2021年4月26日月曜日

初心者のためのムーラ・バンダ(ルート・ロック) 
A Beginner’s Guide to Mula Bandha (Root Lock)

前回は、骨盤底筋についてでしたが、今回は伝統的なヨガにおけるバンダのひとつとしての観点を探った記事をみていきます。

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ムーラ・バンダ(ルート・ロック)は、重要なヨガの実践であるが、大抵の場合ヨガの教本の後ろの方に押しのけられている。サンスクリット語の「ムーラ」の意味は植物や木の根のことである。英語において「ルート Root」はまた、物体の足や土台、ものの出どころ(問題の原因など)といった意味もある、ここでは、「ムーラ」は胴部の基部、つまり会陰を表し、脊椎に沿って存在するエネルギーの中核で最も低いムーラダーラ・チャクラと深い関係がある。


「バンダ」という言葉には多くの意味があり、矛盾したものもある。例えば、この言葉はこれまで「束縛する、遮断する、抑制する、妨害する、制止する、固定する」などと訳されてきた。この意味において、バンダは川を堰き止めるものと描写される。しかしまた、「結合する、接続する、合わせる、統合する、組み合わせる、連結する」などとも解釈される。この意味では、バンダは川にかかる橋である。これらの異なった意味をどのようにとらえればいいのだろうか?ムーラ・バンダの実践を詳しく調べれば、おそらく答えそのものが自ら姿を表すはずである。




ヨギがムーラ・バンダを練習する訳


ムーラ・バンダは、安定と鎮静をもたらす。また集中のエネルギーを高める。


ムーラ・バンダは、プラナヤマや瞑想のどちらでも行われ、呼吸法が終了し瞑想が始まる時の一貫性をもたらす。権威のある「ハタヨガ・プラディピカ(ハタヨガの光)」の著者であるスヴァートマーラーマはこう述べている。「ムーラ・バンダを実践することにより・・・総合的な完成が得られることは疑いの余地がない」これは大変印象的な言及である。しかし、これを真剣に受け止めて良いのか、また、この実践を学ばせるための誇張表現だろうか?では、心身を支えるエネルギーのシステムを見ていこう。それによってスヴァートマーラーマが主張する観点が見えてくるはずだ。


プラナの主軸は脊柱であり、会陰から頭骨の基部へと立ち上がっている。この軸は、シュシュムナと呼ばれるエネルギーの経路(ナディ)の中心だと言われている。イーダとピンガラとして知られる他のエネルギーのふたつの経路は、脊柱にそって基部からそれぞれ左右の鼻腔へと上方に向かって絡み合っていると記述されている。通常では、これらのふたつのナディは、複雑で階層に分かれたエネルギーの経路ネットワークを司っている。どちらかが活性していると、全システムの機能に影響を与える。


ウパニシャッドではプラナを、止まり木に繋がれた鳥のように、イーダピンガラに繋がれていると例えている。枝のあちこちに飛び回って、決して自由を見つけることなく生きている。ヨガの達人たちによれば、イーダとピンガラが無意識に交代することを制止し、このふたつに分かれたエネルギーの流れを統合することができるという。これが文字通りハタヨガの意味である。ヨガとは、(右の息)と(左の息)を結合することである。これらの流れが統合されたとき、プラナは自由になり脊椎の中心の経路を上昇して、頭頂にある究極点サハスララまで達する。このプロセスの最初の段階は、シュシュムナの覚醒だと言われる。この覚醒を得るための練習が完全さをもたらすのだが、それがスヴァートマーラーマがムーラ・バンダを賞賛する理由のひとつである。




3つのバンダ


ヨガの達人たちによれば、エネルギーの外側への流れを制止しシュシュムナの上向きの流れと統合するための3つの実践があるという。胃部のロックであるウッディヤナ・バンダでは、息を吐き腹部を脊椎に向かって引き込む。これが臍の中心のエネルギーを活性化させる。顎部のロックであるジャランダーラ・バンダでは、顎を喉元に引き下げ、そこにあるイーダとピンガラを通るエネルギーの通常の経路を力で止める。3つ目がムーラ・バンダで、会陰中心で筋肉を強く収縮させる。これらの筋肉収縮は、神経系や循環器系、呼吸器系、内分泌系に影響を与え、特に重要なのは、内的エネルギーのシステムであるプラナに影響することである。


スヴァートマーラーマは、これら3つ全ての実践は秘儀であると主張する。つまり完全な効果を得るためには、正確なヨガの方法で行わなければならず(自身の師により教わる)、ただ身体的に動かすだけではないということを彼は意味している。これらのテクニックに関する完全なサッダーナ(実践のルーチン)は、秘密にしておかなければならず「宝石のように、そして、妻との個人的な関係を他者に話さないのと同じように、誰にでも話すことではない」多くの抗議もあるが、師も生徒も同様に、より高度な実践は、訓練の準備段階を終え精神の指導者との直接的な関係を持った十分な資格をもった志望者のためのものであると彼は忠告している。とはいうものの、ムーラ・バンダの準備段階バージョンは、全ての生徒に適しており、健康とともに自己認識によい効果をもたらす。



簡単な解剖学レッスン


ボウルの形をした腰帯(寛骨)は3つの融合した骨からなっている。腸骨、坐骨そして恥骨だ。骨盤は底面が開いていて(骨盤下口)、そしてこの開口部の基部を会陰と呼ぶ。上から見ると、会陰はダイアモンドの形をしている。尾骶骨(脊椎の基部)はこのダイアモンドの背部にあり、ダイアモンドの前部は、ふたつの恥骨の間の関節である恥骨結合。左右の角は二つの坐骨である。


ムーラ・バンダは、会陰の中央と密接に関連している。男性では、ムーラ・バンダは肛門と性器の間にある会陰体の周囲にある筋肉群を収縮させることで得られる。いくつかの書物では、この部分の下部に軽い圧力をかけることで(巻いた柔らかなソックスや特別に作られたクッションの上に座る)、収縮が刺激される。片方のかかとの上に座って圧力をかける姿勢も記述されている。女性では、ムーラ・バンダは会陰体ではなく子宮頸部のあたりに感じると言われている。男性と同様、会陰中央に柔らかいクッションを置くと刺激されると言われる。


実際的に言えば、意識を会陰の後部、前部、中央すべてに同時に集中しなければならない。ムーラ・バンダを練習するには、会陰を中央で活性させる方法を学ばなければならない。


ムーラ・バンダが快適に維持できるようになれば、プラナヤマや瞑想の間も使えるようになる。



ムーラ・バンダの練習法


大抵の場合、会陰部の筋肉群だけを収縮させることは困難であるため、ムーラ・バンダの気づきを得るには毎日の練習が問題となる。焦ってはならない。というのは、ゆっくり段階的に練習すれば筋肉を強化させるとともに精神的な識別力が養われるからである。練習で厄介なのは、会陰の筋肉群は一緒に働く傾向にあり、一箇所を収縮させると全てが収縮することが多い。また、会陰筋肉群とともに呼吸筋群もまた無意識に緊張してしまい、身体の他の部分でも余計な交感神経的な緊張が起こりやすい。そこだけを選別するよう注意してたくさん練習をしなければならない。



STEP 1

最初の課題は、会陰の筋肉群を収縮・弛緩する単純な能力を養うことだ。まずは、瞑想をする直立姿勢で座る(できれば脚を組んだ座法で)。目を閉じ身体を休め、呼吸をリラックスさせ、胸郭の左右が広がったり縮んだりするのを感じながら、上腹部の緊張を解く。
  
調整しようとせず自由に呼吸をし、前方、中央、後部と会陰全体の筋肉を内へ上方へと締め付けて収縮させる。呼吸はできる限り安定させ、止めることなく流れるように保つ。ゆっくりと締め、収縮が完全になったらゆっくりと解放する。このエクササイズでは、それぞれの部分を区別しようとせず、意識を高めながら会陰全体の筋肉群を強化する。これを25回繰り返す。


STEP 2

次は、会陰の筋肉群全てを収縮させ、快適な範囲で保持する。緊張を保っている間もゆっくりと滑らかな呼吸を続ける。肛門あたりを感じ、そして会陰体や子宮頸部の中央部を収縮させ、そして最後に泌尿生殖器あたりの収縮を丁寧に観察する。それぞれに集中しながら締め上げて、その感覚を感じよう。そして、ゆっくりと全ての収縮を解いてリラックスする。


STEP 3

今度は、呼吸とともに会陰部全ての収縮をまとめる。息を吸い込んで会陰を収縮し、ゆっくりを息を吐き出して緊張を解く。呼吸と同期するように収縮のタイミングを合わせよう。ぎこちない動きやコントロールを失うことも、時間とともに徐々に減っていく。この練習の間、会陰の中央部分に集中するようにし、ムーラ・バンダにと深くつながっていく感覚に特に注意を向ける。このエクササイズを25回繰り返す。


STEP 4

最後に、準備ができたら、注意を会陰の中央に集中させ、そこの筋肉を収縮しながらも肛門や泌尿器あたりをできるだけ動かさないようにする。これがムーラ・バンダの初期段階バージョンであり、これを得るには時間がかかるだろう。急ぐ必要はない、それよりも時間をたっぷりかけて練習する方が良い。


STEP 5

一旦、呼吸に影響することなく、他の交感神経系の筋肉緊張を弛緩させたまま収縮を維持できるようになれば、しばらくの間は快適にムーラ・バンダを維持できるようになるだろう。



ムーラ・バンダの利点


この記事の最初で、バンダという言葉の二つの意味について答えを探った。ひとつはエネルギーの流れを堰き止めると解釈し、もうひとつはエネルギーを統合するための橋と表現していた。ここに述べられている練習を行えば、反対の意味を持っているようなこれらをすでに内的に納得しているだろう。ムーラ・バンダには、会陰でエネルギーを制止する効果があり、その意味では安定させ鎮静させるものである。また、集中するエネルギーをやさしく高める効果もある。また、意識の声がより明確に聞こえるように、ラジオの周波数を正しく合わせるようなものである。


ムーラ・バンダに関連する身体的な利点はさまざまである。この練習を通して得られるのは、生理不順が規則正しくなる、呼吸数が遅くなる、心拍数や血圧が下がる、交感神経の興奮が抑えられる、消化力が向上する、泌尿生殖器機能が調和するなどである。こうした効果はヨガの達人らによって言及されているが、これらを調査した科学的研究はまだ数少ないようだ。ヨギにとってより重要なのは、ルート・チャクラにあるエネルギーの下方への動きと、ハート・チャクラにある上方への動きが逆になって、これらのエネルギーが統合されると言われていることである。この内なる統合が気づきの広がりをもたらすのだ。


ムーラ・バンダの習慣的な練習により、少なくとも、筋肉の収縮が集まる場所がより確かに感じるようになるだろう。そこが、ムーラダーラ・チャクラの場所であり、そこから身体のエネルギーが精神へと広がると言われている。このエネルギーが穏やかで安定していれば、人生自体もよりリラックスしたものになるのだ。





(出典)https://yogainternational.com/article/view/a-beginners-guide-to-mula-bandha-root-lock



2021年4月24日土曜日

骨盤底を2分で鍛える 
Tone Your Pelvic Floor (in 2 Minutes)



骨盤底筋群は、私たちの身体構造の中でも無視されることの多い部分です。引き締まってよく動く時には、恥骨と尾骨の間にあるこの筋肉群には、おどろくほど広範囲の健康上の利点に貢献します。膀胱機能の向上、規則的な排便、痔の予防と改善、生殖器のバランス向上、そして交感神経の鎮静などです。しかし、骨盤底の筋肉群が衰えると、時と重力が負担を増し、徐々にさまざまな問題へと発展していくのです。



簡単なエクササイズ


骨盤底の筋肉群は、他の筋肉と同様、定期的で反復的に使って強化したり引き締める必要があります。そのためのエクササイズがこちらです。


まずは、仰向けで横たわり骨盤の近くの床に両足を置いておきます。体と呼吸をリラックスさせて目を閉じましょう。


意識を骨盤底に向けます。恥骨と尾骨の間にある尿道と肛門の括約筋、そして会陰を含む全ての筋肉を収縮させます(男性の場合は会陰の中心、女性の場合は子宮頸部にも収縮を感じるでしょう)。息を吸ってリラックスしましょう。


息を吐いて、このエクササイズを繰り返します。できるだけ深く、強く締めます。息を吸って解放しましょう。25回繰り返します。呼吸が乱れないように、そして顎やお腹、腿の内側など体の他の部分はリラックスさせておきましょう。


できるだけ長くこの収縮を保ち、通常の呼吸をつづけながら終えましょう。


筋肉が疲れたら自身の能力に応じて行い、容易に25回の収縮を行えるまで徐々に回数を増やしていきましょう。








練習するタイミング


強さを保つためには、週4回は練習しましょう。このテクニックをマスターすれば、時間のある時にいつでも練習できます。歯医者で順番を待っている時や、信号待ちの間、退屈な会議の間など。やがて、ヨガのポーズや、呼吸法、瞑想を深めるために骨盤底の筋肉を使えるようになります。



次の段階


強く柔軟な骨盤底は、身体的なだけでなく精神的、霊的な次元においても、生命力の源を支える根底です。ヨガの生徒は、このエクササイズをムーラ・バンダ(根の鍵)の準備と捉えるでしょう。ムーラ・バンダは、アパナ(体と精神の生命力の下向きの流れ)をコントロールする微細な実践です。これをマスターすれば、内的な安定へと繋がり、直感と創造力を呼び起こすことができるでしょう。


2021年4月21日水曜日

実践はどのようにカルマに影響するか Vol.2 
How Practice Influences Karma

前回からの続きです。
著者のカルマに関係する体験が引き続き語られていきます。

信じるかどうかはあなた次第かもしれません。

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答えとさらなる質問


これらの質問に対する答えを見つけようと、私はサンスクリット文学とアーユルヴェーダの勉強を離れ聖典と哲学文献に集中することした。スワミ・サダナンダと過ごす時間に加え、アラハバードのガンジス河岸で毎年おこなわれるスピリチュアル・フェスティバルに来る多くのスワミたちを訪ね始めた。これらの博識な師たちの多くは私の質問に答えをくれたが、あまりにも深淵過ぎたり、私の理解が及ばなかったりで正しくその答えを得られないことがほとんどだった。そして時には、質問に対する答えそのものよりも、師たちの無意識な行動を観察することで得た理解の方が役に立った。


