明するのです。「これができるなら、スプリットができるだけの柔軟性はすでにある」ツァツーリンによれば、できないのは筋肉でも結合組織でもないのです。「素晴らしい柔軟性は、脊椎にある多くのスイッチを入れ替えることで可能になる」

しかし柔軟性を高めるためにGTOメカニズムを使うには、ある種の危険を伴う、というのも筋肉は完全に伸展させ、GTO反射を起こすために極度の緊張が必要だからです。ロシアのシステムや上級のヨガ・テクニックのように、強度の柔軟トレーニング法は、骨格が正しく調整されておりストレスに耐えられるほど身体が強いかどうかを確認することのできる経験のある指導者が必要だということです。自分が何をしているのかよくわからずにやれば、すぐに怪我をしてしまうでしょう。

しかし、これらの方法を正しく使えばとてつもなく効果的です。柔軟トレーニングをしたことのない体の硬い中年の男性であっても約6ヶ月でスプリットができるようになるとツァツーリンは主張しています。


応用生理学


さて、「これらの西洋のストレッチの技術がヨガにどう関係しているの?」と自問していることでしょう。

もちろん一方では、プラナをより多く流せるような体を作るためストレッチは重要な要素です。そのため、多くのハタヨガの流派では練習を伝統的なアサナや身体の理想的な可動域を作るためのポーズを基本にしているのです。

しかし、良い指導者なら誰でも、ヨガはストレッチだけではないと言うはずです。「ヨガは世界を体験する新しい方法を教えてくれる訓練です」理学療法士のジュディス・ラサター博士は説明します。「そして苦しみへの執着を手放すのです」ラサターによれば、意識と無意識の二種類のアサナしかないと言います。言い換えれば、あるアサナの位置を決めるのは私たちの集中力であって、身体の外観だけではないのです。

身体の完璧性を追求することに捕らえられてしまって、サマディ(悟り)というアサナのゴールへの見解を見失ってしまうことは大いにありうるでしょう。しかしまた同時に、伝統的なヨガの「内なる肢」を得るのに必要な一点への集中を開発するには、身体の柔軟性を限界まで探ることが完璧な道具となりえます。

アサナの長年の実証に基づいた洞察を伝えるために西洋の生理学的な科学理解を利用することは、全くもって矛盾するものではないのです。実際、西洋ではハタヨガの中でおそらく最も影響力のあるヨガ・ティーチャーのB.K.S.アイアンガー氏は、常に科学的調査を勧め、洗練されたアサナを育成するために正確な生理学的な論理の応用を提唱していました。

すでにこの考えに熱心に取り組んでいるヨギもいます。マサチューセッツ州ボストンにあるメリディアン・ストレッチング・センターでは、ボブ・クーリーが柔軟性の不足を診断しアサナを処方するというコンピューター・プログラムを開発試験中です。クーリーのストレッチング・センターに来る新しい患者は、16のヨガポーズを行うように言われ、CADで使用されるのと同様のデジタル・ポインタでクーリーによって生理学的な身体の目印が記録されていきます。これらの身体の点を読む作業は、患者と人間の平均的及び最大柔軟性を比較するために測定されるのです。このプログラムは、患者の基準と経過をまとめ、改善が必要な場所を見つけて特定のアサナを勧めるのです。

クーリーは、伝統的なヨガのアサナとPNFに類似した技術を組み合わせ、彼の考える東洋と西洋の知識の最良の融合点を用いているのです。(折衷的実験者であるクーリーは、西洋の心理療法の知識エニアグラムとヨガへのアプローチとして中医学の経絡理論を取り入れている)

もし、ヨガの純粋主義者であるなら、古代からのヨガと新参の科学知識を混ぜる寄せ集めなど好きではないかもしれません。しかしながら、「新しく改善」するのはいつの世もアメリカの国是であり、ヨガの発展を鑑みれば、東洋の経験に基づいた知恵と西洋の分析された科学の融合は、重要な貢献になるのではないでしょうか。


2017年8月21日月曜日

柔軟性について科学が教えてくれること Vol.2
What Science Can Teach Us About Flexibility Vol.2

では、前回からの続きです。どのようにすれば前屈を深められるのでしょうか?

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相互抑制


結合組織のストレッチに加え、ヨガで行うことは、筋肉のリリースと伸長をさせるために神経メカニズムに働きかけることを目指しています。そうしたメカニズムの一つが「相互抑制」です。ある筋肉群が(主動筋)収縮すると、この自律神経に組み込まれた特徴が相反する筋肉(拮抗筋)を解放させます。ヨギたちは何千年にも渡ってこのメカニズムを使ってストレッチを促進してきたのです。

相互抑制を感じるためには、テーブルの前に座って、天板を優しく空手のチョップのように手の端で押してみましょう。上腕の後ろ側(三頭筋)を触ると固く力が入っているのを感じるでしょう。反対側の筋肉である二頭筋を触れば(上腕の前にある大きい筋肉)、弛緩しているのが感じられるはずです。

パスチモッターナサナでも同様のメカニズムが働きます。ハムストリングスが弛緩し、反対にある四頭筋が使われています。

テネシー州ナッシュビルの整形整体セラピストのデビッド・シアーは、患者の可動域の向上を安全に行うために相互抑制の理論を利用しています。ハムストリングスの柔軟性を上げるためにシアーの元を訪れるなら、彼は腿前面の四頭筋を鍛えハムストリングスの弛緩を促すでしょう。そして、ハムストリングスが最大に達すると、今度は荷重をかけてアイソメトリック、あるいはアイソトニックのエクササイズで強化するでしょう。

ナッシュビルにある「ヨガルーム」の、アイアンガーヨガのインストラクターであるベティ・ラーソンも、パスチモッターナサナで生徒らのハムストリングスをリリースさせるために相互抑制を理論を利用しています。

「生徒たちに四頭筋を収縮するように促すんです」と、ラーソンは言います。「脚の前面全体を持ち上げると、脚の背面は緩みます」ハムストリングスと背中を鍛えるために、彼女のクラスでは後屈も取り入れています。ストレッチする筋肉を鍛えることは、大変重要なことだと彼女は感じています。多くのティーチャーたちのように、最近やっと近代化学で理解されるようになった生理学的原理を適用する古いヨガの技術を利用しているのです。

シーアによれば、彼女は正しいと言います。最善の柔軟性というのは、可動域と強さの向上の両方が必要だと彼は主張します。「役に立つ柔軟性なのです。受動的な柔軟性だけを向上させてもそれをコントロールする強さがなければ、関節の深刻な怪我をしやすくなってしまうのです」

パスチモッターナサナに戻りましょう。今度は、骨盤を軸にして上体を前に伸ばしたところを想像しましょう。ハムストリングスは大抵は固いことでしょう。もっと曲げたいのに深く曲げられず、頑張れば頑張るほどハムストリングスは固くなってきます。インストラクターが、呼吸を続けて、ポーズを続けるために能動的に使われていない全ての筋肉をリラックスさせるよう促します。

自分の最善を尽くすのを諦めます。ポーズをとりながら判断をせずリラックスすると、ゆっくりとハムストリングスが弛緩し始めます。

無理に曲げようとしなくなった途端に、頭がゆっくりと脛に近づいていくのはなぜでしょう?科学(そして古代のヨギたち)によれば、柔軟性を制限しているのは身体ではないのです。それは心であり、少なくとも神経システムなのです。

Credit: Yoga Journal

伸展反射


神経系を柔軟性を深めるための大きな障害であるとみる生理学者によれば、限界を超える鍵となるのは神経に備わるもう一つの機能である伸展反射です。柔軟性を研究する科学者らは、少し深められる小さな進歩(そしてヨガの練習で驚くほど向上する柔軟性)は、この反射を再訓練することが大きな部分を占めると考えています。

伸展反射を理解するには、冬の散歩をイメージすると良いでしょう。突然、氷の上に乗ってしまい滑って足が離れて行ってしまうと想像しましょう。すぐに筋肉が目を覚まし、両脚をそろえてコントロールを取り戻そうとします。神経と筋肉に何が起こったのでしょうか?