例えば、こうした聖者たちの一人のところに、もうすぐ大事故にあうという思いにはっきりとした理由もなく取り憑かれている健康な若者が来た。彼の問題を聞いた聖者は、河岸にある臨時のアシュラムでしばらく一緒にいるようにと指示した。


数日経つと若者は我慢できなくなり、ある早朝、次の列車でジャリヤの街にある彼の家に帰ろうと決めた。聖者は帰るなと強く助言したが、若者は仕事に戻らなければならないと言う。そこで聖者は、私は病気で街の薬が必要だがそれを手に入れられるのはお前しかいない、と言った。明日でも、あるいは今晩の列車で発ってもいいが、私は病気で高齢なので二度と会えないかもしれない、最後に手伝ってくれることが重要なのだと。若者は承知した。街に行って薬を手に入れ、そうこうしているうちにジャリヤへの朝の列車は出てしまったっ。翌日、その列車が大破して100人以上の乗客が死亡、数百人以上が負傷したという知らせが届いた。若者は感謝の気持ちに溢れ、今度は聖者に仕えるためもっと長居したいと言い出したが、聖者は帰宅せよと強く言った。


こうした出来事を多く見てきて、これらは偶然ではないと信じている私は、聖典にある真実は、負のカルマをうちける方法のひとつは聖者とともにいて仕えることだと教えてくれていることに気づいた。しかしなぜ、今、聖者に仕えることが、昔に作られたカルマの影響を消すことができるのかは依然として理解できなかった。誰がこのような正確なカルマの記録を維持することができるのか、また、なぜカルマの記憶を知る知恵を持てる人とそうでない人がいるのかを知りたいと思った。また、なぜヨガ・マスターには、他人の問題の原因を明らかに理解し巧みに彼らに助けるのに、自分自身を助けることには無関心な人がいるのか。質問は私の心を悩まし続けた。自分自身よりも誰かの問題を知る方が簡単なのか?自分自身を助けるよりも他人を助ける方が簡単なおか?こうした賢者たちは精神的な法則に縛られているのか?なぜ、彼らは問題の原因を知り取り除く能力を持っているのにもかかわらず、そうしないのか?




直接的な体験


時間が経つにつれいくつかの答えが見つかったが、それでも質問のリストは長くなった。そしてある日私は、ある精神的な実践の直接的な体験を得て、それが私自身の運命を変えることとなった。


それは1982年の冬だった。私のグルデーヴァであるスリ・スワミ・ラーマはニューデリーに滞在しており、その夕方にアメリカへ経つ準備で私もお供していた。突然師が私に尋ねた。「それで、お前はいつ行くのかい?」私は時間を伝えた。少ししてまた聞かれた。「それで、お前はいつの行くのか?」私は同じ答えをした。それから今度はこう付け加えてまた尋ねられた「行かねばならないのか?」私は、教えるクラスがあるから戻らなければならないと説明したが、それを聞いている様子はなかった。それから数時間この会話が何度も繰り返され、ついに師が私を行かせたくないのだと気づいたが、なぜかはわからなかった。航空会社に電話をしてフライトをキャンセルした。まもなく師はまた尋ねた「お前は行くのか?」と。


「いいえ」と答えると「よろしい。お前はリシケシに行って、アシュラムで何それという実践をしなさい。毎日ヴィルバドラ寺院に行きなさい」と師が言った。


そこで私はリシケシに行って実践をした。しかし、最終日になって私は猛烈な疲労感を感じた。ビーズのマーラを手に取ってマントラを繰り返し始める度に、居眠ってしまった。何度も起き上がって冷たい水で顔を洗ったが、目を覚ましていられなかった。瞑想の姿勢で座ったまま私はうとうととしてしまい、マーラが手から落ちた時、現実だと思うほどはっきりとした夢を見始めた。


夢の中で私は、ニューヨークから私が住んでいるペンシルバニア州にあるスワミジのオフィスまでのよく知った道を車で向かっていた。ラウラという女性運転手は、ニューヨークまでよく私を送ってくれたが、いつものように彼女は楽しそうに運転していた。突然、一台の車が高速道路の出口から入ってきて、車の流れと反対方向の私たちの方向へ向かってきた。ラウラが急ブレーキを踏んだとしたら、後方の車がわたしたちの車に激突してしまう。路肩か隣の車線へと急ハンドルを切ったら、周りの車と衝突してしまう。時間も選択肢もなかった。正面衝突は避けられない。今にも衝突するかという一瞬前、2台の車の間に白装束のとても背の高い男が現れ、衝突を避けた。彼は私たちを抱えあげ(片手に私、もう一方にラウラ)、中央分離帯に置いた。


目が覚めた私は、床におちたマーラを見つけた。私の存在全体が、恐怖と喜びの入り混ざった力強さで満たされていた。衝突の恐怖、そして安全な場所へ助けてくれたモノの優しい感触の喜びだ。身体中に鳥肌がたった。しかし、実践を終えるまでに唱えなければならないジャパがまだたくさんあったので、その体験を頭から押し退けてマントラに集中した。それからまもなく、私はアメリカへ帰って通常の日課に戻った。時間とともに夢のことは忘れてしまった。





夢が現実に


その春、ラウラはクラスを教える私をニューヨークへと車で送ってくれた。帰宅する途中、突然彼女が、胸がドキドキするのでこれ以上運転するのが怖いと言い出した。ここ数日、正面衝突のビジョンを見るのだと言った。ニューヨークまでの運転を断りたくなかったので、その恐怖を消そうとしたらしい。しかし、恐怖のあまりもう運転できる状態ではないと。


私は夢のことを思い出し、事故の起こった場所に近づいているのに気づいた。そして、外界で何が起こったとしてもそれはすでに内界で起こったことだというスワミジの言葉を思い出し、この出来事は全てすでに起こったことで、白い不思議なモノはもう私たちを救ったから怖がる必要はないのだと、突然私は理解した。しかしそんなことはラウラには言えない。


夢の中であの車が入ってきた出口はもう目の前だった。語りかけることで彼女の気を紛らわそうとしたが、ますます動揺し始めた。右車線で出口に近づいていた時、突然、高速道路に入ってきた一台の車が私たちの目の前で同じ車線に入ろうとしていた。私たちも後方と横の車もブレーキをかけて急ハンドルを切ったが、衝突は避けられそうになかった。その瞬間、質問が私の頭に浮かんできた。あの白装束のモノが私を車から連れ出しやすいようにシートベルトを外した方がいいのか?同時に他の考えも浮かんだ。それがどんな違いをうむというのか?物質的な存在は役に立たないし、微細なエネルギーにとってシートベルトなど何でもない。そして目を閉じて待った。私が心の目で見たのは、2台の車の間に白装束のモノが現れてラウラと私を車から救い出して道路の右側の路肩にそっと置いたことだった。


目を開けて隣にラウラが立っていることに気づいた私の体は、リシケシでの夢のあとに感じたのとおなじ恐怖と喜びの入り混じりに包まれていた。また、全身に鳥肌がたった。私たちの車は入ってきた車と真正面の場所にあって、フロントドアが大きく開いていた。後方の車の数台は衝突していたが、どれも深刻ではなかった。ドライバーたちが窓から首を出して叫んでいた。ラウラに大丈夫かと尋ねた。彼女はにっこり笑ってこう言った「大丈夫」そして、周りのドライバーたちが叫んだりお互いの免許証番号を交換している間に、私たちは車に乗り込んで走り去った。


それから数週間、私は常に白装束の男のことを考えていた。あれは誰で何だったのか?キリスト教によれば、天使なのかもしれない。インド的な観点から見れば、不死の聖人かヨギかもしれない。何だったのか全くわからない。以前に知っていたとか、体験したという感覚もない、夢以外は。そしてなぜあれ(彼)は私を守ったのか?リシケシで実践するようにスワミジがくれたマントラが人の形をして現れたのか?かつて私が山中で迷って倒れたときに守ってくれたスワミジと同じ聖人だったのか?あの白装束のモノには特に愛といった感情を持たなかった。しかし、スワミジに対しては圧倒的な感謝の気持ちでいっぱいだった。ああいった形をとって師自身が私を助けてくれたのか?それとも師の依頼を受けてあれが現れたのか?


私の心はいつもリシケシで行った実践へと戻っていった。しかし、同じマントラを何百回と唱えても状況が特に変わらない多くの人を知っているので、この体験が単にその実践のおかげとは考えられない。スワミジは、私の過去のカルマの結果から起こることを防ぐのに必要な守護の力を得るために、この実践を使ったのか?



カルマの法則を超えて


この後ラウラに起こった出来事で、より多くの質問が浮かび上がった。2週間ほどの間、彼女は他のより幸せな世界にいるようだった。喜びとスワミジと彼が示す霊的な伝統に対する感謝で溢れていた。しかし3週間の間に彼女の気分は変化した。長くスワミジの生徒であり、私の家族の親しい友人でもあったのに、私たちから距離をとるようになり、無関心になり、そしてスワミジを敵視するようになった。4週目には、彼女は施設を離れた。たくさんの文句があったようだが、そのほとんどはスワミジが自己中心的だというものだった。スワミジが他の人が幸せに暮らすことを望んでいないことに失望したというのだ。


まったく意味がわからなかった。スワミジに説明をして欲しかったが、何が起こったのか聞いたとしても師はただ黙っているだけだとわかっていた。しかし、ある日、プーラーナのひとつを読んでいてこの質問に答えてくれる一節に出会った。その聖典は長い話で、カルマの法則に介入できるものは誰もいないということを明らかにしていた。見えるものも見えないものも、この死を逃れられない世界で機能する全ての力は、カルマの法則に支配されている。生死、そしてこのふたつの間のこと全てはこの法則によって起こる。しかし、カルマに関する出来事を変えるにはひとつだけ方法がある。神意、つまり神だけがもつ力の法則は、カルマの法則を超え、カルマによって起こる出来事を修正することができる(ただしそれは稀である)。神意の範囲では不可能はない。また、激しい苦行(タパス)、マントラの修行(サダーナ)、三昧(サマディ)、神への献身、聖者とともにいることと無私の奉仕を通して神意につながることは可能である。そうすれば、カルマによる出来事はよい方向へ変化し始める。


聖典はまた、神意の恩寵を受けるには準備が必要だと明かしている。一度受けた恩寵を維持し自分のものにするには、さらなる準備が必要となる。神を信じ身を委ねることでこれが可能となり、この状態は瞑想や祈り、ジャパ、熟考、自己探求、またその心や精神が完全に神の意識で満たされている人に奉仕することで作られる。


このメッセージの脈絡にラウラの行動を当てはめた時、私の質問に対する答えを得た。私の場合は、11日間のリシケシでのジャパ実践がその実践に流れる恩寵を吸収する機会を与えてくれたため、カルマの力が神意を揺るがさなかった可能性がある。しかしラウラは同様の機会を持たなかったため最初の喜びがすぐに疑問と恐れに埋もれてしまった理由かもしれない。

1976年から、スワミジが、ヨガ、瞑想、精神性の異なる観点を解説するのを耳にしてきた。師の内に込められた不変のメッセージは、私たち人間は自分自身の運命を作っていると言うことだ。総体的にカルマの法則は避けられないとしても、思考を通して、私たちはなりたいものになる。神意の体験は稀だが、サンカルパ・シャクティ(意志と決意の力)を育めば、今はまだ現れ始めていないカルマのいくつかの形を変えることができる、とスワミジは言いつづけている。また、カルマの負の影響を小さくし、より大きな喜びや幸福を人生にもたらす何百もの方法が聖典に書かれているのだとはっきり述べてもいる。しかし、心から誠実に実践しない限り、どれも役に立たない。それが鍵である。








(出典)https://yogainternational.com/article/view/how-practice-influences-karma

2021年4月16日金曜日

実践はどのようにカルマに影響するか Vol.1 
How Practice Influences Karma






私たちは、周りの世界を見渡し、信じ難いほど苦しんでいる場所を目にして、それはなぜかと考える。病気や飢餓、暴力に見舞われる人もいれば、何事もなく人生を送る人もいる。不健全で非倫理的、あらゆる有害な活動に関わる者が繁栄していたり、正直で勤勉、善意にあふえれた人が失敗ばかりするのを目撃する。また、他者を癒したり人生を変えられるほど霊的に進化した人の話や、逆に痛ましく致命的な病気に悩む人の話を耳にする。なぜなのだろうか。


ヨガによれば、こうした質問の答えは、個人の知識と全体的なカルマにあるという。その知識は、生と死、そしてその間にある全ての謎を説く。若い頃の私は、幸運と不運の原因を理解するために哲学を学んでいた。しかし、読書や熟考を重ねたにもかかわらず、カルマの論理の意味をやっとつかみ始めたのは、何人かのヨギたちと聖典に出会ってからだ。彼らと共にいると、魂の達人たちは知識の説明を超えたところにある微細な謎を明らかにしてくれたのだ。


例えば、アラハバード大学でサンスクリットを学んでいた時、アラハバード郊外のガンジスのほとりに暮らす偉大な聖人スワミ・サダナンダに出会うという幸運を得た。この平和的で穏やかな聖人は、聖典だけでなく世俗的な科学にも精通していた。そして師匠シュリ・スワミ・ラーマに出会う前は、精神的な科学の最高位であるシュリ・ヴィディヤの教えを私が乞うていた一人でもあった。スワミ・サダナンダはこの科学を私に教えてくれるとは言わなかったが、シュリ。ヴィディヤの実践に関する聖典に導いてくれ、またシュリ・ヴィディヤを学び実践sるには神の恩寵とともに良いカルマが必要だと言った。師は、どちらもガヤトリ・マントラを唱えることで叶えることができると言い、このマントラが負のカルマを消し去り新しい良いカルマを作り出し、神の恩寵への道を開くのだと強調した。


師が聖典で解説するこうした指導や理論はどちらも当時の私にはピンとはこなかったが、スワミ・サダナンダの愛、哀れみ、親切、そして聖典の知識は、師への深い献身と信頼とともに私の心に深く沁み渡った。師は時折カルマの法則を説明したが、その教えにもかかわらず、私にとっては抽象的で不可解なままだった。




カルマの流れを変える


スワミ・サダナンダは誰にも優しく、病人に遠慮なく薬を与えた。しかし、私が病気になった時には全く気にかけなかった。私は全く理解ができなかった。そしてある日、遠くの村に住んでいた私の母が、ひどい頭痛に1ヶ月以上も悩まされており今では目も見えなくなったという知らせを受けた。私は動揺し、母のための薬をもらうようスワミに嘆願した。師の返答は「カルマの流れを変えるには、薬は弱すぎるのだ。お前が欲しいと言うなら薬をやるが、アディティァ・フリダヤム(聖アガスティアに明かされた太陽への祈り)を唱えた方がよい」


そうして私は、母の村から60マイルも離れたアラハバードに留まり、大学での日課を続けながら毎日この祈りを12回唱えた。ついには、突然、母の具合がよくなったと姉から知らせがあった。深く感謝しながらも、この祈りと母の回復の関係について好奇心をもった。「なぜ祈りやマントラは、それを実践している者だけでなく遠くにいる誰かの助けにもなるのですか?」私はスワミ・サダナンダに尋ねた。


師は微笑みながら言った。「集中したタパス、サマディ(精神の没頭)、マントラ・サーダナ、神の恩寵、無我の奉仕、そしてサットサンガ(聖者との同席)は、とても力強い正のカルマを短い時間で作りあげる。そしてこれは、前の負のカルマの影響をうち消す」師は立ち上がり、ヴィヤサの注釈のあるヨガ・スートラを取り出して今引用した文章を見せた。


この状況にカルマの法則を当てはめたことで、私はヨガ・スートラと他の聖典を以前より深く理解するようになったが、まだカルマや輪廻転生の関連性についえはよくわからないままであった。


そしてある日曜の朝、私がかなり早くにアシュラムに向かうと、スワミ・サダナンダがひとりの紳士といた。彼は、頻繁に激しいてんかん発作を起こすため、自分を傷つけないようにするためにいつも誰かに付き添ってもらわなければならなかった。師は、灰のようなものを彼に与えてこう指示した。「この薬を毎朝飲みなさい。ただし、野鳥たちに穀類を与えてからです。朝の沐浴を済ませたら、大麦と割れた小麦、その他の穀物を手にし、鳥たちを呼んで与えなさい。鳥たちが食べ終わったら、この薬を飲むのです。それから食事をとっても良いですが、必ず鳥たちが食べ終わってからにしなさい」


紳士が去ってから私はこう尋ねた。「先生、薬を飲むことは理解できますが、なぜ鳥に食べさせなければならないのですか?」


スワミ・サダナンダは答えた。「注意して見ていなさい。彼が治ったら説明しよう」


ほぼ3日間、この気の毒な男はずっと腹をすかせていた。鳥たちが彼の撒いた穀類を食べなかったからだ。そして4日目、やっと鳥たちが食べ始め彼も薬を飲み始めた。1日の初めに鳥に餌を与えることが彼の日課になり、1ヶ月のうちに発作の回数が減った。6ヶ月後には治っていた。


私がスワミ・サダナンダに説明を乞うと師はこう言った。「鳥は自然の一部である。彼らの人間との関係性は、利己や期待に汚されていない。彼らに与えれば彼らは幸福だが、与えなくても気にしない。ただ本能に従うだけだ。私的な選択もしないし、特別な予定もない。彼らへの行いは、われわれ全てのカルマの貯蔵庫である自然への行いである」


「個々人のチッタ(無意識)とカルマシャヤ(カルマの容れ物)は、常に自然、プラクリティにしたがって動いている。自然は、植物や川、その他の自然の環境を含んでいるだけでなく、この物理的世界の源であり中心となる根源的なエネルギー場をも含んでいる。自身の快楽を犠牲にし自分のものだと考えているものを諦めることで、微細な世界のカルマの負債を清算することができる。そして、今の不幸の原因となっているのがこうしたカルマの負債なのだよ」


ごく簡潔だったこの説明で、この後私は何年にもわたって勉強や熟考を重ねることになる。しかし、カルマの謎について勉強し考えをめぐらせるほど、頭に浮かぶ質問が増えていった。なぜ、他の生き物に食べ物を与えるだけでカルマの負債が清算できるのか?人間も自然の一部ではないのか?それが何なのかもわからないのにカルマの負債を清算することなどできるのか?一生のカルマは次の一生にも影響し続けるのか?そうならば、どのように?
 

母の回復や鳥に餌を与えた紳士の治癒は、カルマの法則をすり抜ける方法があることを示唆していたが、なお問題は残った。「全てのカルマの負債を清算しなければカルマの束縛から自由になることはできないのか?あるいは、激しいタパスや、サマディの会得、マントラ、無私無欲の奉仕、聖人や賢者とのサットサンガ、そして神の恩寵を得ることで免責されるのか?カルマの負債は他の方法では補えないほど大きいものだから、神の恩寵を得ることは破産宣告のようなものなのか?

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次回に続きます。

(出典)https://yogainternational.com/article/view/how-practice-influences-karma

2021年4月15日木曜日

<日記> TVドラマの・・・

シンガポールでなーんとなくヨガを始めた時、
始めて習った日本人の先生が金沢出身の Makiko さんでした。

シンガポールの後、ご主人の赴任でカリフォルニアへ
そして今は東京へ戻られ
2019年後半から代々木公園のそばでスタジオを始められました。
オープン早々のコロナ禍で大変だろうなと思ってはいたのですが、
今回、なんとTVドラマでヨガポーズの監修をされたそうで。

ご縁のある方のご活躍は、嬉しいものですね。

オンラインのクラスも開催されています。
興味のある方はぜひどうぞー。


スタジオ PRITI https://studiopriti.com

2021年4月9日金曜日

「ポーズを快適に感じないのはなぜ?」スッカの意味
“How Come I’m Not Comfortable?” The Meaning of Sukha


「安定した楽な姿勢を見つけましょう」と、ヨガのインストラクターが、ヨガスートラの第2章46節にあるパタンジャリの有名な格言(Sthila, Sukham, Asanam)を引用して生徒たちに言う。15分くらいたったら「限界までいきましょう、プルプル震えるゾーンまで」と言われ、励ますように「このポーズは楽ではありません」と。確かに楽ではない。ポーズをホールドするのは大変。


スッカを「楽」という意味にとるのはもうやめよう。多分「快適」がよりよい定義。でも、インストラクターがプルプル震える部屋いっぱいのヨギたちに「不快さを通して集中しましょう」などと言っているのを聞いたりする。辛いのは自分だけではないと知ると元気がでるかもしれない。でも「楽」でも「快適」でもないなら、いったいスッカとは何?努力が必要なポーズを練習したり、静かに瞑想している時、私たちは自分の快適なゾーンの外にいる。だったら、スッカが「快適」や「楽」の意味だとするのは紛らわしい。これまで私が聞いたことのある一番いい訳は「良い具合」。スッカのこの定義を心にとめていれば、実践の多くの場面で良い具合の組み合わせを見つけることができる。


この言葉を部分ごとに分ければ、「ス」は「良い」で「カ」は「穴」。この場合、この穴というのは、馬車の車輪と車軸が繋がる穴のこと。古代の印欧人は、インドからはるばるアイルランドに至るまでの土地にかれらの言葉と習慣をもたらした。彼らがそんなに遠方へ旅できることができのは馬車のおかげ。車大工と馬車大工がいい仕事をすれば、乗り心地はスッカとなり、よい組み合わせが車輪と車軸がスムーズに働かせることができた。


インストラクターが気づく以上に初心者が混乱することは多いけれど、ほとんどのヨギはパタンジャリの言うスティラ・スッカム(うまう具合に安定して、と訳せる)を維持しながら努力をどのように調和させるかの感覚を身につけていく。呼吸をしているかどうかが、スティラでスッカに練習しているかを判断する方法だと推奨されている。ヨガをしているのか自分を窒息させているのかを決める簡単な方法が呼吸ということに異論はないけれど、サンスクリット語とインドの歴史をみれば、私のお気に入りのパワーヨガインストラクターがよく言うような「プルプル震えるゾーン」でスティラ・スッカム・アサナムを維持することはどういうことかを理解しやすくなる。









スティラ・スッカム・アサナムのスッカとは、ヨガを実践する時には、体の全ての部分が良い具合に一体となるべきということを示している。これは、シャヴァサナで静けさを探しているときも難しいポーズで震えたり汗をかいたりしているときにも言えること。ヨガの基本となる文献のひとつバガヴァットギータは、その中心に、馬車を操るあらゆる方法を駆使することが求められる二輪馬車での戦争を例えている。このギータは短いけれど、マハーバーラタという壮大な叙事詩の中の欠かせない重要な部分で、戦場において神が啓示する場面だ。そんな戦いの中で、古代の御者たちは4頭の疾走する馬をコントロールしながら震えたり汗をかいたりしただろうし、戦車に乗った兵士は動く標的に並外れた弓矢の攻撃を行っていたことは間違いない!馬車をコントロールすることは、身体能力と精神集中を試すこの上ない方法だと考えられていた。スッカは通常私たちが理解している「楽」でも「快適」でもなく、調和をとりながら全てをうまく働かせるということだ。


弓矢や馬車、そしてハタヨガの偉大なマスターたちは、ごく自然な熟達の状態に到達しているということだ。けれど、スティラ・スッカムはまた、練習をしながら震えたり汗をかいたりしている私たちにも当てはまる。簡単な言葉にすれば、あなたの車輪がぐらついておらず、つまり身体が怪我をするような位置にないという意味になる。そして、それ以上の意味おある。ハタヨガは実際的な修養で、最も基本的なレベルにおけるスッカは、肉体(ヨガ哲学ではアンナマヤ・コーシャ、食物鞘と呼ばれる)が、強さとしなやかさと健康を安全にもたらすような形にあるという意味になる。そしてこの概念はまた、生気鞘(プラナマヤ・コーシャ)、意思鞘(マノマヤ・コーシャ)、理智鞘(ヴィジナナマヤ・コーシャ)、そして歓喜鞘(アナンダマナ・コーシャ)という身体の微細な鞘にも当てはまる。


ヨガの伝統の早期には、馬車が人間の身体の暗喩となり、御者である神によって導かれ、魂はその目的に狙いを定めていた。そして肉体ができることを賛美することはとてもよいことではあるけれど、ヨガは究極的には魂を大切に扱うことだということを忘れないでいたい。バガヴァッドギータでは、魂と神の会話が、弓の達人アルジュナが彼の御者であるクリシュナへ語りかけるというたとえ話で表現されている。私たちの練習の全て(体の四肢や存在のより深い部分も)が良い具合に組み合わさる時、そして結果に執着せずに注意をもって戦車から目的を狙う時、私たちは最も深淵な方法で自身を育み、より高い目的に仕えることになる。ギータの最後の節を引用しよう。




全ヨーガの支配者クリシュナの在すところ

弓の名手アルジュナの居るところ

必ずや幸運と勝利と繁栄と そして永遠の道義が実在することを

私は確信します




私たちはみなアルジュナ。弓は、練習や人生でささげる目標。古代の戦車の兵士たちにとって弓を引く訓練に何年も費やすこと、そして(結果に執着せず)今ある課題にただ取り組むことは、大変な実践となったに違いない。けれど、行動の結果に執着するなというギータは、私たちにそうであれと伝えている。その行動が、弓を射ることであれ、面接に向かうことであれ、ハンドスタンドを見事にやりとげることであっても。


ヨガの支配者であるクリシュナとは、私たちの高みにある自身、つまりアートマン。私たちの意思や行動を導く私たちの存在の原点。そして、弓の名手アルジュナとは、人生の目的に気づいた行動であり、個人の利に執着せず善行を選択すること。



私たちの車輪が、決してぐらつくことのありませんように。



(出典)https://yogainternational.com/article/view/how-come-im-not-comfortable-the-meaning-of-sukha 

2021年4月2日金曜日

脳をシャープに保ち続けるために今日できる簡単な5つのこと 
5 Simple Things You Can Do Today to Keep Your Brain Sharp for Years to Come


科学的に裏付けされた秘訣で、記憶力や集中力を高め、頭脳を健康に保つ



言葉や細かいことが出てこなくて記憶をたどったことのある人にとって(全員!)、記憶が全てではないという脳の専門家の言葉には驚くかもしれない。じゃあ、どうして記憶のことをまず心配してしまうのだろう?


「人は、知能検査でより良い結果を出すことには関心がないのです」とハッケンサック大学病院の精神科主任であるゲイリー・スモール医師は言う。彼は、ハッケンサック・メリディアン・ヘルスの行動医学責任者でもあり、「The Memory Bible」 の著者だ。「毎日の買い物リストを覚えておきたいんです。街を歩いていて知り合いに会ったら『ああ、ええと、お元気ですか?』というよりちゃんと名前を思い出して『やあ、メアリー、元気かい?』と言いたいんですよ」


しかし、記憶は脳みそから名前を引っこ抜いたり牛乳が残り少ないことを知っていたりということよりもずっと複雑だ。友達の名前を思い出すには、例えば、脳の処理スピードや、集中力、他の多くの要因に関係していて、それは向上させることができる。しかし、それにはちょっとした努力が必要だ。


「一般的に、人が記憶に対して持つ期待は非現実的なものです」 出版予定の「The Neuroscience of Memory」の著者であり、シカゴ認知健康センターのオーナーで監督者であるシェリー・D・オール医師は言う。そして彼女が指摘するのは、年齢が全てではないと言うことだ。「40歳をすぎると、20代の頃にも忘れていたことを忘れてしまうんです」


脳についてがっかりするような誤解が巷には溢れている。例えば、卒業証書のインクが乾くやいなや脳の成長は止まってしまうとか聞いたことがあるだろう。神経の可塑性と言われる科学的な概念があるが、つまり脳が生きている限りその構造と機能は変わる可能性を持っていると言うことだ。老人とみなされる歳になっても脳の中に新しい細胞が作られることが可能だ。つまり、もし脳を強くしようと願うなら、実際に可能できるいうことなのだ。


「IQをあげることはできませんが、脳トレをすれば、集中力や作業記憶など多くを増やすことはできます」オール医師は説明する。








脳トレとは?