各筋繊維には筋紡錘と呼ばれるセンサーのネットワークがあります。それらは筋繊維に垂直に走っており、繊維の伸びる長さや速さを感じます。筋繊維が伸びると、これらの筋紡錘へのストレスが増加するのです。
このストレスが速すぎたり長すぎたりすると、筋紡錘は神経的緊急「SOS」を発して、反射ループを活性化させて即座の防御的収縮を引き起こします。

これは、膝のすぐ下の靭帯を医者にゴムのハンマーで叩いた時、急に四頭筋が伸展するのと同じことが起こっているのです。この急な伸展が四頭筋の筋紡錘を刺激し、脊椎に信号を送ります。その後すぐ、神経ループが四頭筋の収縮で終わり、よく知られている「室外反射」を作り出すのです。

このように伸展反射は筋肉を守ります。そのため、専門家はストレッチの際に弾みをつけないように注意を喚起しているのです。ストレッチに弾みをつけると、筋紡錘が刺激されて反射的緊張を起こすため、怪我の確率が高まってしまうのです。

ゆっくりと安定したストレッチも伸展反射を引き起こすのですが、それは急なものではありません。パスチモッターナサナで前屈すると、ハムストリングスの筋紡錘が抵抗を生み、進展させようとしているまさにその筋肉の緊張を作り出してしまうのです。そのため安定したストレッチで柔軟性を高めるためには時間がかかるのです。筋紡錘のゆっくりとした調整を通して、神経ブレーキがかかる前により強い緊張に耐えれられるよう訓練することで、柔軟性が高められるのです。





(またまた次回に続きます)
(出展)https://www.yogajournal.com/practice/what-science-can-teach-us-about-flexibility

2017年8月8日火曜日

柔軟性について科学が教えてくれること Vol.1
What Science Can Teach Us About Flexibility Vol.1

今回はストレッチについての最新の科学研究についてです。
ヨガといえば、というくらいヨガではストレッチをたくさん行いますが、そのとき体に何が起こっているのか、何に効くのか、改めて科学の立場から見るのも面白いですね。
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近年、何世紀にも渡るヨギの知識を生物医学研究が調査、評価を始めた:

ストレッチは私たちをしなやかに、若々しく、そして健康にする


もしヨガをもう始めているとしたら、ストレッチの効果を感じるのに科学者や生理学者は必要ないでしょう。その代わり、アサナを深められる柔軟性の研究があるなら教えて欲しいと思うでしょう。例えば、前屈をしていて脚の後ろが硬いと感じたとき、科学は何が起きているのか説明できるでしょうか?その知識はアサナを深めるのに役立つのでしょうか?

その答えはどちらも「イエス」です。生理学の知識により、体内の働きを視覚化しストレッチをしやすくする明確なメカニズムに焦点を当てることができます。脚の硬さが、骨格のせいかのか、結合組織が硬いせいなのか、怪我をしないように作られた神経反射のせいなのかを知っていると、最善の方法で行えるようになります。そしてもし不快な感覚が、怪我をしそうなのか、それとも単に新しい領域に入っていこうとしているだけなのかがわかれば、やり続けるべきかやめるべきかの賢明な選択を行えるようになり、怪我も防具ことができるのです。

さらに、新しい科学研究は、ヨガの叡智さえも広げる可能性を思っているかもしれません。もしヨガに関連する複雑な生理学によりはっきりと理解できるのなら、身体を開くテクニックを洗練させることができるかもしれません。

Credit: Yoga Journal

なぜストレッチするのか?


もちろん、ヨガは私たちを柔軟に保つだけではありません。身体と心の緊張を解き、もっと深い瞑想へと誘います。ヨガでは、「柔軟性」とは心と身体を投じて変化させる姿勢なのです。

しかし西洋では、生理学的な「柔軟性」というのは単に、筋肉や関節を限界まで曲げる能力のことを指します。生まれながらに持っていても、ほとんどの人が失くしてしまう能力です。ネブラスカ州リンカーンのカイロプラクター、トーマス・グリーン博士によれば「私たちの生活は限定されていて座りっぱなしだ。だから、体がなまって筋肉は萎縮し関節も制限された範囲だけ動くようになってしまっている」

私たちが狩猟採取生活をしていた頃は、身体を柔軟で健康的に保つためのエクササイズを毎日していたのです。しかし現代では、座ってばかりの生活だけが筋肉や関節を制限している犯人というわけではありません。どんなに活動的な人でも、年齢とともに身体は水分を失い固くなっていきます。成人に達するまでに、組織の約15%の水分を失い、柔軟性を失って怪我をしやすくなります。筋肉繊維はお互いに癒着し始め、平行な筋繊維が独立して動くのを妨げる細胞の架橋結合が起こります。ゆっくりと柔軟な繊維がコラーゲンの結合組織とくっつき合い、どんどん動かなくなっていきます。この組織の通常の老化は、悲しいかな動物の皮をなめすのと同じプロセスです。ストレッチをしなければ、乾ききってなめされてしまうのです!ストレッチは、組織の潤滑液の生成を刺激することで、この乾燥のプロセスを遅らせるのです。互いに絡まった細胞の架橋結合を解き、健康的で平行な細胞構造で筋肉が再生するのを助けるのです。

ラクエル・ウェルチと小さくなった潜水艦のクルーが注射されて血管の中に入っていった陳腐な70年代のSF映画を覚えていますか?西洋の生理学がいかにアサナの練習に役立つかを本当に理解するのなら、深く潜って体内の冒険をし筋肉がどのように働くのかを調査しなければなりません。

筋肉と内臓ーひとつの働きのため統合された様々な特別の組織からなる生物学的な単位です。(生理学者は筋肉を三つに分類しています。内臓の平滑筋、心臓の特別な心筋、そして骨格の横紋筋です。が、この記事では骨のてこを動かす滑車である骨格筋だけを見ていきます)

筋肉の特別な働きとは、もちろん、収縮と弛緩で形を変える細胞の塊である筋繊維が作る動きです。筋肉群は協力し合って動き、交互に収縮とストレッチを正確で調整された流れで身体が可能な広範囲の動きを作り出します。

骨格の運動において、筋肉を働かせること(骨を動かすために収縮させる)ことを「主動筋」と呼びます。その反対(動かすために弛緩させて伸ばす)の筋肉を「拮抗筋」と言います。ほとんどすべての骨格の動きが、主動筋群と拮抗筋群の調和された動きに関係しています。動作解剖学における陰と陽です。

しかし主動筋を伸ばすストレッチは骨格の動きの半分に過ぎないにも関わらず、エクササイズの生理学者らの多くは、健康的な筋繊維の弾性を高めるのは柔軟性を高めるための重要な要素ではないと考えています。Science of Flexibility (Human Kinetics, 1998)の著者であるマイケル・アルターはによれば、現在の研究では各筋繊維は切れてしまうまでその静止長の150%まで伸びるそうです。この伸展性が、最も難しいアサナなども含めほとんどのストレッチで効果的に大きな範囲の以後きを可能にするのです。

筋繊維がストレッチの能力を制限していないのなら、何がしているのでしょう?実際にまにが柔軟性を制限していて何をすればいいのかについては、二つの科学的学説があります。まず一つ目は、筋繊維そのものでなく筋繊維をつなげ、包み、そして他の臓器と結んでいる細胞である結合組織の弾性を高めることに焦点を当てています。二つ目は、「伸展反射」と自律神経の機能に専念しています。ヨガはどちらにも働きかけます。なので、柔軟性を高めるにはとても良い方法なのです。


内側にある網


結合組織とは、身体の構造をまとめるのに特化した様々な細胞群を含みます。身体の中で最も多い組織で、その複雑な網が身体のパーツを繋ぎ、骨や筋肉、臓器など個々の構造に区分します。ヨガのアサナのほとんどは、こうした多くの組織にある細胞の質を向上し、動作を伝達し、筋肉に潤滑液と治癒物質を与えます。しかし、柔軟性の研究においては、三つの結合組織にのみ焦点を当てましょう。靭帯、腱、そして筋膜です。それでは、それぞれをさっと見ていきましょう。