一般的に卒中や脳の損傷などを経験した人を対象に行われる認知機能リハビリの世界では、認知機能を高めるために使われる方法が二つある。代償と回復だ。そしてそれは誰にでもできることだ。


代償手段は回避することで、もし脚を骨折していたなら松葉杖を使って歩くというようにタスクを完了するのに役立つ。歴代大統領を覚えるのに歌を歌ったり、水素からヘリウムまでの元素周期表を覚えるのに給水栓と風船をイメージしたりするのと同じだ。車の鍵はいつもドアの横のフックにかける癖を作ったり、新しく人に会ったら名前を何度も繰り返してしっかり覚えるというようなこと。


代償手段は、脳を鍛えるためにできることの多くを占めている。しかし、その他の少数の認知リハビリ手段は回復で、実際に修復して脳機能を向上させることだ。例えば、卒中を起こした人がどのように、もう一度歩いたり話したりできるようになるかを考えてみればいい。「そして、脳の健康のために、十分な睡眠をとる、質の良い食事をするなど他にもできることがありますが、そうすれば記憶に集中する力、思い出す力、理解力が向上したりするのです」オール医師は言う。


脳を鍛えようという時、何を期待すればいいのか?「現実的なのは、何がしたいのかということによって決まります」スモール医師は言う。脳トレは全てが楽しいゲームではない(確かに楽しいものもあるが!)。ダイエットやエクササイズのように、何かを得るには、ある程度の努力が必要だ。


しかし重要なのは、実験室で起きたことが全て外の世界でも起こるとは限らないということだ。  「科学の研究での活動は、一般的に、人が実際に毎日行っているものとは同じではありません」スモール医師はいう。(例えば、瞑想のリトリートに3ヶ月も過ごせる人はおそらくなかなかいない)


しかし、専門家らによると、以下の方法は時間とエネルギーを費やす価値があるだけでなく、脳の処理能力や集中力、情報を保存して取り出す能力を向上させる結果も出ている。これら知能修正する5つの習慣のうち、どれを毎日の生活習慣に取り入れられるかみていこう。


 

1. エクササイズする


議論の余地はない。運動は体や脳を健康にする。「エクササイズが、脳細胞の成長を促し、脳内の結合や経路の数を増やし、より多くの神経を成長させる要因を作り出しているという実にしっかりとしたエビデンスがあります。脳細胞のための肥料みたいなものです」オール医師は言う。

専門家全員が推奨するような特定の運動は存在しないが、脳を鍛える効果は、自転車から鳥のポーズをすることまでさまざまな運動効果が研究されてきている。例えば、60才以上の成人に強度のインターバル・トレーニングを受けさせた小規模の研究では、記憶力が30%上がった。Applied Physiology, Nutrition, and Metabolism に掲載された研究では、強い記憶干渉に焦点を当てられたが、同じモデルで同じ型の車の中から一台を識別するというようなことに役立つ。

ヨガの効果を示したMRI画像を使用したイリノイ大学の再調査がある。習慣的なヨガの実践によって、海馬(記憶に関連した脳の部分)の容積が増え、前頭葉(計画するのに不可欠な部分)が大きくなった。

結論:楽しめるフィットネスを選んで、それを続けよう。



2. 新しいことを学ぶ


これについては聞いたことがあって、ギターの演奏法を覚えたり、  Duolingoをダウンロードして中国語を始めることだと思っているかもしれない。そう、こうしたことはまさに脳を磨くことになる(例えば、新しい言語を学ぶと、記憶や注意に結びついている灰白質が増加さする)が、しんどくなって3回目のレッスンまでに諦めてしまうかもしれない。

「 目的は脳を鍛えることで疲労させることではありません」と、脳を鍛えることについてスモール医師は言う。「選択する新しい活動が魅力的で、その活動がもっとうまくなりたいと意欲が出るような入り口を見つけることが必要です」

つまり、目新しさや種類を好きな活動に取り入れると言うことだ。例えば、毎日やってるクロスワードを週に数回は数独に替えてみるとか。絵を描くのが好きなら、フリーハンドでかくクラスを試してみる。今、楽しんでいるものの上に築き上げることで、新しいことを簡単に始められる。専門家によれば、挑戦することで、脳内の古い経路が繰り返し活性化するのではなく新しい経路が作られるらしい。

「どんな種類の知的作業でも行えば、時間とともにより上手に速く行えるようになります」ニューヨークタイムズの火曜日のクロスワードパズル(毎週日を追うごとに難しくなる)に行き詰まっていたスモール医師は、今は木曜日のパズルを解いている。「誰もが向上する可能性を持っています。練習することが重要なのです」彼は言う。


 

3. 瞑想のようなマインドフルな何かをする


集中して聞いてなければ、会ったばかりの人の名前や、買ってくるように頼まれた5品について覚えてなどいないはずだ。ありがたいことに、7000年前の古い実践法が、どこかに置き忘れたものを見つけるのにかかるよりもおそらく短い時間で、注意を鋭くすることができる。研究によれば、たった少しのマインドフル瞑想でさえ、即効があるらしい。ある小規模研究では、初心者たちが10分間の音声誘導のマインドフルネス瞑想を行ったところ、コントロールグループと比較して、その後のタスクにおいて注意や正確さ、反応時間に即時の増加がみられた。

カリフォルニア大学デイビスの精神脳センターの長期研究では、60人の経験者グループの3ヶ月の瞑想リトリートの効果を調査した。そのような時間を持てる人は少ないが、興味深いことに、リトリート後すぐに得た被験者の注意に対する効果は、1日に1時間程度に短縮下にもかかわらず、その後も7年間続いた。

集中は、脳を鍛えたいという欲望に集中するのによい場所だ。「注意は、間違いなく全ての認識領域の中で最も影響を受けやすいもので、見ること証明することが可能です」オール博士は言う。「瞑想は脳を強化するのに良い方法で、数分間ただ呼吸に集中するだけでも効果があります。数週間、瞑想をしていると海馬が成長し、前頭葉の容積が増え、おおくのばあい恐怖を感じる扁桃体が小さくなります」

最後の部分が鍵で、パニック状態やストレスがあると集中できないものだ。「コルチゾールは脳細胞に有害です」オール医師は言う。「ストレス全てをなくすことはできませんが、瞑想で闘争逃走モードから出るのを促すことができます」



4. より社交的になる


「パンデミックの金銭的、身体的影響を乗り越えた先にある長期間の悪影響は精神衛生です」テクノロジーと脳の健康に焦点をあてたカリフォルニア大学サンフランシスコ校にある神経科学センターNeuroscapeの設立者で責任者であるアダム・ガザリー博士は言う。

孤独感は脳の健康によくないと彼は言及する。「孤独感が寿命に影響することだけでなく、健康に与える影響もデータがはっきり示しています」彼によれば、パンデミックの間でも、家族や友人と定期的に交流し続ける方法を探ることが必要だ。ZOOMゲームをアップするとか、オンラインで映画を一緒に見るとか、(ソーシャルディスタンスをとった)散歩に出かけるとか。

孤独感が認識力の大きな低下の危険をはらんでいるというだけではなく、新しいことを覚える方法として社交は脳にいいのだ。「他の人と会話している時は、脳を使っています」スモール医師は言う。たった10分間の会話(討論でなく)が、作業記憶や注意散漫を防ぐ能力など実行機能スキルをあげる可能性があると、Social Psychological and Personality Science誌の研究が示している。



5. ゲームをしてみる


脳トレゲームは、パンデミックよるEラーニングの必要性から昨年急増し、数百万ドルの産業となっている。もし、フェイスブックの広告フィードに出るアプリにお金を出す価値があるのかと思ったことがあるなら、その答えは揺るぎないものだ、と思われる。

初めに知っておいた方がいいのは、全ての脳トレゲームが同じように作られているわけではないことだ。「いいゲームも悪いゲームもあります」ガザリー医師は言う。彼の研究室では10年以上に渡って脳の健康を強化するビデオゲームのテクノロジーを開発・テストしてきた。「ですから、『ゲームはいいのか悪いのか』というのはいい質問ではありません。細部が重要です」

また、異なるゲームには異なる目的がある。考えるスキルを高める目的でゆっくりと戦略的なゲームもあれば、処理能力を速める目的のアクションだらけのものもある。「現在たくさんのデータが混ざっていることが困難にしています」ガゼリー医師は今、ゲームで高められた注意能力がどのように日常生活に影響を与えるかを理解する研究をしている。

現在のところ、巷にある脳トレゲームの効果に対する信頼できる研究はそんなに多くはない。しかし、悪影響の可能性は低いし役に立つ可能性があるとかんがえれば、お金を出す前に彼らの言う効果をちょっと調べてみて、それから、興味があればやってみよう。





これら全てを取り入れるのはしんどいと思うかもしれないが、手軽にできる鍵が一つある。やらなければならない仕事と思わないでただの楽しみだと考えればいい。自転車に乗るのもいいし、ストレス解消の瞑想に10分間費やすのもいいし、これらの脳を活性化する習慣を、ケーキのデコレーションのように君の脳に足せばいい。






2021年3月22日月曜日

ヨガの逆転ポーズ:逆転ポーズとその効果 Voi.2 
Yoga Inversion: A Guide to What It Is, and How You Can Benefit

 

それでは、逆転の記事から比較的容易なポーズを紹介した部分です。

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ヨガの逆転アサナ(ポーズ)


以下は初心者でも行える4つのアサナです。

1. 下向きの犬のポーズ (アド・ムカ・シュヴァナサナ)


下向きの犬のポーズは、最もよく行われるアサナの一つです。その対象はハムストリングス、臀筋、四頭筋、そして上背部の筋肉群です。

  1. まず四つ這い、つまり両膝と両手を地面につけます。
  2. 両手は肩の真下、膝は股関節の真下に置きます。
  3. 両手を真下に押し、骨盤を天井に持ち上げながら両脚を伸ばしましょう。踵は地面からやや離れていても構いません。身体が上下逆のV字型になります。
  4. 膝を少し曲げて背骨を伸ばし、頭は肩の真ん中において下を向きましょう。ハムストリングスと上背部に少しストレッチを感じるはずです。
  5. 体重は、身体全体に均等にかかるようにします。
  6. そこで30-60秒ホールドしましょう。




2. 両脚を壁に上げるポーズ(ヴィパリタ・カラニ)

両脚を壁に上げるポーズは、脚をストレッチして腰痛を和らげる優しいポーズです。

  1. 床と壁の角に畳んだタオルを置きます。そのタオルの上に座り床に横たわりましょう。両脚を壁に立てかけて、踵が床と平行になるようにします。
  2. 坐骨や臀部が壁から数センチ離れるように、また尾骨や仙骨が畳んだタオルの上に乗るようにしましょう。
  3. 膝をリラックスして両脚が優しく壁に触れた状態にしておきます。優しいストレッチを感じるでしょう。
  4. この姿勢で5ー20分間ホールドします。この間、ゆっくりとしたこ呼吸を練習しましょう。



3. 子供のポーズ(バラサナ)


子供のポーズは、穏やかさを促進し、背骨や腰、肩、首などを優しくリラックスさせる簡単で強度の低いポーズです。

  1. まず四つ這いになりましょう。
  2. お尻を下げて踵の上に座り、膝の上に胸をおろして、額を床に着けます。
  3. 手のひらを床に向けて両腕を体の前に伸ばします。背中に優しいストレッチを感じるでしょう。
  4. Hold this pose for 30–60 seconds.このポーズで30-60秒ホールドしましょう。




4. 前屈のポーズ(ウッタナサナ)


前屈ポーズは背骨、ハムストリングス、ふくらはぎをストレッチするのに役立ちます。

  1. まず、両脚を股関節幅に開き、両腕を体の横から頭上へと伸ばしましょう。
  2. 優しく両腕を体の横に振り下ろしながら、股関節から曲がります(背中を丸めないようにしましょう)。
  3. 手のひらを足の前の床かヨガブロックに置きます。膝をやや曲げて両脚を真っ直ぐに保ち(膝は固定しない)、股関節が足首と並ぶようにしましょう。
  4. 少し前方に寄り掛かり、足の母趾球に体重をかけます。大腿四頭筋(腿の前)を使ってハムストリングス(腿の裏)をストレッチしましょう。
  5. 頭を垂れてこのポーズで30-60秒間ホールドします。







逆転アサナに慣れてきたら、もっと難しいポーズを試したくなるでしょう。カラスのポーズ(バカサナ)や、ヘッドスタンド(サーランバ・シルシャサナ)、羽で飾った孔雀のポーズ(ピンチャ・マユラサナ)、ハンドスタンド(アド・ムカ・ヴルクシャサナ)や車輪のポーズ(チャクラサナ)などです。より難しいヨガの逆転に進む際には、医師などの診断を受け流ようにしましょう。



結論


ヨガの逆転は、怖く感じるかもしれませんが、血流や柔軟性、体力、エネルギーレベル、自尊心などを促すなど多くの効果があります。

 
ヨガの逆転は、一般的には安全ではありますが、妊婦や循環器の病気、怪我などのある人には難しかったり安全出ない場合もあります。また、初心者には向かず経験のあるヨギだけが試してもいいようなポーズもあります。


ヨガの逆転を始める前には、初めてのポーズ、アドバンスのポーズなどの前に必ず医師などと相談することが大切です。


ヨガの逆転ポーズには多くの効能があるので、毎日の運動に取り入れていくと良いでしょう。








2021年3月19日金曜日

<日記>世界睡眠デー

今日は、世界睡眠医学協会(World Association of Sleep Medicine)が定めた「世界睡眠デー」です。


今年のスローガンは 「Regular Sleep, Healthy Future」
規則正しい睡眠、健康な未来、という感じでしょうか。


ある調査によると、日本人の睡眠時間は、OECD加盟国中で最も短いそうです。
確かに朝早くから夜遅くまで働く(遊ぶ?)日本人のイメージがありますね。


私自身は、睡眠不足がもっとも体調に影響するので(肌の調子も違う)ため、
毎日必ず7時間以上は寝るようにしています、というかそれ以下だとスッと起きられません。
ひどいときには10時間でも眠れる時もあります、
これは、体質にもよるので、誰にでもお勧めできることではありませんが。。。


ヨガや瞑想、毎日規則正しい時間に就寝し起床することなど、不眠を予防する方法がいくつかあります。
以前の記事も参考にされてみてください。



それでは、今夜もよい眠りを・・・zzz



呼吸の「失われた技術」が睡眠や回復に影響する 
How The 'Lost Art' Of Breathing Can Impact Sleep And Resilience



睡眠はスーパー・フード 
Sleep is a Superfood



2021年3月18日木曜日

ヨガの逆転ポーズ:逆転ポーズとその効果 Voi.1 
Yoga Inversion: A Guide to What It Is, and How You Can Benefit


ヨガの逆転ポーズにはさまざまなものがあり、サンスクリット語でも知られていますが、心臓や腰が頭より上になるポーズのことです。

怖いと思うかもしれませんが、大丈夫です。ヨガの逆転ポーズは、簡単なものから始められ徐々に難度を高めていきます。簡単に言えば、ヨガの逆転は前屈のようにシンプルなものもあります。熟練者にとっては、ハンドスタンドも含まれるでしょう。

ヨガの逆転の目的は、柔軟性や血流、エネルギー、自尊心をも向上させることです。そのいわゆる効能がどうであれ、逆転ポーズがあなたにとって安全で正しいことなのか不安に思うでしょう。

この記事では、ヨガの逆転ポーズの健康効果、考えられる危険、そしてビギナー向けのポーズを紹介していきます。



ヨガの逆転ポーズとは?