腱は、骨と筋肉を繋いで力を伝えます。比較的硬いものです。そうでなければ、ピアノを弾いたり目の手術をするなど細かい作業を行うことは不可能になります。腱は大変強い張力を持つ一方、ストレッチにはとても弱いのです。ストレッチが4%を越えると切れてしまうか元に戻らなくなり、筋骨の結合が緩くなってしまいます。

靭帯は腱よりは少し安全にストレッチが可能ですが、そう大きくはありません。靭帯は骨と骨を関節の内側で繋いでいます。柔軟性を制限するという役割を担っており、概して靭帯をストレッチするのは避けなければなりません。靭帯が伸びると関節が不安定になり、それを補うために怪我をする可能性が高まります。これが、パスチモッターナサナ(座位の前屈)で膝を伸ばし過ぎずやや曲げて行う理由です。膝後方の靭帯(また腰の靭帯も)の緊張を解くためです。

筋膜は柔軟性に関わる三つめの結合組織ですが、これが最も重要です。筋膜は、Science of Flexibility によれば筋肉全体の重量の3割にもなり、筋肉の動きに対する総耐久力の約41%にもなります。筋膜は、各筋繊維を分けて働きのグループにまとめ、構造を作り力を伝えます。

関節の潤滑、治癒の促進、血流の改善、動きの改善などストレッチから得られる効果の多くは、筋膜の健康的な刺激に関係しています。柔軟性を制限するすべての構造要素の中で、唯一、安全にストレッチすることができるものです。Anatomy of Hatha Yoga の著者である解剖学者のデビッド・クールターは、アサナの記述の中で「内側にある網(編み物)の注意深い手入れ」だと述べています。

さて、この生理学のレッスンを、基本的ですがとてもパワフルなポーズに取り入れていきましょう。パスチモッターナサナです。

このポーズの名前は、3つの言葉からなっています。サンスクリット語の「Paschima」は「西」、「uttana」は「強いストレッチ」、そして「asana」は「ポーズ」です。ヨガは伝統的に太陽のある東を向いて行われてきたので、「西」は身体の後ろ側を指します。

この座位の前屈は、アキレス腱から脚の後ろ、骨盤、そして脊柱に続いて頭の付け根までの一続きの筋肉を伸ばします。ヨガの伝承では、このアサナは脊柱を若返らせ、内臓を活性化し、心臓や腎臓、腹部をマッサージします。

ヨガクラスで仰向けに寝て、パスチモッターナサナに入るため起き上がる準備をしていると想像してみてください。腕は比較的リラックしており、手のひらは膝の上。頭は快適に床に置かれて、頚椎は柔らかいけれど意識している。インストラクターがゆっくり上体を起こし、尾骨から頭頂まで伸ばすように指示する。負担をかけないよう注意して腰を伸ばし過ぎずに起き上がる。見えない糸が胸にあってそれが外へ上へと持ち上げながら(アナハタチャクラを開く)座位になるまでゆっくり腰骨を回していく。

先生が使うイメージは詩的なだけではなく、解剖学的にも正しいのです。前屈で最初に働く筋肉は、胴体の前に走る腹直筋です。心臓の真下、肋骨から始まり恥骨に繋がっているこれらの筋肉は、文字通りハートチャクラから前に引っ張る解剖学的な糸なのです。

胴体を引くため使われる2番めの筋肉は、骨盤から脚の前に走る腸腰筋です。胴体と脚を繋ぎ、腿の前にある四頭筋、脛骨の横にある筋肉まで繋がります。

パスチモッターナサナでは、身体の前面、心臓からつま先の走る筋肉が主動筋となります。前に行くために収縮する筋肉です。胴体や脚の背面にある筋肉は、反対(あるいは補完的な)の働きをし、前に行く前に伸びて解放されなければなりません。

さあ、前にストレッチしてポーズに完全に収まりました。最大のストレッチから少し戻って深く安定した呼吸をします。心は、身体からの微細な(もしかすると微細ではないかも)メッセージに集中します。ハムストリングスの心地よいストレッチを感じます。骨盤は前傾し、脊柱は伸び、各椎骨の間の空間が優しく広がったのを感じます。

それ以上あなたを無理させないよう、そして自分のペースでポーズを深めていけるように、インストラクターは今は黙っています。だんだんポーズが馴染んできて快適になってきます。おそらく、数分間パスチモッターナサナを行ううちに永遠に穏やかな彫像のような気分になるかもしれません。

このような練習では、ポーズを長くとって結合組織の可塑性に働きかけます。こうした長いストレッチは、筋肉を包んでいる筋膜の質を健康的で安定したものへと変化させます。理学療法士でアイアンガーヨガのインストラクターであるジュリー・グドメスタッドは、オレゴン州ポートランドの彼女のクリニックでこうした長いアサナを患者に使います。「短い時間なら気持ちの良い開放感を感じるわ。でも必ずしも柔軟性を永久的に向上させる構造的な変化が得られるわけではないの」

グドメスタッドによれば、結合組織の「基質」を永久的に変化させるには、90〜120秒のストレッチが必要だと言います。基質とは、コラーゲンやエラスチンなどのある繊維質の結合組織がある非繊維質でジェルのような物質です。基質は、結合組織を安定させて潤滑させます。また、この物質の制限が、特に年齢を重ねると柔軟性を制限すると考えられています。

彼女は、正しいポーズのアライメントと補助具を使い、患者が長期間の変化が作れるような長いアサナをリラックスして行えるようにしています。「痛みがないようにしています。そうすれば呼吸ができて長くストレッチができるからです」

Credit: Yoga Journal



次回に続きます。

(出展)https://www.yogajournal.com/practice/what-science-can-teach-us-about-flexibility

2017年8月3日木曜日

ホットで厄介:ホットヨガの嘘と歴史と科学 
Hot and Bothered: The Hype, History, and Science of Hot Yoga

ホットヨガのスタジオが、何年か前から駅前に多く見られるようになってきています。ヨガといえばホットヨガを連想する方も増えてきたようです。そんな中、ホットヨガに関する個人的な体験と感覚、そしてセラピーとしてのヨガを伝えている人間の一人としての思いがなかなか周りに伝わらないことがあり、もどかしく感じることがあります。
今回の記事は、歴史から科学的なアプローチを含めてホットヨガを洞察したものです。
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暖房したスタジオで行うヨガが初めて行われたのは、1970年代の日本に遡る。ビクラム・チョードリーが日本で教えていた頃、彼の生徒たちがお昼の休憩にサウナに入っているのに興味を持った。そして、彼のヨガ・ルームで温めたクラスを試し始めた。

当初ビクラムは、彼の故郷であるインドのカルカッタの温度に似せて、約28℃に温度を設定していた。クラスの生徒たちは、温度を上げると汗をかいてもっと頑張り、汗をたくさんかくと良い運動をしたと考えることに彼は気づいた。そしてもう少し温度を上げた。そしてもっと。今日のビクラムヨガは40℃に上げた部屋で行われている。
1980年代のホットヨガ・ブームはハリウッドで始まり、その頃ビクラムは裕福な有名人たちのためのヨギだった。性的虐待を申し立てられるまで、ビクラムと彼の類を見ないヨガブランドは大人気だった。今や、ホットヨガの実践者たちは、その輝きをあっという間に失くしてしまった大胆なグルと距離をおきながら、大好きなその練習を続けられる方法を探している。

ビクラム以前にヨガクラスを暖房した部屋で行ったという記録はないが、変化のある癒しの環境を作るために熱を利用した例は数多く存在する。実際、アーユルヴェーダでは、一般の健康維持や風邪の治療のため、スチーム・バスで発汗させる。
マヤのテマスカルからトルコ風呂やフィンランドのサウナまで、健康や変化のために汗をかくことは、世界のほとんどの文化に共通していることだ。世界中の発汗の習慣と比較してホットヨガが興味深いのは、伝統的な知識が伴わないということ。ナルシスト的な傾向のある競泳水着を着た億万長者以外には、ホットヨガを始めた権威はいない。


ホットヨガの始まりとは?