ヨガの逆転ポーズは、ヨガポーズ(ヨガアサナ)の分類で、頭が心臓や腰より下になるもの、つまりは通常の垂直にたった姿勢から体を「逆転する」ものです。

地面から心臓の距離が頭よりも高いポーズは全て、逆転ポーズと考えられます。ダウンドッグ(アド・ムカ・シュヴァナサナ)、壁に脚を挙げるポーズ(ヴィパリタ・カラニ)、ヘッドスタンド(サーランバ・シルシャサナ)などよくみられるポーズも逆転に含まれます。

ヨガの逆転ポーズは、緊張を解き、血流やエネルギーレベルを上げ、筋肉を強化すると考えられています。また、感情的な成長を促し、精神や魂を鎮静化し、エネルギーを心臓へ送り、より地面とつながるのに役立つと言われています。

逆転アサナは簡単なものから難しいものまで幅広くあるので、経験や強さ、健康状態、過去の怪我などにしたがって選択する必要があります。

健康な人であっても、それぞれのアサナを安全に行い、怪我を防ぎながら最大の効能を得る方法を知ることが大切です。




ヨガの逆転ポーズの健康効果


ヨガの逆転ポーズには多くの効能があります。以下は、研究結果が示しているものです。(詳細は一番下のリンクからソースをご覧ください)

血流をよくする

ヨガの逆転ポーズは、血流やリンパの流れをよくし、酸素や栄養を体全体に運び老廃物を取り除くのに役立ちます。

逆転ポーズは、骨盤から心臓へ、そしてそこから酸素を受け取るために肺へ流れる静脈血の流れを刺激します。このポジションはまた、心拍数を下げることで血液がより多くの酸素を取り込むのを助けます。


エネルギーレベルを増加する可能性

ヨガの逆転ポーズは、敏捷性やエネルギーレベルをあげる可能性があります。

理論上は、体を逆転するポーズは、敏捷性をあげて疲労を回復する可能性があります。それは、細胞に取り込まれる酸素や栄養が増え、ドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニンなどのエンドルフィンが分泌され、注意力が増して気分が向上するからです。

さらに、上下が逆になることは集中力を要するため、徐々に、どんな状況に出くわした時も集中できる能力が向上するでしょう。


柔軟性と体力が向上する


全ての年代において、ヨガでバランスや柔軟性、体力を向上することができることが知られています。

逆転アサナは、心身への大きな気づきと、重力に逆らいながら伸展した位置で体を支えるための体力を必要とし、それによって筋力や忍耐力、柔軟性が徐々に向上していきます。

各ポーズは異なる筋肉群に効き、四肢全体の柔軟性や強さが高まり可動域が広くなります。

ヨガの逆転ポーズに特定した研究は存在しませんが、ある研究では、下向きの犬のポーズを週2回10週間行ったところ、膝と股関節の伸展に著しい向上がみられ、ハムストリングスや腰の柔軟性が高まったことを示唆しています。


自信が高まる


ヨガの実践は、自尊心や体のイメージ、全体的な自信を上昇させると考えられています。

特に、ヨガの逆転ポーズを正しく行うためには時間と練習が必要であるため、謙虚さや忍耐、不屈の意識をもたらすと多くのヨギが主張しています。

しかしこのようなポーズは、一旦できるようになれば、日々の生活の中で障害を克服することができるという大きな自信を与えてくれます。非執着の概念や不完全性を受け入れることを教えてくれるのです。


腫れや痛みを緩和する可能性


壁に両脚をあげるポーズなど特定の逆転のポーズは、リンパの流れを促し下半身の痛みや腫れを緩和する可能性があります。リンパ系は、体から老廃物や副産物を取り除き、体液平衡を保つのに役立ちます。

逆転アサナでは、重力と穏やかな動きによって、リンパと血液が四肢から心臓へと流れます。そのように、痛みや不快感、腫れなどを軽減することができるのです。



しかし、高血圧や脚や首に怪我のある人は、逆転ポーズは避けるべきです。


ヨガの逆転ポーズのリスク


多くの人にとって、逆転アサナは健康に大変効果があります。しかし、逆転ポーズがリスクとなる人もいて、ヨガに関係する怪我の主な原因です。

関節に問題のある人、首や背中の怪我、あるいは同様の問題のある人は、医師などの許可がない限り逆転ポーズを練習するべきではありません。

逆転ポーズでは心臓より頭が下になるため、血液が顔へと勢いよく流れます。緑内障、高血圧、血流に問題のある人は、こうした姿勢を避けることが望ましいでしょう。

妊娠期間は、ヘッドスタンドやショルダースタンドなどの体を完全に逆転する難しいポーズは避けるべきです。
4点が(両手両足が地面に)着いているダウンドッグなどの強度の低いポーズは、妊娠に関連する合併症や既往症がない健康な妊婦には安全だと考えられています。
つまり、妊娠期間は新しいエクササイズを試す前に医師などに必ず相談するということです。


最後に、ビギナーとして始める場合は、怪我のリスクを下げるため簡単で難度の低い動きから始めることが重要です。もしヨガが初めてならば、訓練を受けたインストラクターと直接会えるヨガクラスに参加し、安全に正しく行えることを確実にした方が良いでしょう。




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次回はポーズの紹介です。




2021年3月13日土曜日

ヨガとの関係性は食事との関係性を反映する 
How Our Relationship with Yoga Can Mirror Our Relationship with Food


ヨガの実践者として、私たちは時々、完璧でなければならないと感じることがあります。多くの人が、クラスで誰かをみていて、シルシャアサナ(ヘッドスタンド)や手のひらに足の裏をのせた立位の前屈、またはチャクラアサナ(車輪のポーズ)などができる人をみて羨ましがったりしたことがきっとあるでしょう。けれど、そうした嫉妬には意味がありません。アサナは、自己受容を学ぶことに役立つ理想の乗り物です。私たちは実践で時間とともにこの受容を学びますが、それを学ぶためには完璧である必要は全くありません。


自分が何者であって、何者でないかを受け入れることは、人生の最も困難なことの一つです。アドムカヴルクシャサナ(ハンドスタンド)やチャクラサナ、エカ・パダ・ラジャカポタサナ(片脚の鳩の王のポーズ)の心地よい完成形になれないあなたの体の構造を受け入れることができますか?練習の時に、自分に問いかけてみましょう。この瞬間に自分がいる場所を受け入れることを練習しているのか、それとも完璧になる欲望のために練習しているのかを。


ヨガポーズで完璧を目指そうとする努力は、食べ物との関係性の中で完璧を目指そうとするのとよく似ています。摂食心理学と心身滋養のコーチとして、時々「自分は十分でない」といもがいていることが、摂食障害として現れるのを目の当たりにします。完璧への奮闘は、大抵の場合は食べ物そのもののことについてではありません。そうでなく、食べ物との関係性は、足りないと思っているもの、欲望、また人生の中で明確にできないものを示すことが多くあります。食べ物が、自分の思いや感情、過去の記憶などにアクセスして癒すことができないでいることに対して、それ自身を消し去ったり、落ち着きを得たりする手段となるのです。


私たちは人間として、自分の痛みや「十分でない」という気持ちの原因が何なのかをいつも直に見つけることができるわけではなく、また、不快な気持ちをどう処理していいのかもわからないことが多いのです。ただ、ストレスや辛い過去の経験で居心地が悪くなることを知っているだけで、そんな時には、食べ物がはけ口となりえます。


完璧へ追い立てられると、拒食を引き起こすこともあります。患者さんを観察していると、拒食する人は、過去、現在、未来にかかわらず、状況をコントロールしたがっていたり必要があったりすることが多く、そのコントロールのために食べ物を手段としています。そういった人には、ヨガの実践や、「完璧な」食事という表現から離れて食べ物との滋養のある関係性を作り上げることがとても大事です(けれど、手っ取り早い解決法はありません)。


「完璧になりたい」という欲望が現れるもうひとつの現象は過食です。私たちの多くは、過食によって「自分は十分でない」という感情を鎮ませることができます。「食べ物は太る」とか「食べ物は敵だ」というような有毒な思い込みは、滋養に値しないというネガティブなメッセージを送ることになり、ストレス反応を引き起こします。こうした有毒な考えは、少しか食べずに後で大食いするという食事のサイクルにつながります。なぜならその間、体が必要なもの、栄養を得られずにいるからです。ネガティブな感情を鎮めるための過食は、複雑な状態ですが(ここでも、手っ取り早い解決法はありません)、過食をする人が食べものに対するリラックス反応を育むために役立つ方策のひとつは、ゆっくり食べることです。


メディアの示す美しさの表現は、食べ物が太らせるというメッセージを送り続けて、「十分でない」感情をより高めます。食べ物は栄養であり、体はそれを堪能する喜びと繋がっていますが、美しさの歪んだイメージを受け取った時、残念ながら、それが心と感情の一部に取り込まれ、食べ物との有毒な関係性が悪化する可能性があります。


現代の生活にあるストレスで社会がより警戒状態にある中、より多くの人がヨガの実践の必要性を感じています。ヨガの人気はますます高まり、アサナやプラナヤナ、瞑想など全てストレスを緩和するのに役立つと広く知られるようになってきました。こうした自己探求の方法によって、内にある不快感を発見し、どのように痛みから隠れているのかに気づくことができます。ヨガの実践は、自分自身と再び繋がらせてくれ、価値がないという感情を癒してくれますが、過食や拒食の習慣も落ち着かせることができるかもしれません。


時間が経つにつれ、実践は、違いを生むのでも不安な感情を消し去るわけでもなく、自分の内側や周囲で何が起きているのかにより気づかせてくれるのだと気づくでしょう。どこでどのように自分自身を大切にすることができるのかを十分に理解するためには、大抵の場合は、すでに感じている痛みと向き合う必要があります。本当の問題が何なのかを知らないままで、どのように痛みに向き合い、食べ物で自分を罰することをやめ、感情を処理し始めることができるのでしょう?ヨガの実践は、自己再生へ導いてくれる指標となります。それは感じているいう事実を伝えてくれるメッセンジャーとなり、その知識をもって人生に良い変化を作り出すことができます。


ヨガは、心と精神と体をより深く経験させてくれるものだと考えられています。アサナを練習する度、逆立ちで上下逆さになったり、後屈で胸を開いたりして、違う視点で世界を見る機会をもたらしてくれます。新しい視点を作ることで、すでに役に立たなくなった習慣や癖を解放することができます。自身を探求することは、完璧を目指すよりもずっと満たされるものだと体感することもあるでしょう。自分の思いや感情、人間関係や存在そのものを探求することを選択した時、人生の可能性は無限になります。


今度ヨガをする時、完璧を目指そうとせず替わりにこうしてみましょう。呼吸と繋がり、速度を緩め、体に注目し、実践への探求が語りかけるままに任せましょう。そして食事の時にも同様にしましょう。食べる前に、深呼吸します。全ての感覚を使って食事を探求する決意をします。おそらく、今まで経験したことのないほど、この探求で満足感を得るでしょう。あなたの食事やあなたのヨガの練習に寄り添い、その瞬間瞬間にあなたが感じていることに寄り添うと、自己発見と癒しへの真の道へと歩き始めることができるはずです。

2021年3月9日火曜日

前鋸筋のための3つのエクササイズ 
Three Ways to Target the Serratus Anterior

今回は、逆立ちやアームバランスの時に必要となってくる前鋸筋をみていきましょう。
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「前鋸筋」という言葉を聞いたことがありますか?秘密の場所というわけではありませんが、他の筋肉と比べてあまり気にされない場所です。発音しづらいせいかもしれませんし、筋肉に特化したヨガクラスではもっと大きな筋肉群(ハムストリングスや四頭筋など)に注目するからかもしれません。


前鋸筋は、第8あるいは第9の肋骨の上部から起始し、肩甲骨の内側へと走っています。まず第一に、これらは肩甲骨を突き出す(お互いを遠ざける)役目をしています。また、胸郭に対して肩甲骨を維持して安定させる役割があります。これらの動きは、プランクやチャトゥランガ・ダンダアサナ(四肢の杖のポーズ)、アームバランスや逆転のポーズなどで、上背部、肩、胸の筋肉の動きをサポートします。





前鋸筋のどこがそんなに重要なのでしょうか?前鋸筋は、ヴィラバドラーサナ1(戦士のポーズ1)やアド・ムカ・ヴルクシャサナ(ハンドスタンド)で両腕を頭上にあげる時など、肩の上方への回転や動きに重要な役割をしています。


しかし多くの人のこれらの筋肉は、硬く弱くなっています。毎日、常に頭と首を胸椎より前に突き出してタイプしたりメールをしていて、上背部が丸くなり常に肩甲骨が突き出た状態になりがちだからです。


時間が経つに連れ、常にスイッチが入った状態で前鋸筋の繊維が縮み、慢性的に短くなります。そして、やがて柔軟性を失い萎縮していきます(そうして筋肉が硬いのに弱くなる)。


結果として、安定させるために、他の筋肉が担う負荷が増えます。これが、さらに前鋸筋を弱め、首の痛みや肩の挟み込み(大抵は、回旋腱盤の使いすぎや炎症が原因)までを引き起こします。


これは多くの場合、首周りの緊張や痛みとして現れ、特に、多くの人がストレッチやマッサージが必要だと思うような僧帽筋の上部に出ます(それがまた、前鋸筋をなおざりにする原因となります)。


前鋸筋が弱くても、最初のうちは特定のポーズをする邪魔にはなりませんが、時間とともに筋肉のバランスが崩れ、やがて怪我の原因となります。


前鋸筋は、後鋸筋とともに胸郭を持ち上げて肺の拡がりを支持し、起立姿勢を保つのに重要な役割を担っているため、前鋸筋が弱まると最終的には呼吸が浅くなる原因ともなります。


両腕を頭上に動かすことが困難で、菱形筋や僧帽筋上部が痛み、あるいは頭が前方へ突き出して(肩が丸まって胸が縮んで)いることに気づいたら、前鋸筋に注目するとそうした組織の問題を緩和させることができるかもしれません。


あなたの肩甲骨は後方へ開いていますか?タダサナ(山のポーズ)で真っ直ぐ立った時の肩甲骨の動きで、前鋸筋にストレッチや強化が必要かどうかがわかります。例えば、タダサナで、胸を広く保った状態で、肩甲骨が背骨に近く、背中で平らになっていますか?(それならOK!)