裸でドレッドヘアのヒンズーの賢者(霊的探求を求めて全ての世俗的関係を放棄した人)が、火のついた牛の糞の山の真ん中に座っている。インドの日中の太陽はとても強く、「狂った犬か英国人」以外は日陰へと逃げ込むほどだ。しかし、このヨギは火に囲まれ太陽の熱の下に座っている。熱と煙は、パンチャグニ・タパスと呼ばれる苦行のひとつである。火へ供物をし、マントラを繰り返し、瞑想の修行を行う儀式である。

現代のホットヨガの原型を探るとすれば、このパンチャグニ・タパスがそうだと思われる。熱は決意を試すものであり、意志の力を増大すると言われている。ホットヨガの始まりは、苦しみを故意の不快を通して超越することを目指した苦行だったのだ。

パンチャグニ・タパスは、アサグニ・ホトラ(火の捧げ物)と知られるインドではありふれた極端な例のひとつだ。火の捧げ物は普通、マントラを唱え火の番を儀式的に行うヴェーダの司祭らとともに日の出と日の入りに行われる。
パンチャグニ・タパスのような激しい苦行は、今日のインドでは一般的には批判されている。アート・オブ・リビングの創設者、シュリ・シュリ・ラヴィ・シャンカールの言葉を借りれば「体をこのように痛めつけるのは間違っており、行うべきではない」

一般的でもなく広く行われてもいないにも関わらず、苦行はヨガの歴史の中では大変よく見られる。ヨギといえば、釘のベッドに寝たり、長時間立ち続けたり、生き埋めにされたり、性器を木の棒に巻き付けたりさえすることで長く知られてきた。とても風変わりに聞こえるかもしれないが、これらの苦行は全て一つの目的のためにある。意志力を強め、快適で楽な人生に向かいがちな傾向に打ち勝つためだ。
初心者はこうした苦行は行わない。苦行は、とても儀式的で管理された環境で行われる。ガンジス川の岸辺にいるドレッドヘアの賢者のところへ行って、ちょっと性器の巻き方を教わる、ということなどできないのだ。修行者の文化に長い間たっぷり浸かって初めて、誰かが高度な苦行を教えても良いと考えてくれるようになるのだ。

一方、ホットヨガは、潤った人なら誰でも1時間15ドルで行うことができる。この伝統を持たないということが、派閥的実践者ら(一定の派や系統の中で実践する人たち)からはヨガの雑種だと見られることがある。しかし、伝統の境界を取り除くことで、ヨガはより民主的で、より接しやすい、またより革新を受け入れるものへと変化してきた。しかしホットヨガの恩恵には代償が必要だった。


伝統的な知恵のない儀式


2009年、アリゾナ州セドナで行われた「スピリチュアル・ウォリアー(戦士)」リトリートに参加した2人が死亡した。彼らは二日間の断食を行なった後、ニューエージのグルでありモチベーション・スピーカーのジェームス・アーサー・レイが経営する発汗ロッジに入った。他の18人は入院した。深刻な脱水状態に陥った参加者らは、発汗ロッジの中でより善く強い人間になるために限界を超えろと指示されていた。

レイは、過失致死に問われ二年間を刑務所で過ごした。出所後、彼は自己啓発の協会に戻り、現在はセミナーを行ったり講演をしたりしている。

この話は、スピリチュアルな発見の海にいる船乗りたちにこう注意喚起している。文化的な裏付けや指針のない激しい修養は健康を害する危険を伴う。(発汗ロッジと同じ)ホットヨガの明らかな危険性は、熱性疲労である。エクササイズによる内部で作られた熱と外部で作られた部屋の熱の組み合わせが、めまいや吐き気を引き起こし、幻覚、失神にいたることもある。


暑い部屋で指導するヨガ・ティーチャーは、熱性疲労に関する症状を意識するべきだが、より重要なのは生徒がいつでも快適な、必要な時は暑さを取り除ける環境を作ることだ。高体温の症状があるのにも関わらず、競争心や順応したいというプレッシャーから生徒が部屋から出ないことがよくある。これは、何よりもスタジオの総体的な「雰囲気」のせいなのだが、これこそが親しみのあるくつろいだ場所でヨガを行う理由でもある。


ホットヨガの嘘を暴く


インターネットで最新の科学研究を閲覧できる人間なら誰でも戸惑うのだが、ホットヨガの支持者は体を「デトックス」する効果があるといつまでも主張し続けている。ビクラムヨガ(世界一のホットヨガのフランチャイズ)のオフィシャルサイトでは、「汗をかくと不純物が皮膚を通して身体の外に排出されます」と掲げている。モクシャヨガ(カナダのホットヨガのフランチャイズ)のオフィシャルサイトは汗をかくことが「体を無毒化する」と主張している。

水、塩、マグネシウムを毒だと考えなければ、汗が体から不純物を排出するという根拠は全くない。体は浄化に関しては素晴らしいシステムを持っている。腎臓、肝臓、そして(少しだが)腸である。発汗は浄化システムではない。冷却システムだ。

ホットヨガに効果が全くないと言っているわけではない。高い温度に晒されると血流がよくなり筋肉が弛緩することがわかっている。ホットヨガは、温かいお風呂が素晴らしいのと同じ理由で素晴らしいのだ。どちらも気持ちがよくなる。

ホットヨガに関することで、現在研究中であるまだ未知の領域もある。ダーマシジンと呼ばれる自然の抗生物質が汗に含まれているとわかっている。ダーマシジンは現在、結核やMRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)のような強い超細菌に対する治療法として研究中だ。

ダーマシジンが最もよく働くのは、汗がすぐに蒸発せず皮膚の表面にとどまっているときだ。これは、昔のハタヨガでは、練習中は汗を拭かずに肌に擦り付けておいた方が良いと言われてきたことを裏付ける。

また、高温にさらされると、体内のリンパ液の流れが良くなることもわかっている。これが、リンパ節を手術で取った者にホットヨガを勧められない理由である。濾過するリンパ節がないと、リンパ液流の上昇が四肢の不快な腫れ(リンパ浮腫)に繋がる。しかし、通常ではリンパ液流の上昇は免疫系を助け、体の修復や治癒を高める。

おそらく、ホットヨガ科学の中で最も興味深いのが、温熱コンディショニング(熱の中でエクササイズする)と呼ばれるものだろう。温熱コンディショニングの研究は、生物医学研究者であるローンダ・パトリック博士によって進められていて、暑い部屋を使って暑さに慣れることは、耐性と筋肉の両方を増強すると証明されている。そしてその結果は、温熱コンディショニングが成長ホルモンと熱ショック蛋白の生成を高めることを示唆している。筋肉の成長と修復を強化するのだ。また、パトリック博士は、この熱への順応が「ランナーズハイ」と知られるものを作り出すと主張する。よいホットヨガのクラスでは、愛好者たちは特別なヨガの幸福感を感じるだろう。


ホットヨガの未来


ホットヨガには、系統も伝統的な管理者もいないため、その実践者らが未来を決めることになる。ホットヨガが、その深い瞑想的苦行へと戻る可能性もある。また、ビクラム・チョードリーの立ち上げた方向へ進み続けるかもしれない。聖なる場所というよりはジムのような場所で、自らの内面へ向かわずワークアウトのような実践をし続けるかもしれない。

最終的には、ホットヨガの未来はヨガ全体の未来に関係してくる。この100年間にヨガはより一般的になった。公の目から遠く隠された秘密の伝統だったものが世界中で広く知られ行われるようになった。この、一つの権威から分断することは危険性を孕んでいる(セドナの死亡事件など)。しかし、たった一つの権威というのも危険である(無節操なグルたちの手による虐待など)。

ヨギたちのごとく、我々も自らのカルマを作っている。もっと極端で苦しく、過激な形のヨガを探しているとしたら、きっとそれを見つけることだろう。そしてそれは危険を伴うものだ。賢明で持続可能であり、健康な何かを探すなら、ホットヨガの未来はきっと安泰なはずだ。






2017年7月29日土曜日

更年期、その兆候とアーユルヴェーダ自然療法 Vol.2 
Menopause Age, Signs Of Menopause, Natural Menopause Treatments