背中と肩甲骨



プランクやチャトランガで、その形を維持できていますか?それとも、片方か両方の肩甲骨が翼のように浮いていますか?もしそうなら、肩甲骨の内側の下端が持ち上がるため、背中と同じ面上にはなく、肩甲骨と背骨の間に谷ができています。


プランクで浮き上がった肩甲骨




翼のように浮き上がった肩甲骨は、この辺りの神経機能障害に関係していて、多くの場合は使いすぎや後遺症が原因です。アームバランスのポーズをサポートするために前鋸筋を強化したい時には、以下のようなストレッチと強化のエクササイズが有効かもしれません。


可能なら、各エクササイズを10回以上くり返し、2-3セット行うことをお勧めします。何度か繰り返す内、毎日の活動の中で前鋸筋を機能的に使っていることに気づくでしょう。



プロップ:折り畳んだブランケットかブロック、半分の高さのブロック2つ、そして友人(肩甲骨の動きを見てもらうために!)




ダンダアサナ(杖のポーズ)で床を押す


ダンダアサナから始めます。腰が丸くなっていた李、股関節やハムストリングスが硬い場合は、折り畳んだブランケットかブロックの最も広い面に座ります。足首を曲げたまま保ちましょう。


坐骨からしっかりと根付かせて体を安定し、そこで立っているかのように、両脚を踵への方へ伸ばします。腿に力を入れて、やや内側に回転させ、膝とつま先を天井へ向けておきます。

背骨を頭頂から上方へできるだけ伸ばし、仙骨から頭頂を直線に保ちます。手のひらをそれぞれ腰の横におきましょう。床に届かなければ、半分の幅のヨガブロック2つか、同じ幅のしっかりした本2冊、あるいは、平らでしっかりしていて滑らないものを補助として手の下に置きましょう。

床を押し、腕を伸ばし、肩の前を後方へ引きます。そして、肘を後方にやや曲げましょう。腋の下の後ろ側に何か感覚を感じるはずです。頭の上に向かって伸び続けましょう。胸郭が持ち上がるのに気づきます。


半分の幅のブロックを使って




ここで3回呼吸してから解放します。この姿勢でホールドできる時間が、徐々に伸びていくでしょう。

強化されてきたら、手で床を押しながら足首を組み両方の坐骨を持ち上げて、負荷をかけることもできます。



片腕を交互に挙げる肩甲骨の動き


四つ這いから始めます。両膝は股関節の真下に、手首と肘は肩の真下に置きます。5-10センチ程度前の床を見て、背骨を真っ直ぐに保ちましょう。

下腹部を引いて腹筋に力を入れます。左手でしっかりと押しながら、右の指先を前そしてやや右へ移動し、右腕が右肩に対して斜めになるようにしましょう。

右腕を肩の高さの半分まで持ち上げ、手のひらを(小指が下になるよう)顔の方向へ向けます。右肘をやや曲げて、右肩の上部を少し伸ばしましょう(落ち込ませたり、縮ませないように)。






ここから、頭を挙げて前を見たまま、息を吸って、指先の方向へ腕を伸ばします。





息を吐いて、肘を肋骨の右の方向へ曲げ、右の肩甲骨をもう一度引き込んで、床と垂直になるようにします。

右腕を再度伸ばして、右手を床に下ろし、四つ這いに戻りましょう。左側で繰り返し、それぞれ10回まで交互に腕を伸ばしましょう。



プランクのバリエーションで肩甲骨の腕立て伏せ


両膝をついたプランクから始めます(必要なら、折り畳んだブランケットを膝の下に敷きます)。胸を広げて、三頭筋を胸郭に近づけようとするように上腕を外旋し、肩甲骨の内端どうしを近づけるように引き込みましょう。

腹部全体に力を入れ続けます。そこで一呼吸し、やや背中を丸くしながら床を押して遠ざけま、肩甲骨を突き出しましょう。そこで一呼吸、そして少し胸を落として肩甲骨を引いて近づけます。


肩甲骨の引込

肩甲骨の突出




エクササイズの間、あまり腕を動かさないようにしましょう。肩甲骨を引くと胸は数センチ落ち込み、肩甲骨を突き出すと胸は持ち上がります。全ての動きは、肩甲帯の中で起こっています。


コツ:エクササイズの引込み段階で、肩甲骨がまだかなり「翼」になっていたら、この練習を四つ這いから始め、徐々に膝をついたプランクへと進みましょう。強くなってきたら、肩甲骨腕立て伏せを、プランクの姿勢でやってみましょう。






2021年3月4日木曜日

ヘッドスタンドとショルダースタンドでの
アライメントのコツ 
Alignment Tips for Headstand and Shoulderstand


ヨガをしていなくても、首まわりの問題は日々の生活の障害になるということに気づいています。たびたび、朝起きた時に「首凝り」や「首の痛み」に悩まされることもあるでしょう。赤ん坊はとても美しいラインで頭と首を支えています。では、成長するにしたがって、私たちはこのアライメントと心地よさをどのように失っているのでしょうか?

今度外出したら、周りの人たちの座っている姿勢を見てみましょう。赤ん坊の頭と首を長く伸ばしたような姿勢をしている人は、おそらく滅多にいないはずです。みんな、猫背で寄り掛かり、黒板やコンピューターのスクリーンを見るために見上げているでしょう。首の痛みがどのように悪化するかをよく知るため、そして防ぐため、首の解剖学をさっとみていきましょう。

首、つまり頸椎は7つの椎骨から成っていて、頭骨から肩の上までカーブを描いた構造で積み重なっています。それぞれの間、そして頭骨と第一頸椎の間には水分の多い結合組織厚いクッションである椎間板があり、椎骨を支持し正常な可動域を作り出しています。頸椎は椎骨のなかでも最も動きの大きい場所で、屈曲、伸展、回旋など驚くべき可動域を持っています。人間よりも大きな可動域を持つ動物はあまりいません。

おそらく、椎骨について忘れてはならない最も顕著なことは、その後方が凹にカーブした構造でしょう。首が休んでいる時は、ややカーブした形になっていて、これを生理的湾曲と言います。この湾曲した位置から離れるに従い、首の前方の椎骨、そして後方の面関節の両方で乖離するため、安定性が失われていきます。

もちろん、首や頭を動かしたり、普通の活動を行うために、この湾曲は変化します。そして、この湾曲を動かさなければ、ヨガ・アサナをすることもできないでしょう。しかし、椎骨の基本的な湾曲をできる限り尊重して維持する方法で動かすことを身につけることは、首の健康を取り戻しケガを防ぐのに最も効果的です。以下は、首に直接影響のある人気のアサナで、どのように首を守ればいいのかについてです。





ヘッドスタンドでの両腕と頭のバランスを探る


ヘッドスタンド(シルシャアサナ)は、おそらく、ヨガをしない人にとっては最もヨガっぽいと思うポーズでしょう。私がヨガを始めたころ、とうとう「本当」のヨガをしていると感じたものです。通常の禁忌(月経、妊娠、高血圧、裂孔ヘルニア、眼圧、網膜障害)で、ヘッドスタンドをおすすめできないのは、首に問題がある場合です。しかし、その他の人にとっては注意と気づきをもっていれば、行えるものです。

私がまず生徒にアドバイスするのは、ポーズの主な焦点がバランスにならないよう壁を使うことです。また、頭にはほとんど荷重をかけないことを勧めます。これは腕を強化するだけでなく、肩を天井に向かって引き上げる習慣を作ります。これが、荷重を首から肩甲帯へ移動するのに役立ちます。強い引き上げの動きで肩を使い続けることが重要なので、おかしな言い方をすれば、ヘッドスタンドもまた「ショルダースタンド」なのです。時間が経つにつれ、強化され自信がついてくれば、自然と荷重が頭へと移動していきます。最終的に洗練されたヘッドスタンドができるようになると、荷重は頭にあるのか腕にあるのかわからないほどに成っているはずです。それがヘッドスタンドです。



その他重要なことは、シルシャアサナでは頭は体の真下にくるということです。友達や先生に横から見てもらい、次の2点をチェックしてもらいます。まず、上腕が垂直担っているかどうか。垂直から遠ざかるほど、より大きな圧迫が首にかかります。2番目は、耳が上腕で隠れているかどうかです。

もし、横から見て、耳が完全に見えていたら、頭が手よりもずっと前にあるためで、体の真下ではないということです。もしそうなっていたら、首は荷重を平均して支持していないことになり、怪我や不快感の原因となります。もし、耳が見えていると言われたら、下りて数呼吸して、頭を数センチ肘の方へ移動してから、再度試してみましょう。新しい位置でバランスを取りにくい場合は、壁を使いましょう。バランスよりアライメントが重要だということを忘れないでください。バランスはいずれすぐに戻ります。

最後に、ヘッドスタンドでは、視線は部屋の方を真っ直ぐ見て、床や天井を見ないようにします。床を見ているなら首は湾曲しすぎています。天井を見ているなら首は真っ直ぐになりすぎています。どちらの場合も、首の安定性が悪くなり、頸椎周りの、特に腱や筋肉など軟組織へ必要以上の負荷がかかります。





ショルダースタンドは首のバランスではない


伝統的なヘッドスタンドのカウンターポーズはサルヴァンガサナ(ショルダースタンド)です。ヘッドスタンドで首が自然な湾曲(最も安定した位置)にある一方、ショルダースタンドでは、首が完全に屈曲しているためにその湾曲は平らになります。また、ショルダースタンドでは、荷重が最もかかる場所が首になります。頸椎が深く屈曲した状態では安定性がかなり下り、荷重のかかる場所は怪我の危険が増します。(ヘッドスタンドの禁忌はそのままショルダースタンドにも当てはまります)

怪我を防ぐため、ショルダースタンドでは、肩の下にブランケットを使うことをお勧めします。特にショルダースタンドでブランケットを使うことを躊躇う人が多いのはわかっていますが、ブランケットが有益なのには2つの理由があります。

まず、通常の頸椎の屈曲は、人が思い描くような90°ではなく最大で50°程度にすぎません。50°よりも深く顎先を胸に近づけるには、胸椎上部の屈曲が必要となります。この丸まりや屈曲は、理想的なショルダースタンドとは逆になってしまいます。

自然な首の屈曲角度になるよう、十分なブランケットを肩の下に置くことをお勧めします。まず、分厚いウールのブランケットを5枚置き、そこから必要ならば増やしたり減らしたりしていきます。ブランケットで肩が支えられ、首が自由になるようにします。(ブランケットに直角にボルスターを置いておくと、ポーズの出入りが楽になるでしょう)ブランケットを使っての練習の始めは、両足で壁を蹴りながら上がり、勢いをつけて足をあげないようにしましょう。





ショルダースタンドの間、首の後ろを先生に確認してもらってもいいでしょう。首の後ろが柔らかく最大にストレッチされていないようにします。ブランケットが十分かどうかは横からみてもらうとわかります。首の根本が頭骨の下端よりもやや高い位置にあれば、おそらく首が守られている高さにあります。


ショルダースタンドでブランケットを使う方がいい理由の二つ目は、首とは関係ありません。あなたが十分に高い位置にある時は、お腹が完全に開いて腹部の内臓が「上に動く」ように見えます。高さが足りなければ、腹部がやや凹んで内臓が落ち込んでいるように見えます。これでは、内臓や横隔膜の重みが心臓や肺を圧迫するのでよくありません。首を守り内臓を引き上げるため肩が高く持ち上下られていると、心臓や肺はより守られます。



ヨガの練習で首を安全に保つためのその他のコツ


首まわしをしない


ヨガで最も練習されているポーズの一つは首の回転です。体の回を実際的に360度回転させようとするものです。この動きを私はお勧めしません。

頸椎における脊椎関節構造(面関節と呼ばれます)の研究によると、頸椎は柔らかな平の表面で水平に対して45度傾いています。頸椎が実際に可能な動きというのは、面をすべらせる動きの「前と上」の「屈曲」(顎を胸に)、そして望遠鏡を閉じるような面のすべり「下と後ろ」の「伸展(後屈)」です。

回転と横曲げは、これらのふたつの動きの組み合わせです。例えば、右に頭を向ける時、首の左側の面が前と上に動き、右側の面が下と後ろに動き、それぞれがお互いに落ち込みます。飛行機が右へ旋回するところを思い浮かべてみましょう。左翼が持ち上がって右翼が下がります。頸椎は、股関節のように構造的に球関節ではないのでこのように動きます。ですから、360度の動きである首の回転は首にとっては非生理的な動きなのです。