ホット・フラッシュと寝汗


更年期に起こりうることを知っていたとしても、初めてのホットフラッシュには驚くことでしょう。更年期の約85%にのぼる女性がホットフラッシュを経験しており、数年続きます。ほとんど起こらず少し面倒だと感じるだけの人もいます。それ以外の人にとっては、ホットフラッシュは毎日のように起こり何年も続くのです。


ホットフラッシュが起こる原因


よく起こることにも関わらず、これはまだ医学的に解明されていません。現在の理論では、エストロゲンの減少により引き起こされ、体温の上昇だと視床下部が勘違いしていると考えられています。そして恒常性保持のため表面の血管を拡張させて汗が出るのです。もし本当にオーバーヒートしているのなら、これは適切な反応です。オーバーヒートしていないのなら、余分な熱が体内を巡り、ホットフラッシュとなるのです。

エストロゲンの減少に身体が慣れると、大抵は回数も強度も低下して来ます。閉経前にはエストロゲンのレベルが上下し、これが「エストロゲン不足」の状態を起こして何度もホットフラッシュが起こるのです。


寝汗


閉経期に起こる寝汗も、同じ原因ががあります。

閉経期の女性が朝起きるとパジャマや寝具が汗だくということがあります。寝汗は睡眠を妨げ、不安を引き起こし、ホットフラッシュや寝汗の原因ともなってしまいます。この悪循環は、米国や他の先進国の更年期女性のかなり高い割合で起こっています。興味深いことに、ホットフラッシュや寝汗は世界中の閉経期の誰もが経験することではないのです。こうした症状に悩む女性のいる場所で何が起こっているのかを詳しく見る前に、その原因を探りそれらを取り除くことから始めましょう。


アーユルヴェーダの観点


アーユルヴェーダの観点から見れば、ドーシャの体内のアグニのバランスが崩れることでこうした症状が起こると考えられています。閉経期へ移ることは、人生のヴァータの時期に入ることなのです。ホットフラッシュや寝汗は、この信号が誤解されているというサインで、大抵はヴァータドーシャによって起こります。しかし、通常は熱に関連するピッタは現れません。ピッタのバランスが崩れると熱くなったらそのまま熱い状態に止まります。ピッタが組織の深いところに保持されている女性もいますが、ホットフラッシュの症状は、保持された熱というよりヴァータに原因があることが多いのです。


肝臓


アグニは、消化の火と呼ばれますが、ここでは、消化器官の火と代謝の火のある場所である肝臓の両方をさします。消化器官のアグニが変動すると食物を消化するのが困難になりアーマが形成されます。アーマは不完全あるいは不適切な消化の有毒の副産物のことを言います。うまく対応する言葉がないのですが、アーマは通常、不規則なホルモン分泌や体内の組織、内臓、体系の損傷を起こす原因となります。

このアーマは、消化器官から肝臓へと食物の栄養とともに運ばれていきます。肝臓の体内での役割はとてもたくさんありますが、アーマを取り除くのもそのひとつです。肝臓は5つのアグニのある場所で、それらが摂取した食物を身体が使える形に変えることです。

アーマが消化管内に形成されるとそれが肝臓に運ばれ、肝臓が持つ無数の働きをする能力を弱めることになります。それによってアーマは血流に入り、最終的には身体中の組織や細胞へとたどり着くのです。細胞レベルでは、身体が内臓のホルモンに対し適切に対応する働きをアーマが弱めるのです。

ホルモンバランスが崩れる時、それはアーマが細胞の受容体をブロックしていることが原因である高い可能性があります。この場合、肝臓を見てみましょう。肝臓を健康に保つには消化器系が健康でなければなりません。この点では、アーユルヴェーダではシンプルなのですが簡単なことではありません。「食事と生活習慣を変えれば、やがて体内のアーマが全て取り除かれる」と言うのは簡単ですが、行うことは容易ではないのです。


消化が更年期障害に与える影響


消化管、肺、皮膚から体内に入ったものは、肝臓を通らなければなりません。しかし、もしそれらが不純物だったり、質の低いものだったり、あるいは量が多すぎると、肝臓は疲れてしまいます。外因性エストロゲンや化学物質など身体がエストロゲンと間違って反応してしまうものを多く含んだ食物は、より深刻な症状を起こします。

消化器官は何を、いつ、どのように食べたかに影響されます。食べたものが新鮮で、オーガニック、旬のものであれば、それらを質の良い組織へと変換することができるでしょう。使ったエネルギーに応じて、アグニが最も強い日中に食べることで、アーマの形成を少なくすることができます、穏やかな気持ちで意識を持って食事をすると、身体が食べ物を完全に消化するのを助けてくれます。

なぜ、米国のこんなにも多くの女性が更年期障害に悩まされているかわかるでしょう。ストレスもまた消化を妨げます。新鮮でオーガニックのものを食べていないかもしれません。季節外れのものを食べるために輸入された食品を食べる贅沢をしているかもしれません。多くの食物が売られていますが、大抵はそんなに体を動かしてはいません。片手に電話、または近くの画面を見つめながらなど、「ながら食べ」をしていることも多いでしょう。

更年期障害に対抗するために、消化の火のバランスを整え、効率的に毒素を排出できるよう肝臓をいたわり、血液やリンパに流れるアーマを取り除きましょう。簡単なことではありませんが、不可能ではありません。


更年期障害のための食事法


次は、食べるべきものとバランスを崩す避けるべきものを見ていきましょう。外因性エストロゲンは有機でないフルーツや野菜、肉や乳製品に含まれることがあります。有機のものを購入することは、農薬や除草剤、防カビ剤などのホルモンバランスを乱しうる物質に触れる機会を少なくする良い方法です。

使ったエネルギー量に応じて食べましょう。余分な食物を脂肪に変えるのを抑えるため、1日で消化できる分量だけを摂ります。脂肪細胞はエストロゲンを作るため、エストロゲン・バランスの乱れが長く続き、それが症状に現れます。つまり、たくさん体を動かした日はたくさん食べ、あまり体を動かしていない日は少なめに食べるということです。エストロゲンによる代謝促進がなくなるため、閉経期には多くの場合、規則的に月経がある時よりも消費カロリーが500カロリー少なくなります。つまり、閉経期の女性は500カロリー少なめに摂取するべきだということです。これだけでも、肝臓の負担を長期に渡って減らすことができます。


肝機能をサポートする療法


気づきを持って食事をすることが、身体が食べ物を完全に消化するのを助けます。アーユルヴェーダでは、健康的な食事のための多くの指針が存在しますが、それは全て、食事の間、自己に気づき今を感じるということにつきます。そうすることで、自然と食べ過ぎなくなり、消化の火を保つことができるのです。

肝臓をサポートするために、何をどのように「与えているか」に注目しましょう。オーガニックで自然なものを肌につけ、肝臓が取り除かなくてはならない化学物質を体内から排除しましょう。上記のように食べれば、肝臓を使いすぎることはありません。他に肝臓をサポートする方法は、日中は十分な水分を摂り、アルコールやコーヒー、砂糖の入った飲み物など熱をあげる酸性の飲み物は避けましょう。メインの食事を昼間にとり、日が沈んだら食べないようにします。そうすれば、就寝するまでの間、食べたものが消化される十分な時間ができます。夜は「肝臓の時間」と考えて、安心して肝臓が働けるよう、夜には肝臓に新たな負荷をかけないようにしましょう。

肝機能をもっと高めるには、寝る前にターメリックを入れたアロエベラ・ジェルを摂ります。おおさじ約2杯のアロエベラ・ジェルに大さじ1/4のターメリックと200〜250ccの水を加えます。これが、肝臓の熱をとるので、ホットフラッシュを鎮める効果がある場合があります。

アーマを血液やリンパから取り除くには、汗をかく必要があります。毎日、水を飲みながらのエクササイズを増やし、身体が毒素を排出するのを自然に助けましょう。身体に栄養を与えながら浄化するお茶も良いでしょう。

同量のフェンネル、クミン、カルダモン、コリアンダーシードで淹れたお茶が浄化を助けます。これらを混ぜたもの大さじ1杯を2カップの水で5分間煮出して冷まします。冷めたら漉して飲みます。血液やリンパのアーマを取り除いてくれます。