椎骨の本来の構造を尊重した動きになるので、一度に一方向にストレッチをする動きの方が首にとって、より健康的です。特注:横に首を倒す時(耳を肩の方向に近づける)、顎は上ではなくやや下を向くようにします。椎骨の構造を頭に入れて動くと、怪我の防止になるだけでなく、椎骨関節を動かした時に聞こえる「ギリギリ」を減らす可能性もあります。




最後に


最後に、首にとっても最もいいことは、できるだけ後方への小さな湾曲を保ったままニュートラルの位置に維持することです。この湾曲を保ったまま、座り、運転し、アサナを練習し、歩き、そして眠ることができれば、痛みのない健康的な首への可能性を最大限まで広げることができるのです。





2021年3月1日月曜日

ストレッチが癌を減らす可能性があるという新研究 
New Research Suggests that Stretching May Reduce Cancer



ストレッチの最も良い方法はどのようなものかという研究は数多く存在するが、解剖学的の全ての場所における、良い、あるいは通常の可動域で動かすことが重要だと同意する専門家がほとんどだ。だから研究の相互評価のなかで、運動が癌患者にも効能があるということを知っても驚くに値しないだろう。先月、Scientific Reports誌が、マウスの乳がんモデルにおいてストレッチが腫瘍の成長を減少させるという研究を掲載した。研究の結論は以下の通り。



癌に対する自然免疫を増大させ、1次的・2次的な癌予防に役立つ、投薬以外の治療の開発がますます関心を集めている。最近の研究では、毎日10分間の穏やかなストレッチが局部結合組織の炎症と繊維症を減少させることが示された。間質内の素因が、腫瘍の微環境に影響を与える可能性がある。66個体の雌マウスに、マウスの初期乳癌細胞を第三乳房脂肪体に注入した。マウスは任意に抽出し、ストレッチするものとしないものに分け、4週間毎日10分間治療した。最終的に腫瘍体積は、ストレッチ・グループで、その他の治療をせずストレッチしなかったグループと比較して52パーセント縮小した。ストレッチ・グループでは、細胞毒性免疫反応が活性化され、抗炎症性メディエーター(Specialized pro-resolving mediator; SPM)のレベルが上昇した。これらの結果は、免疫枯渇、炎症解消と腫瘍成長の関係性を示唆する。ストレッチは、投薬以外の穏やかな治療介入となり、癌の治療や予防に重要な要素となりうる。



著者が述べていることの重要性に気づいただろうか?乳癌においては、毎日10分間ストレッチするだけで十分で、癌細胞を対象とした特定の免疫物質が増加するだけでなく、免疫系枯渇の主なマーカーであるPD-1(programmed death recepter-1) のレベルをも減少する。(注意:免疫系の増大は常に注意が必要)




炎症が病気の原因


間質結合組織内の繊維症や瘢痕組織は、ねじ曲がった足場のように働き、癌が根をはって組織層に「結合」し、血液供給や栄養源に侵入し、それによって成長し続けさせてしまう。あなたの組織や存在がハイジャックされたと考えるといい。

かなり前から、癌は、循環器病や糖尿病、関節炎など多くの病気と同じ分類にあるということがわかっている。共通点は何だろう?そう、答えは「炎症」だ。また、炎症は、そのものの性質により、最終的には100パーセントの確率である程度の繊維症を引き起こすことがわかっている。

その病名がどうであれ、繊維症は根本において、我が国(米国)の死因の第一番目とみなされており、残念ながら一般の人だけでなく医療の世界においてもそうであるという事実を忘れてはならない。

常に最も注目を集めている癌研究は乳癌だ。神経学者のヘレン・ランジュバン医師が、ハーバードの Osher Center Integrative Medicine にて講演したのは、彼女のラボで実験したマウスモデルの乳癌に対するストレッチの効果である。ランジュバン医師は、筋膜と全ての病気の関係性が、これまで誰も思いつきもしなかったほど大きいということを語るますます増えつつある科学者たちのひとりだ。ストレッチされた腫瘍が、ストレッチされなかった検体よりも半分以下に小さくなることを、これ以外にどう説明できるだろう?

 

ヨガを含む代替医療が、炎症を減少する可能性


こういう風に考えてみよう。あなたの癌を従来通りに治療すると決めたとしても、抗炎症食(特に「ワールブルク効果」を理解しているなら)、ストレッチやヨガ、飛び跳ねる(トランポリン)、グラウンディング(別名「アース」)などなど簡単なことをただ付け足すこともできると知ることは素晴らしいことではないだろうか。

これらの共通点はなんだろう?これらは皆、体内の炎症の度合いを下げるのだ。

ランジュバン医師の話を聞いてみたい人は、以下をどうぞ。(英語)












2021年2月26日金曜日

ヨガは神経システムにどのように影響を与えるのか 
How Yoga Affects Our Nervous System


神経システムについて、その素晴らしさ、そしてどのようにヨガがよい影響を与えるのかについて耳にしたことがあるかもしれません。神経システムを落ち着かせ穏やかに調整するのに役立つヨガの特別なテクニックについて聞いたこともあるかもしれません。もしかすると、神経システムの詳細についても聞いたことがあるかもしれません。


しかし、この複雑なシステムとそれがもたらすことについて本当に理解しているでしょうか?実際のところ、神経科学者でさえ神経システムを完全には理解できてはいない一方で、基本的な局面についてわかっているところもあり、ヨガが、それを調整するのに役立つというエビデンスも増えてきています。



神経システムとは?


人間の神経システムは、並外れて複雑で、その大部分は未知の部分ですが、運動を起こすため電気的・化学的エネルギーを発し、脅威を察知し、消化を行い、心拍を調整し、呼吸を行い、思考する、など多くのことに関わっています。


神経システムは大きくふたつの分けられますが、多くの人が考えているのとは異なり、交感神経と副交感神経ではありません。 そうではなく、中枢神経系と末梢神経系です。


中枢神経系は脳と脊椎を含みます。末梢神経系は、中枢神経系意外の神経組織であり、神経繊維や神経節(ニューロン細胞の塊)を含みます。


末梢神経系はさらに、自律神経系(呼吸などの不随意機能をコントロールします)と、体神経系(歩くなどの随意機能をコントロール)に分けられます。



自律神経系とは?


不随意機能の中枢として、自律神経系はさらに、交感神経(「逃走闘争」部分)と副交感神経(「休息消化」部分)、そして腸神経系(内臓部分)に分けられます。


ヨガは全ての神経系に影響を与える可能性がありますが、ヨガの指導者や実践者はまず交感神経と副交感神経に注意を向けがちなのは、それらが実践によってより直接影響力のある部分だからです。



副交感神経とは?


交感神経系は、多くの場合「逃走闘争」反応に関連付けられます。これの部分は、体が危険の可能性に警戒する役割を持っています。


私たちが危険を察知すると、心拍が上がり、瞳孔が開き、呼吸数が上がって、新鮮な酸素の多い血液を脳に送ります。私たちの体はまた、呼吸や心拍、感情など全てを調整する神経伝達物質やエピネフリン、ノルエピネフリンなどのホルモンを送り出します。消化器官は、ほとんど働きをやめ、大切な酸素が豊富な血液を骨格筋に送ります。こうした様々なことが、ほとんど一瞬で起こります。こうした変化が、究極的には脅威と闘うかその場から逃げる準備をするのです。これが、交感神経反応が自動車のアクセルペダルと類似している理由です。アクセルをいっぱいまで踏み込むと、全力で前へ走り出すのです。


しかし、私たちの体はとても賢く、交感神経系も生活スタイルの変化に飲み込まれたりはしません。例えば、体は生死を分ける脅威へのストレスと大切な会議のストレスをうまく区別しません。つまり、うるさい上司という脅威を、私たちの体はライオンに襲われる脅威と同じように受け止めるのです。


さらに、こういったストレスは慢性化します。毎晩、帰宅した後にもしょっちゅう送られてくる仕事のメールで、交感神経状態のままになり、慢性的に心身にストレスを受け続け、やがてはストレスに関連した病気だらけになってしまうのです。さらに、慢性ストレスによって内分泌系に刺激ホルモンをもっと作るよう信号を送り、体内のストレス反応の周期が継続されていくことになります。


しかし、ヨガの世界での悪い評判にもかかわらず、交感神経系は、実は私たちが完全であるために不可欠な部分です。危険と直面した時に安全を確保するためだけではなく、体全体のバランスをとるという複雑な基盤の重要な一部なのです。


実際、ヨガの練習の時は、交感神経系が活性化しています。より動的でより速いペースのフローやより長いホールド(より困難な)は、交感神経反応を刺激します。チャトランガへジャンプバックする時、心拍数が上がります。逆立ちのポーズで止まると、血液を骨格筋へと流す準備をします。ウォリアー3でバランスを取ると、神経伝達物質が多量に分泌され、活力を与えるホルモンが血管の中を流れます。この神経系の活性化はまた、ランニングなどの激しい運動をする時にも起こります。


つまり、交感神経系を刺激することは、実際は、全く健康的で普通のことなのです。  



副交感神経系とは?


副交感神経系は、多くの場合、「休息と消化」反応と言われます。自律神経のこの部分は、交感神経反応を抑制します。


「ブレーキ」と呼ばれることの多い副交感神経系は、心拍数を下げ、消化を刺激し、呼吸速度を下げ、血流を四肢から生命維持に必要な内臓へと戻し、アセチルコリンなどの穏やかにする神経伝達物質を分泌させます。


この神経系はまた、ヨガの実践では崇められており、過剰にストレスを受けた体や心をリラックスするのに役立つためです。リストラティブヨガなどの実践を、特にリラックスのために、より穏やかな状態になるように行います。


しかし、この神経系がヨガの世界では一般的によいものだと見えると言って、常に副交感神経系を活性化させる必要があるというわけではありません。交感神経と副交感神経の両方の間を、ごく自然に揺れ動くことができるのが健康です。そして、この揺れ動きを心拍数の変化で計測することが可能です。



心拍数の変異性


健康な人が息を吸うと、自然に、交感神経系が刺激されて心拍数がやや上がります。息を吐くと、副交感神経系が刺激されて心拍数はやや下がります。この心拍数の変異性は、全体的な健康の目印となります。一般的に、交感神経系と副交感神経系の間を素早く簡単に変動できる方が、全体的に、より健康的な神経系であると考えられます。


慢性的にストレス反応から「抜け出せない」人は、心拍数変異性に乏しいため、心拍数はおそらく慢性的に高いままでしょう。反対に、自律神経の健康的なバランスを保っている人は、心拍数変異性が高いため、ストレスの多い状況の後でもすぐに下げる調整が行えます。


ストレスにすぐに反応することが大切です。しかし、ストレスが過ぎたら容易に落ち着けることも大切なのです。ここで、ヨガの出番です。




ヨガが自律神経系に与える影響とは?


ヨガを通して自律神経系に影響を与える方法はたくさんあります。以下は、ヨガが自律神経系の異なった部分を刺激するのに役立つ方法のうちのいくつかにすぎません。


ダイナミックなヨガ


アシュタンガやパワーヨガ、ヴィンヤサなどのダイナミックなスタイルのヨガやエクササイズは、すでに言った通り、交感神経系を刺激できます。  これは激しい動きへの健康的で普通の反応であり、免疫の強化、呼吸機能の改善、循環器の健康増強などに役立ちます。


リストラティブ・ヨガ


リストラティブ・ヨガには反対の効果があります。その名の通り、リストラティブ・ヨガは、心身ともにとても穏やかでリラックスさせるものです。いわゆるリラクゼーション反応を刺激し、神経を副交感神経モードに移し、穏やかさや安心感、心地よさ、健康的な消化などを促進します。


プラナヤマ


プラナヤマは、自律神経系に作用する実に早く効果的な方法です。実際、上記のように、毎回呼吸をするたびに自律神経に影響(心拍数変異)を与えています。

迷走神経の一部が、喉頭や呼吸横隔膜を通っているため、呼吸はまた瞑想神経緊張にも影響を与えます。瞑想神経の活動量が迷走神経緊張です。迷走神経には多くの副交感神経繊維があ流ため、迷走神経が受ける刺激が強いほど副交感神経系が活性化されます。

呼気を長くするなどの特定の呼吸法は、特に副交感神経系と関係が深く、体を「休息と消化」反応へと移すことができます。反対に、吸気を強めると反対の効果があります。


シャヴァサナ


シャヴァサナで練習を終えるのもまた、自律神経系に影響を与えます。このポーズは落ち着きや内省を促すため、心拍数や呼吸速度などをゆっくりにし、特に刺激のある動的な練習の後には効果的です。その簡単な外見にもかかわらず、副交感反応を開始し神経系を鎮めるために大変効果的な実践法です。


瞑想


瞑想は、鎮静効果のあるもうひとつの実践法です。心身が平穏な時、私たちは慢性的に抱えている緊張を手放し始め、副交感神経系を刺激します。




ヨガの練習と総合的な健康の鍵はバランス


私たちにの体内の全ては、常に、総合的なホメオスタシスのために適合と調和を得ようと働いています。

ストレスの多い世界に生きる私たちは、副交感神経系を刺激するような練習から効能を得ることができます。しかし、それは交感神経系を全く無視していいというわけではありません。忘れないでください、本当の健康の指標は、どちらの神経系が活性化しているかではなく、どれほど効率的、効果的に素早くそれぞれの間を移り変わることができるかです。

結局のところ、生きている中で前進するには、アクセルとブレーキの両方が必要なのです。全速力で壁にぶつからないよう、適切な道具を適切なタイミングで使うことがでければいけません。そして幸いなことに、その道を進むために役立つヨガが、私たちにはあるのです。







(出典)https://yogainternational.com/article/view/how-yoga-affects-our-nervous-system

2021年2月19日金曜日

平均以上の可動域が必要な4つポーズ(追加) 
4 More Common Poses That Require Greater-Than-Average Mobility

前回に続き、可動域に関する追加の記事です。
こうなってくると、よく出てくるポーズのほとんどが、インスタで見るような形にはなれないかもしれないと気づくかもしれません。
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人はみな、形もサイズも違っていて、プロポーションが違い、生活スタイルも習慣も違うということを私たちはわかっています。けれど、ヨガマットの上に立った途端、なんとなくその違いを忘れてしまい、全てのポーズで同じ形、角度になると期待してしまいます。


教科書通りのアライメントは、多くのポーズで、(下記のように)基本的だと思われているものでさえ、平均以上の可動域を必要とします。けれど、「平均」とは計算して出てきたものであり、誰も実際に「平均」な人はいません。一般的に、私たちは平均よりも可動域が大きいか小さいのです。肩には大きな可動域があるかもしれないし、股関節では小さいかもしれません。もしくは、左右に可動域に差が出るような姿勢や仕事、スポーツが原因の筋肉の緊張を抱えているかもしれません。


なぜなら、私たちはみなユニークで、全てのヨガポーズで理論的に理想的にするために自分の体に無理をさせることは意味がありません。ですから、練習を探求と調査の機会ととらえ、自身の関節や筋肉、筋膜などのユニークな組み合わせを知る機会としましょう。


では、「平均」の可動域とよくあるヨガポーズの「伝統的な」バージョンを比べていきましょう。




1.戦士のポーズ1(ヴィラバドラーサナ1)


後ろの足首背屈 20−30° (平均 12-20°)
後ろ足の内反30-45°  (平均 5-35°)
肩の屈曲 180°   (平均 165-180°)

 
戦士のポーズ1(ヴィラバドラーサナ1)は、集中とエネルギーを上にもち上げて、力強い土台を作ります。後ろ脚の股関節屈筋をストレッチし、胸を開き、肋骨の横から広背筋を伸ばします。この基本的なポーズが、太陽礼拝Bの鍵となることを踏まえれば、このポーズは誰でもが可能なものだと考えるかもしれません。しかし、両腕を頭上に伸ばすことが困難な体がある一方で、多くの人にとって、このポーズの伝統的なアライメントを妨げているのは後ろの足首関節の可動域です。後ろの踵を地面においたまま、骨盤を前に平行にするのは心地よいものではなく、多くの生徒にとっては不可能ですらあり、前の膝を曲げ得るとその難しさはより深まります。このポーズで多くの人が追求しているアライメントは、足首の通常の可動域を超えているため、難しいのは当たり前なのです。


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2. 戦士のポーズ2(ヴィラバドラーサナ2)



後ろ足の内反 35-45° (平均 5-35°) 
前の股関節の外旋 70-90° (平均 40-50°)
前脚の外転 70-90° (平均 40-50°)  



戦士のポーズ2(ヴィラバドラーサナ2)は、安定した、固い決意を持った、力強い立位のポーズです。両足がしっかり床について、両腕は肩の高さ、これはこのリストの中で最もやりやすいものです(股関節の通常の可動限界という条件があれば)。


しかし、「教科書通り」のアライメントは、前脚を真っ直ぐ前に向けて90度に曲げ、股関節をマットのサイドに向けていますが、これは、特に前の股関節と後ろの足首に、ほとんどの体型の人よりもずっと広い可動域が必要となります。戦士のポーズ1のように、前膝を深く曲げるにつれ、後ろの足首の可動域がより必要となります。


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3. 牛の顔のポーズ(ゴムカアサナ)



上の肩関節屈曲 180° (平均 165-180°)
上の肩関節外旋 80-90° (平均 80-90°)
下の肩関節内旋 60-90° (平均60-90°)
股関節外転 30° (平均 20-30°)
下の股関節外旋 60-85° (平均 40-50°)
下の股関節外旋 50-70° (平均 40-50°)





牛の顔のポーズ(ゴムカアサナ)に関連する動きの組み合わせは、体のさまざま部位の効率的なストレッチとなります。腕の位置は、胸と肩のほとんど全ての筋肉に影響し、慢性緊張のよくある原因(三頭筋、広背筋、三角筋)をも含みます。そして、股関節を開くヨガポーズの多くが股関節を外転する一方で、ゴムカアサナは、両脚を体の中心線で交差させます。しかし、このポーズの複雑さはまた、どうして多くの人にとってこのポーズが難しいのかを説明しています。ひとつの局面では可能でも、他のところで伝統的アライメントの達成が難しいのかもしれないからです。


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4. 弓のポーズ(ダヌラアサナ)


股関節伸展 20-30° (平均 10-30°)  
肩関節伸展 80-90°(平均 40-50°)  
脊椎伸展(胸椎・腰椎) 50-75° (平均 35-55°)



胸を開く後屈は、肩を前に引いて胸を圧迫するという日々の姿勢への強力な対抗策です。そうした理由から、姿勢と呼吸の両方に効果があります。仰向けの後屈はより効果的かもしれませんが、頭と肋骨を重力に逆らって持ち上げることは、忘れられている体の背面を強化しることができます。弓のポーズ(ダヌラアサナ)は、この分類に入ります。しかし、両腕と両脚が繋がっているため、コブラ(ブジャンガアサナ)やバッタ(シャラバアサナ)のようなものより大きな可動域が必要となります。


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気づいていようと気づいていないであろうと、私たちはすでにそれぞれのヨガポーズを行う自分自身の道を見出しています。私たちの体は、私たちが理解しているよりも適応性と弾性がありますが、同時に限界もあります。全ての人に、全ての関節の動きに限界点があり、ヨガポーズでは、他の日常の活動以上にその限界点に直面することが多くあります。それは、基本とされているこうしたポーズにおいても、言えることです。その知識が、理論的な理想を手放し、肉体的な練習を変化させてくれるでしょう。心を開いて、私たちの練習の行く先にあるものに好奇心を持って、マットの上に立ちましょう。

2021年2月12日金曜日

平均以上の可動域が必要な5つのポーズ 
5 Common Poses That Require Greater Than Average Mobility


人の顔がひとりひとり違うのと一緒で、同じ体の人は一人としていません。大きさも長さも重さも角度も違えば、その部分部分を使って出来上がる形や動きもみんな違います。陸上競技に向いている人や器械体操に向いている人、重量挙げやレスリングに向いている人など、いろんなものの好みが人によって違うのと同じくらい、体の構造も違います。では、ヨガに向いている人と向いていない人がいるのでしょうか?いいえ、ヨガは誰にでもできるものです。では、みんなが同じポーズをしなければいけないのでしょうか?
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この記事では、Yoga Medicine®の指導者であるレイチェル・ランドが、お馴染みの5つのポーズを深く掘り下げ、アサナに対してよりオープンマインドなアプローチをする重要性について説明しています。




もし、生徒たちにやめさせたいことが一つあるとしたら、それは、「忍耐と努力で誰もが成し遂げられるポーズの形というのはたったひとつしかない、その理想形でないものは全て間違いだ」と信じることです。そういった誤解が多いのは、生徒たちから受ける多くの質問やコメントからわかります。「ダウンドッグでどうすればかかとが地面につくようになりますか?」とか「いつになったら、足を組んで座る時に両膝が床につくほど股関節が開くようになるでしょう?」とか「私のハムストリングスは硬いから、このポーズは苦手です」というような。


けれど、問題は生徒自身にあるのではなく、そのポーズやそのポーズが「どう見えるべきか」という期待にあるとしたら?というのも、基本的なヨガポーズでも必要とされる可動域を分析すれば、その多くが平均的な可動域を超えていることがわかるからです。


私たちのどんな関節の可動域も平均より大きい小さいがあり、つまり、ヨガポーズの理想形は可能かもしれないし不可能かもしれないということです。ありがたいことに、練習の恩恵を得るのに理想的である必要はなく、そこには、体力、安定性、バランス、集中力などが含まれます。そして、特定の形にポーズを取る必要性を手放した時、自身の個性的な身体の構造を尊重しながら、ポーズの恩恵を受けるためのスペースを作ることができるのです。




では「平均的な」可動域とは?


さらに進む前に、「平均的な」可動域とは何かを見ていきましょう。理学療法士や運動の専門家などが通常用いる可動域チャートは、大勢のサンプルにわたる特定の方向に対する関節の限界価を測定したものです。ですから、平均というのはそれらのサンプルから算出されていて、最も柔軟な人と最も柔軟でない人のおおよそ中間に当たります。


もちろん、可動域が平均よりも大きな人もいれば小さな人もいますが、平均値を理解することで練習の中で可能なことに対する期待をコントロールするのに役立ちます。




可動域は大きくできるのか?


端的に言えば、柔軟性とは、筋肉と筋膜の弾性、そして骨の形状と比率による強力な限界のあらわれです。限界を作っているのは、筋肉張力なのか骨の圧迫なのかはどのように知ることができるのでしょう?軟組織の張力は、関節の、動こうとしている方向と反対側にあることがほとんどです。例えば、前屈ではハムストリングスに引っぱりを感じます。骨の圧迫は関節の同じ側に感じます。前屈では、関節がぶつかっている前面の深い組織を感じ、それ以上の深い屈曲を妨げています。


ヨガによって、時間とともに軟組織の柔軟性が高まる可能性があるので、特定のヨガポーズでそれ以上深く動いていくのを妨げているのが筋肉張力であれば、そこに関連する筋肉をストレッチすることで可動域を大きくすることは可能でしょう。しかし、人の骨格というのはそれぞれ異なっており、変化しないので、全ての関節の可動域の限界は人それぞれだというわけです。


もし骨の圧迫がヨガポーズに限界を作っているのなら、骨による制限を避けるために位置を変えてアライメントを調整する方法があります。けれど、それをするには、教科書通りのポーズへの執着を手放し、よりオープンマインドなアプローチをする必要があります。


では、このアプローチによって改良される可能性のあるポーズをいくつか見ていきましょう。全てのレベルのクラスでよく行われ、平均以上の可動域が必要となるポーズです。




1. 下向きの犬のポーズ(ダウンドッグ)


股関節屈曲 90° (平均70〜90°)
肩屈曲 180° (平均165〜180°)
足首の背屈 45° (平均12〜14°)


ダウンドッグ(アド・ムカ・シュヴァナーサナ)がヨガクラスの定番なのには、正当な理由があります。ハムストリングスやふくらはぎ、大胸筋や広背筋をストレッチするポーズです。また、上半身と下半身のバランスを作るのに役立ち、両手でより楽に体重を支える準備となります。


下向きの犬のポーズは大抵休憩のポーズで使われますが、首の横を圧迫しないで両腕を挙げ、背中を丸めないで両脚を伸ばし、踵を床につけようとするのはとても休憩ではないと感じる人は多いはずです。こうした困難は、肩や股関節、足首に平均以上の可動域が必要だからだ、とは想像しないでしょう。


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2. 立位の前屈

股関節屈曲 160〜170° (平均70〜90°)



ヨガスタジオを見回して難なく二つ折りになっている生徒をみれば、立位の前屈(ウッターナサナ)は簡単なポーズだと思わざるをえません。けれど、ダウンドッグで平均以上の股関節可動域が必要だとわかった今、ウッターナサナはもっとずっと大変だということがわかるでしょう。


前屈はハムストリングをストレッチし、背骨と首を優しく牽引し、内側への集中を養う機会となります。けれども、胸と膝、あるいは頭とすねをくっつけるという目標は、ほとんどの人には単純に不可能なことです。股関節の平均可動域は、両脚を伸ばした状態では70〜90°で、前屈の半分にもなりません。このポーズにはある程度の変更が必要だという人がほとんどだということを示しています。


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3. 上向きの犬のポーズ(アップドッグ)


足首底屈 80°(平均20-50°)
背骨伸展 70-80°(平均35-55°)
手首伸展 90°(平均65-85°)



上向きの犬のポーズ(ウルドゥヴァ・ムカ・シュヴァナーサナ)は、一般的に、腹筋や股関節屈筋など、体前面の固まった筋肉をストレッチします。また、足の甲の筋肉を伸ばすという稀な機会を与えてもくれます。このポーズを含めた太陽礼拝はまた、より深い後屈に応用できるアライメントのレッスンにもなります。
しかし、手首や背骨、足首に驚くほど広い可動域が必要となるため、ヴィンヤサの練習の中で予想外に難しい部分となっています。


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4. 三角形のポーズ(トリコナサナ)


股関節外転 80-90°(平均40-50°)
股関節屈曲 90°(伸展した脚での平均70°)
股関節外旋 80-90°(平均40-50°)



開いた三角形のポーズ(ウッティタ・トリコナサナ)は、全レベルのクラスのシーケンスに取り入れることのできる素晴らしいポーズです。前脚のハムストリングスのストレッチ、中臀筋と体側上部の腰方形筋の偏心の強化、微細な開胸、そして両脚を床につけてバランスと安定性を築く機会を与えてくれます。けれども、このポーズがきついと思うのは、あなただけではありません。通常以上の前脚の可動域を必要としますし、特に手のひらを床に付けようとすると尚更です。


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5. 座位のツイスト(アルダ・マツエンドラサナ)


股関節内転 45-50°(平均20-30°)
腰椎・胸椎回転 90°(平均40-70°)
股関節外旋 80-90°(平均40-50°)



座位のツイスト(アルダ・マツエンドラサナ)は、ヴィンヤサクラスでよくみるポーズで、立位ポーズと床でのポーズの間の移行に使われることも多くあります。姿勢の癖を変えて、安定した土台から背骨を自由に動かすのに役立ち、私たちの観点も変える可能性もあります。また、股関節の外側や腿の筋肉を解放する素晴らしい機会を与えてくれます。しかし、このポーズを部分的な変更なしで行うには、背骨や股関節に平均以上のかなりの柔軟性が必要となります。



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私に透視能力はありません。生徒さんの骨や結合組織の構造は見えません。彼らの可動域が平均より上なのか下なのか、わかりません。ダウンドッグで踵が床につくことがあり得るのか、前屈で胸が腿につくことがあり得るのか、わかりません。幸いなことに、こうしたことをやるように伝えることが、指導者としての私の目標ではありません。効果のある結果をもたらすようなヨガの体験をしてほしいのです。




生徒さんたちをより現実的な可能性に向けて導くことで、イメージされるアライメントの概念から外れたものは間違いだという考え方から彼らを解放することができます。つまり、肉体だけの力づくの決意ではなく心を開いた好奇心を養うことができ、各ポーズの理想形ではなくポーズの効果を重要視することができるようになります。私について言えば、このアプローチは、ヨガの本質へとより近づく道になります。





(出典)https://yogainternational.com/article/view/5-common-poses-that-require-greater-than-average-mobility