健康的な食事やライフスタイルに代わるハーブはありません。シャタヴァリやヴィダリ・カンドはフェトエストロゲンやプロゲステロンを含むので良いとされますが、この場合これら植物がある程度はホルモンバランスを整えてくれます。これらを含んだハーブなど、短期的に症状を緩めてくれるものを試しても良いでしょう。ホットフラッシュが起こりにくくなるかもしれませんが、もし原因が消化と肝臓にあると気づいたら、直接それらに対処する治療を行ってアーマを取り除く方が良いでしょう。




(出展)https://www.theayurvedaexperience.com/blog/menopause-age-symptoms-signs-treatments/

2017年7月22日土曜日

夏のアーユルヴェーダ 夏の健康習慣をレベルアップ 
Summer Of Ayurveda… Take Your Summer Wellness Regime To The Next Level

この夏、アーユルヴェーダの習慣を試してみましょう。感情や体、精神の完全なクールダウンとシンプルな食事とライフスタイルのヒントから、健康的な生活のための賢明な科学だとわかるでしょう。


バランスを見つけよう


アーユルヴェーダでは、健康とはバランスが取れていることです。人は皆、アーユルヴェーダのドーシャであるヴァータ、ピッタ、カパの3つの組み合わせでできています。バランスが取れていると、これらのドーシャは完全な健康状態になります。バランスが崩れると、症状が現れ始めます。放っておくと、症状は病気へと向かいます。

夏はピッタの季節です。ピッタは、「火」と「水」の元素でできています。ヴァータ(秋)は「風」と「空」、カパ(冬)は「水」と「地」でできています。夏には、太陽の熱が私たちの周りの環境と暖かく乾燥させます。私たちの内側もまた乾いて暖かくなります。では何に気をつければいいのでしょう?


夏の健康トラブル


夏は、発疹、もちろん日焼け、短気、脱水がよく起こります。潰瘍や胸焼けなどの消化に関する問題も起こります。他に消化不良、胃酸逆流、めまいなどがピッタの症状としてあげられます。全体的に、体内の熱であるピッタが増えるのです。感情的には、怒りやイライラ、欲求不満などが起こります。

健康であるために何をするべきでしょう?アーユルヴェーダの体質であるドーシャによって、アーユルヴェーダの食事やライフスタイルを行い、5元素のバランスを取りましょう。


夏のアーユルヴェーダの食事法


体質に関わらず、夏は涼しく保たなければなりません。ピッタを鎮静させる食事をしましょう。ピッタを鎮める冷やす軽食を選び、アルコールは避け、冷やして栄養のある飲み物で水分を取りましょう。消化器官に大問題を起こすスムージーはやめましょう。酸っぱい果物、発酵した飲み物や食物、そして辛い食物は身体をオーバーヒートさせます。

対策や冷やす飲み物としてアロエベラを試してみましょう。また、目のエクササイズをして疲れ目を落ち着かせましょう。

薔薇は夏のよいパートナーです。感情を落ち着かせ、様々な使い方があります。ローズ・ラッシーやローズペタル・ミルク(リンク先は英語です)を作りましょう。トウモロコシやオクラなどの季節の野菜を楽しみ、スイカで体を冷やしましょう。


夏のアーユルヴェーダの肌とボディのケア


鎮静効果のあるアーユルヴェーダのセルフ・マッサージでピッタ・ドーシャを冷やし、昼間の暑い太陽を避けましょう。夜の就寝前には足の裏を冷やすクリームを塗ってみましょう。

髪のケアをしましょう。ハーブを使った洗浄剤を使い、洗いすぎによる乾燥を防ぎましょう。




夏はリラックスと楽しみの季節です。頑張りすぎず、競争を避けてクールでいましょう!






(出展)https://www.theayurvedaexperience.com/blog/summer-ayurveda/

2017年7月19日水曜日

更年期、その兆候とアーユルヴェーダ自然療法 Vol.1 
Menopause Age, Signs Of Menopause, Natural Menopause Treatments, Hot Flashes, Night Sweats

シンガポールに住んでからどうも暑がりになった私ですが、そんな私に「更年期じゃないの?」という友人が多くいました。確かにそんな年齢になってきましたが、この暑がりはおそらく食べ物のせいではないかと思っています。かの南国では、ニンニク、ショウガ、チリを日本とは比べ物にならないほど摂取しますから。かなり辛いものも平気になりました。
とはいうものの、年齢に限らず更年期は誰にでもやってくるもの。知っておいて無駄ではないでしょう。今回は、更年期とアーユルヴェーダについてです。

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更年期っていつ始まる?


人によって異なりますが、女性の更年期は一般的に40代後半から50代半ばに始まります。
閉経は、卵巣機能の「自然な」停止であり、生殖ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンが減ることでわかります。
エストロゲンは、身体の組織の維持を助け、妊娠に向けて毎月身体の準備をします。プロゲステロンは、受精卵の着床のために子宮の準備をし、着床がなければ量が減り月経開始のきっかけを与えます。これがこの生殖ホルモンの働きであり、更年期の症状は月経がなくなるだけであることもあります。


若者指向の私たちの文化では、35歳を超えた女性にとって「更年期」ほど不安になる言葉があるでしょうか?更年期の始まりは恐ろしくできる限り遅らせたいものです。生体時計が時を刻み、更年期というアラームが鳴るのです。
自然に寄り添って生きていれば、この変化を恐れることはありません。年齢を重ねることに向き合う、人生のこの時期を喜んで受け入れるという能力を私たちは備えているからです。


40代、50代の女性にとって、更年期は究極の自由ととらえられるでしょう。出産を終え、子育て以外のプロジェクトに集中し、自分の時間を満足いくように自分のために使えるのです。


閉経とは?


閉経とは、卵巣の成長可能な卵子がなくなることで月経が自然に止まることです。卵巣は、その誘因ホルモンに反応しなくなり、エストロゲンとプロゲステロンが減少します。閉経すると出産はできなくなり、月経もなくなります。しかし、生理のある間にきちんとケアをしておけば、閉経による変化はそれだけなのです。

そのあたりの年齢になれば、そろそろ更年期かなと思うでしょう。更年期とは、大抵の場合、閉経の前後約4年くらいで、更年期の特徴的な症状を経験することがあります。閉経時は、卵子のエストロゲン生成が止まります。更年期になると、卵子がホルモンに反応しにくくなり、これが月経前後のあらゆる症状を起こします。月経が不規則になることが普通で、月経が少なかったり長期間だったりもします。月の周期に顕著な変化を感じないで更年期を終える人は、女性のたった1割以下なのです。

これらの生理学的な原因は、もちろんホルモンです。毎月剥がれ落ちる子宮内膜は、排卵前にはエストロゲン、排卵後にはプロゲステロンに応えて作られます。出産年齢の女性では、濾胞細胞が毎月周期的にこれらのホルモンを作ります。更年期には、この周期が乱れるのです。

不規則な月経で、卵巣が不規則に反応します。排卵が起これば月経があります。卵巣が脳下垂体ホルモンに反応しなくなれば、排卵もなく月経も起こりません。


更年期のサイン:不規則な月経


月経が減るのは、プロゲステロンの生成が減少するからです。プロゲステロンがあれば子宮内膜が厚くなり、なくなれば月経がはじまります。プロゲステロンのレベルが下がれば、内膜の生成が少しになり、よって量が減ります。

ある程度月経が長くなるのは、月経が不規則になるせいです。周期が乱れて排卵が行われないと、エストロゲンのせいで子宮内膜が作り続けられます。やがて卵胞が脳下垂体ホルモンに反応してその周期に達すると、次の月経はそれまで作り続けられていた内膜をはがすことになり、疲れを感じるほど長い月経になってしまうのです。

こうしたホルモン変化は自然であり、こうした生殖ホルモンの変化に対して身体がどのように調整していくか、食事や生活スタイルによって助けることができます。

アーユルヴェーダによれば、閉経は「ヴァータ」ドーシャが悪化する時期です。組織の不規則で不完全な生成は、ヴァータが関係している確かなサインです。月経の長期化はより「ピッタ」や「カパ」に表面上は関連しているように見えますが、不定期性の原因要素は、ヴァータです。

つまり、更年期の症状を管理するには、ヴァータ・ドーシャを管理することが不可欠だということです。ストレス、栄養不足、カフェインは、不規則な月経の3つの引き金であり、食事やライフスタイルで対応可能なのです。アーユルヴェーダ的なライフスタイルで、規則正しく適切なセルフケアを行っていれば、更年期の影響を小さくすることができます。毎日のエクササイズや自然に身を置くこと、そして瞑想は、よりよい食事を選ぶ土台とのあります。よい食物と健康的な食べ方で、栄養不足は解消できます。自然に身を置き、エクササイズをし、プラナヤマを実践すると、一日中刺激物を必要としなくなります。

有名なアーユルヴェーダのことわざがあります。「間違った食事をしていれば、薬は役に立たない。正しい食事は、薬を必要としない」食事と生活スタイルをちょっと変えることで、身体の他の部分のバランスを取るためにエストロゲンへの依存を転換することができます。これによってエストロゲンが急に減少することでおこる症状の重症度が下がります。

症状がもっと深刻な健康問題だと思われる場合は、必ず医師に相談してください。


更年期とアーユルヴェーダ


アーユルヴェーダはインドの古代からの自然療法で、ヨガとは姉妹関係にあります。アーユルヴェーダ理論によれば、私たちと周り全てが5要素(空、風、火、水、地)から成り、身体と精神の原理としての3つのドーシャとして表れています。これら5元素やドーシャが、多すぎたり少なかったりバランスが崩れると、病気になります。

異なるドーシャ

あなたの中には「ヴァータ」「ピッタ」「カパ」ドーシャの組み合わせがあります。みんながそれぞれ、異なる比率でこれらを持っているのです。
  1. ヴァータは、風と空から成る。動き、創造、敏捷
  2. ピッタは、火と水から成る。知性、代謝、体温
  3. カパは、水と地から成る。身体の構造、癒着、愛、共感、堅実
アーユルヴェーダは、人生の各段階におけるドーシャの影響を示しています。それはどういう意味でしょうか?

幼少期、また成人早期は、カパ・ドーシャと呼ぶものに特徴づけられています。例えば、成長はカパの特徴です。成人期は、生産性などのピッタの性質に大きな影響を受けます。年配になれば、縮小などのヴァータの性質に影響されます。

各段階の後半は、次の段階のエネルギーが集められます。これは、成人早期にすべての人の身体と心に、ピッタ体質でなくても、ピッタが増えることを意味します。思春期のピッタ的反抗にこれを見ることができます。

女性が年を重ねると、30代から40代にはヴァータが蓄積され始めます。身体はまだピッタの段階で活発に生産的で、出産に対する十分な能力もありますが、ヴァータが少しずつやってきます。代謝の変化やエネルギーの変動などで身体の微細な変化を感じるはずです。

この微細なヴァータ増加の嵐に対応すれば、身体や精神、感情に大惨事を起こす前にヴァータを鎮静できます。これができれば、激変ではなく、自然な変化として更年期を過ごすことができるでしょう。

一日を過ごす間に、食事や睡眠、エネルギーなどの習慣を通して、ヴァータを鎮めましょう。


アーユルヴェーダの自然の更年期治療:食事、睡眠、エネルギー


他のアーユルヴェーダのアドバイスと何ら変わらないように見えるかもしれません。これらの基本に沿って過ごしていれば、ヴァータの蓄積を遅らせることは事実です。ヴァータを調整すると、否定的になるほどの鋭く圧倒的な変化ではなく、適応が可能な自然で緩やかな変化になります。思春期につける魔法の薬がないように、更年期を準備するための魔法の薬はありません。何がやってくるのか、その変化に準備する身体を作っていくと、無理なくその変化に乗れるでしょう。

以下の食事、睡眠、エネルギーの提案は、日常生活を良い影響を与える賢明なヒントです。


食事

  • 食事には特に気を付けて。未加工で新鮮、オーガニックのものを摂りましょう。
  • エストロゲン優勢になるものを含む可能性があるので、加工品やオーガニックでないものはやめましょう。
  • プラスチック容器に入った食物や飲み物を避けましょう。プラスチックはエストロゲンを模倣し正常なホルモンバランスを妨げます。
  • 意識して食事しましょう。
  • 食事を味わい、自らに栄養を与える時間を持てることを味わいましょう。これによって得られる栄養は高まり、神経が鎮静します。
  • 身体の声を聞きましょう。
  • 空腹時のみ食べ、空腹感がなくなれば食べ終わりましょう。アーユルヴェーダでは、満腹の75%を薦めています。
  • 代謝は少しずつ変化します。以前の食事量が必要以上の量になっている兆候を見逃さず、それに沿って調整しましょう。
  • 水をたっぷりとりましょう。
  • 朝、約400ml程度の白湯を飲みましょう。レモンを少し入れてもいいでしょう
  • 日中は水を少しずつ飲みましょう。
  • 湿り気のある食物を摂り、食事の時は少量のぬるま湯かお茶だけを飲むようにしましょう。


睡眠

  • 十分な睡眠を取りましょう。
  • 十分な夜の睡眠をとるため早寝をしましょう。
  • 眠りにつく時や眠り続けたい時にメラトニンのサポートを受けられるよう、少なくとも一時間前には電子機器の使用を止めましょう。
  • 寝室は暗く静かで快適にしましょう。安らかな睡眠が取れます。
  • コーヒーや砂糖などの刺激物、アルコールなどの鎮静剤を摂らないようにしましょう。
  • できれば戸外で、日中何らかのエクササイズを行いましょう。
  • 睡眠障害がある場合は、睡眠時間を取り戻すために瞑想誘導やヨガニードラのCDを聞きましょう。

エネルギー

  • エネルギーを温存しましょう。
  • 活動的な時は、食べたものからエネルギーを引き出します。そのエネルギーがなくなれば、蓄えたエネルギーを使います。疲れを感じる時は、そうしたエネルギー源が枯渇しています。エネルギーを使い続けると、アーユルヴェーダで言う生命力の蓄えであるオージャスが枯渇します。
  • エネルギーをどのように使うかを気にかけて、常に使うより少し多いエネルギーを蓄えるようにしましょう。蓄えたエネルギーでできることだけを行います。疲れたらやめましょう。日々を過ごすのに何らかの刺激物が必要なら、あなたの生命力の蓄えは枯渇します。
  • 日課を作りましょう。浄化、ストレッチ、呼吸、瞑想など効果的な日課で一日を始めましょう。
  • 気をつけましょう。日中の活動と休息のバランスを取りましょう。エクササイズを取り入れましょう。疲れて休息をとり、刺激よりも滋養をとっている時を意識しましょう。午後、エネルギーがなくなっているのを感じたら、短い散歩をして深呼吸しましょう。果物やナッツなど栄養の高い食物を摂りましょう。



次回に続きます・・・

(出典)https://www.theayurvedaexperience.com/blog/menopause-age-symptoms-signs-treatments/

2017年7月11日火曜日

<日記>ガムランでヨガ 

インドネシア、ジャワ島はジョグジャカルタ出身のガムラン奏者、
そしてワヤンクリの演者である茨木在住ユニット、Hanajoss さんと
ヨガとガムランのコラボイベントを行いました。
浄土真宗のお寺の会館をお借りしてのイベントです。

普段、週末のクラスは行っていないのですが、
お仕事の都合で週末しか参加できない方や、遠方の方など
初めましての方から、馴染みの顔まで多くの方にお集まりいただきました。

不眠症に悩まれている方、腰椎のすべり症と診断された方、
生理不順だったり、過敏性腸症候群だったり、
糖尿で高血圧、はたまたリウマチの持病をお持ちだとか。
全くの健康体!という方は逆に珍しいのかもしれません。

当日は、ガムランに合わせてマントラを唱えて心を落ち着けた後
プラナヤマで呼吸と気を整えて、少しずつ身体を緩めていきました。
緊張と弛緩を繰り返し行い、そのたびにリラックスが深まっていきます。
この方法は、シンガポールのインド人ドクターのもとで私が習得してきたもので、
実際に、様々な症状の方がその効果を感じられているのを目の当たりにしてきました。

また、ガムラン楽器の金属の周波数は脳をリラックスさせる効果があるそうです。
Hanajoss さんは、他に弦楽器と唄、シンギングボウルに、蛙や牛の声が出る楽器まで駆使されて、それはそれは素敵な温かいのんびりとした空間を作り出してくださいました。
インストラクションをしている私までもがどんどん心地よくなってくる感覚。

瞑想に近い形のヨガとガムランの音、相乗効果が間違いなくあったのでしょう。
すっかり寝てしまった方もいらっしゃいました。



約1時間はあっという間に過ぎてしまいました。
最後のSavasanaの後、「起き上がって一緒にマントラを唱えてもいいし、そのまま寝転がっていても結構です」と言ったところ、下のような状態となり・・・(笑)



静かに Closing Prayer を独唱した後、ガムランの音色にしばし耳を傾けました。
そもそも現地のガムランは、戸外や半戸外で行われ
寝たり食べたりお喋りしたりと、のーーーーんびりと聞くものだそうです。

普段のクラスでは、ポットにハーブティーを作っていって皆さんと一緒にティータイムをするのですが、当日は時間がなかったので
お土産にネパールのお茶とカルダモンをおすそ分けしました。




翌日、不眠症の方から昨夜はよく眠れたと感謝のメールをいただきました。
お金とか人気とか有名になるとかじゃなく、こんなことが本当に嬉しいと思うのです。
一人でも多く、悩みを解決したり楽しく平和に暮らすための、ちょっとしたお手伝いができればいいなと思うのです。

そしてこんな機会をもてたことに感謝です。
会場を貸していただいた方、演奏してくださったHanajossさん、
こういうヨガのありかたを教えてくれた先生がた、
好きなことを勝手にやらせてくれている家族に、
そして何よりお越しいただいた方々に。


2017年7月4日火曜日

ヨガとエネルギー 
Yoga and Energy

物理学者にとって、エネルギーとは運動の容量だ。運動とは、与えられた力によって物体が動くことのできる距離だと数学的には定義される。
とても退屈な定義だ。ヨガにおいてエネルギーはどのように働くのか、というのはずっと興味深いものだ。何に使われ、それをするためにどうやって得るのだろう?

さて、ヨガの視点から見たエネルギーを理解する簡単な方法は、「エネルギー 2-3-4」と覚えればいい。


エネルギーに関してヨガを通してできる2つのこと


ヨガの実践により得られる生理学的な効果は、エネルギー的に次の2つだと言える。
  1. スイッチを入れる
  2. 詰まりをとって流す
庭のホースに例えるといい。美しい森のアシュラムにヨガと瞑想のリトリートに一年間行ったとしよう。家に帰ってきたら庭はぼうぼうだ。注意して枯草を刈り、1年間庭に放ったらかしだったホースで芝に水をやる。蛇口をひねるが水は出ない。ホースに泥や虫が詰まっているのだ。そこで、君はホースにちょっとしたヨガをさせる。詰まりが取れて水が流れるまで、曲げたり捻ったりするのだ。
エネルギーを使うためには、繋がっている必要がある。ホースは、川岸のごとく水の流れに繋がっている。電線は電気の流れにつながっている。そして、身体もまた多くのものと繋がっている。電気的エネルギーのための神経、科学的エネルギーのための血管が存在するが、もっと微細な経路(インドのヨギはナディと、中国では経絡と呼ぶ)もある。これらが詰まっている時は、流す必要があるのだ。
これがヨガでやっていることだ。スイッチを入れてエネルギーの流れを刺激する。そして閉塞や障害を取り除いてエネルギーを流す。この閉塞をサンスクリット語では「グランティス」と呼ぶ。幸いなことにヨガはグランティスを打ち砕くことができる。


エネルギーの3つの使い道


ヨガではエネルギーを次の3つの働きに使っている。
  • 運搬
  • 変換
  • 伝達
物質は身体の中である場所から別の場所へと移動する必要がある。これがエネルギーの運搬機能だ。食べ物を摂り、その残余物を排出し、栄養を内臓から血流へと(そして全細胞へ)、または手足を動かしたりと運搬は大変な量のエネルギーを必要とする。

同様にエネルギーを要するのが変換に関する働きだ。身体は、食物の栄養と空気を燃料としてのグルコースに、またはあらゆる組織へと変換する必要がある。全ての細胞は、栄養をタンパク質、酵素、メッセンジャー分子へと変換する小さな工場である。そして変換されたものは必要な場所へと運搬される。

メッセンジャー分子とは、体内の伝達系の一部である。しかし、メッセージを伝達するのには電気信号などのさらに洗練された方法もある。そして伝達に使われるエネルギーは、運搬や変換に使われるものよりはずっと少ない。実際、このエネルギーを「微細」と呼んでいるのだから!

運搬や変換に使うエネルギーを計るのは、基礎代謝という形で見られるので簡単なことだ。熱は、こうしたエネルギー使用の一般的副産物で、身体がどれくらい熱を持っているかも体温計を使えばすぐわかることだ。しかし、伝達に費やされるエネルギーはかなり少ないので感知するのがもっと困難だ。

体内の様々な伝達系が理解がすすんだのは、他のエネルギー使用状況を把握した後だったのは当然である。医学のある新分野が、「細胞内シグナル伝達」というたったひとつの側面に割り当てられている。身体的ストレスや組織への圧迫がどのように伝達されるのかの研究が「メカノバイオロジー」と呼ばれている。「エネルギー療法」と呼ばれる分野もある。これらの医療分野は、細胞がお互いに様々な技術で伝達しあっているということを発見している。電気や化学物質、PHレベル、圧力、触覚、音、光や電磁場などだ。


スイッチを入れる4つの方法


ヨガのアサナで作るストレスや動きは、エネルギーの流れを刺激しその流れの詰まりを減らしたり取り除いたりしている。

動きやストレスは、微小な電流や電磁場を体内に作りだす(圧電気という)。また、メカノトランスダクションというプロセスを通し、筋膜から筋膜内細胞へと加わる身体的ストレスが、そうした細胞を刺激する信号を作り出す。筋膜内では、組織の治癒を助けたり栄養を与えたりするために、または瘢痕組織や癒着を解消するため、成長因子や酵素が活性化する。

スイッチを入れエネルギーの流れを刺激する東洋の4つの方法がこれだ。
  1. 鍼治療
  2. 指圧
  3. 気づきの移動
  4. 呼吸法
私はこれらの方法をサラ・パワーズから教わった。残念ながら、サラも私も生徒に鋭い針を刺すライセンスは持っていないし、ヨガで鍼を使ったりはしない。ほかの3つは間違いなくヨガでも使える。ストレスと圧力は伝達の形だ。ヨガをするときは、伸組織に与える長と圧縮のストレスを両方作り出している。こうした指圧は、細胞が反応する別の信号でもある。「感じているなら、やっていることだ」と言えるのだ。

マインドフルネス瞑想である気づきの移動は、ヨガの練習でよく行われるが、これの体への影響も測定できる。自分でやってみるとよい。1分間、手の親指の先に意識を集中する。1分後には、親指が感知できるほど温かくなっているだろう。意識は血管を拡張させ、集中した場所に多くのエネルギーを送るのだ。

呼吸は言わずもがな命である。しなければすぐに死んでしまう!古代の言語では呼吸は命と空気の両方の意味を持っている。ラテン語の Spiritusin は魂と息の意味であり、プラナも同様に生命力と呼吸という意味を持つ。呼吸は、酸素を送るだけでなく(細胞が燃料を燃やしエネルギーを放出するため)、呼吸自身が刺激となる。ゆっくりとした安定した呼吸を一定の場所に意識をもって行うと、そこのエネルギーの流れを強化することができる。もちろん、身体中に肺があるわけではないが、身体全体に張り巡らされた筋膜のネットワークがある。一呼吸一呼吸がそのネットワークにストレスを与え、集中していれば、それぞれのポーズの中でそのストレスをその場所に感じることができるのだ。


(出典)https://yogainternational.com/topic/practice